独特の世界観と巧みな言葉遊びが、唯一無二の魅力を持つ小説家「西尾維新」。テレビアニメが大ヒットした「物語シリーズ」など、話題のシリーズ作品を数多く手掛けてきました。ライトノベルと一般文芸の垣根を超える人気作家です。

今回は、そんな西尾維新が手掛けた小説から、おすすめ作品をご紹介。人気作を魅力とともにピックアップしました。ぜひ西尾維新作品に触れる手がかりにしてみてください。

言葉遊びや独特な世界観を描く「西尾維新」とは?

西尾維新は1981年生まれの小説家です。立命館大学政策科学部を中退。もともと漫画家志望でしたが、小説家に転向しました。2002年に『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』で第23回メフィスト賞を受賞し、20歳で作家デビューします。

「戯言シリーズ」のほか、アニメ化され大ヒットを記録した「物語シリーズ」など、多数のシリーズ作品を発表。多くの作品がアニメ化・漫画化などのメディアミックスもされています。

速筆・多作で知られており、小説の執筆と並行して漫画原作者としても活動。『めだかボックス』などの人気作を連載してきました。数々の話題作を世に送り出し、“エンターテイメント文学の旗手”とも謳われる人気作家です。

西尾維新の魅力

個性豊かな登場人物たちが織りなす、独特の世界観が特徴的な西尾維新作品。多作にもかかわらず、どの人物も個性が際立っており、多くの読者を惹きつけてきました。

さらに、西尾維新作品では、リズミカルな会話劇と巧みな言葉遊びが唯一無二の魅力を放っています。思わず笑ってしまうようなユーモアあふれるセリフもあれば、メッセージ性がある名言も登場するのがポイント。物語を引き立てる多彩な言葉の表現が見どころです。

絵で想像できるような魅力的な人物造形やテンポのよい文体で読みやすいため、小説にあまり触れてこなかったという方にも西尾維新作品はおすすめ。読者の想像を超えるファンタジックな世界観と、日本語の持つ可能性を同時に堪能できる小説家です。

西尾維新のおすすめ小説

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い

講談社 著者:西尾維新

第23回メフィスト賞を受賞した、西尾維新のデビュー作。“エンターテインメントを一新した傑作!”と謳われる「戯言シリーズ」の第1作目です。オリジナルビデオアニメとして映像化もされました。

主人公の「ぼく」は、工学の天才である友人・玖渚友に付き添い、絶海の孤島を訪れます。財閥令嬢が住むというその孤島には、2人以外にもさまざまな分野の天才たちとその関係者が招待されていました。

そんななか、密室で凄惨な殺人事件が発生。2人は「天才」の凶行の真実を暴けるのでしょうか。

生き生きとした魅力があふれる登場人物とともに、本格推理を楽しめる西尾維新らしいミステリー小説。二転三転する展開には読みごたえがあります。孤島や密室で起こるミステリーが好きな方にもおすすめの西尾維新作品です。

掟上今日子の備忘録

講談社 著者:西尾維新

西尾維新の人気作「忘却探偵シリーズ」の第1作目。記憶がリセットされる名探偵と、さまざまな事件を解決していく探偵小説です。2015年に実写ドラマ化もされたほか、漫画化もされています。

眠ると記憶を失ってしまう掟上今日子は、通称「忘却探偵」と呼ばれる美女探偵。彼女のもとに、最先端の映像研究所で起きた機密データ盗難事件についての依頼が舞い込みます。

密室の現場で起きた事件の容疑者は、4人の研究者と事務員・隠館厄介。果たして今日子は、事件の概要を忘れてしまう前に解決できるのでしょうか。

記憶を失うというハンデによって、スピーディーな事件解決が求められる設定が物語を盛り上げます。ライトな探偵ものとして読みやすく、西尾維新作品を初めて読む方にもおすすめのシリーズ作品です。

