ほかの文学作品では得られない体験ができる「詩集」。詩は著者の感情がストレートに表現されており、少ない言葉のなかに多くの知見を得られるのが魅力です。特定のテーマに沿ったり、多様なテーマの詩を収録したりした詩集は、人生のさまざまなシチュエーションで読者の心を支える1冊として活躍します。
今回は、おすすめの詩集をご紹介。年代別のおすすめ作品や海外作品をピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。
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- 目次
- そもそも「詩」とは?
- 詩集の魅力
- 詩集のおすすめ|人気・定番作品
- 詩集のおすすめ|小・中学生向け
- 詩集のおすすめ|高校生・大学生向け
- 詩集のおすすめ|大人向け
- 詩集のおすすめ|海外作品
- 詩集の売れ筋ランキングをチェック
そもそも「詩」とは?
詩は文学様式のひとつです。自然や日常の出来事などから感じ取った想いを、リズムをもつ言語形式で表現することで作品として成立します。
押韻・韻律・字数などにルールがある「定型詩」と、規則に縛られない「自由詩」「散文詩」の2種類があるのも特徴。表現によっても違いはあるものの、著者が感動した事柄から着想を得て表現する「叙情詩」と呼ばれる詩が多いのもポイントです。
詩集の魅力
詩集には、著者や編者が特定のテーマに沿って選定した詩が掲載されています。愛する家族のため、生きる意味を見出すため、季節の豊かさを感じるためなど、自分の心情に合った詩集を選ぶことで、深い感銘を受けられるのが魅力です。
また、1冊のなかに複数のテーマを持つ詩を並べた詩集もおすすめ。多様な詩に触れたい方や、さまざまなシチュエーションで手に取れる詩集を探している方はぜひ読んでみてください。
詩集のおすすめ|人気・定番作品
汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集
KADOKAWA 著者:中原中也
若くして亡くなった天才詩人・中原中也の詩を堪能できる詩集です。編者は佐々木幹郎。著者の素顔を映し出したような詩を楽しめます。
日本の近代詩史を語るうえで外せない詩人・中原中也。本作品は、30年という短い生涯の中で作られた詩のテーマとしてよく用いられた、「生きる」「恋する」「悲しむ」という3つのキーワードに注目した詩集です。制作時期も考慮して作品を選定しています。
中原中也の代表作であり表題作の『汚れつちまつた悲しみに……』をはじめとする、数々の名作を心に刻める1冊。天才と称された詩人の言葉を知りたい方におすすめです。
にほんの詩集 寺山修司詩集
角川春樹事務所 著者:寺山修司
放送劇や写真など、ジャンルの垣根を超えてさまざまな芸術分野で才能を発揮した寺山修司の詩集です。高校在学中から詩や俳句に目覚めたとされています。演劇にも情熱を傾け、国際的にも大きな影響を与えたといわれる著者の作品です。
戦後の高度経済成長時代にあった日本で、あふれる才能を駆使して活躍した寺山修司。本作品では、『故郷の母のことを思い出したら』『幸福が遠すぎたら』『五月の詩』など、詩を中心に短歌・俳句・歌謡曲までを幅広く収録しています。
青春の痛みと優しさを持ち合わせた寺山修司の魅力を堪能できる詩集。鬼才と呼ばれる人物の詩に触れてみたい方におすすめです。
萩原朔太郎詩集
岩波書店 著者:萩原朔太郎
日本近代詩の父と称される詩人・萩原朔太郎の詩集。代表作で処女作の『月に吠える』や第2詩集『青猫』をはじめとして、創作年順に収録されています。
近代人の心の内を表現した「口語自由詩」を確立した萩原朔太郎。近代人の病的な憂鬱感や孤独などを表現した作品が多く、独特な世界観を持っているのが魅力です。
本作品では萩原朔太郎の軌跡や世界観を余すところなく堪能できます。近代詩を語るうえでは欠かせない、おすすめの詩集です。
藤村詩集
新潮社 著者:島崎藤村
一度読んだら忘れられない近代浪漫詩の魅力を楽しめる島崎藤村の作品です。本作品と向き合うことで、青春時代の自分と再び出会えると評価されています。
