2017年にデビューした、新進気鋭のミステリー作家・阿津川辰海。デビューから数年で「本格ミステリ・ベスト10」に複数回ランクインするなど、ミステリーファンから注目されている小説家です。
本記事では、阿津川辰海のおすすめ作品をご紹介。緻密なトリックが楽しめるミステリーに興味がある方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
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阿津川辰海とは?
阿津川辰海は、”若手最注目”と謳われるミステリー作家です。1994年東京都生まれの小説家で、東京大学卒。公募企画である「カッパ・ツー」を受賞し、2017年にデビューしました。
「カッパ・ツー」とは、電子ミステリー誌「ジャーロ」が立ちあげた新人発掘プロジェクトの名称です。対象は未発表の本格ミステリーで、阿津川辰海は『名探偵は嘘をつかない』で応募し受賞。第一期の受賞者として同作でデビューを果たしました。
デビュー作『名探偵は嘘をつかない』と次作『星詠師の記憶』が、連続でミステリーランキングにランクインするなど、デビュー直後から頭角を現しました。緻密な論理のアクロバットで読者を翻弄する、目が離せないミステリー小説家です。
阿津川辰海作品の魅力
阿津川辰海が手掛ける作品の魅力は、考え抜かれた緻密な論理と衝撃展開で読ませるストーリーです。
また、特殊設定の作品が多いことも特徴。阿津川辰海本人も特殊設定が好きだと語っており、現実とは違う世界観に、知識とセンスから生みだされる巧妙なトリックを組み合わせています。
阿津川辰海の作品は、特殊設定だからこその納得感があるトリックと内容もポイントです。
阿津川辰海のおすすめ作品
紅蓮館の殺人
講談社 著者:阿津川辰海
山中の館を殺人と災害が襲う、阿津川辰海の人気シリーズ1作目です。2019年に発売された作品で、その後に出版された『蒼海館の殺人』『黄土館の殺人』と今後発売予定の4作目とあわせて、”館四重奏”と呼ばれています。
「2020本格ミステリ・ベスト10」や「このミステリーがすごい! 2020年度版」など、2020年の複数のミステリー小説ランキングにランクインしました。
高校の合宿を抜け出した主人公と友人の葛城は、落雷が原因の山火事に遭遇します。そんな彼らが救助を待つ間に、館に住む女性が死亡する事件が発生。山火事による館全焼までのタイムリミットは、35時間。早く避難するべきだと口にする他の人間とは逆に、葛城は推理を始め……。
命と真実の間で揺れる、ハラハラ感が楽しめる本作品。高校生の名探偵と助手が活躍するため、古典的な探偵小説が好きな方におすすめです。シリーズは発売順がそのまま時系列順になっているので、読む順番に迷った場合は本作品から新刊である『黄土館の殺人』まで、発売順に読んでみてください。
透明人間は密室に潜む
光文社 著者:阿津川辰海
さまざまな特殊設定が楽しめる、阿津川辰海の傑作を詰めた初短編集です。2020年に単行本が発売され、2022年に文庫化。「2021本格ミステリ・ベスト10」では、1位を獲得しました。
表題作である「透明人間は密室に潜む」は、透明人間による不可能犯罪計画を描いた1作。他にも、裁判員裁判とアイドルオタクが掛け合わさった法廷ミステリーや、クルーズ船内での拉致監禁事件を描いた作品など、珠玉の短編が4作品収録されています。
それぞれの短編で異なる状況や設定で発生した事件について描いており、世界観がしっかりしているからこその読み応えがあると高い評価を得ています。特殊な状況でも設定が作り込まれているため、真相に設定が絡んでくるのが面白かったという声も。読みやすい短編集が好きな方に、おすすめです。
名探偵は嘘をつかない
光文社 著者:阿津川辰海
冷酷非情な名探偵の真実を暴く、阿津川辰海のデビュー作です。「ジャーロ」が主催する「カッパ・ツー」の第一期受賞作で、2017年に単行本が発売されました。