化物語 上

講談社 著者:西尾維新

西尾維新の代表作である「物語シリーズ」の第1作目。本作品は5つの物語から構成されており、上巻には3作が収録されています。テレビアニメが大ヒットを記録し、続編も劇場アニメ化。漫画化など多数のメディアミックスもされた話題作です。

男子高校生・阿良々木暦を目がけて、空から降ってきたクラスメイトの少女・戦場ヶ原ひたぎ。なんと、彼女には体重がほとんどありませんでした。現代に潜む「怪異」と少女たちとの、濃密な青春の日々を描きます。

個性的な登場人物たちが繰り広げる軽妙な会話劇が特に光る本作品。不思議な怪異にまつわる出来事を解決していく、オカルトチックなミステリー要素も楽しめます。西尾維新の言葉遊びの技量を存分に味わえる、おすすめの1作です。

刀語 第一話 絶刀・鉋

講談社 著者:西尾維新

“西尾維新作品の中でも最も挑戦的な時代小説”と銘打たれる、同氏にとって初の時代小説。「刀語シリーズ」として全12巻で構成されており、2010年にアニメ化もされています。

刀を使わない剣術流派「虚刀流」の当主・鑢七花のもとに訪ねてきた、「奇策士」と自称する、とがめ。彼女は伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が人生を賭けて鍛えたという、12本の刀を七花に集めてほしいといいます。そんな彼らに、暗殺専門の忍者集団から刺客が忍び寄り…。

それぞれに多彩な特徴を持った伝説の刀という設定に、思わずワクワクさせられる本シリーズ。刀を持たない剣士がどのように刺客を攻略するのか、戦闘シーンも見どころになっています。冒険譚として楽しめる、おすすめの時代小説です。

悲鳴伝

講談社 著者:西尾維新

“西尾維新史上、最長巨編”と銘打たれる「伝説シリーズ」の第1作目。壮大な敵から人類を救うべく、英雄に選ばれた少年の戦いを描いたSF英雄譚です。漫画化もされています。

ある日、超高音の悲鳴が地球全土に響き渡り、悲鳴を聞いた人類の3分の1が精神を破壊されて絶命するという出来事が起こります。

通称「大いなる悲鳴」で生き残った13歳の少年・空々空。彼の日常は、風変わりな少女・剣藤犬个との出会いを通して一変します。想像を超える巨悪に立ち向かい、空々は戦い抜けるのでしょうか。

500ページを超えるボリューム感で、まさに「巨編」と呼べる1作。常識を越えた、予想もつかない衝撃的な展開の数々に思わず引き込まれます。ダークな読み味のSF小説が好きな方におすすめの西尾維新作品です。

きみとぼくの壊れた世界

講談社 著者:西尾維新

“西尾維新の最高峰”との呼び声も高い本格ミステリー小説。ミステリーを皮肉るような世界観が特徴的な「世界シリーズ」の第1作目にあたります。西尾維新初期の傑作小説です。

禁じられた一線を踏み越えつつある櫃内兄妹。彼らと友人たちの日常は、学園内で起こった密室殺人事件によって壊れていきます。兄・櫃内様刻は、保健室に入り浸る少女・病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出しますが…。

ミステリー要素に絡む、ドロドロとした歪な人間模様が見どころの西尾維新作品。陰鬱な青春小説としてもおすすめの1作です。西尾維新らしさにあふれたクレイジーな世界を堪能してみてください。

美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星

講談社 著者:西尾維新

個性豊かな5人の「美少年」たちが織りなす、美しく爽快な青春ミステリー小説。「美少年シリーズ」の第1作目にあたります。2021年にアニメ化されたほか、漫画化や舞台化もされた人気作です。

10年前に一度だけ見た星を探し続けている、私立指輪学園中等部2年の瞳島眉美。学園のトラブルを非公式・非公開・非営利に解決すると噂される謎の集団「美少年探偵団」に、眉美は星探しを依頼しますが…。

“最も現実離れした探偵団として書かれた”という美少年たちとの、賑やかで危険な青春模様に惹きつけられる1作。ユーモアあふれる筆致とともに爽やかな読後感を味わえる、おすすめの青春ミステリーです。

