ミステリー小説界の重鎮として知られる「島田荘司」。1981年のデビュー以来、シリーズモノから短編集までを意欲的に発表し、幅広い世代に愛されている作家です。また、新人作家の発掘にも尽力し、文学賞も主催。今なお、ミステリー小説界をけん引し続ける存在でもあります。
そこで今回は、島田荘司作品のなかから、おすすめを厳選しました。島田荘司作品が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ミステリー界の重鎮「島田荘司」とは?
島田荘司は、「ゴッド・オブ・ミステリー」と称される、ミステリー界の重鎮です。1942年広島県生まれで、武蔵野美術大学を卒業後、ミュージシャンやライターなどさまざまな職業を経験。1981年に『占星術殺人事件』で作家としてデビューしました。
以来、「御手洗潔シリーズ」「吉敷竹史シリーズ」や短編集など、多くの作品を発表しています。『占星術殺人事件』『Pの密室』など、一部の作品は翻訳され、海外でも愛されているミステリー作家の一人です。
近年では、新たな本格推理小説家の発掘にも注力。「島田荘司 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」といった文学賞も主催しています。
島田荘司作品の魅力
島田荘司作品は多くありますが、共通する魅力は巧妙なトリックです。伏線が張り巡らされ、それが一挙に解決される作品が多いことで知られています。長編・短編ともに、読み終わった後に驚きや爽快感が味わえる作品が多いのが魅力です。
また、島田荘司作品は、ストーリーに実在の事件や社会問題なども取り入れているのが特徴。消費税や国際問題などをテーマにした作品もあり、単なるミステリー小説に留まらない深みがあるのも魅力的です。
島田荘司作品のおすすめ
占星術殺人事件 改訂完全版
講談社 著者:島田荘司
島田荘司のデビュー作であり、代表的なシリーズ「御手洗潔シリーズ」の第1作目です。「東西ミステリーベスト100」で、第3位に選ばれました。
密室で、ある画家の殺人事件が発生します。彼が残した手記には、6人の処女の肉体を材料に、“完璧な女”を作る計画が。実際に彼の死後、6人の若い女性がバラバラ死体で発見されました。発生から40年以上経っても解決されない事件に、探偵・御手洗潔が挑みますが…。
刊行から数十年経った今なお、“ミステリーの名作”との呼び声高い一冊。島田荘司作品を初めて読む方におすすめです。
改訂完全版 斜め屋敷の犯罪
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の2作目の長編小説。“日本ミステリー界を変えた傑作”ともいわれています。
北海道・宗谷岬に傾いて建つ「斜め屋敷」で、クリスマスパーティーが開かれました。翌日、密室で招待客が死体となって発見され、その後も惨劇が連続。御手洗潔は、この謎をどう解明するのでしょうか。
スケールの大きいトリックに夢中になる作品。巻末に収録されている、著名な推理小説家・綾辻行人による解説も必見です。
改訂完全版 異邦の騎士
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の3作目の長編小説。多くの事件を解決している御手洗潔の、最初の事件を描いた作品です。
記憶喪失の男性は、日々を過ごすうちに「自分は妻子を殺したのではないか」という記憶が浮かんでくるようになります。緊張感と恐怖に苛まれるなか、彼の前に自分と同じ顔をした男が登場。御手洗潔は彼を救うため尽力します。
徐々に回収されていく伏線に、爽快感を覚える作品。どんでん返しのある作品を読みたい方におすすめです。
改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の4作目の長編小説。「御手洗潔シリーズ」作品のなかでもおどろおどろしい描写が多く、スリル満点の一冊です。
さらし首の名所として知られていた「暗闇坂」にある洋館で、殺人事件が発生。すぐそばには、樹齢2000年の大楠がありました。この楠には、「人を食べる」という言い伝えが。謎の多い事件に御手洗潔が挑みますが、真実に近づくほど事件はおぞましさを増してきて…。
