独自の世界観と幅広い作風で、数々のヒット作を生み出してきた作家・新堂冬樹。そのエンターテインメント性から、これまで映画化や舞台化、漫画化されている作品も多いのが特徴です。

今回は、新堂冬樹のおすすめ小説をピックアップ。「黒新堂」「白新堂」のそれぞれの代表作も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ノワール小説から恋愛小説まで描く「新堂冬樹」とは?

新堂冬樹は1966年、大阪生まれの作家です。18歳の時に会社を設立し、19歳という若さで成功を収めています。金融会社に身を置いたあと、コンサルト業などをしながら執筆活動を続けています。

1998年、『血塗られた神話』で第7回メフィスト賞を受賞し、作家としてデビュー。ハードボイルドな暗黒小説や、オーソドックスな恋愛小説まで、多様な作風が特徴です。著者は“新しいことに挑戦をするのが好き”と話しており、今後の作品にも期待が高まります。

新堂冬樹作品の魅力

徹底した残酷さを描き出すことで話題を集めていた新堂冬樹。その作風は金や暴力など社会の闇を描くダークな「黒新堂」と、純愛や感動的でピュアな恋愛などを描く「白新堂」に分けられています。

そんな2つの顔を持つ新堂冬樹の魅力は、バラエティに富んだ作品の数々。扱うテーマはさまざまで、裏社会をベースにした作品や、実体験を元にした作品、実際に起こった事件ものまであります。新堂冬樹作品が読者を飽きさせない、人気の理由のひとつです。

新堂冬樹のおすすめ小説

忘れ雪

KADOKAWA 著者:新堂冬樹

忘れ雪

ミステリー要素も楽しめる「白新堂」の純愛物語。ノワール小説という作風から「白新堂」「黒新堂」とわけて呼ばれるようになったきっかけの作品でもあります。映画化や舞台化もされたベストセラー作品です。

ある日、死にそうな子犬を拾った深雪。祖母の“春先に降る雪に願い事をすると必ず叶う”という言葉を信じて、子犬の回復を願いました。そこに、獣医を目指している桜木が通りがかり、子犬を治します。不思議な縁で惹かれ合ったふたり。出会いと別れのあと、「7年後の同じ時間、同じ場所」での再会を約束しますが…。

ピュアな「白新堂」の魅力を感じられる本作品。途中からの、残酷さも交えた「黒新堂」節も見どころとなっています。一筋縄ではいかない紆余曲折のある物語が好きな方におすすめしたい作品です。

虹の橋からきた犬

集英社 著者:新堂冬樹

虹の橋からきた犬

自身の実体験も含まれているという新堂冬樹の小説。ペットロスからの希望を描いた内容に、共感を覚える方も多い作品です。

ワンマン社長の主人公・南野は、傲慢な態度のせいで孤立することになってしまいました。そんなある日、ゴールデン・レトリバーの子犬を飼うことに。その子犬「パステル」との出会いで、南野は大きく変わっていきます。パステルの純粋さに触れ、心を開き、ソウルメイトとなった彼ら。孤独な男と、一途な犬の永遠の絆を描いた、感動を呼ぶ物語です。

仕事人間で思いやりを忘れてしまった主人公が、あたたかな心を取り戻していく過程に注目。動物好きな方におすすめの小説です。

吐きたいほど愛してる。

新潮社 著者:新堂冬樹

吐きたいほど愛してる。

“新堂冬樹にしか描けなかった”と謳われている、暗黒純愛短編小説集。ダークサイドの「黒新堂」をたっぷり味わえる、おすすめの作品集です。

歪んだ妄想を持つストーカー気質の男の話からはじまる本作品。ほかにも、精神が壊れて奇行に走る妻の物語や、老人が実の娘に虐待をうけるという物語などが楽しめます。

思わず目を背けたくなるような描写も「黒新堂」作品ならではの見どころ。物語にインパクトを求めている方、新堂冬樹節を堪能したい方におすすめの短編小説集です。

アサシン

KADOKAWA 著者:新堂冬樹

アサシン

アサシン(暗殺者)が主人公の新堂冬樹作品。「黒新堂」のハードボイルドな作品ですが、「白新堂」の恋愛描写も感じられる1作です。2011年には映画化もされています。

幼いときに両親を殺されてしまった主人公の花城涼。その後、育ての親から暗殺者になる訓練を受け、一流のアサシンに成長します。完璧な殺し屋として生きる花城でしたが、ある日、状況が一変。それは、助けた女子高生のリオを殺すか、それとも…。

