書き手の実体験をベースに、心情や思考を自由に表現した「エッセイ」。作家だけでなく、そのほかの分野で活躍する人物も多彩なエッセイを刊行しています。著者のリアルな人間性や価値観を垣間見られるのが魅力です。
今回は、そんなエッセイのおすすめ作品をご紹介。多くの読者に愛される人気作品から、旅や食、何気ない日常にまつわるものまで幅広い題材のエッセイをピックアップしました。ぜひ選書の参考にしてみてください。
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エッセイとは?
エッセイとは、自分の体験や感想を自由な形式で綴った散文のこと。「随筆」とも呼ばれ、日本では平安時代中期に書かれた清少納言の『枕草子』から始まったとされています。
ある人物・出来事について、時系列を意識しながら客観的に事実を記していくノンフィクション作品に対し、エッセイはより著者の心情や思考に焦点が当てられているのが特徴。扱っている題材も、何気ない日常・旅・グルメなど、読者も身近に感じられるものが中心です。
エッセイでは、著者独自の価値観や視点がわかりやすく表現されています。本業からは知り得ない、著者の新たな一面を垣間見られるのが魅力。気になる人物の人となりを知りたい場合にも、エッセイを読んでみるのがおすすめです。
エッセイのおすすめ|人気作品
もものかんづめ
集英社 著者:さくらももこ
『ちびまる子ちゃん』を世に送り出した漫画家・さくらももこの大人気エッセイです。著者の数あるエッセイのうち、初期3部作の1作目として知られています。累計発行部数は290万部を超える大ベストセラーになり、”爆笑エッセイの金字塔”と謳われる傑作です。
著者とその家族の周りで起こった珍事件の数々が、ユーモアたっぷりに綴られている作品。一風変わった水虫の治療法や会社員時代の話など、何でもない日常や失敗談が赤裸々に語られているのが魅力です。
読者も共感しやすい生活感あふれる内容が満載。著者ならではの鋭い語り口や、あたたかみのあるイラストも笑いを誘います。幅広い年代の方が楽しめる、おすすめの名作エッセイです。
日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
新潮社 著者:森下典子
大学生の頃から茶道教室に通っていたエッセイスト・森下典子が、茶道を通じて得た気づきや人生の教訓を記したエッセイの名作です。世界各国の言語で翻訳出版され、第1回日伊ことばの架け橋賞を受賞。2018年には実写映画化もされています。
約25年にわたって茶道教室に通い続けてきた著者。その間にも就職活動に失敗したり、失恋や父の死に直面したりと、さまざまな苦難がありました。そんな人生において、心の自由をもたらしてくれたのがお茶の存在だったのです。
長年の茶道での経験を通して感じた気づきや、季節の移ろいを五感で味わう素晴らしさが綴られています。茶道経験者はもちろん、茶道に触れたことがない方にもおすすめです。
父の詫び状
文藝春秋 著者:向田邦子
エッセイの傑作と名高い、作家・向田邦子の初エッセイです。著者の少女時代の思い出を語ったエッセイが24編収録されています。1986年にドラマ化され、映像作品としても話題を集めました。
明治時代に生まれた著者の父親を中心とする、昭和の中流家庭の昔懐かしい暮らしぶりを綴っているのが特徴。味・香り・音といった、家庭の息遣いを感じられるようなリアルな情景が、爽やかなユーモアを交えながら表現されています。
何気ない日常のひとコマから家族のあたたかな絆と哀愁を感じられ、時代を超えて読み継がれている名作。一般的な生活を営む市井の人々の昭和史としても高い評価を受けた、おすすめのエッセイです。
深夜特急1 香港・マカオ
新潮社 著者:沢木耕太郎
“バックパッカーのバイブル”として親しまれる、旅エッセイの傑作です。日本冒険小説協会大賞ノンフィクション・評論部門大賞やJTB紀行文学大賞に輝き、シリーズ累計部数は600万部を記録。90年代にドラマ化され、2023年にも朗読ラジオが放送されました。
26歳にして仕事をすべて投げ出し、地球の大きさを足で確かめるための旅へ出た著者。まずは香港へ降り立ち、陸路で2万km離れたロンドンまでバスで向かいます。1年以上にわたるユーラシア大陸放浪の旅を、全6巻で語っていくエッセイです。
