教養として知っておきたい作品が多く存在する「イギリス文学」。劇作家として知られるシェイクスピアや、ミステリーの名手であるアガサ・クリスティーなどが有名です。子どものころに一度は触れたことのある名作のなかにも、イギリス文学の作品は少なくありません。
そこで今回は、イギリス文学作品のおすすめをご紹介。読んでおいて損のない名作をピックアップしているので、ぜひ気になった作品を手に取ってみてください。
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イギリス文学の魅力や特徴
ファンタジーやラブロマンス、冒険活劇など、イギリス文学の種類は多岐にわたります。本ジャンルの魅力は、階級を扱っている作品が多いことと、誠実な作品が多いことです。
イギリス文学には国の特性上、階級について語られる作品が多くあります。その階級差や家柄の違いが、円満に物語を進ませず、ストーリーを盛り上げるのです。
また、問題を解決するために真っ直ぐと突き進む作品が多いのも特徴。誠実さが胸を打つので、子どもにもおすすめの作品が数多くあります。
イギリス文学のおすすめ作品
ロミオとジュリエット
新潮社 著者:ウィリアム・シェイクスピア
“永遠の愛のバイブル”と謳われている、名作イギリス文学です。イギリスの文学史に名を残すウィリアム・シェイクスピアの代表作で、日本でも複数回舞台化されています。
モンタギュー家の一人息子・ロミオは、仮面をつけて忍び込んだキャピュレット家の舞踏会で、その家の娘・ジュリエットと恋に落ちます。しかし、敵同士の家に生まれた2人の恋は、許されるものではなく……。
現代にも通じる、面白い物語の基本構造が楽しめる作品です。詩的な表現が多いのもポイントで、スピード感があり一気に読めたという声も。泣けるラブロマンスが好きな方に、おすすめの1作です。
不思議の国のアリス
KADOKAWA 著者:ルイス・キャロル
不思議の国で冒険する少女を描いた、児童文学史に名を残す傑作です。ディズニーによって、『ふしぎの国のアリス』のタイトルでアニメ映画化されました。また、ティム・バートン監督によって、『アリス・イン・ワンダーランド』のタイトルで実写映画化もされています。
野原にいたアリスは、懐中時計を持つ白いうさぎを目にします。うさぎについていった先で落ちた穴の先に広がっていたのは、ふしぎの国でした。そこには、人の言葉を喋るうさぎやネコ、ハートの女王がいて……。
その後のさまざまな作品に影響を与えている名作で、作中では韻の遊びが要所要所にあるのがポイント。現実離れした世界観を楽しみたい方におすすめのイギリス文学です。
蠅の王 新訳版
早川書房 著者:ウィリアム・ゴールディング
孤島での悲劇を描くイギリス文学です。2017年に早川書房から新訳版が発売。1990年には実写映画化もされています。
飛行機が墜落し無人島に上陸したのは、大人ではなく子どもたちでした。危機的な状況に、協力して生き抜こうとする彼ら。しかし、断絶されたその場所で緊張感は徐々に高まっていき……。
人間は秩序と平穏を失った場所ではどうなるかわからないと、教えてくれる1作。リアルでダークな無人島作品に興味がある方に、おすすめです。
高慢と偏見
中央公論新社 著者:ジェイン・オースティン
高慢な男の態度と、偏見を持つ女性の思考から始まる、瑞々しいラブロマンス作品です。元々は1813年に刊行されたイギリス文学で、2017年に中央公論新社から新訳が発売されました。2005年に『プライドと偏見』のタイトルで、実写映画化もされています。
エリザベスとダーシーの誤解から動きだす運命のラブロマンス。経済的な事情のために、好きでもない人と結婚してもよいのか。現代にも通じる一生のテーマに向き合った1作です。
人間描写が素晴らしい作品として定評があり、共感しながら読めるという声も。わかりやすい題材を扱っているので、イギリス文学の入門としてもおすすめです。
登場人物の気持ちが変化していく様子を鮮明に楽しめる、古さを感じない昔の作品に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
