まとまった時間を取りやすい大学生活は小説を読むチャンスも多い時期です。恋愛・ホラー・SF・ミステリーなど、さまざまなジャンルの小説に触れることで話の引き出しも広がり、その後の生活を豊かにするきっかけになります。

そこで、今回は大学生におすすめの小説をご紹介。読んでおいて損のない名作を中心に、さまざまな作家の作品をピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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大学生におすすめの小説|恋愛

イニシエーション・ラブ

文藝春秋 著者:乾くるみ

イニシエーション・ラブ

読後、すかさずもう1度読み返したくなる乾くるみの恋愛小説です。著者を代表するベストセラー小説。映像化は不可能と言われていましたが、2015年に実写映画化された点にも注目です。

代打で合コンに呼ばれた大学生・鈴木が、歯科衛生士・マユに出会ってから恋に落ちるまでを描いた「side-A」。東京で勤務することになった鈴木が、静岡に残っているマユと遠距離恋愛を続ける「side-B」の2部構成です。

最後の2行で物語は意外な結末に。読者が読んできた物語が、まったく別の意味を持って幕を閉じます。恋愛をテーマにとりながらも、ミステリー小説としての要素を持つ意外性の高い小説を読みたい大学生におすすめです。

悲しみよ こんにちは

新潮社 著者:フランソワーズ・サガン

悲しみよ こんにちは

20世紀のフランス文学を代表する恋愛小説のひとつ。「少女小説の聖典」とも謳われ、大人への過渡期である主人公・セシルの心情がみずみずしく描かれています。翻訳は河野万里子、解説は作家・小池真理子が手がけた新訳です。

セシルは18歳がせまった夏の日々を、遊び人気質の父親・レイモンや父の恋人・エルザと共に南仏の海辺にある別荘で過ごすことになります。セシルもまたバカンスのなかで恋を経験しますが、レイモンのもうひとりの恋人であるアンヌが合流したことで葛藤が生まれて…。

父親がアンヌとの再婚を考えていることを察した、セシルの大胆な行動に注目したい小説。セシルの気持ちの揺らぎに感情移入しながら読むのがおすすめです。

夜は短し歩けよ乙女

KADOKAWA 著者:森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

恋愛小説の新しい形を切り開いた、森見登美彦の小説。ファンタジー感が溢れる世界観で展開される恋愛模様が斬新な作品です。2007年の第20回山本周五郎賞を受賞している点にも注目。さらに、2017年にはアニメ映画化されました。

クラブの後輩である黒髪の乙女に恋をした先輩。京都中を駆け回り、彼女の姿を見ようと奮闘します。やがて2人はさまざまな珍事件と遭遇、さらに運命の歯車は回り続けて…。

主人公たちは京都の国立大学に通っているという設定なので、大学生にとっても感情移入しやすい物語。ふざけているようで緻密に練られている部分もある、著者の筆力が独特な雰囲気を生み出している点が魅力の小説です。

君の膵臓を食べたい

双葉社 著者:住野よる

君の膵臓を食べたい

読者の期待を最後の最後で裏切る住野よるの恋愛小説です。一見するとおぞましいタイトルですが、読み終えた後に改めてタイトルについて考えると涙が溢れそうになる小説。2017年に実写映画化、2019年にはアニメ映画化もされている点にも注目です。

高校生の「僕」は、クラスメイト・山内桜良の日記帳を予期せず拾ってしまいます。日記帳には、彼女が難病を患っており、もうすぐ死んでしまうと書かれていたのでした。誰も知らない秘密を共有した桜良に、僕はしだいに惹かれていきます。

過酷な運命を背負わされている彼女に訪れる最期とはどのようなものなのでしょうか。読み進める手が止まらない恋愛小説。ちょっとした空き時間を使っていっきに小説を読みたい大学生におすすめです。

美丘

KADOKAWA 著者:石田衣良

美丘

命を燃やし尽くした恋人たちの恋を描き出した石田衣良の恋愛小説。2010年にテレビドラマ化もされました。

大学2年生・太一の前に突如現れた行動力を持った個性ある女性・美丘。太一は美丘の魅力に惹かれていき、同棲を始めます。しかし、じつは美丘は限りある命だったのです。太一は彼女の生きた証しとして最期を見届けて…。