70年代にバックパック1つで海外を旅した著者。当時目にした異国の雰囲気や出会った人々との交流が、臨場感あふれる筆致で綴られています。多くの読者に一人旅の魅力を伝え続けている、おすすめの傑作です。
いつか別れる。でもそれは今日ではない
KADOKAWA 著者:F
X(旧Twitter)のフォロワー数22万人以上を有するFの大人気エッセイです。素直に自分の気持ちを他人に伝えられなくなった大人に向けた、さまざまなテーマのエッセイを全65編収録。10代・20代の男女から高い支持を集めています。
男女と恋愛・人間関係・自分自身や大切な人との向き合い方などについてのエッセイを、全4章に分けて収録。人とのコミュニケーションや関わり方において悩みがちなことが、詩的な文体で鋭く言語化されています。恋愛について多く書かれたエッセイを探している方におすすめの1作です。
あやうく一生懸命生きるところだった
ダイヤモンド社 著者:ハ・ワン
“心が軽くなる”と話題を呼んだ、韓国エッセイの人気作です。著者は40歳を前にして、プランもなく会社を退職したイラストレーターのハ・ワン。競争社会から距離を置き、頑張らずに生きるための人生哲学が綴られています。
かつては会社勤めとイラストレーターのダブルワークに奮闘していたものの、気持ちが限界に達してしまった著者。周囲との比較や競争にさらされる日々から離れ、他人の目を気にせず、自分らしく生きることを決意します。
一生懸命生きない日々から著者が見出した、生きにくさを軽くする新たな人生の見方が語られているのが魅力。人生の節目に多くの人が抱える普遍的な悩みが、ポップでシュールなイラストとともに描かれています。韓国エッセイを読んでみたい方におすすめの作品です。
エッセイのおすすめ|旅行やグルメ
わたしのマトカ
幻冬舎 著者:片桐はいり
映画『かもめ食堂』の撮影のために訪れたフィンランドでの1ヵ月間を主軸にした、俳優・片桐はいりの旅エッセイです。フィンランドのほかにも、カンボジア・ベトナム・グアテマラなど、著者がさまざまな国で体験した出来事や出会った人々とのエピソードがコミカルに綴られています。
旅好きとして知られる著者。その土地ならではの乗り物に乗ったり、市場やクラブに出かけたりと、現地の空気感が伝わるような筆致が魅力です。人情味あふれるエピソードの数々に、撮影現場での裏話も織り交ぜられています。北欧を身近に感じられる、おすすめのエッセイです。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
文藝春秋 著者:若林正恭
お笑いコンビ・オードリーの若林正恭が、5日にわたるキューバの旅での出来事を綴った旅エッセイです。2018年に受賞した第3回斎藤茂太賞の選考委員には、”新しい旅文学の誕生”と評されました。
多忙を極める日々のなか、3泊5日の弾丸旅行として1人でキューバへ旅立った著者。旅を通して見えたものと、旅のもうひとつの目的が語られていきます。
異国での出来事をピュアな視点で捉えつつ、日本社会や自分を見つめ直す著者の内面がていねいに綴られているのがポイント。純文学のような読み味も高い評価を受けた、おすすめの旅エッセイです。
途上の旅
アノニマ・スタジオ 著者:若菜晃子
登山の専門出版社の編集者を経験し、長年にわたって各地を旅してきた若菜晃子の旅エッセイです。3部作の第2作目にあたり、第1作目『旅の断片』では第5回斎藤茂太賞に輝きました。本作品では海外への旅をテーマにしています。
取り上げられている行き先は、カナダ・モロッコ・ネパール・チリなど人気の観光地からは少し離れ、ありのままの自然に触れられる国々。旅のなかで触れ合った自然や人への洞察や、初めての土地・宿で眠るときの不安、自らとの対話の内容が、淡々と静かに語られていくのが魅力です。
旅先でしか触れられない空気感を巧みに文章で描き出した、旅エッセイの名作。壮大な自然の風景や質感が読者の目の前にも広がるような、豊かな表現力が高い支持を集めています。著者とともに海外の自然風景のなかを歩く感覚で楽しめる、おすすめのエッセイです。
巴里の空の下オムレツのにおいは流れる
河出書房新社 著者:石井好子
1950年代の古きよきフランスでの暮らしぶりとともに、思い出深い料理を取り上げた料理エッセイです。著者は、パリでデビューしたシャンソン歌手・石井好子。1963年度の日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、”料理エッセイの元祖”と評される名著です。
