教養として知っておきたい作品が多く存在する「イギリス文学」。劇作家として知られるシェイクスピアや、ミステリーの名手であるアガサ・クリスティーなどが有名です。子供のころに一度は触れたことのある名作のなかにも、イギリス文学の作品は少なくありません。
そこで今回は、イギリス文学作品のおすすめをご紹介。読んでおいて損のない名作をピックアップしているので、ぜひ気になった作品を手に取ってみてください。
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イギリス文学の魅力や特徴
イギリス文学の作家には、劇作家として世界中に知られるウィリアム・シェイクスピアや、ミステリーの女王と呼ばれるアガサ・クリスティー。アニメ化したことで日本でもなじみ深い『フランダースの犬』や『不思議の国のアリス』など、著名な作家やバラエティ豊かな名作が存在します。
イギリス文学の作品を通じて、執筆された時代のイギリスの文化や価値観に触れられるのが魅力。人間の本質と向き合った作品が数多くあるので、自分自身や人間の存在自体を問い直すきっかけとして読めるのも特徴です。
イギリス文学のおすすめ作品
ハムレット
新潮社 著者:ウィリアム・シェイクスピア
永遠の古典とうたわれる、ウィリアム・シェイクスピアを代表する悲劇作品。多くの名セリフを残したイギリス文学の作品としても知られています。
城に現れた父王の亡霊から、叔父の計略によって父親が死んだことを理解したデンマークの王子・ハムレット。道徳心が強く内気なハムレットは、苦悩しながらも狂気を装って叔父への復讐を成し遂げようとします。
復讐の一方で、ハムレットとオフィーリアの恋愛がどのような結末を迎えるのかにも注目です。イギリスの劇作家として、4大悲劇をはじめ数多くの作品を残したシェイクスピア。後世にも影響を与えた世界的な作家といえます。イギリス文学を語るうえで、まずは読んでおくのがおすすめの作品です。
蠅の王 新訳版
早川書房 著者:ウィリアム・ゴールディング
1983年にノーベル文学賞を受賞している作家・ウィリアム・ゴールディングの代表作。不朽の名作ともうたわれるイギリス文学作品です。
少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に墜落。生き残った少年たちは、リーダーを決めて救出を待つことにします。子供だけの無人島暮らしは気ままで楽しいかのように思われましたが、いっこうに来る気配のない救援や物資の管理について、不満が募っていくのでした。
やがて、子供たちはお互いを攻撃し始めて…。無人島の環境で暴き出される、人間の愚かさやもろさを描いたイギリス文学作品が気になる方におすすめです。
高慢と偏見 上
岩波書店 著者:ジェーン・オースティン
著者の観察眼と、ウィットに富んだ表現がさえわたるイギリス文学作品。田舎の家庭で育った女性たちの結婚の物語です。
ベネット家には、結婚適齢期を迎える5人の娘がいました。ベネット夫人は、娘たちをお金持ちの男性に嫁がせることに躍起です。近くに引っ越しをしてきた資産家のビングリー家で開催される舞踏会へ娘たちを参加させますが…。
登場人物たちの人間味あふれる滑稽さにユーモアを感じる作品です。次女・エリザベスが、聡明であるがゆえに自身の気持ちと葛藤することになっていく点も見どころ。リアリティがある登場人物の心理描写や、行動を描いたイギリス文学作品を読みたい方におすすめです。
動物農場 新訳版
早川書房 著者:ジョージ・オーウェル
『1984』でも知られるジョージ・オーウェルの代表作。権力構造に対する強烈な皮肉を含んだイギリス文学作品です。
いつも酒を飲んでいる農場主・ジョーンズを追い出した農場の動物たち。全ての動物を平等にする理想を持った「動物農場」が設立されます。しかし、指導者となったブタは、次第に自らの権力を笠に着て暴走していき…。
権力を打倒するために一致団結したはずなのに、結局同じことを繰り返してしまう動物農場の末路に、人間社会を重ね合わせて読める作品。ブラックユーモアのきいたイギリス文学に触れたい方はチェックしてみてください。
