女性を中心に人気を集める小説家「垣谷美雨」。映画化された人気作品『老後の資金がありません』など、女性が主人公の作品や社会問題をテーマにした作品が多く、話題作を数多く手掛けてきた作家です。

そこで今回は、垣谷美雨のおすすめ小説をご紹介します。デビュー作からドラマ化・映画化された人気作品まで幅広くピックアップ。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてください。

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垣谷美雨作品の魅力

2005年に『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、小説家デビューを果たした垣谷美雨。結婚難・高齢化と介護・ジェンダー差別など、社会問題をテーマにした小説を数多く執筆しています。

中年女性が高校時代にタイムスリップする話や、抽選見合い結婚法という制度が制定された世の中の話など、もしもの世界を描いた「if小説」と呼ばれる作風も魅力。主婦やキャリアウーマンなど女性が活躍する作品が多く、女性から圧倒的な支持を受けている小説家です。

垣谷美雨のおすすめ小説

竜巻ガール

双葉社 著者:垣谷美雨


竜巻ガール

トラブルに見舞われても自由でありのままに生きる女性たちを描いた、4編からなる短編集です。垣谷美雨のデビュー作品。表題作の『竜巻ガール』は、2005年に第27回小説推理新人賞を受賞しています。

父親が再婚し、連れ子と同居することになった高校2年生の哲夫。驚いたことに義妹は、同い年のガングロ娘でした。この出会いをきっかけに、破天荒で過激な彼女に振り回される日々が始まります。

表題作のほか、楽観的で浮気癖がある夫を捨てた母や、溺れる男を置き去りにした愛人など、したたかに生きる3人の女性の物語を収録。垣谷美雨のデビュー作を読みたい方におすすめです。

リセット 新装版

双葉社 著者:垣谷美雨


リセット 新装版

垣谷美雨がもしもの世界を描いた長編小説です。40代後半の専業主婦・キャリアウーマン・水商売あがりの3人の女性が主人公。彼女たちの姿から、生き方を考えさせられる作品です。

不安と不満を抱えながらも、平凡に暮らしていた3人の女性。彼女たちは、ある日突然、高校時代にタイムスリップしてしまいます。”今度こそ理想の人生にしたい”と願う3人の運命はどうなるのでしょうか…。

考えさせられながらも、読み終わった後前向きになれるのがポイント。人生の折り返し地点にあたる世代におすすめの作品です。

あなたの人生、片づけます

双葉社 著者:垣谷美雨


あなたの人生、片づけます

片づけができない人たちを描いた、垣谷美雨の人気小説。片づけ屋・大庭十萬里が、片づけられない本人が気づいていない原因を探りながら手助けをしていく物語です。

結婚適齢期を過ぎたOL、配偶者に先立たれた老人や女性資産家、ひと部屋だけを片づける主婦…。”部屋を片づけられない人間は、心に問題がある”と考える十萬里は、物を捨てられない、片づけられない住人の前に現れます。

部屋だけでなく、心の片づけも手助けしているのが見どころです。「この本を読んだら、きっとあなたも部屋を片づけたくなる」と称される作品。断捨離をしたい方におすすめの小説です。

結婚相手は抽選で

双葉社 著者:垣谷美雨


結婚相手は抽選で

お見合い事情をコミカルに、かつハートフルに描いた垣谷美雨の長編小説。2018年にテレビドラマ化された人気作品です。

舞台は、少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行された世の中。強制的なお見合いに、モテない青年は大喜びです。また、田舎で母親と暮らす看護師は、絶好のチャンスと単身東京にやってくる始末。なかには、あわてて恋人に結婚を迫り、振られるOLもいて…。

登場人物たちの思いや駆け引きに引き込まれ、読む手が止まらない1冊。面白くて読後感がよい、おすすめの垣谷美雨作品です。

老後の資金がありません

中央公論新社 著者:垣谷美雨


老後の資金がありません

2021年に映画化された、垣谷美雨の家計応援小説です。老後資金についての悩みや出来事を、面白くもリアルに描いています。

“老後は安泰のはずだったのに”と、後藤篤子は悩んでいました。娘の派手婚・義父の葬式・義母の生活費などで、蓄えていた老後資金はあっという間に激減。さらには夫婦そろって職を失ってしまいます。家族の金難に振り回されながらも、やりくりする篤子の奮闘は報われるのでしょうか…。