著者が滞在先のパリや訪れた国々で出会った料理にまつわるエピソードが、あたたかみを感じられる筆致で語られます。下宿先のマダムが作ってくれたオムレツや、夜食として仕事仲間と食べた熱々のグラティネなどが登場し、当時の外国の食文化を追体験できるのが見どころです。
食べることの喜びや、愛情を込めて料理を作ることの尊さを考えさせられます。語られる料理のレシピがあわせて紹介されているのもポイント。巧みな語り口に思わず食欲をそそられる、おすすめの料理エッセイです。
こいしいたべもの
文藝春秋 著者:森下典子
森下典子が幼少期から親しんだ料理と、それらにまつわる思い出が綴られている食エッセイです。22編に厳選の上、推敲と加筆修正を重ねた珠玉のエッセイがまとめられています。
母親が手作りしたバターたっぷりのホットケーキや、父親が好んで食べていた焦げ目のついたビーフン。青春時代、夜明けに食べたソース焼きそばなど、親しみ深い22品の料理が取り上げられています。それぞれに著者が自ら描いた繊細なタッチのイラストが添えられているのもポイントです。
著者が青春期を過ごした昭和時代の家庭の空気感と、料理の味が口の中に広がるような的確な語り口が魅力。食エッセイを読んだことがない方、料理には詳しくないという方にもおすすめです。
エッセイのおすすめ|何気ない日常
忘れながら生きる 群ようこの読書日記
文藝春秋 著者:群ようこ
数々の名作エッセイを刊行してきた作家・群ようこが40代の頃に綴った、本と猫とともに過ごす豊かな日常生活を題材にしたエッセイです。ひと月に買う本の冊数や毎月の本代など、本好きな著者の読書遍歴が垣間見られます。
着物本やプロレス本など、毎月積み上がっていく多彩なジャンルの本について語られます。作家が読む本と、読書への向き合い方が気になる方におすすめの1作です。
時をかけるゆとり
文藝春秋 著者:朝井リョウ
『何者』『桐島、部活やめるってよ』などの傑作を手掛けた作家・朝井リョウの初エッセイ。戦後最年少で直木賞を受賞した著者が、「ゆとり世代」である自身の人生を客観的な視点からおもしろおかしく綴った人気作です。「ゆとり三部作」としてシリーズ化もされています。
第1作目の本作品は、大学進学のために上京した著者の日常を学生編と社会人編に分けて紹介。カットモデルを務めたり、2日かけて100kmを歩いたりと、青春の若さと勢いあふれる愉快なエピソードの数々が23編のエッセイで語られていきます。
身の回りで起こった何気ない出来事や体験が、著者の冷静な観察眼と鋭いツッコミでユーモアたっぷりに表現されているのが魅力。思わず声を出して笑ったという読者も多く、高校生や大学生にもおすすめのエッセイシリーズです。
永遠のおでかけ
毎日新聞出版 著者:益田ミリ
イラストレーター・益田ミリが、自身の父親との死別をテーマに思いを綴ったエッセイです。何気ない日常の光景を愛おしく思えるような、珠玉のエッセイの数々が収録されています。
叔父の死から、父親が病に倒れて亡くなるまでの日々。そして、その後も続く著者の日常が、落ち着いた静かな筆致で語られています。文庫版には、単行本未収録の作品『コロンの記憶』が追加収録されました。
親の死という逃れられない別れを前にした著者の、感謝や後悔といった心の動きがていねいに明らかにされているのが見どころ。大切な人との別れについて改めて見つめ直せる、おすすめのエッセイです。
のっけから失礼します
集英社 著者:三浦しをん
『舟を編む』で本屋大賞を受賞した作家・三浦しをんの、何気ない日常をコミカルに綴ったエッセイ。女性誌『BAILA』にて約5年間連載されていたエッセイに、新たに書き下ろしが追加されています。著者ならではの価値観や表現力を堪能できる1作です。
愛する漫画やアーティストへの熱い想い、タクシーの運転手との愉快なやりとり、家族との心あたたまる交流についてなどが主な題材。どれも日常のありふれた出来事でありながら、独特の言い回しとユニークな着眼点によって思わず笑えるエピソードに昇華されています。
日常から楽しいことを見出し、妄想とともに面白がる著者の思考が、テンポのよい文体で語られていくのが魅力。疲れた気分を軽くするような面白いエッセイが読みたい方におすすめです。
ねにもつタイプ
筑摩書房 著者:岸本佐知子
第23回講談社エッセイ賞を受賞したエッセイの秀作です。著者は翻訳家としても活躍するエッセイスト・岸本佐知子。日常のありふれた出来事や身の回りのものを斬新な視点で捉え、妄想や分析を広げていくユニークな思考がエッセイとして綴られています。