感動必至のラストシーンに注目したい小説。大学時代の青春を描き出しているので、大学生が読むことでより感情移入できます。

大学生におすすめの小説|ミステリー

そして誰もいなくなった

早川書房 著者:アガサクリスティー

そして誰もいなくなった

世界的に有名なミステリー作家・アガサクリスティーを代表する小説のひとつ。不朽の名作として、後世のミステリー作家にも多大な影響を与えており、ミステリーを語るうえでは避けて通ることのできない小説です。

とある孤島に、面識もなく年齢も仕事も異なる10人の男女が招き寄せられました。しかし、肝心の招待主は不在。夕食の席では、招かれた男女の過去をつまびらかにする謎の声が聞こえてくるのでした。

しまいには、奇妙な童謡の歌詞そのままに、招待客がひとりまたひとりと殺されてゆき…。大学生になってミステリー小説に興味を持った方におすすめです。

十三の呪 死相学探偵1

KADOKAWA 著者:三津田信三

十三の呪 死相学探偵1

他人の死が分かる主人公・弦矢俊一郎が、不可思議な事件に挑む「死相学探偵シリーズ」の第1作目。ホラー作家・三津田信三が手がけたホラーミステリーです。第1作目では、大学を卒業して神保町に探偵事務所を始めた弦矢俊一郎のもとに、アイドル顔負けの女性・紗綾香が現れます。

依頼人の顔には死相は現れていませんでした。話によれば、彼女はIT系の青年社長にプロポーズされるも婚約者が結婚式直前に急死。その後も、彼の実家では怪現象が頻発していると言います。落ち込んだ顔で彼女が語るなか、弦矢俊一郎は彼女のそばで何かがうごめいていることを発見するのでした。

はじめての事件に弦矢俊一郎がどのように向き合うのかが気になる小説。主人公が大学を卒業したばかりという設定にも注目して読んでみてください。

文庫版 姑獲鳥の夏

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 姑獲鳥の夏

業界に衝撃を与えた作家・京極夏彦のデビュー作です。古本屋にして陰陽師でもある主人公が、妖怪に関わる事件に立ち向かう「百鬼夜行シリーズ」の第1弾。2005年に実写映画化されている小説でもあります。

東京・雑司ヶ谷にある病院では奇妙な噂が流れていました。久遠寺医院の娘が20ヵ月も身籠もったままで、その夫は密室から失踪してしまったというモノ。そんななか、京極堂は医院で頻発する怪事件の謎を解き明かし、久遠寺家の呪いに迫っていきます。

推理の前提を覆した、ミステリー小説の新しい形を示しているのが特徴。600ページを越える長編小説なので、時間のある大学時代にこそ読むのをおすすめします。

すべてがFになる

講談社 著者:森博嗣

すべてがFになる

シリーズ累計390万部を突破している森博嗣のミステリー小説です。「理系ミステリ」とも呼ばれ、いままでにない新しいミステリーの形を描き出しているのが魅力。第1回メフィスト賞を受賞、2015年にアニメ化もされています。

孤島にあるハイテク研究所で、幼いころから隔離生活を営んできた天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスを身に着けた四肢のない死体が出現しました。たまたま島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵は、密室事件の謎に迫っていき…。

著者の森博嗣は工学部の教授で理系の専門知識を備えている作家。いままで小説に興味のなかった理系の大学生にもおすすめです。「S&Mシリーズ」は全10作あるので、興味のある方はぜひ読破してみてください。

探偵はバーにいる

早川書房 著者:東直己

探偵はバーにいる

東直己が描いたクセになる魅力を持った新しいハードボイルド小説です。2011年には実写映画化し、第35回日本アカデミー賞を受賞して話題になりました。

札幌の歓楽街・ススキノで便利屋として生きる「俺」は、いつものようにバーへやってきますが、そこにいたのは大学時代の後輩でした。同棲している彼女が失踪したという彼の話に軽い気持ちで首を突っ込みますが、いつのまにか殺人事件に巻き込まれてしまい…。

