個性的なキャラクターが印象に残る「ヤンデレ小説」。好意を持つ相手への気持ちが強すぎるあまり、狂気の行動に出てしまうキャラクターを描いた作品です。アニメや漫画に多く登場するキャラクター像ですが、文学作品にも似た性質のキャラクターを見つけられます。

そこで今回は、ヤンデレ小説のおすすめをご紹介。ライトノベルから文学作品まで幅広くピックアップしました。ぜひヤンデレキャラクターの魅力を体験してみてください。

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そもそも「ヤンデレ」とは?

ヤンデレとは、「病み」と「デレデレ」を組み合わせた造語です。一般的には、好意を持つ相手に対して思いが強すぎて執着・依存してしまい、精神的に病んだ結果、サイコパスのような行動をとってしまう人物像を指します。

ライトノベルやアニメの登場人物として注目されることの多いヤンデレですが、文学作品にもヤンデレと呼べるようなキャラクターが登場することも。個性の強いヤンデレキャラは作品にメリハリを与える、創作に欠かせない存在です。

ヤンデレ小説の魅力

ヤンデレの気質を持つキャラクターは、目をそむけたくなるのに目が離せない独特の魅力があります。客観的に見ればゆがんだ愛の形も、本人にとっては純愛でゆがみに気づいていないケースが多いのも特徴です。

ヤンデレの独りよがりな行動は、物語を始めるきっかけだったり、小康状態の展開をかき乱す分岐点だったりする役割を担っています。ヤンデレ小説は、愛や他人への憧憬といった感情が持つ負の一面を、エンターテインメントとして提示しているのがポイントです。

ヤンデレ小説のおすすめ

マリオネットの罠 新装版

文藝春秋 著者:赤川次郎

マリオネットの罠 新装版

日本のミステリ史上に名を残す名作としても知られるヤンデレ小説。赤川次郎が初めて手掛けた長編小説です。森の奥に閉じ込められた美少女が連続殺人を犯していく怒涛の展開。ページをめくる手が止まらなくなる作品です。

フランス留学から帰国した上田修一は、割りのよいフランス語の家庭教師として働くことに。生徒は豪邸に住む峯岸家の美人姉妹でした。家庭教師として峰岸家に通うなかで、修一は地下の牢獄に閉じ込められている三女・雅子を見つけます。

雅子と修一の出会いが、どのように連続殺人へとつながっていくのかが見どころ。サイコサスペンスとしての要素を持つヤンデレ小説を読みたい方におすすめです。

霊応ゲーム

早川書房 著者:パトリック・レドモンド

霊応ゲーム

若者のいびつな心のありようを描き出したヤンデレ小説です。パブリックスクールを舞台にしたゴシックスリラー。BL要素が強い作品でもあるので、BL好きの方も注目してみてください。

1954年、イギリスの名門校に通う14歳の少年・ジョナサンは小心者で、同級生や教師にいじめられる日々を過ごしていました。あるとき、ジョナサンがクラスでも実力者として知られるリチャードと親密になると、不可解な事件が多発。ジョナサンをいじめていた人たちが、不可解な事件や事故に巻き込まれていき…。 

少年たちの独占欲や憧れ、共感がもたらす心のゆがみにヤンデレの芽生えを感じる作品。学校を舞台にした群像劇を読みたい方におすすめです。

ほかに誰がいる

幻冬舎 著者:朝倉かすみ

ほかに誰がいる

ページをめくる手が止まらなくなる衝撃作とうたわれたヤンデレ小説。とある出会いをきっかけに、人生すらも狂わせていくヤンデレ少女の姿を描いた作品です。

高校1年のとき、電車越しに見かけた賀集玲子に憧れる少女・本城えり。彼女は、玲子に出会うまでに16年もの時をかけてしまったことに後悔の念に近い感情を募らせます。玲子を思う強い気持ちは、次第に彼女自身の人生を破滅させていくのでした。

憧れの人に近づき、ひとつになりたいとさえ考えるえりの姿にヤンデレを感じる作品。強すぎる憧憬がえりをどのように破滅へと導くのか、気になる方におすすめです。

リカ

幻冬舎 著者:五十嵐貴久

リカ

ありふれた会社員の男性が出会った、ヤンデレ女性の恐怖を描いた小説。第2回ホラーサスペンス大賞の受賞作です。

妻子を愛する平凡な中年会社員・本間は、軽い気持ちで手を出した「出会い系」で、リカという女性と出会います。しかし、彼女の本性は恐ろしいモノでした。想像を絶する異常な方法で本間をストーキングするリカ。彼女の狂気に疲弊していく本間は、ついに彼女との対決を心に決めて…。

