ミステリー作家として知られる「乾くるみ」。さまざまな作品を執筆していますが、なかでも、代表作『イニシエーション・ラブ』は愛読者が多い作品で、著名人にもファンが少なくありません。

そこで今回は、乾くるみのおすすめ小説をご紹介します。デビュー作から『イニシエーション・ラブ』を気に入った方におすすめの作品まで紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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イニシエーション・ラブで有名な「乾くるみ」とは?

乾くるみは、1963年静岡県生まれの作家です。静岡大学で数学を専攻しており、1998年に『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞しデビューしました。

主にミステリーを得意としており、中学生のころからミステリー作家を志していた筋金入りのミステリー愛好家。小説を書く際は、トリックを最優先に考えていると述べています。

代表作『イニシエーション・ラブ』は150万部を越えるベストセラー作品。市川尚吾名義で評論家としても活躍している点にも注目してみてください。

乾くるみ作品の魅力

乾くるみ作品は緻密に計算された物語の構成や奇想天外なアイディアが魅力。『イニシエーション・ラブ』や『Jの神話』などで見られるように、クライマックスで予想の斜め上をいく展開をみせる物語を堪能できます。

さらに、ロジカルに突き詰められた作品や古典的なミステリーにオマージュをした作品にも注目。読み終えたあとに、もう一度読み返したくなるような作品を探している方におすすめの作家です。

乾くるみのおすすめ小説

イニシエーション・ラブ

文藝春秋 著者:乾くるみ

イニシエーション・ラブ

読み終えた直後に、思わずもう1度読み返したくなる乾くるみのミステリー作品。著者を代表するベストセラーです。映像化は不可能といわれながら、2015年に実写映画化されました。

本作は「side-A」「side-B」の2部構成。side-Aでは、代打で合コンに呼ばれた大学生・鈴木が、歯科衛生士・マユと出会って恋に落ちるまでが描かれます。sede-Bに入ると、東京で働くことになった鈴木が静岡のマユと遠距離恋愛を続けますが…。

最後の数行で物語は衝撃の展開を迎えるので、先に結末を読まないようにするのがポイント。乾くるみ作品のなかでも特に人気の高い作品が読みたい方におすすめです。

セカンド・ラブ

文藝春秋 著者:乾くるみ

セカンド・ラブ

驚愕の恋愛ミステリーと称される乾くるみの小説。代表作『イニシエーション・ラブ』に続く2度読みしたくなる作品です。

1983年の元旦に「僕」は会社の先輩とスキー旅行に出かけ、春香と出会います。惹かれあう2人はやがて交際を始め、幸せな日々を過ごしていたのでした。しかし、突然現れた春香と瓜二つの美奈子によって、平穏な日々に変化が生じて…。

性格の異なる春香と美奈子の間で揺れる主人公が、どのような行動に出るのかが見どころ。『イニシエーションラブ』を読んで衝撃を受けた方にもおすすめの作品です。

リピート

文藝春秋 著者:乾くるみ

リピート

ミステリーの定石を打ち破る芸当に挑戦した乾くるみの作品。名作『リプレイ』と『そして誰もいなくなった』の要素を盛り込んだ仰天の傑作と謳われています。

現在の記憶を保持した状態で、10ヶ月前の自分に戻れる「リピート」。夢のような誘いに不信感を持ちつつも、10人の男女は人生のやり直しに挑戦します。しかし、参加者であるリピーターたちはひとりずつ不審な死を遂げていき…。

古典的なミステリーにSFと恋愛要素が融合した、斬新な設定が印象に残る作品。ほかにはあまりない雰囲気を持った小説を読んでみたい方におすすめです。

嫉妬事件

文藝春秋 著者:乾くるみ

嫉妬事件

予測不能のキャンパスミステリーを描いた乾くるみの作品。京都大学推理小説研究会で起きた実話をベースに執筆されているのがポイントです。

城林大学ミステリ研究会には、クリスマスシーズンの恒例行事がありました。それは、部員の描いた小説を朗読し、犯人当てを行うというもの。ある年、部室に来た部員たちは本棚の方から漂ってくる悪臭に気付きます。最上段に並んだ本の上には、ある物体が置いてあって…。

犯人は誰なのか、動機は何なのか、部員たちのあいだで推理が繰り広げられます。予期せぬところに伏線が張られているのも魅力のひとつ。作品のなかで一緒に推理を楽しみながら読むのがおすすめです。