少女不十分

講談社 著者:西尾維新

主人公の「僕」が体験した10年前の出来事として綴られる、異色の長編小説。西尾維新が10年をかけて書いたという、シリーズ外の名作です。漫画化もされています。

かつて作家志望の大学生だった僕は、小学生がトラックに轢かれる事故を目撃します。そんななか、被害者と一緒にいたもう1人の少女は、なんとゲームをセーブしてランドセルにしまい、それから友達の死体に駆け寄ったのです。

事故をきっかけに巡り合う、僕と不思議な少女・Uの1週間が本作品の中心。セリフはほとんどなく、僕の独白で物語が進んでいきます。フィクションとノンフィクションの境界が曖昧になるような独特の筆致が挑戦的な、おすすめの西尾維新作品です。

十二大戦

集英社 著者:西尾維新

2017年にアニメ化され、漫画化や舞台化もされた西尾維新の傑作エンターテインメント小説。誇り高い12人の戦士による、魂を揺さぶるバトルロイヤルが描かれます。

12年に一度開催される、殺し合いの戦争「十二大戦」。戦いを生き延びた者は、どんな願いでもたった1つだけ叶えられます。干支の名前を持つ12人の参加者は、策謀と殺戮の渦巻く戦場に己の命と願いをかけて、身を投じるのでした。

異能力を用いた肉弾戦だけでなく、頭脳戦や心理戦によって、予想もつかないバトルが繰り広げられます。全12章構成で、それぞれの登場人物の人となりが詳しく明かされていき、思わず感情移入してしまう読者も。1作完結で手に取りやすいおすすめ作品です。

新本格魔法少女りすか

講談社 著者:西尾維新

漫画化もされた、西尾維新の「りすかシリーズ」の第1作目。「時間」を操る魔法少女と、彼女を駒に「魔法使い」使いとして戦う少年の魔法冒険譚です。シリーズは全4巻で完結しています。

佐賀県で刑事の父と暮らす小学5年生の供犠創貴。己の野心のため「使える手駒」を探す創貴は、転校生・水倉りすかが魔法使いだと知ります。りすかは魔法使いだけが暮らす長崎県から、失踪した大魔道師の父を追いかけてきたというのです。

2人はりすかの父・水倉神檎を探しながら、悪い魔法使いを退治していきますが…。

清々しく痛々しい、歪な内面を持つ子どもたちの冒険と多彩な魔法バトルは読み応え十分。グロテスクな描写が得意な方、魔法少女のバトル物語が好きな方におすすめのシリーズです。

零崎双識の人間試験

講談社 著者:西尾維新

「戯言シリーズ」のスピンオフ「人間シリーズ」の第1作目。読者からの人気も高い殺人鬼集団「零崎一賊」を中心に描いたシリーズです。漫画化もされました。

行方不明の弟さがしの旅に出た「零崎一賊」の長兄・零崎双識。悩める女子高生・無桐伊織は、そんな双識との出会いを通して未知なる自分に目覚めていきます。しかし、彼らを待ち受けていたのは未曾有の闘争劇でした。

「家族」を重んじる殺人鬼という歪な個性が光る1作。善悪や人間の性質について、西尾維新らしい哲学的な問答が繰り広げられます。エンターテインメント性にあふれた西尾維新の筆致を、存分に味わえるおすすめの1作です。

ダブルダウン勘繰郎 トリプルプレイ助悪郎

講談社 著者:西尾維新

作家・清涼院流水の人気作「JDCシリーズ」の設定を借りて、西尾維新が手掛けた探偵小説。JDC(日本探偵倶楽部)に関連する、2編の中編が収録されています。

西尾維新が書く本格推理小説を読んでみたい方におすすめの小説です。それぞれに独立した物語であり、「JDCシリーズ」が未読でも楽しめます。ちりばめられた伏線から、仕掛けられた巧みなトリックを、ネタバレ厳禁で推理してみてください。