メールの文面に虚言を混ぜたり、ひとつの電話番号から相手のさまざまな個人情報を得たりするリカの行動に注目。ヤンデレの恐怖を体感したい方におすすめの作品です。

ミザリー

文藝春秋 著者:スティーヴン・キング

ミザリー

ファン心理が生み出したヤンデレ女性の恐怖を描いた、スティーヴン・キングの小説です。著者の実体験が作品に影響を及ぼしたといわれており、リアリティのある描写に注目。作中に別の恐怖小説を挟み込むことで、恐怖を倍増させているのも特徴です。

雪道で事故にあい、体が不自由になった人気作家・ポール・シェルダン。元看護師でポールのファンと名乗る女性・アニーが、身の回りの世話をしてくれることになります。しかし、彼女はポールを監禁したうえで、“自分ひとりのために執筆をしろ”と脅してきて…。

ヤンデレ気質を持つアニーの異常な行動に、背筋が凍る気分になれる作品。ポールがアニーの魔の手からどうやって逃げるのか、気になる方はチェックしてみてください。

アンダー・ユア・ベッド

KADOKAWA 著者:大石圭

アンダー・ユア・ベッド

双眼鏡で気になる女性の生活をのぞくようになった男性を描くヤンデレ小説。主人公の三井は雨の降る夜、唐突に佐々木千尋を思い出します。

19歳の彼女とテーブルに向き合ってコーヒーを飲んだこと、彼女の髪色、腋の下の肉付き、歯の形、うっすら見えた下着の色や形まで。千尋は10年も前に、それも一度だけ話を交わした憧れの女性でした。三井にとって彼女との時間は、最も幸せな瞬間だったのです。

彼は、千尋を思い出したことをきっかけに、彼女を探すことを決意します。分別を忘れるぐらいの純粋な恋心が生んだ、異常な執着がどこへ向かうのか気になる方はチェックしてみてください。

スマホを落としただけなのに

宝島社 著者:志駕晃

スマホを落としただけなのに

SNS時代ならではの着眼点で描かれた、志駕晃のミステリ小説です。彼氏のスマホを連続殺人犯に拾われたことで、恐ろしい事件が幕を開けるのでした。

ある日、麻美の彼氏・富田は、タクシーの中にスマホを忘れてしまいます。スマホは無事に手元に戻りますが、拾っていたのはずる賢いハッカーでした。麻美を気に入ったハッカーはストーキングを開始。富田のスマホをきっかけに、SNSを通して素性が知られてしまった麻美は、次第に窮地へ追い込まれます。

気に入った女性に異常な執着を見せるハッカーの存在に、狂気性のあるヤンデレの気質を感じ取れる作品。現実世界にヤンデレと呼ばれる人物がいた場合を想像してみたい方におすすめです。

みずうみ

新潮社 著者:川端康成

みずうみ

非常にはかないエロティシズムを描いた、川端康成の作品です。美しい女性に執着する、元教師の狂気を描いているのがポイント。ストーカーやヤンデレと表現されるような人物像を、1960年の時点で扱っている点に注目してみてください。

美しい少女を見ると、ついストーキングに及んでしまう桃井銀平。教師時代に生徒と関係を持って職を失ったあとも、異常な執着がなくなることはありませんでした。

悪気なくストーキングを実行する桃井のゆがんだ心理描写に注目したい作品。ストーキングをした相手も喜ぶに違いないと考える桃井の思考に、現代でいうヤンデレの気質を感じます。文豪の描くヤンデレ小説に興味のある方におすすめです。

NHKにようこそ!

KADOKAWA 著者:滝本竜彦

NHKにようこそ!

社会問題としても取り上げられる引きこもりを、コミカルに描いたヤンデレ小説です。引きこもり歴の長い主人公・佐藤と、ヤンデレ少女・岬の2人が織りなす日々を描いています。

佐藤は、大学を中退したのも無職なのも、自分が引きこもりになってしまったことさえも、全て悪の組織・NHKの陰謀という妄執に捉われています。そのようななか、目の前に突如として現れた美少女・岬。彼女は佐藤に、謎のプロジェクトへ協力するようにと訴えてきて…。

岬の目的は何なのか、佐藤は引きこもり生活から脱出できるのかが見どころの作品。NHKという言葉の意味にも注目して読んでみてください。

合コンに行ったらとんでもないことが起こりました

KADOKAWA 著者:鷲宮だいじん

合コンに行ったらとんでもないことが起こりました

えたいのしれない恐怖におののくヤンデレ小説です。22歳で女性経験のない「僕」が、合コンで理想的な女性・汐野希と出会うところから物語は始まります。

2人は合コンを抜け出し、飲みに出かけました。ひかれ合った2人は初めてのキスを交わします。幸福な気分に浸り家路についた僕。翌日友人に汐野希について尋ねると、そのような女性は合コンにいなかったと告げられてしまうのでした。次第に、僕の生活は汐野希によってむしばまれていって…。

