少女の心理を巧みに表現する小説家「桜庭一樹」。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』や「GOSICKシリーズ」など、ライトノベルで数々の人気作を発表しました。一般文芸でも『私の男』で直木賞を受賞するなど、レーベルの垣根を越えて活躍する小説家です。

そこで今回は、桜庭一樹が手掛けた小説から、おすすめの作品をピックアップ。人気作から映画化された作品まで、桜庭一樹作品の魅力とあわせてご紹介します。

少女の心理描写を巧みに描く「桜庭一樹」とは?

1971年島根県生まれ、鳥取県育ちの小説家・桜庭一樹。かなりの読書家で、小学生の頃から小説家を志していました。1999年『夜空に、満天の星』で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門で佳作に入選し、作家デビューします。

デビュー以降、ライトノベルを中心に作品を発表。そんななか、2003年から刊行された「GOSICKシリーズ」や、2004年刊行の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』で高い評価を集め、ライトノベルとしてのジャンル超えて人気を博します。

その後、一般文芸でも2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、2008年『私の男』で直木賞を受賞。主に思春期の少女たちを主人公に、ミステリーからSF、青春小説までさまざまなジャンルの小説を手掛けています。

作品ジャンルや刊行レーベルの垣根を越えて活躍する、多才な小説家です。

桜庭一樹作品の魅力

10代を主に、多感な時期の少女が登場する作品が多い桜庭一樹。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』や『推定少女』などの人気作をはじめ、成長過程の少女たちの、繊細で複雑な心理を巧みに描いているのが魅力です。

特に桜庭一樹作品では、現実に苦しみ、逃げ場もなく葛藤する少女たちの様子が多く描かれているのもポイント。少女の純粋な美しさだけでなく、残酷さや物悲しさも表現された筆致が、多くの読者を惹きつけています。

また、日常に非日常が溶け込んでいたり、現実と空想の境界が曖昧になったりする独特の世界観も桜庭一樹作品の特徴です。その反面、物語のテーマや登場人物の言葉にはリアリティがあり、深く考えさせられます。

登場人物と同年代の中高生はもちろん、思春期を思い出して心を揺さぶられる読書体験をしてみたい方におすすめの小説家です。

桜庭一樹のおすすめ小説

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

桜庭一樹初期の傑作であり、代表作の1つ。子どもという、力を持たない絶望の期間を必死に生きようともがく少女たちを描いた、暗黒の少女小説です。漫画化もされています。

一刻も早く社会に出たい13歳の山田なぎさ。そんななぎさに何かと絡んでくる転校生・海野藻屑は、嘘つきで残酷ですが、どこか魅力的な少女です。藻屑に対し、なぎさは少しずつ友情意識が芽生えていきます。しかし、藻屑は日々、父親から虐待を受けており…。

子ども時代の絶望が、巧みな心理描写や比喩表現とともに描かれた1作。結末が冒頭で明かされた上で展開されていく物語に、苦しさを感じながらも引き込まれていきます。子ども時代を生き抜く難しさについて考えさせられる、おすすめの青春小説です。

私の男

文藝春秋 著者:桜庭一樹

第138回直木賞を受賞した、桜庭一樹の真骨頂といえる長編小説。暗い北の海から逃げてきた親子の禁断の過去を、圧倒的な筆力で描き出しました。50万部を突破し、2014年に映画化もされた、桜庭一樹のベストセラー小説です。

震災孤児だった10歳の花を引き取った、遠縁の男・淳悟。北海道でひっそりと暮らしはじめた親子は、互いに心に空虚を抱え、愛に飢えていました。善悪の境界もない、狂気に満ちた愛へ墜ちていく2人の運命の歯車は、どこで狂ってしまったのでしょうか。

6章からなる本作品は、1章ごとに変化していく構成が見どころ。読み進めるにつれて、花と淳悟の関係性の謎が紐解かれ、深みを増していきます。映画原作としても受賞作としても読みごたえのある、おすすめの桜庭一樹作品です。

GOSICK ーゴシックー

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

留学生と超頭脳の美少女が、難事件を解決していくミステリーシリーズ「GOSICKシリーズ」の第1作目。長編8巻・短編集4巻に加え、続編も刊行されている人気シリーズであり、桜庭一樹の代表作の1つです。漫画化のほか、アニメ化もされました。