一九八四年 新訳版
早川書房 著者:ジョージ・オーウェル
近未来を舞台に体制に抗う男女を描いた、現代に名を残すディストピア作品の傑作。メディアミックスも数多くおこなわれており、映画化に加え漫画化もされている作品です。
1つの党が支配する超全体主義的未来を生きるウィンストン・スミスは、党員として記録改竄を仕事にしていました。しかし、彼は完璧な服従を求められることから、体制に不満を感じ始めます。そんなある日、ウィンストンは自由な美女・ジュリアと知り合い、反政府地下活動に興味を持つようになり……。
現代世界を揶揄しているようだと高評価を得るイギリス文学です。空想世界の話ですが、リアリティが高いのがポイント。世界に邪魔される男女の行く末に興味がある方に、おすすめの1作です。
オリエント急行の殺人
早川書房 著者:アガサ・クリスティー
世界に名を馳せる名探偵ポアロシリーズでも、屈指の名作として知られるミステリー作品です。1934年に発売された、アガサ・クリスティーの探偵小説。映像化もされており、2015年には日本でも三谷幸喜脚本でドラマ化されました。
豪華列車のオリエント急行には、さまざまな人々が乗車していました。そこで、富豪の死体が発見され事態は一変。乗り合わせたポアロが調査を始めるも、乗客の全員に完璧なアリバイがあり……。
多くのミステリーが発表された現代でも、結末が意外で楽しめると評判。イギリス文学が誇るミステリーの名作に興味がある方に、おすすめです。
ドリアン・グレイの肖像
新潮社 著者:オスカー・ワイルド
肖像画と堕落する美青年の行く末を描写したイギリス文学です。1890年に発表された作品で、世界各地にて何度もメディアミックスされた名作。日本でも、複数回舞台化されています。
美青年モデル・ドリアンは快楽主義者であるヘンリー卿に惑わされ、欲望に溺れた悪事を重ねるようになります。その影響は本人にはなくとも、彼を描いた肖像画が少しずつ醜い姿に。肖像画の変化に焦りを覚えたドリアンは、肖像にナイフを突き立て……。
奇想天外な設定に終始ハラハラ感がつきまとい、ページを次々めくってしまうと高い評価を得ています。狂っていくドリアンの人生を覗き見してみたい方に、おすすめです。
ボートの三人男
中央公論新社 著者:ジェローム・K・ジェローム
3人の紳士と1匹の犬がボートで河を旅する、有名ユーモア小説です。1889年に出版された作品。舞台は、イングランドにあるテムズ河です。
3人の紳士が犬をお供に開始したのは、テムズ河を行くボートでの船旅でした。愉快なやりとりを続けながら進むのは、歴史を感じる町や村。皮肉が効いた3人と1匹の旅は続きます。
滑稽なやり取りがメインの作品ながら、歴史の面白さや風景の美しさも描かれているのがポイント。笑いながらイギリス独特の美しさを楽しめるイギリス文学に興味がある方に、おすすめです。
フランダースの犬
新潮社 著者:ウィーダ
貧しい少年と動物の絆を描いた、児童文学の傑作です。1872年に発表された世界的に有名なイギリス文学で、日本でも1975年にテレビアニメが放送され、1997年にはアニメ映画も公開されました。
貧しい少年・ネロは友である老犬・パトラシエと絆を育みながら、絵を描いて暮らしています。しかし、村人から迫害されていた彼らは、クリスマスの朝に亡骸で発見されることになるのです。
人間と動物の絆と共に、迫害の後に死亡する悲劇を描写した本作品。過酷な生と幸せな死について考えさせられると、評判の1作です。泣けるイギリス文学を探している方に、おすすめです。
ジェーン・エア 上
新潮社 著者:シャーロット・ブロンテ
辛い境遇に身を置きながら強い精神で生き抜く、1人の女性の生涯を綴ったイギリス文学。映画化もされている作品で、1847年に発表された作品です。日本では2023年にミュージカルが上演されています。
伯母に育てられたジェーンは虐待される幼少期を過ごし、寄宿学校に入れられます。そこで8年を過ごした彼女は、家庭教師として訪れた屋敷で主人・ロチェスターと出会うことに。しかし、ロチェスターには貴婦人とのロマンスがあると知り……。
