新進気鋭のミステリー作家として、多くのヒット作を手掛けている辻堂ゆめ。大学在学中に賞を受賞しデビューした作家で、作品のなかにはドラマ化を果たしたモノもあります。

そこで本記事では、辻堂ゆめのおすすめ小説をご紹介。作品の魅力も解説するので、あわせてチェックしてみてください。

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辻堂ゆめとは?

辻堂ゆめは、ミステリー作品を多く発表する小説家です。1992年生まれで、大学は東京大学に進学。大学在学中の2014年に、『夢のトビラは泉の中に』でこのミステリーがすごい!大賞の優秀賞を受賞しています。2015年に、受賞作を改題した『いなくなった私へ』で小説家デビューを果たしました。

デビュー後は数々の賞にノミネート・受賞しており、2022年には『卒業タイムリミット』がドラマ化しています。2022年には、フジテレビ系のトーク番組「ボクらの時代」に出演し、大きな話題となりました。

辻堂ゆめ作品の魅力

辻堂ゆめの小説には、ミステリーならではの意外なトリックや驚きの真実がふんだんに盛り込まれています。心があたたかくなる前向きな読後感の作品が多いのも、大きな特徴。問題のなかに光がみえるような作風で、ミステリーでもしっかりとストーリーを楽しみたい方におすすめです。

また、辻堂ゆめの作品には、コロナ禍や無戸籍者などをテーマにした、社会派小説も数多くあります。リアルな世界観に没頭できるのも、魅力のひとつです。

辻堂ゆめのおすすめ作品

サクラサク、サクラチル

双葉社 著者:辻堂ゆめ

サクラサク、サクラチル

毒親を持つ少年を中心に進む、切ない青春ミステリー小説です。2023年7月に発売された新刊で、2023年1月まで「小説推理」にて連載されていました。物語は、高校3年生の壮絶な日々から始まります。

高校3年生の少年・高志は、東大に合格するため勉強をし続ける日々を送っていました。両親の熱がありすぎる期待と暴力的な言動。ある日、彼はクラスメートである少女・星から、自分の教育環境が「虐待」であると指摘されます。そして、自身も恵まれた境遇ではない星と高志の心は近づいていき、やがて復讐を計画するようになるのでした。

重いテーマを扱っており、作中では虐待に関して具体的に描写されています。リアルな気味の悪さと散りばめられた謎、衝撃事実の数々に思わずページをめくってしまう作品。重くメッセージ性の強い辻堂ゆめ作品を探している方におすすめです。

いなくなった私へ

宝島社 著者:辻堂ゆめ

いなくなった私へ

死んだ自分の死の真相を追う、ミステリー小説です。『夢のトビラは泉の中に』のタイトルで、第13回このミステリーがすごい!大賞優秀賞を獲得した作品で、辻堂ゆめのデビュー作。2015年に発売された小説ですが、根強い人気を集める作品です。

人気シンガーソングライター・上条梨乃は、渋谷のゴミ捨て場で目覚めます。なぜか街行く人は自分を認識できず、街には「上条梨乃死亡」のニュースが流れていました。彼女は唯一自分を認識できる青年と共に、死の真相を調査し始めるのでした。

スタートから謎だらけの本作品ですが、すべてが解決するラストには感動を味わえると評判の小説です。心理描写が繊細で、キャラクターたちの健気さに胸が熱くなります。暗すぎない青春ミステリーを探している方に、おすすめの1作です。

二重らせんのスイッチ

祥伝社 著者:辻堂ゆめ

二重らせんのスイッチ

自分であり自分ではない犯人の謎を追う、ミステリー小説です。2022年に発売された作品で、2020年から2021年に「小説NON」で連載していました。

桐谷雅樹はある日、まったく身に覚えのない強盗殺人の容疑で逮捕されます。犯行現場で採取されたDNAは、雅樹と完全に一致しました。それだけでなく、防犯カメラに映っていたのは、自分自身の姿だったのです。

実際に現実で発表された研究結果が大きなポイントとなっており、国際養子などの社会問題にも触れています。辻堂ゆめの社会派小説が読みたい方におすすめの1作です。

コーイチは、高く飛んだ

宝島社 著者:辻堂ゆめ

コーイチは、高く飛んだ

体操界期待の新星を主人公に、不運が続く周囲と本人の葛藤を描いたスポーツミステリー小説です。辻堂ゆめのデビュー2作目で、「ダ・ヴィンチ」でも取りあげられました。

全日本種目別選手権の鉄棒で優勝した結城幸市は、将来を期待される体操界の星です。幸市はコーチである両親や応援してくれる幼馴染みと共に、楽しい日々を送っていました。しかし、妹が事故で植物状態になったことをきっかけに、運命の歯車が狂い始めます。

不運が続き心が折れそうになるも、練習に励み家族のため世界選手権に挑む幸市。小さな心の歪みが積み重なり生まれる負の連鎖に、胸が締めつけられます。体操という競技の緊迫感もよく表現されていると評判で、切なくも清々しい作品が読みたい方におすすめです。