決して妥協せず、徹底的に犯人を追い詰める名探偵・阿久津透。そんな彼に衝撃の疑惑がかけられます。それは、証拠を捏造し、阿久津が自分の犯罪を隠蔽した疑惑でした。こうして、死者も巻き込んだ、「本邦初の探偵弾劾裁判」が開廷したのです。
特殊な設定がいくつも盛り込まれた作品で、エンターテインメント小説として面白いと評判。そのうえで、謎解きや伏線回収など、ミステリーの王道要素も外さずに入っています。ファンタジーを楽しみながら推理したい方におすすめです。
録音された誘拐
光文社 著者:阿津川辰海
1つの身体的な特徴を軸にした、どんでん返しが面白いミステリー小説です。2022年に単行本が発売されました。本作品は、誘拐事件の発生から物語が動き始めます。
大野探偵事務所の所長である大野糺が、誘拐される事件が発生。耳のよさが取り柄の助手・山口美々香は、聴力を頼りに真実に迫ります。しかし、誘拐事件は15年前のある事件と関係しているようで……。
誘拐犯と探偵たちの戦いを描いた作品で、事態が二転三転するどんでん返しがポイント。特に、ラストの展開に驚いたという声が多い小説です。
また、短編集『透明人間は密室に潜む』に収録された1作『盗聴された殺人』の設定を引き継いでいるので、短編を読んで面白かった方にもおすすめの阿津川辰海作品です。
午後のチャイムが鳴るまでは
実業之日本社 著者:阿津川辰海
高校の昼休みを舞台に、青春を描いたミステリー短編集です。2023年に単行本が発売された作品で、阿津川辰海初の学園ミステリーとして話題になりました。
ある日の九十九ヶ丘高校の昼休み、フェンスに空いた穴から2人の男子生徒が抜け出しました。彼らは65分のタイムリミットを活かし、ミッション達成のため奔走します。学校の昼休みという短く輝く青春を、熱量高く描いた1冊です。
時間帯に縛りを設け、昼休み限定で青春とミステリーをギュッと詰めた本作品。随所の描写が青春を思いださせてくれると高評価を得ています。一見くだらないことに全力を尽くす、懐かしい感覚に浸りたい方におすすめです。
星詠師の記憶
光文社 著者:阿津川辰海
未来予知がストーリーを動かす、殺人事件の謎を追うミステリー小説です。2018年に単行本が発売され、2021年に文庫版も発売されました。物語は、1人の刑事が帰郷するシーンから大きく動き始めます。
被疑者を射殺してしまい1週間の自主謹慎期間を過ごす刑事・獅堂は、自身の故郷である村に帰っていました。そこで彼は突然、香島という少年からある人の殺人容疑を晴らしてほしいと依頼されます。どうやら、殺人の証拠は紫水晶の中にあり、香島はその水晶を研究している”星詠会”の研究員であるようで……。
「水晶による未来予知」という特殊設定をベースに、その設定だからこそのストーリーやトリックが展開される作品です。特殊な世界観でありながら、しっかりと理屈があると評判。特殊設定が面白い長編小説が気になる方におすすめの、阿津川辰海作品です。
阿津川辰海 読書日記 かくしてミステリー作家は語る 新鋭奮闘編
光文社 著者:阿津川辰海
ミステリー好き作家として知られる阿津川辰海が、好きな作品を語り尽くしたミステリーガイドです。「ジャーロ」のホームページにて連載中の「読書日記」を書籍化した1冊で、第23回本格ミステリ大賞では評論・研究部門で受賞しました。
通勤電車で下がった気分をミステリーが持ち直してくれると話す阿津川辰海が、高い熱量でミステリーを語りました。アガサ・クリスティー、綾辻行人、伊坂幸太郎など、国内外問わず合計362名、1018作品について言及しています。
魅力を伝えるのがうまく、取りあげられた作品に興味が湧くと評判。日々、次に読むミステリー小説を探している方に、おすすめです。
阿津川辰海の作品は、ミステリー好きであるからこその知識、そしてセンスから生みだされる緻密なトリックがポイントです。また、特殊設定も、エンターテインメント小説として楽しめるキーになっています。長編小説、短編集、ガイドブックと種類も豊富なので、ぜひ興味のある作品を手に取ってみてください。