読み応えのある名作が数多く揃う「ロシア文学」。『罪と罰』を手掛けたフョードル・ドストエフスキーなど、名だたる世界的文豪を送り出してきました。ロシア語圏の社会背景や思想に触れるのにも、ロシア文学は手助けになります。

今回は、そんなロシア文学のおすすめ作品を近代と現代にわけてご紹介。世界的にも有名な小説から、長年愛される戯曲までピックアップしました。気になる作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。

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ロシア文学とは?

ロシア文学とは、ロシア語で書かれた小説や詩、戯曲など文学作品全般を指します。旧ソビエト連邦体制下に書かれた作品や、ウクライナやベラルーシ出身の作家がロシア語で書いた作品も、ロシア文学に含まれるのがポイントです。

今も世界中で愛される近代ロシア文学は、19世紀前半に活躍した詩人アレクサンドル・プーシキンによって発展したといわれています。同氏が近代ロシア文章語を確立させ、レフ・トルストイやフョードル・ドストエフスキーなど歴史に残る文豪にも影響を与えました。

『カラマーゾフの兄弟』や『戦争と平和』などが、ロシア文学の代表作。詩や戯曲も盛んで、オペラなどの人気演目もロシア文学から多く輩出されています。ロシア語圏の社会背景や思想、芸術に触れてみたい方は、ロシア文学作品を手に取ってみてください。

ロシア文学の特徴・魅力

執筆された当時の政治情勢や社会問題を背景に据えた、重厚感のある雰囲気がロシア文学の特徴です。波瀾万丈で読み応えのある長編大作が多いのもポイント。どれも情景描写や心情描写が丁寧に綴られており、深く物語の世界に入り込めます。

また、自分の現状に苦悩したり葛藤したりする、人間の普遍的な姿が深く掘り下げて描かれているのもロシア文学の魅力。生きるとはどういうことなのか、人間とはどうあるべきかなどについて、物語の登場人物の生き様から考えさせられます。

長編小説だけでなく、ニコライ・ゴーゴリの『外套』のような奇想天外な短編や、アントン・チェーホフの『かもめ』のような戯曲も人気があります。現代の作品では、より幻想性の高いSFテイストな物語や社会風刺小説なども国際的に注目を集めました。

ロシア文学作品を初めて読む方は、まずは読みきれそうな短編や現代の作品から手に取るのがおすすめです。

ロシア文学おすすめ|近代

カラマーゾフの兄弟 1

光文社 著者:ドストエフスキー


カラマーゾフの兄弟 1

“世界文学史上の最高傑作のひとつ”と名高い、ドストエフスキーの代表作の1つ。ある殺人事件について描きながら、人類の根源的な問題を浮き彫りにしたロシア文学の名著です。日本で漫画化やドラマ化などもされています。

好色で粗野なフョードル・カラマーゾフには、それぞれ性格の異なる3人の息子がいました。財産相続問題を話し合うため、父のもとに集まった兄弟たち。ところが、女性問題なども絡み合い、問題は収まりがつかなくなっていき…。

個性豊かな登場人物たちによる愛憎入り乱れる群像劇のなかに、欲望に翻弄される人間の本質を描き出しました。本作品は、ドストエフスキー研究の第一人者・亀山郁夫が翻訳しているのもポイント。じっくりと腰を据えて読みたい、おすすめのロシア文学作品です。

アンナ・カレーニナ 上

新潮社 著者:トルストイ


アンナ・カレーニナ 上

『戦争と平和』などでも知られるトルストイの不朽の名作。激動する19世紀後半のロシア貴族社会を舞台に奥深い人間模様を描き、”ロシア文学の金字塔”とも称される恋愛小説です。現代でもたびたび舞台や映画の題材として取り上げられています。

青年士官・ヴロンスキーが恋に落ちたのは、美しい人妻アンナ・カレーニナ。夫・カレーニンとの愛のない日々に嫌気が差していたアンナもまた、情熱的なヴロンスキーに激しく惹かれていきます。

真実の愛を求めて苦悩する人々の内面が、生き生きと丁寧に描かれているのが見どころ。愛や結婚、生きるとは何かということを読者に問いかけます。19世紀のロシア文学を代表する巨匠の傑作として、まず手に取りたいおすすめの1作です。

かもめ・ワーニャ伯父さん

新潮社 著者:チェーホフ


かもめ・ワーニャ伯父さん

人間観察に優れた短編や戯曲を数多く手掛けた劇作家・チェーホフ。本作品は同氏の有名な「四大戯曲」のうち2作を収録した、ロシア文学おすすめの戯曲集です。

作家志望の男と役者志望の女の恋模様とともに、純粋なモノが世のなかに翻弄され滅んでいく様を描いた『かもめ』。失意と絶望に苦しみながらも、生きることを決意する人々の姿が胸を打つ『ワーニャ伯父さん』。演劇史に残る戯曲を読みやすい名訳で収録しました。

生きることの難しさをさまざまな角度から綴り、多くの読者の共感と感動を呼んでいます。演劇を見たことがある方も、改めて原著で名台詞を読み返したい作品です。

罪と罰 1

光文社 著者:ドストエフスキー


罪と罰 1

日本をはじめ、世界の文学に影響を与えたとされる犯罪小説の傑作。格差がもたらす犯罪と、犯人の苦悩や葛藤を鮮やかに表現したロシア文学の傑作です。舞台化や漫画化もされています。

