2021年から2年連続で本屋大賞にノミネートされた小説家「青山美智子」。『赤と青とエスキース』など、気持ちが前向きになれるような連作短編集を手掛け、ブレイクに期待が高まる作家の1人です。

今回は、青山美智子が手掛けた小説を、おすすめポイントとともにご紹介。デビュー作から本屋大賞ノミネート作品まで、魅力を詳しく解説します。青山美智子作品の特徴とあわせて、ぜひ参考にしてみてください。

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本屋大賞にノミネートされた青山美智子とは?

1970年生まれ、愛知県出身の小説家・青山美智子。中京大学社会学部を卒業後、単身オーストラリアへ渡り、シドニーの日系新聞社で記者として勤務していました。帰国後は出版社での雑誌編集者を経て、33歳のときにパレットノベル大賞で佳作に入選します。

しかし、そこではデビューには至らず、14年後の2017年に『木曜日にはココアを』で初の単行本を発売。47歳で念願の作家デビューを果たします。同作は第1回宮崎本大賞を受賞しました。

デビュー以降、精力的な執筆活動とともに、人気作を続々と発表しています。2021年『お探し物は図書室まで』、2022年『赤と青とエスキース』がそれぞれ本屋大賞にノミネート。2年連続で本屋大賞第2位に輝きました。

ネクストブレイク候補として期待が高まる、注目の作家の1人です。

青山美智子作品の魅力

青山美智子はデビュー以降、一貫して連作短編形式の作品を発表しているのが特徴です。それぞれの短編が少しずつ重なり合いながら、人々の多様な人生の悩みに寄り添う物語が展開されています。

やわらかな筆致で書かれる青山美智子作品は、どれも気持ちがあたたかくなるような読後感が魅力。人の優しさや繋がりを丁寧に描き、作中の言葉には前向きに生きるためのヒントが多く詰まっています。

どの作品も連作短編なので、ちょっとした隙間時間に読書を楽しめるのもポイント。人生に悩みや葛藤を抱えている方や、忙しい生活のなかでも心がほっと癒されるような読書体験をしたい方に、おすすめの小説家です。

青山美智子のおすすめ小説

赤と青とエスキース

PHP研究所 著者:青山美智子

赤と青とエスキース

“青山美智子の新境地にして勝負作!”と銘打たれた1作。2022年の本屋大賞第2位に選ばれました。メルボルンの若手画家が描いた1枚の絵画をめぐる、新作の連作短編集です。作中に登場するコミックのコミカライズも企画されています。

メルボルンに留学中、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちた女子大生・レイ。2人が期間限定の恋人として付き合い始める第1章『金魚とカワセミ』をはじめ、絵画に関わる人々の、さまざまな愛にまつわる5つの短編が物語を作り上げます。

1枚の絵画が、時代を超えて人々の間を渡っていくという本作品は、“二度読み必至!”と謳われる巧みな展開も見どころ。ちりばめられた仕掛けが活きる、小説ならではの面白さを味わえます。ネタバレなしで楽しみたい、おすすめの青山美智子作品です。

木曜日にはココアを

宝島社 著者:青山美智子

木曜日にはココアを

青山美智子のデビュー作にあたる連作短編集です。2020年に宮崎県の書店員が選ぶ宮崎本大賞で1位を獲得。2021年には朗読劇も上演されました。東京とシドニーをつなぐ、12編の心あたたまる物語が収録されています。

舞台は、川沿いの桜並木のそばにある喫茶店「マーブル・カフェ」。必ず木曜日に訪れては、いつも同じ席でココアを頼み、手紙を書いている女性がいました。店員の僕が密かに「ココアさん」と呼んでいる彼女は、ある日いつもと様子が違っており…。

「マーブル・カフェ」の常連の人々が織りなす、ハートフルな物語が魅力の青山美智子作品。小さな出来事が重なりあいながら、誰もが誰かの人生と繋がっていると感じさせてくれます。ココアのようにあたたかな言葉たちが心に沁みる、おすすめの短編集です。

お探し物は図書室まで

ポプラ社 著者:青山美智子

お探し物は図書室まで

2021年の本屋大賞2位にランクインした、青山美智子の連作短編小説。5作目にして、累計発行部数12万部を突破した人気作です。2022年にNHKでラジオドラマ化もされました。「本」と「仕事」をテーマにした5編の短編が収録されています。