ヤクザや女性に翻弄されながらも、事件を解決するためにススキノの街を駆け回る主人公の生き様に注目したい小説。ハードボイルドな生き方に憧れる大学生はぜひ手に取ってみてください。

大学生におすすめの小説|ホラー

残穢

新潮社 著者:小野不由美

残穢

戦慄が走る小野不由美のドキュメンタリー・ホラー小説。第26回山本周五郎賞を受賞。2016年には実写映画化もされています。

人が居着かない、とあるマンションの1室。転居したばかりの部屋は、違和感のある場所でした。畳を擦る音や背後の気配など、奇妙な現象が立て続けに起こります。一見ごく普通のマンションの過去を調べていくうちに、かつて起きたできごとが浮かび上がっていきます。

フィクションとノンフィクションの境目が、あいまいになっていくリアリティに溢れた筆致が特徴。読み終えた後、実生活でもふとした瞬間に恐怖が蘇ってくるようなホラー小説を読みたい方におすすめです。

Another 上

KADOKAWA 著者:綾辻行人

Another 上

作家・綾辻行人の代表作のひとつ。記憶も記録も不正確で、誰が死者かわからないまま恐怖に巻き込まれていく少年少女を描いた長編ホラー小説です。アニメ化・実写映画化されており、世界的に注目された小説でもあります。

榊原恒一は夜見山北中学三年三組の転校生。何かに怯えているようなクラスメイトの雰囲気に疑問を感じつつ、同級生のミサキ・メイに興味を持ち親しくなろうします。やがて、クラス委員長・桜木がおぞましい死を遂げてしまい…。

『Another エピソードS』『Another 2001』と番外編や続編も執筆されている人気作。学園ホラーの名作を読んでみたい方におすすめの小説です。

新装版 殺戮にいたる病

講談社 著者:我孫子武丸

新装版 殺戮にいたる病

時代の暗部をえぐり出す我孫子武丸のホラー小説。恐ろしい殺人鬼の行動と魂の在り方をたどる形で物語は進行します。戦慄のラストシーンに衝撃を感じる方が続出する小説です。

東京の繁華街で連続猟奇殺人を実行するサイコ・キラーが現れます。犯人・蒲生稔は、永遠の愛を欲して凌辱の果ての惨殺を繰り返すのでした。

最後の最後で明かされる真実に驚きを隠せない小説。読んでいて気分が悪くなる方が続出するような、おぞましい描写もあります。怪奇現象系とは異なる、おぞましい描写によるミステリーホラーを堪能したい方におすすめの小説です。

親指さがし

幻冬舎 著者:山田悠介

親指さがし

ホラーを得意とする作家・山田悠介の小説です。小学校の同級生である5人の男女が呪いに巻き込まれていく過程に迫るノンストップホラーを楽しみたい大学生におすすめ。2006年には実写映画化もされた小説です。

“ねえ、親指さがしって知ってる?”、小学生・由美が語るゲームを遊び半分で始める武たち5人の同級生。ゲームを終えた後、そこに由美の姿はありませんでした。7年後、武たちは再び集まり、過去のできごとにけじめをつけるために再び親指探しを実行しますが…。

「バラバラ殺人事件」がきっかけとなった呪いに巻き込まれていく様子が恐ろしい小説。7年後の描写では主人公たちが大学生になっており、思わず感情移入してしまう点にも注目です。

ジキル博士とハイド氏

東京創元社 著者:ロバート・ルイス・スティーヴンスン

ジキル博士とハイド氏

ホラー小説の古典的名作です。『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタイン』などと並び称され、現代に語り継がれているのがポイント。ミュージカルでも上演されている小説です。

深夜のロンドンで、風変わりな男性・ハイドが十字路で少女を踏みつけて、医師・ジキル博士の屋敷に入っていきます。アタスン弁護士が疑うように、博士の身辺には怪事件が多発して…。はたして、ハイドとはいったい何者なのでしょうか。