代表作である『初恋』『高楼』、ほかにも『千曲川旅情の歌』『椰子の実』などを収録。青春の日の気持ちを、爽やかでみずみずしい調べによって心に残る詩へと昇華させています。
著者の代表作を1冊にまとめ上げた詩集。夏目漱石からも認められた自然主義文学の旗手が書いた詩を読みたい方におすすめです。
自選 谷川俊太郎詩集
岩波書店 著者:谷川俊太郎
国内外で絶大な人気を集める詩人・谷川俊太郎の自選詩集です。同氏がつづった、2000を超える全詩のなかから厳選した173編を収録。1952年に刊行された『二十億光年の孤独』をはじめとして、2009年までに刊行された詩が掲載されてます。
『かえる』『かっぱ』『おならうた』など、子供が楽しめる詩から、『今日のアドリブ』や『日本語のカタログ』といった実験的な詩まで、さまざまなテイストの有名な詩を楽しめるのがポイントです。
作品によって文体が異なり、リズム感あふれる谷川俊太郎の「言葉の宇宙」を堪能できる内容。名詩人の軌跡をたどりたい方におすすめの1冊です。
倚りかからず
筑摩書房 著者:茨木のり子
何者にも依存せず、どのような時でも「個」として美しく生きることを貫いてきた詩人・茨木のり子のベストセラー作品です。著者の晩年に刊行され、累計27万部を突破するヒット作になりました。
感受性の豊かさに加え、個人としてあり続ける意志の強さから紡ぎ出される力強さが著者の詩の魅力。本作品は、15編からなる詩集『倚りかからず』に『球を蹴る人』『草』『行方不明の時間』の3編が追加された決定版です。作家・高瀬省三による16点の挿絵も添えられています。
難しい言い回しは使わないストレートな表現の数々に、著者の凛とした風格と愛が垣間見られる1作。背筋が伸びるような読み味を堪能できる、おすすめの詩集です。
にんげんだもの
文化出版局 著者:相田みつを
書家で詩人の相田みつをが、60歳のときに初めて刊行した詩集です。雑誌「銀花」にて紹介された、著者の味わい深い書と言葉がまとめられているのが特徴。世代を超えて親しまれるロングセラーの名作です。
『つまづいたって』『ただいるだけで』『その時の出逢いが』など、著者の代表作が数多く収録されているのが魅力。人間のさまざまな生き様を肯定するような詩が、ひらがなを中心とした柔らかな書体で表現されています。
飾らない言葉でまっすぐ語りかけてくるような詩からは、人生を前向きに生きるためのヒントが多数。ふと気持ちが軽くなるような詩集が読みたい方におすすめの作品です。
智恵子抄
新潮社 著者:高村光太郎
彫刻家で詩人の高村光太郎が、自身の妻・智恵子との思い出や深いつながりを綴った詩集です。情熱的に始まった2人の恋愛時代や短い結婚生活での出来事、恵子が発病してから永遠の別れに至るまでが、詩としてまとめられています。映画の原作にも採用された名作です。
貧しいながらも2人で創作に打ち込み、互いの創作活動に深い理解と愛情を持っていたという高村夫妻。しかし、智恵子は精神疾患に倒れ、正気を失ったままに病によりこの世を去りました。著者の視点から見た智恵子の様子や心のあり様が、物語のように記されているのが特徴です。
それぞれの詩や散文からは、生涯を通して妻への愛を貫き続けた著者の深い鎮魂と真摯な思いがうかがえます。誰かを尊重する素晴らしさや純愛の心に触れられる、おすすめの詩集です。
詩集のおすすめ|小・中学生向け
生きる
福音館書店 著者:谷川俊太郎
小中学生が読むのにも適しているとされる谷川俊太郎の詩集。著者の詩を、岡本よしろうのイラストと共に絵本に仕立てることで、より子供にも親しみやすくなっているのが特徴です。
本作品は、生きることについて、さまざまな人生の瞬間を切り取っています。小学生のきょうだいと家族が過ごしたとある夏の1日を取り上げているのがポイントです。
絵を描いたり、夕方に母親の買い物について行ったりと、子供たちの行動のなかに生きていることの本質があると訴えかけます。
小中学生に、生きることとはどういうことなのかを考えるきっかけを生み出せる作品。子供が初めて読む詩集にぴったりの1冊です。