生活の不安という切実な問題に、勇気とヒントを与える物語。面白いだけでなく、お金の使い方を考えさせられる、おすすめの垣谷美雨作品です。

うちの子が結婚しないので

新潮社 著者:垣谷美雨


うちの子が結婚しないので

娘の結婚相手探しに奮闘する母親たちの姿を描いた、垣谷美雨の代表作のひとつです。老後の準備を考え始めた千賀子は、急に一人娘の将来が心配になります。

28歳独身で彼氏の気配もない娘は、自分たち親が死んだ後、孤独な老後を送るのではないか。不安を抱えた千賀子は、子供の代わりに親同士がお見合いする「親婚活」に参加します。しかし、嫁を家政婦扱いする年配の親や、格の違いで見下すセレブ親などばかりで…。はたして娘の結婚相手は見つかるのでしょうか。

年頃の子供を持つ親のあせりや、さまざまな悩みを持つ娘たちの様子を詳細に描いているのが見どころ。結婚の意味を考えさせられるおすすめの作品です。

女たちの避難所

新潮社 著者:垣谷美雨


女たちの避難所

東日本大震災の被災者が集まる避難所を舞台にした小説です。避難所生活の過酷さや女性ならではの苦労を生々しく描いています。

九死に一生を得た福子、赤ん坊を抱えた遠乃、息子とはぐれたシングルマザーの渚が向かった避難所。しかし、避難所は「絆」という言葉を盾に段ボールの仕切りも使わせないような監視社会でした。美しい遠乃は好奇の眼差しにさらされ、授乳もままなりません。

震災や避難所の様子がリアルに描かれているのが見どころ。震災の体験談を元に書かれた小説を読みたい方におすすめの垣谷美雨作品です。

四十歳、未婚出産

幻冬舎 著者:垣谷美雨


四十歳、未婚出産

40歳を目前に妊娠してしまった独身女性の物語です。未婚女性の出産に対する社会からの強い風当たりのなか、悩みながらも決意を固めていく姿を描いています。

主人公は、旅行代理店で働く課長代理・優子。お腹の子の父親は28歳の部下・水野ですが、恋愛関係ではないので本人には言えません。偏見を持つ田舎の母親や不妊治療に悩む同期にも相談できないうえ、女性は出産したら一人前には働けないというパワハラ上司からいじわるを受けます。

産むのか、産まないのか、シングルマザーで仕事はどうするのか。悩む優子の前に、ブラジル人の兄嫁や仕事と子育てを両立する同僚など、少しずつ味方が現れます。痛快で優しい、全ての女性への応援小説です。

後悔病棟

小学館 著者:垣谷美雨


後悔病棟

過去に戻れる聴診器を持つ女医と、人生に後悔している患者との交流を描いた短編集です。本作品には、4編の物語が収録されています。

主人公は33歳の医師・早坂ルミ子。末期がん患者を診ている彼女は、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルを貼られ悩んでいました。そんなある日、ルミ子が病院の中庭で拾った聴診器は、胸に当てると患者の心の後悔が聞こえてくる、不思議な聴診器だったのです。

聴診器の力を借りて、もうひとつの人生の扉を開けた患者たちが見たものとは…。読後に自分の人生を振り返ってみたくなる1冊。不思議な疑似体験をしてみたい方におすすめの垣谷美雨作品です。

あきらめません!

講談社 著者:垣谷美雨


あきらめません!

定年退職を迎えた女性のセカンドライフを描いた小説です。結婚して三十数年、働きながらのワンオペ育児を終え、住宅ローンの返済も完了した霧島郁子。定年後、やっとゆっくりできると思っていた夢のセカンドライフは、夫の田舎に移住したことをきっかけに音を立てて崩れます。

閉鎖的な地域社会や染みついた男尊女卑など、時代遅れな現実を目の当たりにする郁子。そんなある日、銀髪の女性議員・市川ミサオの後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに…。地方の社会を変えていくために、周りの女性も巻き込み、問題に立ち向かいます。政治に興味がある方におすすめの垣谷美雨作品です。