700ページ超と非常にボリュームのある作品。読み応えのある、重厚なミステリー小説を楽しみたい方におすすめです。
水晶のピラミッド
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の5作目の長編小説です。エジプトやアメリカを舞台に、壮大なスケールで物語が展開します。
アメリカに存在する、エジプト・ギザの大ピラミッドを実寸で再現したピラミッド。ここでは、古代エジプトの死者の神・アヌビスの復活、空中30mでの男性の溺死などさまざまな怪事件が発生していました。御手洗潔は、このピラミッドの謎に迫ります。
複数の国の歴史などにも触れながら進む大作。海外を題材にした「御手洗潔シリーズ」の作品が読みたい方におすすめです。
眩暈
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の6作目の長編小説。島田荘司のデビュー作『占星術殺人事件』の読者を主人公にした作品です。
『占星術殺人事件』の愛読者である青年の日記。そこには、切断された男女の死体が両性具有者として復活したり、世界の終わりが広がっていたりと、奇怪な内容がつづられていて…。青年が記した日記の内容は、何を示しているのでしょうか。
先の読めない導入と、御手洗潔が鮮やかに事件を解決する様は必見。不思議な世界観の「御手洗潔シリーズ」が読みたい方におすすめです。
屋上
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の長編小説で、シリーズ50作目の作品。「呪い」という人智を超えた謎に、御手洗潔が挑みます。
上った人間が続々と飛び降りて死ぬ、呪われた屋上。事前に“自殺しません”と宣言してから様子を見に行った人でさえ、命を落としている場所です。たとえ、全く自殺願望がない人でも飛び降りてしまう理由を、御手洗潔が解き明かします。
予想外のトリックに、驚かされる読者も多数。「御手洗潔シリーズ」の、比較的新しい作品を読みたい方にもおすすめです。
北の夕鶴2/3の殺人
光文社 著者:島田荘司
刑事・吉敷竹史を主人公にした「吉敷竹史シリーズ」の3作目の作品です。『占星術殺人事件』『奇想、天を動かす』などと並んで名作と称されるミステリー小説。2008年にはドラマ化もされています。
吉敷の元に突然かかってきた、離婚した妻からの電話。不審に思った吉敷は、妻を追いかけて上野駅へ向かいます。乗車した電車で妻を見つけますが、翌日、死体で発見されました。事件を追ううちに、妻が北海道で起きた殺人事件の容疑者になっていたことを知り…。
妻の無実を証明するために奔走する吉敷の姿に、胸を打たれる作品。壮大なトリックを楽しみたい方におすすめです。
奇想、天を動かす
光文社 著者:島田荘司
「吉敷竹史シリーズ」の11作目。推理小説と社会派推理が組み合わさった、“傑作”と呼び声高い作品です。
浅草で、消費税がトラブルとなり、浮浪者風の老人が主婦を刺殺する事件が発生。老人は逮捕されましたが、完全黙秘を貫いていました。不審に思った吉敷が調査を進めると、過去数十年に及ぶ巨大犯罪の姿が見えてきて…。
予測できない展開の数々に引き込まれる作品。考えさせられる内容のミステリー小説が読みたい方におすすめです。
漱石と倫敦ミイラ殺人事件 完全改訂総ルビ版
光文社 著者:島田荘司
文豪・夏目漱石と、シャーロック・ホームズがタッグを組む長編ミステリー小説です。コミック化もされています。
イギリスに留学中の夏目漱石は、毎晩聞こえる亡霊の声が頭痛の種。思い悩んだ彼はある日、シャーロック・ホームズを訪ねます。ちょうどそのころホームズは、呪いをかけられた男が一晩でミイラ化した事件を抱えていました。漱石は、事件解決のために協力します。
筆者が第12回日本ミステリー文学賞を受賞した記念として、ルビがふられています。推理小説好きの方におすすめです。
Pの密室
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の中編集です。幼少期の御手洗潔が遭遇・解決した、2つの事件を描きます。
周囲に赤い紙が敷き詰められた密室で見つかった死体の真相に迫る『Pの密室』。それに、謎の多い自動車事故と店内に散ったガラス片の謎を追う『鈴蘭事件』も収められています。御手洗少年は、事件をどう解決するのでしょうか。