クリスマス・キャロル
新潮社 著者:チャールズ・ディケンズ
大切な方に贈る本とうたわれているイギリス文学作品。映画化やミュージカル化など、さまざまなメディアミックスもしている作品です。
ケチで冷たく人間が嫌いな老人・スクルージは、クリスマス・イブの夜に相棒だった老マーレイの亡霊と出会います。次の日から、マーレイの予言どおりに次々と現れる幽霊とともに知人の家を訪ねるスクルージ。炉辺でクリスマスを祝う貧しくもぬくもりのある人々や、自分の将来の姿を見せられて、次第に改心していって…。
特にクリスマスやお正月の時期に読みたくなるイギリス文学作品です。冬の季節に読むのが似合う作品を探している方にもおすすめです。
不思議の国のアリス
新潮社 著者:ルイス・キャロル
世界中で読まれ続けている、イギリス文学を代表するファンタジー作品です。金子國義のカラーイラストにも注目。ディズニー映画としてもアニメ化しています。
とある昼下がり。チョッキを着た不思議な白ウサギを追いかけて、大きな穴に飛び込んだアリスが目にしたモノとは一体何だったのでしょうか。
アリスが体験する摩訶不思議な冒険は、著者のルイス・キャロルがピクニックで娘に即興で聞かせた物語がベースといわれています。アニメや映画で見たことのある方も、ぜひ原作である本作品を読んでみてください。
ABC殺人事件
早川書房 著者:アガサ・クリスティー
ミステリーの女王とも呼ばれた作家・アガサ・クリスティーの作品。「名探偵ポワロシリーズ」の1冊です。ある日、ポアロのもとに犯罪の予告状が届きます。
Aで始まる地名の町で、Aの頭文字を持つお年寄りが殺害され、現場にはABC鉄道案内が残されていたのでした。次々と挑戦状が届き、アルファベット順の地名の場所で、アルファベット順の頭文字を持つ名前の人物が殺害されていき…。
作品内に謎を解くためのヒントがちりばめられているのが特徴。謎解きに挑戦したい方にもおすすめのイギリス文学作品です。
完訳 ロビンソン・クルーソー
中央公論新社 著者:ダニエル・デフォー
リアリズム小説の原点ともいわれる作品のひとつです。「完訳」では、文化史に精通する増田義郎が翻訳。世界経済の観点から『ロビンソン・クルーソー』の物語を語った解説付きです。
無人島に漂着したロビンソンが、根気強い性格と自身の高い能力を駆使してサバイバル生活を繰り広げる物語。ひとりきりのロビンソンは自ら畑を耕し、家を建てて自給自足の生活を過ごしていきますが…。
単なる無人島での冒険物語ではなく、宗教も絡んだ寓話のような性質を持つ物語である点に注目。子供のころに読んだことのある方も、今まで読んだことのない方も改めて楽しみたい作品です。
フランダースの犬
新潮社 著者:ウィーダ
少年文学を代表するイギリス文学作品。悲しい運命をたどる少年に対する同情を、シンプルな表現で描いているのが特徴です。
村人から迫害されている、フランダースの貧乏な少年・ネロ。ルーベンスの絵に憧れるネロは、唯一の友達である老犬・パトラシエとともに絵を描き続けていました。しかし、クリスマスの朝にアントワープの大伽藍でネロとパトラシエの死体が発見されて…。
日本では、アニメ化もしたことで知っている方も多い作品です。本作品では、同著者の『ニュールンベルクのストーブ』も収録しています。アニメは知っているけれど、原作を読んだことのない方にもおすすめです。
人間の絆 上
新潮社 著者:サマセット・モーム
イギリスを代表するベストセラー作家でもあるサマセット・モームの代表作です。本作品は世界的にも人気を有しており、著者の渾身の作品ともいわれています。自伝的な性質を持っているのも特徴です。
青年・フィリップは小さいころに両親が死んでしまい、牧師である伯父に育てられました。足が不自由だったことで劣等感を持って育ち、芸術に興味を持ってパリへ渡航。しかし、芸術家たちと触れ合うなかで、自分に才能がないことに気付いてしまいます。