卒業タイムリミット

双葉社 著者:辻堂ゆめ

卒業タイムリミット

誘拐事件を発端に、青春の光と闇を描く学園ミステリー小説です。「小説推理」にて連載され、2019年に出版された本作品。2022年には、井上祐貴が主演でドラマ化もされました。

ある高校で人気の女性教師が誘拐され、72時間後に始末すると予告されます。3年生の黒川に届く、真相を解けという挑戦状。同じく挑戦状が届いた仲間は、体育会系男子・ミスコン優勝美女・幼馴染みの3人です。彼らは3日後の卒業式までに解決するため、謎に挑みます。

事件の真犯人も気になりますが、なぜこの4人が選ばれたのかという点も見どころです。犯人探しをするミステリーでありながら、青春の苦しさや輝きも詰め込んだ学園小説として楽しめるのも魅力。伏線回収が鮮やかな辻堂ゆめ作品を探している方におすすめです。

答えは市役所3階に 2020心の相談室

光文社 著者:辻堂ゆめ

答えは市役所3階に 2020心の相談室

市役所3階にある「心の相談室」を舞台に、人々の悩みを解き明かしていく一風変わったミステリー小説です。本作品は2020年の「コロナ禍」を通じた悩みについて描かれています。

恋人と別れた青年や、ワンオペの育児に励む女性。市役所3階に開かれた「2020こころの相談室」にやってくるのは、誰にも知られたくない、それでも誰かに話したい秘密を持った相談者です。未来に進むため、カウンセラーが嘘も本当も推理します。

警察や法律相談所ではないからこそ、相談者の話には虚偽が混じっているもの。その嘘も鏡のように映しとりながら、すべてを受け入れカウンセラーは真実を見抜きます。リアルな世界観ともマッチしている、ほっこりした辻堂ゆめ作品が読みたい方におすすめです。

君といた日の続き

新潮社 著者:辻堂ゆめ

君といた日の続き

重なる不幸によって絶望のなかを生きる男性が、1人の少女との出会いで真相に近づくミステリー小説です。2022年に「yomyom」で連載され、2022年10月に出版された作品。人気作家・荻原浩は、「読み返さずには、いられない」作品であると語っています。

コロナ禍でリモートワークが続き、引きこもり気味の男性。そんな彼は、1980年代からタイムスリップしてきたと話す、ある少女を拾います。その少女は、娘が亡くなった連続少女誘拐事件に関係しているようで……。娘を亡くし、妻と離婚した男性を主人公に、少女とのひと夏を描きます。

少し悲しく切ないストーリーですが、爽やかな雰囲気で物語が進むので、読みやすいと評判の小説です。また、ラストは光を感じる展開になるので、暗すぎる作品が苦手な方にもおすすめ。どんでん返しが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。

トリカゴ

東京創元社 著者:辻堂ゆめ

トリカゴ

辻堂ゆめが初めて執筆した警察をテーマにした小説です。2021年に出版され、第24回大藪春彦賞を受賞しました。無戸籍者を軸に、過去と現在が交錯する社会派ミステリー作品です。

蒲田署刑事課強行犯係に所属する森垣里穂子は、殺人未遂事件を捜査する最中に無戸籍者が集まるコミュニティ「ユートピア」を発見します。無戸籍者の現状を知り捜査を進めてよいのか悩む彼女ですが、事件には過去に日本を驚愕させた「鳥籠事件」との共通点があり……。

生まれた時点で、過酷な境遇が決まってしまう理不尽な世界について、「現実にもこんなことがあるのか」と考えずにはいられない作品です。無戸籍者を身近に感じる、考えさせられる小説が読みたい方におすすめです。

悪女の品格

東京創元社 著者:辻堂ゆめ

悪女の品格

悪女が自分を狙う犯人に迫る、ミステリー小説です。2017年に単行本が出版され、2020年に文庫版も刊行されました。

主人公・光岡めぐみは、3人の恋人を巧みに転がし、金に恵まれた暮らしを送っています。しかし、ある1週間で、監禁事件や薬物混入事件に巻き込まれてしまう彼女。ついには、これまでの悪事を告発する手紙まで届きます。めぐみはパーティで知り合った大学準教授と共に、自分を狙う犯人を探し始めるのでした。

主人公のめぐみは、可愛げのある悪女ではなく本物の性悪女。振り切った強欲さを持つ主人公に興味がある方に、おすすめの辻堂ゆめ作品です。

図書館B2捜査団 秘密の地下室

講談社 著者:辻堂ゆめ

図書館B2捜査団 秘密の地下室

いじめの犯人にされてしまった少女を中心に進む、ミステリー要素満載の児童書。許せないことを解決するため集まる「B2捜査団」が、本格的な事件に挑んでいく物語です。

小学6年生である美音のクラスで、ネットに悪口を書かれる事件が発生します。数々の証拠から、クラスメートに犯人扱いされてしまう彼女。昼休みに屋上へと続く階段にいた美音は、壁の下に彫られた文字に気づきました。言葉に従いやってきた場所は、図書館で……。

謎やトリックがしっかりと散りばめられていながら、児童書らしい読みやすい作風も魅力です。明るい結末が楽しめる、本格ミステリー児童書が気になる方に、おすすめです。