少しずつ迫りくる恐怖をホラー調に演出しているのが特徴の小説。大学時代に古典的な小説に触れておきたい方におすすめの1冊です。

大学生におすすめの小説|SF・ファンタジー

一九八四年 新訳版

早川書房 著者:ジョージ・オーウェル

一九八四年 新訳版

20世紀文学のなかでも特に著名な、ジョージ・オーウェルの小説です。舞台は、ビッグ・ブラザーが率いる党が社会を支配する全体主義的な近未来。日本を代表する作家・村上春樹の『1Q84』が、本作品を意識して書かれている点にも注目してみてください。

真理省記録局で働くウィンストン・スミスの仕事は、歴史の改竄。しかし、スミスは全体主義的な社会の在り方に不満を感じているのでした。ある日、自由に生きる美女・ジュリアと出会ったスミスは、反政府地下活動に興味を持ち始めていきます。

現実の社会にも見え隠れする、ディストピア的な側面を突きつけられる小説。社会の在り方や自由に生きることの意味ついて考えたい大学生におすすめです。

パプリカ

新潮社 著者:筒井康隆

パプリカ

現実と夢が交錯する舞台で白熱する筒井康隆の超電脳サイコサスペンス小説。1995年と2007年に2度にわたってコミカライズ、2006年には今敏監督によってアニメ映画化された小説でもあります。

他人の夢に入り込み精神病を治療する夢探偵・パプリカ。表の顔は、精神医学研究所に勤めるノーベル賞級の研究者・千葉敦子でした。しだいに、最新型精神治療テクノロジーで人格の破壊すらも可能といわれる「DCミニ」の争奪戦が激化し、極限状態へ陥っていきます。

夢と現実の境目があいまいになっていく様子が印象に残る小説。読むのに少し体力を使う作品なので、時間と余裕のあるときに腰を据えて読むのがおすすめです。

2001年宇宙の旅 決定版

早川書房 著者:アーサー・C・クラーク

2001年宇宙の旅 決定版

宇宙で起きた壮大な物語を描いたSF小説。同作を原作としたスタンリー・キューブリック監督による実写映画は、映画史に残る不朽の名作として語り継がれています。著者による序文を付け足した決定版です。

三百万年前に地球に出現したモノリス。月面では似たような石板が発見されます。一方で有人飛行船ディスカバリー号は任務のために木星へと赴きますが、道中で宇宙船のコンピュータHAL9000は人類に反旗を翻してしまい…。

唯一生き残ったボーマンが辿る運命に注目したい小説。難解で知られる映画作品に対して原作は細部まで描かれており、映画を鑑賞して理解できなかった方にもおすすめです。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

早川書房 著者:フィリップ・K・ディック

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

SF作家のフィリップ・K・ディックが、今までにない発想と美しい筆致で描いた未来世界の物語。リドリー・スコット監督によるSF映画『ブレードランナー』の原作でもあります。

戦争によって放射能灰に汚染された地球では、生きた動物を所有しているかどうかが地位の証になる世界になっていました。人工の電気羊しか飼えないリックは、火星から逃げ出した8人の奴隷アンドロイドにかけられた賞金を目当てに狩りを決意するのでした。

アンドロイドと人間の違いとは何かを考えさせられる小説。自分の理想のために苦悩するリックや、人間のようなアンドロイドの姿に考えることの多い作品です。

All You Need Is Kill

集英社 著者:桜坂洋

All You Need Is Kill

戦場での成長と選択を描く、タイムリープバトルアクション小説。宇宙からの侵略者・ギタイによって滅ぼされかけている近未来世界が舞台です。ハリウッドで『オール・ユー・ニード・イズ・キル』というタイトルで実写映画化もされています。

キリヤ・ケイジは、ギタイと戦う統合防疫軍の兵士として初出撃しますが、戦闘中に戦死してしまうのでした。しかし、死後に出撃前日に戻るタイムリープ能力によって再び戦場へ赴きます。

死んで戦ってを繰り返すなか、ケイジは成長を遂げてゆき、やがてある女性と再会して…。読みやすい小説なので、読書が苦手という大学生にもおすすめです。