スリリングな展開に読む手が止まらなくなる物語。ノワールの「黒新堂」とピュアな「白新堂」がバランスよく交わった、臨場感のあるストーリーを楽しめる小説です。

血塗られた神話

幻冬舎 著者:新堂冬樹

血塗られた神話

第7回メフィスト賞を受賞した、新堂冬樹のデビュー作。実際に、金融界に身を置いていた著者が描く金融界の復讐劇です。

債務者への容赦ない取り立てから「悪魔」と呼ばれるようになった街金融の経営者・野田秋人。ある日、そんな彼の元に惨殺された新規客の肉片が届きました。調べ始めた野田は、債務者を自殺に追い込んでしまった5年前の記憶を思い出します。

そして、その事件に浮かび上がる、愛した女の名前。謎が深まるこの事件、犯人は誰なのでしょうか。

デビュー作ながらも、驚くような衝撃のラストは本作の見どころ。闇社会を描く物語や、リアリティーを求める方におすすめの一冊です。

溝鼠

幻冬舎 著者:新堂冬樹

溝鼠

「出版界初のR指定」という前宣伝で話題を集めたおすすめの小説。過激すぎる内容から注目を浴びました。「黒新堂」の魅力を楽しめる暗黒エンターテインメント作品です。

主人公は、復讐代行屋の幸福企画を経営する鷹場英一。対象者に屈辱や絶望を与え、人の不幸を生きがいとしていました。そんなある日、依頼を受けた女性対象者の髪の毛と眉毛を剃り落とし、さらには頬までも切り裂きます。報酬は200万。仕事を完璧にこなした英一のもとに9年ぶりに父親が訪ねてきました。さっきこなした仕事は、「偽の依頼だった」と明かされます。

登場する人物は、全員が悪人。炸裂するおぞましい暴力描写を、怖いもの見たさで読了してしまう方が多い、好奇心を刺激する一冊です。

ある愛の詩

KADOKAWA 著者:新堂冬樹

ある愛の詩

「白新堂」の代表作のひとつと言われているおすすめの純愛小説。2006年にドラマ化もされており、思わず小笠原に行きたくなる美しい物語です。

舞台は、自然が美しい小笠原と都会の東京。心のやさしい青年・拓海と、東京からやってきた音大生・流香は、イルカのテティスに導かれ出逢います。惹かれ合うふたりには悲しい過去がありました。ふたりを取り巻く悲しい運命、それぞれの視点で交わりながら物語は進んでいきます。

まるでそこに海を感じるような美しい風景描写は、物語の魅力。オーソドックスなラブストーリーを読みたい方におすすめの新堂冬樹作品です。

カリスマ(上)

幻冬舎 著者:新堂冬樹

カリスマ(上)

新興宗教をテーマに、恐怖で埋め尽くした「黒新堂」代表作のひとつ。カルト教団はどのように出来上がり、いかにして洗脳するのか、人間の弱さや醜さに踏み込んだ内容になっています。

主人公は、「神の郷」の教祖・神郷宝仙。子供を一流の学校に入学させたい、妻の病気を治したい…。人のさまざまな弱みにつけ込み、「神の郷」設立から10年で2000人の教徒に成長しました。教祖の神郷宝仙は、あらゆる欲望の滅失を説きますが、自身は私利私欲の塊で教徒を洗脳します。

衝撃的すぎる凄惨なプロローグからはじまり、最後まで展開が気になるおすすめの作品。宗教のせいで家族を失った少年が、復讐ではなく、教祖となり信者を増やしていくというエキセントリックな物語です。

黒い太陽(上)

祥伝社 著者:新堂冬樹

黒い太陽(上)

風俗産業の闇を描いた新堂冬樹作品。2006年にドラマ化もされた、傑作サスペンスです。

父親の入院費を稼ぐため、池袋にあるキャバクラ「ミントキャンディ」で働く黒服・立花篤。はじめは嫌悪していた水商売の世界でしたが、キャストへの恋心やギラギラした世界に、次第に魅了されていきます。昇進した立花は、たちまちその世界の色に染まり、頂点を目指しはじめるのです。

スピード感のある展開で、読む手が止まらなくなる本作。欲望と野心が絡み合った夜の世界に、目が離せません。ハラハラやドキドキ、緊迫感のある成り上がり劇を楽しみたい方におすすめの新堂冬樹作品です。

僕の行く道

双葉社 著者:新堂冬樹

僕の行く道

心あたたまる少年のロードストーリー作品。静かな感動に包まれる、親子の愛と信頼の物語です。

“お母さんに会いたい!”という一心で、離れて暮らしているという母に会いにいくことにした小学3年生の沖田大志。父に嘘をつき、ひとりで旅にでますが、さまざまな困難に襲われます。それでも冒険を続ける大志。そしていよいよ、「真実」を知るときがやってきました。大志は果たしてお母さんに会えるのでしょうか。

2009年に映画化もされている1作。心がじんわりするような優しい物語を読みたい方におすすめのハートフルな作品です。