詩のこころを読む
岩波書店 著者:茨木のり子
詩人としても知られる茨木のり子が、著名な詩をピックアップし解説をしている詩集。著者が感銘を受け、大切にしてきた詩を情熱的に語っているのが特徴です。
よい詩とは人の心を解き放つ力を持っているだけでなく、生き物への愛おしい気持ちを呼び起こす力も秘めていると著者は語ります。生まれること・恋・別れなどのテーマ別に、さまざまな詩に触れられるのも魅力。無数の言葉を用いて表現される、すばらしい詩の世界へ読者は導かれていきます。
小中学生から大人まで、幅広く楽しめる「岩波ジュニア新書」の1冊なので、子供が読む詩集としても適しているのもポイント。詩人がピックアップした多様な詩に触れたい方におすすめです。
金子みすゞ名詩集
彩図社 著者:金子みすゞ
金子みすゞの心に残る詩が収録されている詩集です。早熟の天才として、西條八十から「若き童謡詩人の中の巨星」と評された金子みすゞ。26歳で自死し、若くしてこの世を去っている詩人でもあります。
本作品では『こだまでしょうか』『大漁』『星とたんぽぽ』『私と小鳥と鈴と』など、著者を代表する名詩を93編収録。どの詩にも小さな動植物に対する慈愛の精神、さらに子供がもつ感性があふれています。子供の目線は感性でつづられているので、小中学生も読みやすい作品です。
まど・みちお詩集
岩波書店 著者:まど・みちお
童謡『ぞうさん』『一ねんせいになったら』などの作詞で有名な詩人まど・みちおの詩集。『ぞうさん』をはじめとして、『やぎさん ゆうびん』『ドロップスの うた』といった詩や、エッセイを含む172編が収録されています。
子供の世界や自然の不思議など、生まれて初めて世界を見たような驚きを感じられる1冊。100歳を過ぎても詩作を続けたまど・みちおの、優しくも深い言葉の数々を楽しめます。小中学生の子供はもちろん、大人が読んでも楽しめるおすすめの詩集です。
どこにでもあるケーキ
ナナロク社 著者:三角みづ紀
第1集にして中原中也賞を受賞した三角みづ紀がおくる、中学生におすすめの詩集です。13歳の頃に記憶を重ね、思春期の目線から書き下ろした33編の詩を収録。すべて一貫して1人の人物の視点で詠まれており、短い物語のような感覚で読める構成になっているのが魅力です。
綴られているのは、思春期の頃に多くの人々が感じる心や身体の変化、家族との関係性への戸惑い、教室で感じる疎外感や世界の美しさなど。同年代の読者の共感を呼び、大人の失った過去の記憶を呼び起こすような情景と繊細な心情の数々が表現されています。
小口と天地には赤インクで色付けし、細い金の箔でタイトルを彩るなど、装丁に趣向が凝らされているのもポイント。不安と希望に揺れる思春期の小・中学生へのプレゼントとしてもおすすめの詩集です。
のはらうた 1
童話屋 著者:くどうなおこ
小学校・中学校の国語の教科書にも掲載された、詩人・工藤直子の詩集。生き物や植物など、自然界にあるさまざまな声に耳を傾け、詩として形にしたものがまとめられています。シリーズ化されており、全5巻のほか関連書籍も多数刊行されている人気作です。
野原に生きる草木や虫たちの声を代弁しているような、ユーモラスな詩が満載。それぞれに「かまきりりゅうじ」「かぜみつる」などの名前が付けられており、擬人化された彼らの心が詩として詠まれています。
詩を通して、身の回りにある自然を身近に感じられる1作。リズミカルな詩は平易なひらがなで書かれているため、小学生の1人読みや、幼児に読み聞かせる詩集としてもおすすめです。
ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集
福音館書店 著者:斉藤倫
日本の詩人の詩を20編取り上げた、アンソロジー形式の詩集です。大人の「ぼく」と小学生の「きみ」が対話しながらそれぞれの詩を紹介していく、小説形式になっているのが見どころ。10章からなる一連のエピソードを通して、日本のさまざまな名詩に触れられます。