どちらの話も、物悲しい結末や、子供ゆえのやるせなさを感じる作品。御手洗潔の原体験となる事件に触れられるので、「御手洗潔シリーズ」のファンにはおすすめの一冊です。
龍臥亭事件 上
光文社 著者:島田荘司
御手洗潔の友人で、推理小説家の石岡が主人公の長編推理小説。御手洗潔シリーズのスピンオフ作品としても楽しめる作品です。
ある日石岡のもとに“悪霊祓いをしてほしい”という依頼がきます。彼は依頼に応じるべく、依頼人の女性とともに岡山県まで出かけることに。霊に導かれるまま進むと、山中にたたずむ旅館「龍臥亭」にたどり着きます。そこで石岡は、大量連続殺人事件に遭遇し…。
次から次へと事件が起こる展開に引き込まれる一冊。上下巻構成でページ数も多いため、濃密な読書体験をしたい方におすすめです。
透明人間の納屋
講談社 著者:島田荘司
密室殺人を扱う、長編ミステリー小説。ある国際問題をテーマにした、社会派ミステリー小説としても楽しめる作品です。
ある女性が密室から消え、死体で発見されます。女性の知人で、主人公の少年・ヨウイチの隣人・真壁は「透明人間は存在する」「自分は透明人間になる薬を作っている」と告白。真壁はヨウイチの前から姿を消しますが、26年後に手紙が届いて…。
元々は子供向けのミステリー小説として刊行されていたため、世代を問わず読めるのもポイント。切ない読後感のヒューマンドラマが読みたい方におすすめです。
御手洗潔の挨拶
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の短編集です。巧妙なトリックが楽しめる、4つの物語を収録しています。
マンションから姿を消した13分後、絞殺の跡が付いたまま線路に飛び込んで死んだ男性の事件をはじめ、登場するのは不可解な犯罪ばかり。また、御手洗自身の性格や過去なども判明する点が多く、キャラクターを知るための一冊にもぴったりです。
ミステリーの要素もありつつ、サクサクと読み進められるのもポイント。初めて「御手洗潔シリーズ」を読む方にも、すでに読んだことのある方にもおすすめの一冊です。
改訂完全版 火刑都市
講談社 著者:島田荘司
都市論を絡めて展開する、長編ミステリー小説。“社会派ミステリーの傑作”と称される作品でもあります。
東京・四谷のビルで放火事件が発生し、若いガードマンが焼死。捜査を進めると、事件にある女の影が浮かび上がってきます。警察は女の行方を追いますが、同様の事件が赤坂で発生。現場には、「東京」と書かれた張り紙も見つかっていて…。
東京という都市の奥深さと、現代人の心の機微をとらえた一冊。古風な雰囲気の島田荘司作品が読みたい方におすすめです。
御手洗潔のダンス
講談社 著者:島田荘司
「御手洗潔シリーズ」の短編集です。奇想天外な事件をテーマにした、4編を収録しています。
日ごろから「人間は空を飛べるはずだ」と主張していた画家。彼はその後、燕尾服姿で、空を飛ぶようなポーズで死んでいて…。表題作『山高帽のイカロス』を始め、数々の事件に御手洗潔が挑む姿に引き込まれます。
御手洗潔や友人の石岡にフォーカスした話もあり、見どころたっぷり。不思議な世界観の短編を読んでみたい方におすすめです。
改訂完全版 毒を売る女
河出書房新社 著者:島田荘司
サスペンスやSFなど、さまざまなジャンルが楽しめる短編集です。全8編を収録しています。
セレブなママ友に隠された秘密をテーマに、人間の狂気を描く表題作『毒を売る女』から御手洗潔や吉敷竹史など、ほかのシリーズの主人公たちの登場作も収録。バラエティ豊かな作品が充実しているのが見どころです。
島田荘司のほかの作品とは、一味違う物語が楽しめます。初めて島田荘司の作品を読む方にも、島田荘司ファンの方にもおすすめです。
島田荘司の小説の売れ筋ランキングをチェック
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“ゴッド・オブ・ミステリー”とも呼ばれる島田荘司の作品。長年愛される「御手洗潔シリーズ」「吉敷竹史シリーズ」から、手軽に読める短編集までバラエティ豊かです。どれを読んでも、巧妙なトリックと緻密なストーリーを楽しめます。ミステリー小説を読みたいときに、ぜひ島田荘司作品を手に取ってみてください。