主人公は貧困に苦しむ青年・ラスコーリニコフ。大学を除籍処分になった彼は、近所に住むいじわるな金貸しの老女を殺害する計画を企て、実行します。歪んだ理想を抱えた青年の行く末は、一体どうなってしまうのでしょうか。

善悪や人間の罪について、さまざまな視点から考えさせられる本作品。犯罪をおかした青年の生々しく狂気的な心理描写も読み応えがあります。ロシア文学を語る上で読んでおきたい、おすすめの名作です。

オネーギン

岩波書店 著者:プーシキン


オネーギン

ロシアの国民的詩人・プーシキンの代表作の1つ。オペラやバレエの人気演目としても有名です。”韻文小説の金字塔”とも謳われる原文は、韻を踏んだ詩を連ねて物語を作り上げているのが特徴。本作品では美しい原文を読みやすく散文形式で翻訳しています。

可憐な少女・タチヤーナと、彼女の切実な恋心を踏みにじった主人公・オネーギンのすれ違う恋模様が物語のテーマ。ロシア文学の原点になった作家の作品を読んでみたい方におすすめの人気作です。

外套・鼻

岩波書店 著者:ゴーゴリ


外套・鼻

数々の奇想天外な物語を手掛けた作家・ゴーゴリの、代表作2編を収録した作品集です。鼻が顔から抜け出してひとり歩きを始める『鼻』、貧しい男性の外套にまつわる不幸と不思議な出来事を描いた『外套』。どちらも世代を超えて高い人気を集めています。

日常のなかに非日常的な出来事を描く「マジックリアリズム」の手法が、魅力的に取り入れられているのがポイント。シュールで独特なゴーゴリの世界観を楽しめます。短編なので読みやすく、ロシア文学初心者の方にもおすすめの作品集です。

>初恋

光文社 著者:トゥルゲーネフ


初恋

16歳の少年が体験する切ない恋を描いた哀愁ただよう恋愛小説。19世紀の作家・トゥルゲーネフの自伝的小説とされています。

隣に引っ越してきた公爵令嬢・ジナイーダに一目惚れした少年・ウラジーミル。年上の彼女への想いは日増しに募っていき、ジナイーダを取り巻く青年たちと争うようになります。しかし、ウラジーミルは彼女が別の人に恋していることを知り…。

年上の女性に翻弄される少年の、瑞々しい恋心が的確に表現されているのが本作品の魅力。ほろ苦い青春時代の恋模様を堪能できます。ロシア文学を読んでみたい高校生にもおすすめの恋愛小説です。

ロシア文学おすすめ|現代

巨匠とマルガリータ 上

岩波書店 著者:ブルガーコフ


巨匠とマルガリータ 上

“20世紀ロシア最大の奇想小説”と評される、ブルガーコフの最高傑作です。モスクワを舞台に、悪魔の一味が繰り広げる奇怪な事件の数々をシュールに描いています。ロシアで映像化もされ、大ヒットを記録しました。

黒猫が喋ったりルーブル札が雨になって降ったりと、悪夢のような出来事の数々をユーモラスに表現しているのが見どころ。先の見えない展開に読者も思わず惹きつけられる、おすすめのロシア文学作品です。

手紙

新潮社 著者:ミハイル・シーシキン


手紙

現代ロシア文学を代表する作家の1人、ミハイル・シーシキンの人気作。2011年にロシア国内最大の文学賞、ボリシャーヤ・クニーガ賞を受賞しました。若い恋人同士の手紙のやり取りを、幻想的に奥深く綴った書簡体小説です。

戦地に赴いた青年・ワロージャと、モスクワに残った恋人・サーシャ。初めて結ばれた夏の日の思い出から戦場での過酷な日常、家族との悩みなど、さまざまな出来事を2人は手紙に綴ります。

戦地の悲惨な現状と、都会暮らしの苦しいリアルな日常が、2人の手紙のやり取りから浮かび上がるのがポイント。さまざまな解釈に浸りながら読みたい、おすすめの現代ロシア文学です。

ペンギンの憂鬱

新潮社 著者:アンドレイ・クルコフ


ペンギンの憂鬱

ソ連崩壊直後のウクライナを舞台に、ある作家が経験する不条理な出来事を描いた長編小説。ウクライナのロシア語作家、アンドレイ・クルコフのベストセラー小説です。20ヵ国語に翻訳され、国際的にも高い評価を受けています。

主人公・ヴィクトルは孤独な売れない小説家。憂鬱症のペンギン・ミーシャと共に暮らしています。生活のため、新聞の死亡記事を書く仕事を始めますが、まだ生きている大物政治家や財界人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれるようになり…。

少しずつ不穏な状況に巻き込まれていくヴィクトルたちの様子をスリリングに描きつつ、当時の不安定な社会情勢が寓意的に表現されています。社会風刺小説としてはもちろん、ミステリアスな犯罪小説としても楽しめるおすすめの1作です。

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