物語の世界に入り込める「長編小説」。長編小説と一言で言っても、ジャンルはさまざまです。挑戦したいけれど、どんな作品を選んだらいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、長編小説のおすすめ作品をご紹介。映像化もされている人気作品もピックアップしているので、ぜひチェックしてみてください。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

長編小説とは?

小説は、本の長さによって短編小説・中編小説・長編小説に分けられます。長編小説に分類できるかの指標としてわかりやすいのは文字数です。

例えば、「ポプラ社小説新人賞」の作品募集ページでは、400字詰め原稿用紙換算200枚~500枚。「小説現代長編新人賞」では400字詰め原稿用紙250枚以上500枚という記載があります。

文字数に換算すると、原稿用紙200枚で80000文字。目安としては少し厚みのある文庫本1冊からが長編小説だといえます。また、文庫版で上下巻、シリーズとして複数冊出版されている作品なども長編小説のひとつです。

長編小説のおすすめ作品

白夜行

集英社 著者:東野圭吾

白夜行

ミステリー小説の巨匠・東野圭吾による長編小説。映画化・ドラマ化され大ヒットし、2009年には韓国でも映画化されました。

物語の発端は、1973年に大阪の廃虚ビルで質屋が殺害された事件。何人もの容疑者が浮かぶなか、事件は迷宮入りします。

別々の人生を歩んでいるように見えた、被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂。2人の裏には犯罪の影が見え隠れしつつも、証拠が掴めないまま、19年が経ち…。

伏線が張り巡らされた緻密なストーリーに、読了後読み直したくなるという方も多い1冊。東野圭吾作品のファンの方はもちろん、映像作品を見たことがあるという方にもおすすめの長編小説です。

新世界より(上)

講談社 著者:貴志祐介

新世界より(上)

第29回日本SF大賞第1位を受賞した、貴志祐介のおすすめ長編小説です。本作品は、上・中・下巻の3巻で構成。マンガ化・アニメ化もされている著者の代表作です。

舞台は1000年後の日本。ここでは、子供たちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されて生きていました。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にしたのは仮初の平和でした。隠された先史文明の一端を知ってしまった子供たちの運命を描きます。

子供から大人まで楽しめる長編小説。ミステリーの謎解き要素もある作品なので、SF小説だけでなく、ミステリー小説が好きな方にもおすすめの1冊です。

屍鬼(一)

新潮社 著者:小野 不由美

屍鬼(一)

第52回日本推理作家協会賞の長編部門候補に選ばれた、小野不由美の作品。全5巻の長編小説です。2008年に『ジャンプスクエア』でマンガ化、2010年にテレビドラマ化もされました。

人口1300人あまり、三方向を尾根に囲まれ、古い因習に囚われる外場村。猛暑に襲われた夏、3体の腐乱死体が発見されます。闇夜に越してきた謎の家族と事件との関係はあるのでしょうか。不審死の真相は、殺人なのか、疫病なのか、それとも…。

死に包囲された村を舞台にした“超弩級ホラー”と謳われる作品。サスペンスホラー作品が好きな方にもおすすめです。

模倣犯(一)

新潮社 著者:宮部みゆき

模倣犯(一)

直木賞受賞作家・宮部みゆきによる“現代ミステリの金字塔”と謳われる長編小説。第55回毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞文学部門を受賞しています。映画化・ドラマ化もされ、話題になりました。

墨田区の大川公園で、若い女性の右腕とハンドバッグが発見されるところから事件は始まります。バッグの持ち主は、3カ月前に失踪した古川鞠子のものと判明。すると犯人は“右腕は鞠子のものじゃない”と電話を掛け、さらに鞠子の祖父にも接触しようとします。

未曾有の連続誘拐殺人事件を描く、長編サスペンスミステリー小説。推理小説が好きな方にもおすすめです。映像作品で見たことがある方も、ぜひ手に取ってみてください。

かがみの弧城

ポプラ社 著者:辻村 深月

かがみの弧城

“生きづらさを感じているすべての人に贈る物語”と謳われる、辻村深月による長編小説。2018年には、本屋大賞を受賞しています。

学校で居場所をなくして閉じこもっていたこころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始めます。輝く鏡をくぐった先には、城のような建物。そこには、同じような境遇の7人が集められていました。7人が集められた理由とは一体何なのでしょうか。