コアラの鼻の材質やちょんまげの起源について考えを巡らせてみたり、新しいオリンピック競技を提案してみたりと、著者の脳内に次々と浮かんでくる奇想や妄想が記されているのが見どころ。一風変わった読み味のエッセイが全48編収録されています。
リズミカルな文体で綴られる不思議な文章に、思わず笑いが込み上げる異色作。現実と空想が入り乱れる、まるでショートショートのようなエッセイを読んでみたい方におすすめの作品です。
エッセイのおすすめ|有名人・タレントエッセイ
ナナメの夕暮れ
文藝春秋 著者:若林正恭
累計31万部を記録した、芸人・若林正恭のベストセラーエッセイです。「自意識過剰」だと自認する著者が40歳を目前にして感じた、大人としての心境の変化が語られる名作。雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載されていたエッセイに、17000字もの書き下ろしが加えられています。
厄介な自意識に振り回されて、人生を上手く楽しめないでいた著者。しかし、没頭できる趣味や深く交流できる仲間との出会いを経て、世の中を少しずつ肯定できるようになりました。本作品では、その過程を綴るとともに、生きづらさの原因についてもさまざまな角度から分析しています。
自身や社会と冷静に向き合った著者が、日常を楽しむためのコツをどのように見出したのかが提示されている本作品。世の中の当たり前を素直に肯定できず、生きづらいと感じている方におすすめの人気作です。
大泉エッセイ 僕が綴った16年
KADOKAWA 著者:大泉洋
俳優・大泉洋が、大学在学中から全国へ進出するまでの16年間について綴ったエッセイです。1997年から雑誌で連載してきた原稿108編と、書き下ろしの4編のエッセイを収録。アジアを中心に、海外でも翻訳されています。
人気バラエティー番組『水曜どうでしょう』に出演した頃の秘話や、「大泉洋の在り方」について自身の考察や心情なども語られているのが見どころ。文庫版では、著者の結婚と家族について語った書き下ろしも豊富に追加されています。
装画は、著者がファンだと公言する漫画家・あだち充が担当。同氏との対談も追加収録されました。まるで著者本人が語っているような軽妙な文体で、”饒舌なエッセイ”と評される、おすすめのエッセイです。
職業としての小説家
新潮社 著者:村上春樹
世界的に著名な作家・村上春樹が、小説家として歩んできた自身の遍歴を語った自伝的エッセイです。著者が初めて本格的に、作家としての自身をエッセイとしてまとめ上げた1作。全12章に分けて、小説を書き続けてきた軌跡をさまざまな視点から解き明かしていきます。
作家デビューから現在に至るまでの著者の経歴にとどまらず、小説の書き方や書き続けるための姿勢などについて触れているのがポイント。文学賞への向き合い方・オリジナリティーの出し方・世界に対する見方なども取り上げられています。世界的な職業作家の裏側を垣間見られるのが魅力です。
具体例や興味深いエピソードも満載。「です・ます」の講演口調で綴られており、著者が直接語りかけてくるような読み味で楽しめます。小説以外でも、何かをクリエイティブに生み出したい方のヒントになる視点が多く詰まった、おすすめのエッセイです。
BLANK PAGE 空っぽを満たす旅
文藝春秋 著者:内田也哉子
樹木希林と内田裕也の娘である内田也哉子が、両親を立て続けに亡くした喪失感に向き合う過程を綴ったエッセイです。空になった心を満たすため、さまざまな人との対話を始めた著者。本作品では計15人との一対一の対談を通して、両親との思い出や心を整理していく様が記されています。
谷川俊太郎・小泉今日子・坂本龍一・ヤマザキマリなど、さまざまなジャンルで活躍している有名人が登場。対談の内容が豊かな文章力で記されています。著者の美しい言葉選びも胸に沁み入る、おすすめのエッセイです。
阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし
幻冬舎 著者:阿佐ヶ谷姉妹
疑似姉妹として活動している芸人・阿佐ヶ谷姉妹の、地味で面白い同居生活について綴ったエッセイです。リレー形式の3章立てで、六畳一間をシェアしていた2人の一風変わった生活ぶりが語られます。2021年にドラマ化もされた話題作です。