取り上げられているのは、まど・みちおや萩原朔太郎・長田弘・石垣りんなど、さまざまな年代の詩人の詩。子供らしい素朴な疑問を抱える「きみ」が、各詩を「ぼく」と読み解きながら、詩と言葉について考えを深めていく様が描かれています。
詩の楽しみ方がわからないという小学生・中学生におすすめの本作品。詩の入門書として、ぜひ親子で読んでみてください。
詩集のおすすめ|高校生・大学生向け
新編 宮沢賢治詩集
新潮社 著者:宮沢賢治
宮沢賢治が残した力強い詩を収録した詩集です。『春と修羅』や『雨ニモマケズ』などの名作をはじめとして、著者の本質を伺える132編を楽しめます。編者は天沢退二郎です。
豊かな想像力と斬新な言葉遣いで、読者に衝撃を与えた宮沢賢治。37歳という若さでこの世を去るまで、自分の内側に潜むものと向き合い続けていました。自然と深く結びついて生まれたイメージから着想し、推敲・修正を繰り返してひとつひとつの作品を生み出していたとされています。
頭で理解しようとせず、心で捉えて親しみたい詩集のひとつ。圧倒的なイメージや豊富なボキャブラリーを有しており、若いうちに読んでおきたい多くの詩を収録しています。
詩集 私を支えるもの
KADOKAWA 著者:銀色夏生
明日を前向きに生きるためのエールになる言葉が詰まった、詩人・エッセイストの銀色夏生の詩集。ありのままの日常を正面から見つめた撮り下ろしの写真に書き下ろしの詩を添えた、写真詩集の形式を取っているのがポイントです。
空気や光を感じ取れるような情感豊かな風景写真とともに、素直な言葉で綴られるさまざまな詩。自分の心の中で見失いがちな前向きな気持ちを呼び起こす、等身大の言葉の数々が収められています。
ありのままの自分を肯定し、日常に少しの希望を持てるような読み味が魅力。日常に閉塞感を感じている高校生・大学生におすすめの1作です。
空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集
新潮社 編者:寮美千子
少年刑務所の受刑者たちが綴った詩を集めた詩集です。編者は、奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」の講師を務め、絵や詩を通して受刑者の心に寄り添い続けた童話作家・寮美千子。本作品には編者によって厳選された、感動的な57編の詩が収録されています。
奈良少年刑務所で服役しているのは、17〜26歳未満の青少年たち。それぞれに傷つき、心を固く閉ざしていた彼らが、隠していた葛藤・後悔・優しさなどのありのままの感情を表現した詩が収録されています。
それぞれの詩には、詠んだ受刑者の背景や教室での様子などのコメントが添えられているのもポイント。どのような思い・状況のもとで詩として形になったのかが、あわせて理解できます。受刑者の心の内側にある等身大の感性を垣間見られる、おすすめの作品です。
すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間
マガジンハウス 著者:ハ・テワン
70万部を突破する大ヒット作になった、韓国の作家ハ・テワンの恋愛をテーマにした詩集です。韓国のSNSやエンターテインメント業界で話題を集め、爆発的なブームを巻き起こしました。2018年には韓国でYES24今年の本賞に輝いています。
「僕」が「君」に向けて語りかける形式の短い詩が、淡い色合いと柔らかなタッチのイラストとともに収録されているのが特徴。あたたかくも切ない恋心や、人生を不器用に生きる人への励ましの言葉が、ロマンチックな詩として表現されています。
疲れた心に寄り添い、癒してくれるような美しい表現が多数。恋愛に傷つき、辛い別れを経験した方にもおすすめの詩集です。
適切な世界の適切ならざる私
筑摩書房 著者:文月悠光
注目を集める現代詩人・文月悠光が、高校3年生のときに発表した第1詩集です。第15回中原中也賞・第19回丸山豊記念現代詩賞を史上最年少で受賞した秀作。海外でも翻訳出版されています。
