会社員勤務と主婦業との合間に執筆を開始し、小説家デビューを果たした作家「寺地はるな」。心あたたまる、優しい作風が魅力です。自分の生き方に悩む方が勇気をもらえる前向きなストーリーを描いています。

そこで今回は、寺地はるなのおすすめ小説をご紹介。寺地はるな作品の魅力や作風についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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あたたかい気持ちになれる感動作が有名な「寺池はるな」とは?

寺地はるなは1977年佐賀県生まれ、大阪府在住の作家。幼少期から本を読むことが好きで、親に隠れてさまざまなジャンルの本を読んでいたと言います。

読書家ではあったけれど小説家は目指していなかった寺地はるな。35歳の夏、“本を買うお金が欲しい”という理由から小説を書き始めました。

2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞し、デビュー。2020年に『夜が暗いとはかぎらない』が山本周五郎賞候補作に選ばれ、「咲くやこの花賞」を受賞。2021年には『水を縫う』が河合隼雄物語賞を受賞しています。

寺地はるな作品の魅力

寺地はるな作品には、自分の足で人生を歩くことの大切さを描くものが多くあります。河合隼雄物語賞を受賞した『水を縫う』は、手芸が好きな男の子が主人公。短編小説集『大人は泣かないと思っていた』にはお菓子作りが好きな男性が登場します。

また、『今日のハチミツ、あしたの私』『雨夜の星たち』は、自信をもてずになんとなく生きてきた主人公たちが、人との交流を通して成長していく過程が描かれた作品です。

固定観念を乗り越え、自分らしさを探していく登場人物たち。その姿に勇気をもらえるという方も多い作家です。長編小説だけでなく、短編を集めたものも出版されているので、寺地はるな作品をまだ読んだことがないという方もぜひチェックしてみてください。

寺地はるなのおすすめ小説

ビオレタ

ポプラ社 著者:寺地はるな

ビオレタ

選考委員の満場一致で第4回ポプラ社小説新人賞に選ばれた、寺地はるなのデビュー作にして代表作です。各界著名人からも“ひきこまれた”“ファンになる”といったコメントが集まり、話題になりました。

田中妙は、婚約者から突然別れを告げられます。道で号泣していた妙を拾ってくれたのは、雑貨屋・ビオレタを営む菫さん。ビオレタは「棺桶」を売る少し変わったお店でした。ビオレタで働くことになった妙は、店での出会いを通して少しずつ自信をつけます。

自分と向き合い、周囲の人たちと向き合い、一歩踏み出す妙の姿に勇気をもらいたい方にもおすすめの小説です。自分で自分の人生を切り開くことの楽しさを感じてみてください。

水を縫う

集英社 著者:寺地はるな

水を縫う

第42回吉川英治文学新人賞候補作にして、河合隼雄物語賞受賞作品。2021年青少年読書感想文全国コンクール高校生の部の課題図書にも選出されました。全6章からなる短編小説です。

高校1年生の松岡清澄は、祖母、母、結婚を控えた姉の水青の4人暮らし。清澄は、手芸が好きなことをからかわれ、学校で浮いています。かわいいもの、華やかなものが好きな姉の結婚式にあわせてウエディングドレスを作ると宣言しますが…。

世の中の普通を踏み越えていく、清々しい家族小説。こうあるべきという周りの声に悩んでいる方にもおすすめしたい寺地はるな作品です。

今日のハチミツ、あしたの私

角川春樹事務所 著者:寺地はるな

今日のハチミツ、あしたの私

自信のもてない不器用な人たちが、蜂蜜をめぐる出会いによって成長していく物語。書き下ろしの長編小説です。

“明日なんて来なければいい”と思い悩む中学生・碧は見知らぬ女性に小さな蜂蜜の瓶をもらいます。16年後、恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いをすることになった碧。蜜蜂の奥深さを学ぶうち、かつて自分の人生を助けてくれた蜂蜜の瓶のことを思い出して…。

家族の愛が心に染みる、かけがえのない日々の物語。ハートフルな寺地はるな作品を読みたい方におすすめの1冊です。

大人は泣かないと思っていた

集英社 著者:寺地はるな

大人は泣かないと思っていた

表題作を含めた、全7編収録の短編小説集。さまざまな立場の登場人物たちが織りなす、涙の物語です。

表題作は、大酒飲みで不機嫌な父親と2人暮らししている時田翼の物語。翼は休日のお菓子作りを趣味にしていますが、父からは“男のくせに”と言われ続けていました。そんな中、父から庭のゆずを盗む泥棒を取り押さえるよう命じられます。ゆず泥棒は捕まりますが、犯人は意外な人物で…。