舞台は20世紀初頭、ヨーロッパの架空の小国ソヴュール。この国に留学してきた久城一弥は、聖マルグリット学園で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会います。学園の難事件を超頭脳で解決していくヴィクトリカ。しかしある日、2人は本物の殺人事件に遭遇し…。

個性豊かな登場人物たちが織りなす、ゴシック・ホラー色の強い世界観が魅力の本作品。名探偵と助手のバディものとして楽しめます。ライトな筆致で読みやすく、小説を読み慣れない方にもおすすめのシリーズ作品です。

赤朽葉家の伝説

東京創元社 著者:桜庭一樹

第60回日本推理作家協会賞を受賞した、桜庭一樹の傑作長編小説。製鉄一族を支えた三代の女性たちを、時代の移り変わりとともに鮮やかに描いたファンタジー・ミステリーです。直木賞のほか、吉川英治文学新人賞の候補作にも選出されました。

製鉄業で財を成した旧家・赤朽葉家に生まれ、現在ニートの瞳子。母は漫画家、祖母は千里眼の持ち主です。戦後から高度経済成長、バブル崩壊を経て、平成の世に至る流れとともに、鳥取の旧家に生きる彼女たち一族の不思議な血脈を描きました。

一族の歴史を、現代に生きる瞳子が昔話として語っていく年代記になっています。ファンタジー要素もありつつ、戦後日本の情勢も物語に織り交ぜられた壮大な世界観も魅力。桜庭一樹独特の筆致を存分に味わえる、おすすめのミステリー小説です。

推定少女

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

“桜庭一樹ブレイク前夜の傑作”と謳われる、初期からの人気作。思春期に葛藤する中学3年生の主人公と、不思議な少年少女との逃避行を描いた、みずみずしくファニーな成長小説です。

とある事情から逃亡者になった巣篭カナは、逃げ込んだダストシュートの中で美少女・白雪を発見します。「宇宙人」を自称する白雪と、彼女を疑いながらも惹かれるカナ。2人は街を抜け出し、東京・秋葉原を目指すのでした。

大人になることへの不安感や絶望が、SFテイストの物語のなかで巧みに表現されています。エンディングが3パターン収録されているという、面白い試みもポイント。思春期の頃を思い出しながら読みたい、おすすめの桜庭一樹作品です。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

桜庭一樹のブレイクポイントになった青春小説。美しく生まれてしまった少女とその周囲の人々を描いた、痛切でやさしい群像劇です。

主人公は、自らの美貌を呪う17歳の少女・川村七竈。鉄道模型と幼馴染・雪風だけに心を許す、孤高の青春を送っていました。しかし、大人たちは七竈の意思にかかわらず、彼女を放っておいてくれません。そんななか、雪風と七竃の関係にも変化が訪れます。

独特の言い回しと詩的な文体が特に魅力的な桜庭一樹作品。美貌ゆえのしがらみや親子の関係に悩む女子高生の姿を、さまざまな人物の視点から淡々と静かに描いていきます。幻想的な雰囲気に魅了される読者も多い、おすすめの青春小説です。

赤×ピンク

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

空手初段を持つ桜庭一樹が手掛けた、挑発的でロマンティックな青春小説。キャットファイトクラブを舞台に、そこで働くさまざまな境遇の少女たち3人を描いた連作短編集です。2014年に映画化もされています。

六本木にある廃校で、深夜になると毎夜繰り広げられる非合法ファイトがありました。闘うのは、どこか壊れていながらも真摯で純粋な少女たち。都会の異空間で生きる少女たちはサバイバルを繰り広げ、成長し、そして恋に触れていきます。

居場所を探してファイトクラブに身を置く少女たちが、大人になっていく刹那の過程を垣間見られる桜庭一樹作品。心に危うさを持つ彼女たちの成長に、未来への明るさを感じられます。格闘技に詳しくない方でも楽しめる、おすすめの1作です。

青年のための読書クラブ

新潮社 著者:桜庭一樹

歴史ある名門女学校で起きた珍事件を章ごとに描いた、華々しく可憐な連作短編小説。全3巻で漫画化もされた、桜庭一樹の人気作の1つです。

舞台は、東京の山の手にある名門女学校・聖マリアナ学園。清楚で可憐な少女たちが通う学園は、その歴史から抹消されたさまざまな謎とロマンに満ちていました。「読書倶楽部」で受け継がれる秘密のクラブ誌とともに、学園100年の歴史を紐解きます。

