ミステリー作家として有名な「アガサクリスティー」。ベルギー人探偵・ポワロや老嬢探偵ミス・マープルを主役とするシリーズ作品を数多く展開しているのがポイントです。叙述トリックやクローズドサークル作品を先駆けて手がけたこともあり、推理小説を語るうえで避けて通ることのできない作家だといえます。
そこで、今回はアガサクリスティーのおすすめ小説をご紹介します。実写化されている作品も数多くあるので、ぜひ気になる作品を手に取ってみてください。
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多くの名作を手掛けたミステリー作家「アガサ・クリスティー」とは?
アガサクリスティーは1890年生まれのイギリスの作家です。看護師をしながら執筆業をはじめ、ベルギー人探偵・ポワロを主役としたシリーズ作品を数多く展開。特に、『アクロイド殺人事件』は代表作のひとつで、本作をきっかけに人気を博したといわれています。
ほかにも、老嬢探偵ミス・マープルのシリーズ作品も有名。多くの作品が実写映画化されている点にも注目してみてください。50代以降の執筆ペースは緩まったものの、晩年まで作品を生み出し続け1976年に85歳で逝去しました。
アガサ・クリスティー作品の魅力
「ミステリーの女王」ともうたわれ、クオリティの高いミステリー作品を数多く残したアガサクリスティー。今なお、その名は世界中に広く知られており、書店に行けば簡単に作品を探せます。
多様なトリック、複雑な人間関係、個性的な登場人物が作品の魅力。何度読み返しても楽しめます。作品数が多いのもポイントのひとつです。
著者は動揺殺人を取り扱った作品を多く執筆。『アクロイド殺し』では叙述トリックを確立しました。さらに、『そして誰もいなくなった』では、クローズドサークルとして高い評価を獲得するなど、後世のミステリー作品にも大きな影響を与えている点にも注目してみてください。
アガサ・クリスティーのおすすめ小説
オリエント急行の殺人
早川書房 著者:アガサクリスティー
ミステリーの魅力が詰まった名作としてうたわれるアガサクリスティーのおすすめ作品。山本やよい翻訳による新訳版です。
真冬のヨーロッパを走る列車・オリエント急行。多様な乗客が乗り合わせるなか、車内は奇妙な雰囲気に包まれていました。やがて、老富豪が刺殺体で発見され、たまたま居合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出します。
しかし、乗客は全員が完璧なアリバイを持っていて…。2017年に映画化もされている作品。初めて読むアガサクリスティー作品としてもおすすめの1冊です。
アクロイド殺し
早川書房 著者:アガサクリスティー
ミステリー界に大きな影響を与えたとされるアガサクリスティーのおすすめ作品。ミステリー作家として活躍しながら、論評活動にも精を出す笠井潔が解説をしているのもポイントです。
ある日、名士アクロイドの刺殺体が発見されます。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしますが、解決の糸口は見つかる気配がありませんでした。しかし、村に住んでいた男が名探偵ポアロだと知られると、事件は新たな局面を迎えて…。
叙述トリックのパイオニア的位置づけの作品。現代にも連なるミステリーの系譜を知りたい方に適した1冊です。
そして誰もいなくなった
早川書房 著者:アガサクリスティー
刺激の強いサスペンスを堪能できるアガサクリスティーの作品。ミステリー・サスペンス作品を多数執筆している赤川次郎が解説を担当しています。
孤島に招き寄せられたお互いに面識もなく、職業や年齢も異なった10人の男女。しかし、島内には招待主の姿は見当たりません。さらには、夕食の席では招待された人たちの過ちを暴露する声が聞こえてくるのでした。
やがて、無気味な童謡の歌詞に従うように、招待された男女はひとりずつ殺されてゆき…。後世の作品にも多大な影響をあたえた、ミステリーの金字塔を楽しみたい方におすすめです。