Jの神話

講談社 著者:乾くるみ

Jの神話

女性の持つ闇を追求した乾くるみの小説。第4回メフィスト賞を受賞した、筆者のデビュー作でもあります。

全寮制の名門女子高に連続して起きる不可思議な事件。1年生が塔から転落し、生徒会長は「胎児なき流産」によって死亡してしまいます。やがて、事件の謎に迫る女探偵・黒猫と、新入生・優子にも危険が迫り…。事件の裏に見え隠れする「ジャック」とは、一体誰なのでしょうか。

著者の独特な発想が遺憾なく発揮されている点に注目。読者の想像を越える、乾くるみ作品らしい結末を堪能してみてください。

匣の中

講談社 著者:乾くるみ

匣の中

乾くるみ作品のなかでも特に難解なミステリー小説。「第4の奇書」と評価されている、竹本健司の『匣の中の失楽』へのオマージュ作品です。

探偵小説愛好家グループの中心人物・伍黄零無が意味不明な言葉を残して密室から消えてしまいます。さらに、グループのメンバーである仁行寺馬美のモデル小説に則って密室殺人が連続して発生。推理合戦を経て明らかになってゆく衝撃の真相とはどのようなものなのでしょうか。

読み応えのある乾くるみ作品に挑戦したい方におすすめの1冊です。

カラット探偵事務所の事件簿 1

ピーエイチピー研究所 著者:乾くるみ

カラット探偵事務所の事件簿 1

乾くるみが描く、連作ミステリの短編集です。タイトルにもあるカラット探偵事務所は、謎解きだけを扱う風変わりな事務所。探偵・古谷と助手・井上は、事務所に舞い込んだ事件を見事に解決していきます。

作家男性の浮気を暴く『卵消失事件』、武家屋敷のような豪邸に突き刺さった矢の秘密を探る『三本の矢』や、3つの和歌から宝探しに挑む『兎の暗号』。『別荘写真事件』『怪文書事件』『三つの時計』の計6編を収録しています。

シリーズ化されており、3作目まで展開されている点にも注目。読みやすい筆致でありながら、謎解き部分は緻密に計算されているのも魅力です。

スリープ

角川春樹事務所 著者:乾くるみ

スリープ

乾くるみのミステリー小説。クライマックスに思いもよらぬ展開をもたらす、著者らしい作品です。

テレビで人気のリポーター・羽鳥亜里沙は、冷凍睡眠装置の研究で知られる「未来科学研究所」の取材を行うために茨城県つくば市に向かいます。撮影の休憩中に、立ち入り禁止の地下5階に忍び込んだ亜里沙。そこには禁断の光景が広がっていて…。

科学技術が発展しすぎた世界で起こりえる未来について考えさせられる作品。著者の代表作でもある『イニシエーションラブ』が好きな方にもおすすめの1冊です。

セブン

角川春樹事務所 著者:乾くるみ

セブン

トリックに満ちた作品を楽しめる、乾くるみの短編集。何度も読み返して楽しめるのが魅力の1冊です。

シンプルなトランプの数当てゲームが、生死をかけた心理バトルに変わってしまう『ラッキーセブン』や、掌編『一男去って……』。捕まった兵士が生存をかけて作戦を遂行する『ユニーク・ゲーム』など、緻密に練り上げられた7編を収録しています。

タイトルの通り、「7」をテーマに展開していくストーリーに注目。大学時代に数学を専攻していた著者らしい、ロジカルな作風がポイントです。頭を使いながら小説を読みたい方はチェックしてみてください。

クラリネット症候群

徳間書店 著者:乾くるみ

クラリネット症候群

初めて乾くるみ作品に挑戦する方におすすめの1冊。斬新なアイディアを用いて執筆された作品で、ユーモア溢れる小説に仕上がっています。

本作品は表題作『クラリネット症候群』と『マリオネット症候群』という2つの中編によって構成されているのがポイント。『クラリネット症候群』は、クラリネットが壊されたことで生じた世界の異変に注目したい作品。また、『マリオネット症候群』は、自分の身体が他人によって乗っ取られる物語です。

いずれもリズム感のある読み心地のよいエンターテインメント作品。乾くるみのユーモア溢れる作品を読みたい方におすすめです。