児童文庫版・コミック版も出版されている、幅広い読者層に読まれている作品。ファンタジー作品が好きな方にもおすすめです。

海賊とよばれた男(上)

講談社 著者:百田 尚樹

海賊とよばれた男(上)

主演・岡田准一で映画化もされた、百田尚樹の話題作です。本作品は、第10回本屋大賞を受賞。“これはただの経済歴史小説ではない”と銘打たれる、著者の代表作です。

1945年8月15日、敗戦で全てを失った日本で、1人の男が立ち上がりました。 その男の名前は国岡鐡造、 異端の石油会社・国岡商店の店主でした。1代で作り上げた会社資産をほぼ失い借金を負った鐡造。しかし、そんななかでも“店員を1人もクビにしない”と宣言します。

日本経済を背負い、石油を武器に世界と戦った男の一代記。ビジネスパーソンにもおすすめしたい長編小説です。

11/22/63 上

文藝春秋 著者:スティーヴン・キング

11/22/63 上

英語文学を翻訳して書かれている、スティーヴン・キングによる長編小説です。国際スリラー作家協会最優秀長編賞、LAタイムズ文学賞ミステリー部門の2冠を獲得した作品。ほかにも、英国幻想文学賞とローカス賞SF長編部門の最終候補作に選ばれた大作です。

国語教師・ジェイクは、友人・アルから「1958年にタイムトラベルできる扉」の存在を知らされました。死期の近いアルは、ジェイクにケネディ大統領暗殺の阻止を依頼。歴史の力に立ち向かうジェイクは、旅を続けることで少しずつ暗殺の核心に近づいていきます。

タイトルの『11/22/63』は1963年11月22日、ケネディ大統領が暗殺された日付です。タイムリープを繰り返しながら現在を変えようと奮闘するストーリーに、最後まで目が離せないという方も多い作品。歴史小説が好きな方にもおすすめです。

海辺のカフカ(上)

新潮社 著者:村上春樹

海辺のカフカ(上)

『ノルウェイの森』『神の子どもたちはみな踊る』など有名作品を数多く手掛け、多くの文学賞も受賞している村上春樹による長編小説。上下巻の2冊構成の上巻です。

15歳の誕生日、僕は家を出て遠くの知らない街へと向かい、小さな図書館で暮らし始めます。家出をするときに父の書斎から持ち出したのは、現金と古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、サングラス、姉と僕が写った写真でした…。

15歳の少年を主人公としており、村上春樹作品の世界観を感じつつ、青春小説としても楽しめる長編小説。村上春樹作品を初めて読む方にもおすすめの1冊です。

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1)

KADOKAWA 著者:有川浩

図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1)

アニメ化や映画化もされている、有川浩の長編小説です。「図書館戦争シリーズ」「別冊図書館戦争シリーズ」など全8冊が刊行されています。

人権を侵害する表現を取り締まる「メディア良化法」が成立して30年経った、2019年の日本が舞台です。メディア良化委員会と、その制圧に立ち向かう図書隊とが日々抗争を繰り広げていました。

主人公・笠原郁は、かつて自分を助けてくれた“王子様”に憧れて図書隊になった女の子。愚直に頑張るその情熱が認められ、とうとう図書特殊部隊に配属されますが…。

表現の自由を守るべく闘う図書隊員たちの情熱だけでなく、郁たちの恋愛模様からも目が離せない長編小説です。甘い恋の物語を読みたいという方にもおすすめの作品なので、ぜひ手に取ってみてください。

こゝろ

KADOKAWA 著者:夏目漱石

こゝろ

明治時代の小説家であり、日本文学史でも有名な夏目漱石による長編小説。1914年4月から、朝日新聞で連載されていた作品です。

「先生」の発する断片的な言葉の羅列に戸惑いつつも、奇妙な交流を続けていた「私」。ある日、私のもとに先生からの遺書が届きます。遺書で初めて明かされる先生の過去。それは、のちに先生の妻になるお嬢さんをめぐる、親友・Kとの秘密についてでした。

エゴイズムと罪の意識との板挟みで苦しむ先生の姿が描かれた、夏目漱石の最高傑作。教科書で一度読んだ経験があるという方も、改めて読み直してみるのもおすすめです。