ABC殺人事件
早川書房 著者:アガサクリスティー
アガサクリスティー全盛期の作品を新訳で楽しめる1冊。ドラマ化やゲーム化など、さまざまなメディアミックスを展開してきた作品でもあります。
名探偵ポアロのもとに届いた予告状に記された通り、Aで始まる地名の町で殺害された、Aが頭文字の老婆。現場にはABC鉄道案内が残されていました。まもなく、第二、第三の予告状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺されてしまい…。
名探偵ポアロシリーズの第11弾。時代を超えて、今なお楽しめるアガサクリスティー作品を楽しみたい方におすすめです。
ナイルに死す 新訳版
早川書房 著者:アガサクリスティー
ゴージャスな雰囲気がただようアガサクリスティーの作品。文庫開設の書評家として知られる西上心太が解説を手がけています。ケネス・ブラナーが監督と主演を務めて映画化されている点にも注目です。
美貌の資産家・リネットと夫・サイモンはエジプトでハネムーンを楽しんでいた途中、サイモンのかつての婚約者が、銃を持って2人の後をつけてくることに気づきます。緊張感が高まるなか、ナイル川を走る豪華客船で銃声が轟いて…。
船に乗り合わせていたポアロが、事件の解決に乗り出して導き出した意外な結末に注目。クライマックスの怒涛の展開と切なさに目が離せない作品です。
五匹の子豚
早川書房 著者:アガサクリスティー
過去に起こった殺人事件の解決に挑む名探偵ポアロシリーズの1冊。作品の解説は、推理作家としてさまざまな賞を受賞している千街昌之です。
16年前、有名な画家であった父を毒殺した容疑で捕まり、そのまま獄中で亡くなった母の無実を信じる娘。娘の依頼に心を動かされたポアロは、事件を改めて調べることにしました。当時の関係者の話を聞くなど、入念な調査を経てポアロがたどり着いた事件の真相とはどのようなものだったのでしょうか。
読者にミスリードを誘う秀逸な構成に注目してみてください。アガサクリスティー作品の魅力を体感したい方におすすめの1冊です。
杉の柩
早川書房 著者:アガサクリスティー
名探偵ポアロが、嫉妬に狂う女性の心を解き明かすおすすめのアガサクリスティー作品。結婚を約束したロディーとエリノアと、彼らの前に現れた美しい女性・メアリイの三角関係がきっかけに起きた事件です。
ロディーはメアリイに心を奪われてしまい、エリノアとの婚約を破棄するのでした。エリノアは激しい嫉妬心を抱き、彼女の作った食事でメアリイは死んでしまうのですが…。
容疑をかけられたエリノアは自分が犯人ではないことを主張します。はたして、事件の真相はどこにあるのでしょうか。著者のすぐれた心理描写にも注目して読んでみてください。
白昼の悪魔
早川書房 著者:アガサクリスティー
地中海のリゾートホテルで起きた殺人事件に、名探偵ポアロが挑むアガサクリスティーの作品。1982年に『地中海殺人事件』として実写映画化されている点も注目です。
地中海に位置する避暑地の島に滞在中だった元女優が、何者かに殺害されてしまいます。犯人は滞在客の誰かだと思われるものの、関係者は全員が完璧なアリバイを持っているのでした…。
事件の捜査が難航するなか、島に滞在していたエルキュール・ポアロが事件の解決に踏み出します。アガサクリスティーの犯人を犯人として認識させない巧みな描き方にも注目してみてください。
メソポタミヤの殺人 新訳版
早川書房 著者:アガサクリスティー
中近東を舞台にしたアガサクリスティーの作品を新訳で楽しめるおすすめの1冊。翻訳は文芸翻訳家の田村義進が務めています。
考古学者と再婚したルイーズ。死んだはずの前夫から脅迫状が届きます。さらに、ルイーズは寝室で奇怪な人物を目撃したと訴えるのでした。しかし、それらは殺人事件のはじまりに過ぎず…。難事件に名探偵ポアロが挑みます。
過去から届く不可思議な脅迫状の正体に注目したい作品。ポアロが犯人を追い詰めるため、心理的に追い詰めていく姿も印象に残る1冊です。