可憐でパワフルなお嬢様たちが織りなす、耽美な世界観が本作品の魅力。学園で“異端者”とされた「読書倶楽部」の部員たちも個性にあふれています。ユーモアとともに、さまざまな年代の女学校の空気を味わえるおすすめの小説です。

荒野

文藝春秋 著者:桜庭一樹

直木賞受賞後第1作目にあたる長編小説。少女から大人へ成長していく過程や、恋愛に至る前の瑞々しさや愛おしさを描いた、桜庭一樹の感動作です。

鎌倉の旧家で小説家の父と暮らす少女・山野内荒野。「好き」という感情がどういうものなのか、まだ理解できていません。しかし、中学校入学の日に助けてくれた見知らぬ少年との出会いが、荒野を少しずつ変化させていきます。

少女が女性として羽化していく様を、12歳から15歳までの荒野の日常とともに生き生きと表現した1作。甘酸っぱく、ときめくような恋愛小説を読みたい方におすすめの桜庭一樹作品です。

少女には向かない職業

東京創元社 著者:桜庭一樹

2006年に配信ドラマ化もされた、桜庭一樹のサスペンス長編小説。同氏が初めて一般文芸として刊行した1作です。過酷な運命に翻弄される少女たちの姿を、桜庭一樹らしい筆致で鮮烈に描き出しました。

山口県のとある小さな島で、夏休みに殺人を犯してしまった13歳の大西葵。そんな葵のそばにいたのは、冴えない図書委員の宮乃下静香だけでした。そして2人は、冬休みに新たな殺人に手を染めてしまうのです。

学校ではお調子者を演じながらも、本当は心に孤独を抱えている葵。彼女を中心に、闇に堕ちていく不穏感が全編を通して漂います。少女の脆く苦しい心の叫びを痛切なまでに感じられる、ダークな読み味のおすすめ作品です。

ほんとうの花を見せにきた

文藝春秋 著者:桜庭一樹

人間社会の陰で暮らす吸血鬼の姿を描いた、桜庭一樹の寓話的ファンタジー小説。3編からなる連作短編形式で、吸血鬼の現在から過去までを壮大に表現した大河小説でもあります。

竹から生まれた吸血種族「バンブー」は、固い掟で自らを縛り、ひっそりと暮らしていました。しかしある日、バンブーのムスタァと洋治は、マフィアに狙われて死の淵にいた少年・梗に出会います。掟を破り、2人は人間である梗と暮らし始めますが…。

不老長寿の吸血鬼と成長していく少年の、禁じられた絆を描いた第1話。変化していく者と変わらない者の対比に、人生の悲哀が感じられます。生きるとは何かを考えさせられる、おすすめの桜庭一樹作品です。

無花果とムーン

KADOKAWA 著者:桜庭一樹

大切な人を亡くした少女が、その死にどう向き合うのかを描いた、桜庭一樹の幻想的な長編小説です。

最愛の義兄・奈落が目の前で死んでしまった、18歳の少女・月夜。悲しみに暮れる月夜は奈落の気配をそばに感じるようになりますが、誰も信じようとしません。

そんななか、月夜は町で年に一度開かれる「無花果UFOフェスティバル」で不思議な少年・密と出逢います。なんと密は、死んだ兄と同じ顔をしていたのです。

奈落の死に関する重大な秘密を抱えた月夜。彼女の日常と妄想が入り混じるような展開とともに、切なく不思議な読後感に包まれるおすすめの小説です。

じごくゆきっ

集英社 著者:桜庭一樹

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の後日談を含む短編集です。女教師と女子高生が駆け落ちする「じごくゆきっ」や、結婚した妻と義母の歪な関係に追い詰められる「ロボトミー」など、青春から家族ドラマ、ホラーまで取り入れた7編の物語を収録しました。

どれも毒を含んだダークな読み味かつ、結末が予想できない物語ばかり。人間の狂気や絶望を、桜庭一樹らしい切なさを含んだ筆致で表現しています。桜庭一樹の多彩な想像力を存分に味わえる、おすすめの短編集です。

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