著者が14〜17歳のときに綴った詩が収められている本作品。『落花水』『適切な世界の適切ならざる私』のほか、文庫本には単行本未収録だった詩も収録されています。学校と自室の往復のなかで見えてきた景色を、まるでスリルのある冒険かのように捉えて詠んだ斬新な世界観が魅力です。
多くは10代の少女の視点から綴られているのが特徴。大人でも子供でもない時期に感じる生きることへの息苦しさや揺れ動く心情が、ささやかな日常の情景から巧みに表現されています。詩集を初めて読む高校生にもおすすめの1作です。
立原道造詩集
角川春樹事務所 著者:立原道造
第1回中原中也賞に輝くも、24歳で早逝した詩人・立原道造の詩集です。室内音楽のようなソナチネ風の美しい抒情詩が魅力的な著者。本作品では、著者独自の詩的世界を網羅した約130の詩が収録されています。
『萱草に寄す』『暁と夕の詩』『優しき歌』『散歩詩集』などの、著者を代表する名詩集がまとめられているのがポイント。哀愁ただよう切ない詩からユーモラスな詩まで、それぞれに青春時代の眩しさや孤独を感じさせるようなみずみずしい表現が詰まっています。
大正から昭和にかけて生き、夢を追って短い生涯を全うした青年詩人の感性に触れられる、おすすめの詩集です。
詩集のおすすめ|大人向け
求めない
小学館 著者:加島祥造
全編通して「求めない」から始まる、加島祥造のベストセラー詩集。せわしない現代に生きる大人にこそ必要な考え方が詰まった1冊です。
本作品は、人間とは求める存在であると認めながらも、求めることを減らすことで新しい可能性が開けると示唆しています。繰り返して読むことで、安らかな生活を手に入れるきっかけになる詩集です。
本作品はテレビ番組など各メディアでも取り上げられました。ベストセラーになった詩集を読みたい方におすすめです。
世界はうつくしいと
みすず書房 著者:長田弘
緩やかで深みのある言葉でつづられる長田弘の作品。誰もが体験する日常生活のなかの興味が、著者の洗練された知性と個性的な詩法で表現された大人のための詩集です。
『窓のある物語』『机のまえの時間』『なくてはならないもの』『世界はうつくしいと』『ゆっくりと老いてゆく』『モーツァルトを聴きながら』など、興味をそそられるタイトルの詩が27編収録されています。
著者が6年の歳月をかけ、季節ごとにひとつずつていねいにしたためた詩を味わえるのが特徴。詩を通して寛ぎを得たい方にぴったりの詩集です。
生きていてよかった
KADOKAWA 著者:相田みつを
不変のものを見つめ、日々を新鮮に生きた相田みつをの詩集です。人間の弱さや悲しみを受け入れ、ひたすら真実を追求した著者らしい作品に仕上がっています。
生きるために本当に必要なことを、飾らぬ自分の言葉で語りつづけているのが特徴。生きていくなかで出会うさまざまな壁を前にして苦悩した際、勇気をくれる詩があふれています。
著者自身が書きたかったことを自由に記せたと語った詩集。シンプルですが、奥深さを持った作品たちが生きる勇気を与えてくれます。人生に悩んでいる方におすすめの1冊です。
あたしとあなた
ナナロク社 著者:谷川俊太郎
従来の書籍の形を破る工芸品のような装丁に、37編の詩を載せた谷川俊太郎の詩集です。しっとりとした質感と鮮やかな青色を有する紙は、本作品のために特注されているのがポイント。詩が表す言葉の美しさをより引き立てる、多彩なこだわりが詰まった装丁になっています。
掲載されている詩では、半世紀以上にわたって活躍を続ける著者の新たな挑戦が垣間見られるのが魅力。37編の詩すべてに、さまざまな形で「あたし」と「あなた」の言葉が織り込まれています。著者独自の世界観が、短い言葉の連なりのなかに表現されているのが見どころです。
表紙は布張りになっており、青・白・金色の箔が全面押しされています。すべて職人の手作業で仕上げられているのも特徴。デジタル時代において、本を手に取って読む喜びを思い出させてくれる、おすすめの詩集です。
カステーラのような明るい夜
七月堂 著者:尾形亀之助
明治時代に生きた無頼の詩人・尾形亀之助の詩を、詩人・西尾勝彦の編集のもとで改めて刊行された詩集です。世の中からは逸脱して生き、40代という若さでこの世を去った尾形亀之助。ゆったりと明るくも、どこか寂しさを感じさせる著者ならではの表現の数々を堪能できます。