再びイギリスに戻り、医学の道へ進もうと決意するフィリップでしたが…。人生のエッセンスが詰まった名作で、人生のバイブルに挙げる方も少なくない作品です。ぜひ、生き方を見つめなおす1冊としてチェックしてみてください。
ジェーン・エア 上
新潮社 著者:シャーロット・ブロンテ
幾度となく映画化もしているイギリス文学の名作。女性に対する風当たりの強い社会のなかで、自我を獲得し逆境に負けずに自分の足で歩んでいく女性の姿を描いているのがポイントです。
孤児・ジェーンは叔母から虐待を受け、ローウッド寄宿学校に入れられます。8年後、家庭教師として自立を目指すジェーンは、家庭教師先の屋敷の主人・ロチェスターと名家の貴婦人とのロマンスを聞いて胸が高鳴り…。
当時の社会的な背景を理解することで、より感動できる1冊。女性の社会進出に関する話題に興味のある方にもおすすめです。
ドリアン・グレイの肖像
岩波書店 著者:オスカー・ワイルド
モデルの悪行に呼応するかのように肖像画が醜い姿へと変化していく様を描いた怪奇小説。退廃的な雰囲気が漂うイギリス文学作品です。日本では、ミュージカル化もしています。
時は19世紀末のロンドン。画家のモデル業をこなすドリアンは、自身の若さと美貌が映し出された肖像画を見て、絵が年を取り、自分はいつまでも若々しくいたいと願っています。やがて、ドリアンは若さを保つために悪事にも手を染めて…。
ドリアンの醜い精神を映すかのように、次第に変貌する肖像画が不気味な作品。ドリアンと肖像画の迎える結末が気になる方におすすめです。
日の名残り
早川書房 著者:カズオ・イシグロ
日系イギリス人として活躍する作家、カズオ・イシグロの代表作。本作品は、イギリスの最高文学賞として名高いブッカー賞を受賞しています。
新たな主人に仕えることが決まった老執事が、旅のさなかに見た田園の風景をきっかけに、戦前の邸宅で過ごしたきらびやかな日々を回想する物語。長年仕えた卿、執事として尊敬していた父など、かかわった人々への思いや、外交会議の数々といった思い出は、今もなお胸のなかにあって…。
過去と向き合うことの大切さを感じられる1冊。ノーベル賞にも輝いた、日系イギリス人のイギリス文学作品が気になる方におすすめです。
ガリバー旅行記
KADOKAWA 著者:ジョナサン・スウィフト
さまざまな世界での冒険を通して、価値観の多様さや人間関係における自分の立ち位置の不変性について考えられるイギリス文学作品です。物語は4編から成っており、各編でガリバーが個性的な国々へ訪れます。
第1編では、寝ている間に手足と体を縛られたガリバーが、台車に乗せられて小人の国へ。大きな体の人間の登場に、小人の国は大騒ぎになってしまいます。左足を鎖でつながれたまま、ガリバーは小人の国の皇帝と会うことになりますが…。
知名度は高い作品ですが、原作を最後まで読んだことのある方は少ないともいわれている古典。最後まで読んだことのない方は、ぜひチェックしてみてください。
嵐が丘
新潮社 著者:エミリー・ブロンテ
永遠の恋愛小説とも称される、エミリー・ブロンテのイギリス文学作品。世界中の人々を夢中にさせた、代表的な恋愛小説です。
ヨークシャーの嵐が丘にある屋敷の主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘・キャサリンに恋い焦がれつつ、若主人からの迫害に耐える毎日。しかしある日、キャサリンに結婚話があることを知ったヒースクリフは、絶望し屋敷から立ち去ってしまうのでした。
やがて、大金持ちになったヒースクリフは復讐を果たすため、再び嵐が丘へ戻ってきて…。ヒースクリフの復讐がどのような結末をもたらすのか、気になる方におすすめです。
イギリス文学を楽しみたい方は、知名度の高いシェイクスピア作品やミステリー作品を残しているアガサ・クリスティー作品がぴったり。子供のころにアニメなどで触れた名作の原作を改めて読んでみるのもおすすめです。人間とは何かを突き詰めるような奥深い作品も多いので、教養を深める意味でもぜひ読んでみてください。