40代の独身女性である2人の日常は、ささやかな小競り合いと人情味のあるご近所づきあいに満ちています。エアコンの設定温度や布団の敷き方で揉めたり、ご近所からのお裾分けを2人で楽しんだり。細かなこだわりと笑いが詰まった生活ぶりが、淡々と語られていくのが見どころです。
地味でありながらも不思議な家族愛が漂う2人の暮らしぶりは、30代・40代の読者から多くの支持を集めています。2人がそれぞれに書き下ろした「私の落とし方」をテーマにした恋愛小説も収録。妙齢女性のほのぼのとした同居生活に癒される読者も多い、おすすめの作品です。
エッセイのおすすめ|エッセイ漫画
裸一貫!つづ井さん
文藝春秋 著者:つづ井 既刊5巻(全5巻完結)
大ヒットエッセイ漫画『腐女子のつづ井さん』に連なる「つづ井さんシリーズ」の1作です。「魂がオタク」のアラサー女性が、人生を生き生きと自由に生きる様を描いた人気作。シリーズ累計90万部を突破し、テレビドラマ化も決定しました。
身辺情報が少ない俳優にハマり、観劇に出費の大半を捧げる著者。自分のお尻を育ててみたり、夜の公園で友達と全力で遊んでみたりと、工夫しながら日常を楽しく過ごしています。そんな著者と仲間たちの姿を、シュールなタッチの絵日記で表現したエッセイ漫画です。
それぞれに高い熱量で好きなものがあるオタク女子たちの、愉快な日常を覗き見られる本作品。日々を前向きに積み重ねていく姿が、20・30代の読者から高い支持を集めています。オタクではない方も童心に返り、生きる活力をもらえるおすすめの1作です。
ツレがうつになりまして。
幻冬舎 著者:細川貂々 既刊3巻(全3巻完結)
うつ病と闘う夫を支える日常を、愛とユーモアたっぷりに描いたエッセイ漫画の大ベストセラー作品です。2009年にドラマ化、2011年には実写映画化もされ、大きな反響を呼びました。
真面目な性格でバリバリ仕事をしていたにもかかわらず、ある日突然”死にたい”と呟くようになったツレこと著者の夫。激務とストレスでうつ病を発症し、会社を退職することになります。そこから、夫婦二人三脚での長い闘病生活が幕を開けるのです。
うつ病の闘病記でありながら、ゆるいタッチの漫画とコミカルな台詞回しで読みやすいのが魅力。うつ病の症状や特徴、周囲の人が取るべき接し方などもわかりやすく描かれています。うつ病当事者だけでなく、うつ病への理解を深めたい方にもおすすめのエッセイ漫画です。
夜は猫といっしょ
KADOKAWA 著者:キュルZ 既刊6巻
猫と過ごす日常をキュートなイラストで巧みに表現した、猫エッセイ漫画の大ヒット作。累計部数は50万部を突破し、アニメは第3期の制作が決定しました。SNSやブログで現在も配信連載されています。
フータの元に突然やってきて、一緒に暮らすことになった猫・キュルガ。たびたび、猫飼い初心者であるフータの予想を超える振る舞いをするキュルガとの、ほのぼのとした日常が描かれます。猫の自由で不思議な生態や、猫とともに暮らす醍醐味が詰まったエッセイ漫画です。
猫飼いならではの「あるある」が満載で、国内外から共感を集めている1作。柔らかそうなキュルガの肉体描写にも注目してみてください。猫とのユーモラスな暮らしぶりに笑って癒されたい方におすすめの作品です。
ママはテンパリスト
集英社 著者:東村アキコ 既刊4巻(全4巻完結)
『東京タラレバ娘』『海月姫』などの人気漫画を数多く手掛けてきた漫画家・東村アキコの出世作です。息子の子育てに奮闘する著者のリアルな日常を描いた育児エッセイ。このマンガがすごい!2010オンナ編の第3位にもランクインし、累計部数は110万部を記録しています。
週刊誌と月刊誌で連載する多忙な漫画家でありながら、29歳で息子・ごっちゃんを出産した著者。初めての育児に戸惑うなか、息子は次々と予想を裏切る行動を見せます。そんな息子に振り回される、著者のドタバタな育児風景が描かれるエッセイ漫画です。
育児の大変さや普遍的な「あるある」を勢いあふれる描写でコミカルに表現し、多くの子育て世代の共感と爆笑を得た1作。子育てに対して肩の力が抜けるようなエッセイ漫画を読みたい方におすすめの作品です。
本業からは見えにくい、著者の思考や価値観に直接触れられるのがエッセイの醍醐味。共感したり、新たな視点を得たりと、読者自身の体験に照らし合わせながら楽しめるのも魅力です。さまざまなエッセイがあるので、まずは好きな著者やジャンルのモノから読むのがおすすめ。ぜひ気になる作品をチェックしてみてください。