眠れない夜や布団から起き上がりたくない朝、どこにも出かけず部屋にこもりたい日に、何気なく浮かんだ想いをつぶやくような詩を収録。疲れた心を癒し、落ち着かせるような静かな読み味が魅力です。
原典で使われている旧仮名遣いは、読みやすいよう新仮名遣いへと改められているのも特徴。著者らしい熟語の使い方も踏まえた、原典に忠実な校正がなされています。浮世離れした明治時代の詩人の言葉に触れてみたい方におすすめの詩集です。
見えない涙
亜紀書房 著者:若松英輔
批評家・若松英輔の第1詩集です。東日本大震災以降に起こった自身の心境の変化を踏まえ、心に浮かんだ言葉を詩として形にした26編を収録。第33回詩歌文学館賞を受賞しています。
悲しみの底にあり、泣くことも忘れてしまった人々へ向けて綴られた本作品。深い喪失感で気持ちを言葉に表せない心に寄り添い、心を整える支えになるような真摯な言葉の数々が印象的な詩集です。自分の心の痛みと向き合えるような詩集を探している方は、ぜひチェックしてみてください。
最後だとわかっていたなら
サンクチュアリ出版 著者:ノーマ・コーネット・マレック
10歳の息子を亡くしたアメリカ人の著者が、その悲しみについて綴った詩を掲載した詩集です。表題の詩『最後だとわかっていたなら』は、9.11同時多発テロ事件の後に催された追悼集会にて朗読され、世界中に大きな感動を呼びました。
もしも明日が来ないと分かっていたならば、大切な人に愛をどのように伝えるべきだったかという後悔と自責の念が、詩として表現されています。静かな風景写真を背景に、日本語訳と元の英文が掲載されているのが特徴です。
56ページとコンパクトなページ数のなかに、後悔なく生きるためのヒントがちりばめられています。人との別れを経験する人生の節目に何度も読み返したい、おすすめの詩集です。
詩集のおすすめ|海外作品
ゲーテ詩集
新潮社 著者:ゲーテ
今なお、世界中の芸術家や思想家に多大な影響を与える『ファウスト』の著者としても知られるゲーテの詩集です。向学心が強く、常に努力し続けることで生涯を通して知性を高め続けたゲーテ。湧き出るような多彩さを持つ作品を数多く残しているのが特徴です。
本作品は、世界文学に欠かせぬ存在として知られるゲーテの抒情詩を中心に、物語詩・思想詩の代表作を選出し、年代順に並べています。ゲーテの生活を背景に、その知性を堪能できる詩集です。
多様なテーマの詩が収められており、著者の豊かな人間性も垣間見えるのがポイント。世界に名を残す作家の感性に触れることができる1冊です。
ポー詩集
新潮社 著者:エドガー・アラン・ポー
19世紀のアメリカ文学の巨匠エドガー・アラン・ポーの詩集。著者は芥川龍之介をはじめ、後世の文学界に多大な影響を与えた作家としても知られています。
本作品には、著者自身が『詩の原理』において生み出した過程を述べたことで有名な『大鴉』のほか、『ヘレンに』『アナベル・リイ』などの代表作を収録。悲哀・憂愁・幻想に満ちた詩の数々が印象に残る詩集です。
ポーの作品は、詩人・ボードレールがフランス語訳したことによってフランスでも注目されています。フランス象徴主義の理解を深めたい方にもおすすめです。
シェイクスピア詩集
思潮社 著者:ウィリアム・シェイクスピア
多数の名戯曲を世に送り出したイギリスの劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの詩集です。14行からなるヨーロッパの定型詩・ソネットは、シェイクスピアの有名作品を収録。美しい訳や解説とともに全62編が紹介されています。
戯曲は『ジュリアス・シーザー』『リチャード3世』『ハムレット』『ロミオとジュリエット』『マクベス』の5大劇を、原典とあわせて解釈を掲載。解説を通して、物語の流れも理解できるようになっています。
有名な作品やセリフには注釈も添えられており、読者がともに口ずさめるよう工夫が凝らされているのもポイント。詩集でありながら、シェイクスピアの作品を総合的に楽しめるおすすめの1作です。