ポケットにライ麦を 新訳版
早川書房 著者:アガサクリスティー
見立て殺人を取り扱ったアガサクリスティー中期の作品。題材として取り扱われているのは、イギリスで何世紀にもわたって言い伝えられてきた伝承童謡『マザー・グース』です。
会社の社長が何者かによって毒殺され、遺体のポケットにはなぜかライ麦が入っていました。それは連続見立て殺人の発端に過ぎず、その後、さらに社長宅のメイドが洗濯ばさみで鼻をつままれた状態で見つかり…。
被害者の知人であるミス・マープルが、犯人を探すべく立ち上がるのでした。見立て殺人ものの作品を読みたい方におすすめの1冊です。
ホロー荘の殺人
早川書房 著者:アガサクリスティー
恋愛心理が巻き起こした殺人事件をテーマにした作品です。名探偵ポアロシリーズ。解説は児童文学を得意とする作家・はやみねかおる、翻訳は中村能三が担当しています。
アンカテル卿の午餐に招かれたポアロ。そこで待っていたのは、血を流している男性と、ピストルを持ってうつろな表情をしている女性でした。演出のようにも思われた出来事は、本物の殺人事件で…。
ポアロが創造的な犯人に挑んでいくのが見どころ。ほかのアガサクリスティー作品には見られない、アダルトな雰囲気を楽しみたい方におすすめです。
カーテン
早川書房 著者:アガサクリスティー
アガサクリスティーが全盛期に執筆した作品のひとつ。長いあいだ封印されてきた問題作とうたわれています。解説は、SFやミステリで有名な作家・山田正紀です。
ヘイスティングズは親友であるポアロの招待でスタイルズ荘を訪れます。病で床に臥しているポアロは、ばらばらに起きた過去の殺人事件を5つ提示。その裏には真犯人Xが存在するといい、さらにXXはスタイルズ荘にいると語って…。
クライマックスのポアロがとる決断と行動に注目したい作品。ポアロシリーズを一通り読んだ方におすすめの冊です。
春にして君を離れ
早川書房 著者:アガサクリスティー
アガサクリスティーが贈るロマンティックサスペンス。女性の愛に対する複雑な心境を捉え、繊細に美しく描き出した作品です。
やさしい夫とよき子供に恵まれ、理想の家庭を築き上げたことに幸福を感じる女性。しかし、娘のお見舞いに赴いたバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話をきっかけに、親子関係や夫婦の愛情に疑念が生じて…。
家族のためによかれと思ってしていることが、逆に家族を抑圧してしまっているかもしれないという着眼点が印象的な作品。哀しさを感じるアガサクリスティー作品を読みたい方におすすめです。
ねじれた家
早川書房 著者:アガサクリスティー
独特の雰囲気をかもしだす、アガサクリスティーの作品です。マザーグースを巧妙に取り入れた見立て殺人ものです。
毒殺された被害者は、心のひねくれた家族と巨額の財産を持つ心のねじれた老人。事件は内部の者の犯行と考えられ、若い後妻や金に窮していた長男などがお互いを疑いあいます。その後、さらなる事件が起こって…。
疑わしい人物が多いなか、衝撃の結末に驚く作品。著者が得意とする動揺殺人の作品を楽しみたい方におすすめです。
パディントン発4時50分
早川書房 著者:アガサクリスティー
列車を舞台に繰り広げられるアガサクリスティーの作品です。事件の真相と意外な犯人に驚きを隠せない、ミス・マープルシリーズの代表作です。
ロンドン発の列車の座席でふと目をさましたミセス・マギリカディは、並んで走る別の列車の中で、男性が女性を殺害する場面を目撃します。しかし、鉄道当局も警察も彼女の話を本気にします。そんななか、ミス・マープルは彼女の話を信じて捜査に乗り出します。結末を推理しながら読むのがおすすめの1冊です。
アガサクリスティーは作品の数が多く、はじめて手に取る作品に悩む作家のひとりでもあります。ベルギー人探偵・ポワロや老嬢探偵ミス・マープルのシリーズモノはもちろん、叙述トリックやクローズドサークルなど、シチュエーションやトリックの特徴で選ぶのもおすすめ。実写化された作品にも注目してみてください。