家族のあるべき形を押し付けられてきた人たちが、自分の足で歩み始める物語。自分の進む道に悩む方にもおすすめの寺地はるか作品です。

夜は暗いとはかぎらない

ポプラ社 著者:寺地はるな

夜は暗いとはかぎらない

同じ街を舞台にした13の物語で構成される短編小説集。第33回山本周五郎賞候補作に選出されました。

大阪市近郊にある暁町。閉店する「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然姿を消しました。謎の失踪をしたあかつきんは、町のあちこちで人助けをし始めます。このあかつきんの行動をきっかけに、周囲の人々の心は少しずつ変化していき…。

痛みや葛藤を抱えた人たちが、人との縁をきっかけに少しずつ前を向いて歩き出します。優しい気持ちになりたい方にもおすすめ1冊です。

ミナトホテルの裏庭には

ポプラ社 著者:寺地はるな

ミナトホテルの裏庭には

寺地はるなのデビュー2作目にして、「おすすめ文庫王国2018」エンターテインメント部門1位を受賞した作品。ホテルを舞台に、支え合いながら生きていく人々を描く長編小説です。

大正末期、祖父によって建てられた宿泊施設・ミナトホテル。芯輔は、ホテルの裏庭の鍵探しを頼まれます。お礼の金一封に釣られて赴いた先は、わけありのお客を泊める少し変わった場所でした。さらに、ホテルの猫探しもすることになってしまった芯輔は…。

心がふっと楽になる、ハートウォーミングな物語。自分と相手を大切にすることの尊さを実感したい方に、おすすめの寺地はるな作品です。

雨夜の星たち

徳間書店 著者:寺地はるな

雨夜の星たち

“めんどうな人”が、周りの人たちとの関わりから自分の居場所を見つけ出していく長編小説です。

他人に感情移入するのが苦手な、26歳の三葉雨音。同僚・星崎くんの退職を機に仕事を辞めました。そして、三葉は他人に興味がない特性を見込まれて、お見舞い代行業にスカウトされます。それは移動手段がないお年寄りの送迎や、雑用をする仕事で…。

寺地はるなが、“空気は読めなくてもいい。あるいは読めても従わないという選択肢だってきっとあると信じて書いた”という作品。自分の生き方に悩む方にもおすすめの1冊です。

わたしの良い子

中央公論新社 著者:寺地はるな

わたしの良い子

子供と暮らすことになった女性の日々を描く長編小説。子育てを通して、“普通”とは何か、“ちゃんと”とは何かに切り込みます。

椿は、出奔した妹の子・朔と暮らすことになりました。内にこもりがちで勉強も苦手、“育てやすく”はない朔との生活。そんななか、椿は“どうしてちゃんとできないの?他の子みたいに”と、朔と他の子とを比較していることに気づきます。

大人のいう“良い子”や“当たり前”について考えさせられる寺地はるな作品。心に刺さる言葉に出会いたい方はチェックしてみてください。

カレーの時間

実業之日本社 著者:寺地はるな

カレーの時間

レトルトカレー会社の営業マンだった83歳の祖父と、祖父の同居人に指名された25歳の主人公の交流を描く長編小説です。

祖父・義景が暮らすのはゴミ屋敷のような家。孫息子・桐矢は、そこで一緒に生活することになります。カレーを囲む時間だけは打ち解けてくれる祖父には、とある秘密がありました。祖父が半世紀の間、抱えてきた真実とは一体何なのでしょうか。

カレーを食べながら語り合い、少しずつお互いを知っていく祖父と孫。終戦後と現在、2つの時代をカレーがつなぎます。心あたたまる小説が読みたい方におすすめの寺地はるな作品です。

ほたるいしマジカルランド

ポプラ社 著者:寺地はるな

ほたるいしマジカルランド

汗と涙と笑顔があふれるお仕事小説です。舞台は、大阪の蛍石市にある老舗遊園地・ほたるいしマジカルランド。社長を筆頭に、たくさんの人々が働いています。

お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘していました。そんなある日、社長が入院したという知らせが入り…。

遊園地で働く従業員の生き方にフォーカスして描かれる寺地はるな作品。お仕事小説が好きな方はもちろん、普段小説を読まないという方にもおすすめの1冊です。

正しい愛と理想の息子

光文社 著者:寺地はるな

正しい愛と理想の息子

“愛とは何なのか”をテーマにした長編小説。生まれも育ちも性格も 、全てにおいて対照的な2人の生き方を描きます。

陰気なハセと、かわいい冲は悪党コンビ。違法カジノでの仕事は、失敗の連続でうまくいきません。偽宝石売りでもだました女にだまされて、いよいよ無一文になります。切羽詰まったハセは、“これからは年寄りだ。さびしさは、利用できる”と閃いて…。

32歳と30歳、歪んだ愛を抱える崖っぷちの男たち。2人がどうやって壁を乗り越えていくのか、最後まで目が離せません。泣ける小説を読みたい方におすすめの寺地はるな作品です。