ミルクとはちみつ
アダチプレス 著者:ルピ・クーア
20代の女性を中心に高い共感を呼んでいる、詩人ルピ・クーアのデビュー詩集。『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーリストにて第1位に輝き、全米で100万部を突破しました。全世界30ヵ国語に翻訳されている現代の名詩集です。
本作品は「傷つくこと」「愛すること」「壊れること」「癒すこと」のテーマ別に4章で構成されているのが特徴。著者が父や恋人ととの間で経験した苦い体験の先に見つけた哲学が、まっすぐな言葉で綴られています。愛・喪失・トラウマ・女性であることの意味などについて表現されているのがポイントです。
現代社会において女性として生きることの喜びや必要とされる強さについて、鋭く語りかけるような言葉が数多く盛り込まれています。国際的にも高い評価を受けている現代の詩集を読んでみたい方におすすめの作品です。
花を見るように君を見る
かんき出版 著者:ナ・テジュ
一途なラブレターのように優しさと切なさがあふれる詩を115編収録した、韓国発の詩集です。”詩人の代表作は読者が決めるもの”という著者の理念のもと、ブログやSNSで頻繁に話題に上げられた詩を厳選。日韓累計で78万部を突破するベストセラー作品になりました。
愛する人へのさまざまな愛の形と想いを詠んだ詩が多数収録されています。子供が語っているようにピュアで、まっすぐ心に響く表現の数々が魅力。繊細なタッチで描かれた、あたたかみのある花々の挿絵が添えられているのもポイントです。
40年以上にわたって韓国で教師を勤め上げた著者の、豊かな人生経験から紡がれる爽やかな詩は、幅広い世代から支持されています。好きという感情にていねいに焦点を当てた、おすすめの恋愛詩集です。
リルケ詩集
新潮社 著者:リルケ
20世紀前半のドイツ文学界で大きな存在感を示した詩人・リルケの詩集です。数々の映画や文学作品にも引用されてきたリルケの詩は、生に対する不安を繊細な感受性で詠み上げているのが特徴。本作品では、そんな巨匠の多彩な詩が年代別に掲載されています。
詩人として独自の風格を表しはじめた初期の詩集『時祷集』から、1900年代前半に綴られた『形象集』『新詩集』へと時代を経ていく構成がポイント。さらに、”現代抒情詩の金字塔”とも評された晩年の名詞『オルフォイスへのソネット』を含む、死の直前までの詩が幅広く収められています。
数ある詩のなかから、特に著者独自の特徴が表れている作品がピックアップされている1作。リルケの詩の魅力とともに、詩人として変化していく様も読み取れるおすすめの詩集です。
The Lyrics 1961-1973
岩波書店 著者:ボブ・ディラン
ロックをはじめとする現代のポップ・カルチャーに多大な影響を与えたアメリカの歌手ボブ・ディランの、自作詞をまとめた詩集です。1961〜2012年にかけて発表してきた、390曲に及ぶ全ての歌の歌詞を翻訳。年代別に2冊に分けて刊行されました。
前半にあたる本作品では、フォークの新星として音楽界に登場したデビューアルバム『ボブ・ディラン』から、ビルボードチャートの1位を獲得した『プラネット・ウェイヴズ』までの自作詞全200編を網羅。数々の名曲が、英語の原文とともに掲載されています。
ブルース・バラッド・ゴスペルなどで用いられる常套句や詩型に、独自の色を加えた詩が特徴。原文の韻やリズムを踏まえた翻訳にも注目してみてください。2016年にノーベル文学賞を受賞した吟遊詩人の言葉の魅力を味わえる、おすすめの詩集です。
詩集の売れ筋ランキングをチェック
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詩集は子供から大人まで楽しめる文学作品です。自分の心情に合ったテーマの詩集をチョイスすれば、より深く感情移入して詩を楽しめます。初めての方には写真やイラストがセットになった詩集もおすすめです。より詩の世界を深く味わいたい方は、海外の著名な詩人の詩集にもチャレンジしてみてください。