人生に悩める人々が、ふとしたきっかけで訪れた町の小さな図書室。彼らの背中を押してくれるのは、不愛想だけれど聞き上手な司書・小町さゆりでした。彼女の一風変わった選書と可愛い付録によって、人々は自分が本当に「探している物」に気が付くのです。

立場の年齢も異なる5人それぞれのリアルな悩みには、共感できるポイントが多数。働くことや生きていくことを、丁寧に見つめ直すきっかけを与えてくれます。前向きになれるような小説を読みたい場合にはもちろん、贈り物としてもおすすめの1作です。

ただいま神様当番

宝島社 著者:青山美智子

ただいま神様当番

“笑って泣けて希望が灯る連作集”と謳われる、青山美智子のエンターテインメント小説。ほっこりとした青山美智子の筆致に、「神様」というファンタジー要素を織り交ぜた5編からなる連作短編集です。

ある朝、目覚めると手首から腕にかけて、「神様当番」と大きな文字が書かれていました。そして、突如目の前に現れたのは、「神様」と名乗るおじいさん。彼の願いを叶えなければ、腕の文字は消えないというのです。

奇想天外な神様に振り回される、年齢も性別も違う5人。しかし、「神様当番」を務めるうちに、いつの間にか彼らの悩みは解決していき…。

お茶目で少し強引な神様との交流に、クスッと笑えてじんわりと泣ける本作品。自分の本音と向き合い、行動する勇気をもらえます。ユーモアあふれる青山美智子作品が読みたい方におすすめの小説です。

猫のお告げは樹の下で

宝島社 著者:青山美智子

猫のお告げは樹の下で

青山美智子が“真の意味で作家として一歩踏み出した作品”とコメントしているデビュー第2作目。連作短編形式で描く、7編のやさしい物語が収録されています。日常に行き詰まった7人の人々が、少し変わった猫のお告げに導かれていく感動作です。

失恋した相手を忘れたいミハルは、ふと立ち寄った神社でお尻に星のマークが付いた猫・ミクジに出会います。ミクジに、「ニシムキ」と書かれたタラヨウの葉っぱを授けられるミハル。宮司は“その「お告げ」を大事にした方が良いですよ”と、ミハルに助言し…。

ミハルのほかにも、中学生の娘と仲良くなりたい父親や、なりたいものがわからない就活生、長年の夢を諦めきれない主婦など、身近な悩みを抱えた人物たちが、この小さな神社を訪れます。

少し視点を変えれば、悩める現実も好転することに気付かせてくれる青山美智子作品。穏やかな読後感に浸れる、おすすめの1作です。

鎌倉うずまき案内所

宝島社 著者:青山美智子

鎌倉うずまき案内所

平成のはじまりから終わりまでの30年を舞台にした、おすすめの連作短編集です。さまざまな悩みを抱える6人を主人公に、それぞれの「気づき」を描いた6編で構成されています。

鎌倉へ取材に訪れた、主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬。彼は、古い時計店の地下にある不思議な案内所「鎌倉うずまき案内所」に迷い込んでしまうのです。そこにいたのは双子のおじいさんと、謎のアンモナイトでした。

平成の終わりにあたる2019年から、章ごとに6年ずつ時代が過去へさかのぼっていくのが本作品の見どころ。“最後まで読むと必ず最初に戻りたくなる!?”と謳われる青山美智子作品を、ぜひ平成のノスタルジーを感じながら堪能してみてください。

月曜日の抹茶カフェ

宝島社 著者:青山美智子

月曜日の抹茶カフェ

『木曜日にはココアを』の続編にあたる青山美智子作品。喫茶店「マーブル・カフェ」の定休日である月曜日に、1度だけ開催した「抹茶カフェ」から始まる物語です。東京と京都を人々の縁で繋ぐ1年間を、12編の連作短編形式で表現しました。

たった1度の「抹茶カフェ」で偶然出会った2人。1杯の抹茶をはじまりとして、恋人と別れたばかりのシンガーや、実家の祖母と折り合いが悪い紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将など、東京と京都をまたぎながらさまざまな人へ縁が続いていきます。

各短編の登場人物たちが、リレー形式に後の物語へ繋がっていくのが特徴。前作と本作品、どちらから読んでも楽しめる構成になっています。自分も知らないうちに、誰かの背中を押しているかもしれないと思わせてくれる、おすすめの青山美智子作品です。