自立した女性を描いているのが特徴の1作です。紆余曲折があってのラストには、感動したとの声も。古い時代を生きる強い女性の人生に興味がある方に、おすすめです。
人間の絆 上
新潮社 著者:サマセット・モーム
1人の青年の挫折と恋を追う、人生を描いたイギリス文学です。1915年に発表された小説で、2021年に新潮社から新訳が発売されました。
幼い頃に両親を失い伯父に育てられた青年・フィリップは、足にある障害を理由に劣等感を覚えながら暮らしていました。やがて信仰心を失い、芸術を極めるためパリに向かった彼ですが、そこで自分の才能の限界を思い知らされることになり……。
サマセット・モームの自伝的小説で、”20世紀最大の傑作長編”と謳われている作品です。人生の意味について考えさせられると評判の1作。人間のありのままを描いた小説に興味がある方におすすめです。
ロビンソン・クルーソー
岩波書店 著者:ダニエル・デフォー
無人島にて長い期間を1人で生き抜く男のサバイバルを描いた、有名冒険小説です。1719年に発表された作品で、日本の国内外問わず複数回アニメ化がおこなわれています。
両親に反対されながらも海にでたロビンソン・クルーソーは、嵐の被害で無人島に漂着しました。船にあった物資を頼りに寝床を作り食糧を手に入れ、日々を生きる彼。そんなロビンソン・クルーソーが1人でサバイバルをした期間は、28年間に及んだのです。
遭難したロビンソン・クルーソーが、1人でたくましく生きる姿にワクワクできる本作品。作物を育てたり異国人と戦ったりする場面があるので、王道の冒険作品が好きな方におすすめのイギリス文学です。
嵐が丘
新潮社 著者:エミリー・ブロンテ
サマセット・モームが「世界の十大小説」の1つに挙げている、愛憎と復讐をテーマにしたイギリス文学。1847年に刊行された著者唯一の作品で、日本では舞台化もされている名作です。
「嵐が丘」の屋敷の主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘・キャサリンに恋をしながら、主人からの虐待に耐えていました。しかし、キャサリンの結婚を知り、彼は屋敷を出ることに。その後、富を得て戻ってきたヒースクリフの目的は、復讐でした。
想い合いながらも理想の方向には進まない、悲劇を描いた恋愛小説として有名な1作。暗い雰囲気を纏った、ホラーの要素を含む恋愛作品に興味がある方に、おすすめです。
失楽園 上
岩波書店 著者:ミルトン
17世紀に活躍した詩人・ミルトンが紡ぐ、イギリス文学の最高峰ともいわれる叙事詩です。1667年に初めて発表された作品で、1981年に上下巻編成で岩波書店から文庫版が発売されました。
神に愛でられる大天使であったにもかかわらず、反逆によって暗黒に堕とされたサタン。彼は堕天使の軍勢を叱咤激励します。すべては神への復讐のためでした。
旧約聖書の「創世記」を題材に、神への復讐を果たそうとするサタンを描いた作品。ファンタジー作品が好きな方に、おすすめの1作です。
オリヴァー・ツイスト
新潮社 著者:チャールズ・ディケンズ
ロンドンを生き抜く孤児の、生涯と運命を追ったイギリス文学です。数々の名作を世に残したディケンズが初期に執筆した作品で、彼の代表作としても知られています。
孤児であるオリヴァー・ツイストは、粥のおかわりを求めたことで救貧院を追い出され、少年たちが集まる窃盗団に引きずり込まれることに。1度は優しい紳士・ブラウンローに保護され幸せな生活を送り始める彼ですが、再び窃盗団の魔の手が忍び寄り……。
貧困に喘ぐ人間の悲劇をリアルに描いた作品で、搾取する大人の汚さがよく表現されていると高い評価を得ています。また、オリヴァーの出生の秘密を追うミステリー要素もあり、引き込まれるとの声も。ストーリーを楽しみながら、子供を中心にしたダークな描写に触れてみたい方に、おすすめです。
イギリス文学を楽しみたい方は、知名度の高いシェイクスピア作品やミステリー作品を残しているアガサ・クリスティー作品がぴったり。子どものころにアニメなどで触れた名作の原作を改めて読んでみるのもおすすめです。人間とは何かを突き詰めるような奥深い作品も多いので、教養を深める意味でもぜひ読んでみてください。