はたして、汐野希とは誰だったのでしょうか。ヤンデレに魅入られた主人公が迎える衝撃のラストが気になる方におすすめの作品です。

きみとぼくの壊れた世界

講談社 著者:西尾維新

きみとぼくの壊れた世界

著者・西尾維新らしい作風が楽しめる本格ミステリ小説。独特のセリフ回しを堪能できます。個性的なキャラクターが織りなす、群像劇がくせになる作品です。

お互いを愛し合う兄妹・櫃内様刻(ひつうちさまとき)と櫃内夜月(よるつき)、友人の迎槻箱彦(むかえづきはこひこ)と琴原りりす。4人の関係は学園内で起こった密室殺人事件をきっかけに崩れていきます。様刻は保健室に引きこもっている病院坂黒猫(びょういんざかくろねこ)と一緒に事件の解決を試みますが…。

夜月の異常な兄への執着に、ヤンデレ気質を感じられる作品。世界観を楽しめるヤンデレ小説を読みたい方におすすめです。

囮物語

講談社 著者:西尾維新

囮物語

西尾維新の代表作「物語シリーズ」の1作です。シリーズを通してかわいい少女として描かれてきたヒロイン・千石撫子。彼女の心の闇が明らかになります。

かつて蛇にとりつかれた撫子の前に現れた白蛇。やがて、彼女は怪異と融合して神様となり、物語において最大の敵になってしまうのでした。

片思いの相手である主人公・阿良々木暦を殺そうと、ヤンデレっぷりを発揮する点が見どころの作品。シリーズ作品のため、最初から通して読むことでヤンデレヒロイン・千石撫子の魅力をより体感できます。

緋弾のアリア

KADOKAWA 著者:赤松中学

緋弾のアリア

壮大なスケールで描かれるアクション&ラブコメディ。舞台は、武力を行使する探偵「武偵」を養成するための専門学校・東京武偵高校です。

とあるきっかけによって頭脳が活性化する探偵科所属の2年生・遠山キンジは、特殊な体質を隠し平凡な日々を送ることを夢見ています。しかし、通学途中に爆弾事件に遭遇。強襲科のエリートである神崎・H・アリアとの出会いを経て、キンジは厄介ごとに巻き込まれていくのでした。

注目はヤンデレキャラクターの白雪。本作品はシリーズになっており、話が進むにつれて白雪の出番も増えていきます。ヤンデレ小説として楽しみたい方は、ぜひ2巻以降もチェックしてみてください。

ヤンデレ彼女が異世界まで追ってきた

講談社 著者:草薙アキ

ヤンデレ彼女が異世界まで追ってきた

草薙アキによるファンタジー作品。タイトルに使われるほど作品内がヤンデレにあふれている、ヤンデレ小説としても注目してみてください。

彼女・敷島冴子の病的な愛情に嫌気を感じていた「俺」は、異世界の巫女によって救世主として召喚されたことに歓喜します。しかし、冴子は主人公を探し求めて異世界にまでやってくるのでした。そのうえ、幼なじみヤンデレや姉系ヤンデレなど、ヤンデレが次々と現れて異世界はカオスな状況に陥っていき…。

さまざまなタイプのヤンデレが登場する点に注目したい作品。絵に描いたようなヤンデレキャラクターが躍動するヤンデレ小説を読みたい方におすすめです。

あなたにだけちょっとあざとくなる私をお許しくださいっ

KADOKAWA 著者:さくらいたろう

あなたにだけちょっとあざとくなる私をお許しくださいっ

3人の女子からの過激な愛情表現を、うまくいなして奮闘する主人公の活躍を描いたヤンデレ小説。高校卒業の日、クラスメイト・彩花、後輩・雫、義妹・このみの3人から告白された光輝が主人公です。

突然のモテ期は、女神・イザナミが遊び半分で女子3人の好感度を無理やり高めたことが原因。高まり過ぎた好感度でヤンデレ化した3人の女子により絶命にまで至った光輝は、時間をさかのぼって生き返り、学園生活をやり直すのでした。

ラブ・エロティック・バイオレンスにまみれた学園生活を何度も繰り返す光輝の結末が気になる作品。典型的なヤンデレが登場する作品を読みたい方におすすめです。