直木賞をはじめ、数多くの文学賞を受賞している作家「小池真理子」。エロスや生死を根幹に据えた恋愛小説や心理サスペンスを得意としています。長編作品が注目されがちですが、短編作品やエッセイにも魅力的な作品が多数存在するのも特徴です。
そこで今回は、小池真理子のおすすめ小説をご紹介します。文学賞の受賞作を中心にピックアップ。ぜひ参考にしてみてください。
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直木賞受賞作家「小池真理子」とは?
小池真理子は1952年、東京生まれの女性作家です。1995年に『恋』で直木賞を受賞。1989年に『妻の女友達』で日本推理作家協会賞、1998年に『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年に『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、2011年に『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞など、多数の受賞歴を持つのが特徴です。
得意とするジャンルは心理サスペンスや恋愛小説ですが、エッセイにも定評があるので注目してみてください。幅の広い作品と優れた文章を持ち味にした作家に興味のある方におすすめです。
小池真理子作品の魅力
小池真理子作品には、人間の性愛や生死をテーマにしたモノが多く存在します。豊かな心理描写や切なさがあふれるストーリーで、胸が締め付けられるような恋愛小説や家族小説を得意とするのも特徴。なかには、人間の本性を暴きだし、読み終えた後に後味の悪さを残す「イヤミス」作品もあります。
長編作品が評価されることが多い作家ですが、短編でも優れた作品を執筆しているところもポイント。多様な作品から、好みのモノを探す楽しみがあるのも魅力のひとつです。
小池真理子作品のおすすめ
恋
新潮社 著者:小池真理子
小池真理子作品の頂点を極めたとうたわれる恋愛小説。直木賞の受賞作品でもあります。2013年にはテレビドラマ化もされている作品です。
1972年の冬、浅間山荘事件で世間の話題が持ち切りのなか、1人の女性が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻・雛子との自由な関係に魅力を感じ、倒錯した関係に陥っていきます。しかし、ある青年の登場が3人の関係を悲劇的なモノへと変えていきました。
いびつな関係を構築しようとする主人公たちの行く末が見どころ。読後に虚無感を感じた読者も多いおすすめの小池真理子作品です。
欲望
新潮社 著者:小池真理子
息をのむような恋愛を描く小池真理子の小説。人間の性愛や死をテーマにした、“小池文学が到達した究極の恋愛小説”とうたわれています。島清恋愛文学賞の受賞作です。
図書館司書・青田類子は、家族のある男性と体だけの関係を続けながら、元同級生である青年・正巳に興味を抱きます。しかし、正巳は性的不能者のため、体で結ばれることはなく…。
三島由紀夫邸を模倣した不思議な建物で開催されるパーティーに集った男女の性や愛、死の形に注目したい作品。三島由紀夫をモチーフとして掲げているおすすめの作品です。
望みは何と訊かれたら
新潮社 著者:小池真理子
身体も魂も貫く悦楽を表現した小池真理子の恋愛小説。極限状況で時間を共有し合った男女が、再会を果たすことによって生まれた物語を描いています。
夫と娘と暮らす槙村沙織は、パリの美術館で三十数年越しに秋津吾郎と再会。五郎は、革命運動に関わりアジトからの逃亡を謀った20歳の沙織を、半年間かくまってくれた恩人でした。運命の再会に、沙織は確かな充実を感じていて…。
根源的に結びつく2人の再会は、何をもたらすのかが見どころ。学生運動が盛んだった時代を生きた著者だからこそ描ける、リアルな世界観にも注目してみてください。
無花果の森
新潮社 著者:小池真理子
追い詰められ、全てをなくした男女の愛と再生の物語を描いた小池真理子の小説。芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。2014年には実写映画化もされた作品です。
とある日の午後、雨が降るなか夫の暴力に耐え切れなくなった新谷泉は家を飛び出します。隠れ場所を求めて地方都市にたどり着いた彼女は、高齢な女性画家の家政婦として雇われることに。時間が静かに流れていくなか、泉は思いがけない人物と出会いました。
シンプルなストーリーながら、著者の筆力によって引き込まれるのが魅力。ラストまで展開にも注目したいおすすめの小池真理子作品です。
狂王の庭
KADOKAWA 著者:小池真理子
至高の恋を描いた小池真理子の長編恋愛小説。没落する華族社会のなかで、激しく求め合う男女の姿を描いた作品です。
昭和27年の国分寺、美しい西洋庭園で開催された夜会。庭を作った男・青爾は、美しい人妻・沓子に“僕があなたを恋していること、わからないのですか”と語りかけます。一方の沓子も青爾にひきつけられますが、彼は妹の婚約者でもありました。
モラルに反しながらも、強烈にひかれ合う2人の恋がどこに行き着くのかが見どころ。小池真理子作品らしい、恋愛の究極の形を描いた物語を読みたい方におすすめです。
墓地を見おろす家
KADOKAWA 著者:小池真理子
小池真理子が描く戦慄のモダンホラー小説。現実にも起こり得そうな舞台設定が恐怖をかき立てる作品です。
新築で格安、それでいて都心にある好物件マンションに移り住んだ哲平一家。しかし、周辺は広大な墓地に囲まれていました。怪奇現象に見舞われる哲平一家は、どうなってしまうのでしょうか。
読者を突き放す衝撃のラストに注目したい作品。小池真理子が描くホラー小説を読んでみたい方におすすめです。
二重生活
KADOKAWA 著者:小池真理子
小池真理子のサスペンス小説。他人を尾行して秘密を垣間見ることに快感を覚えてしまった人間を描いています。2016年には実写映画もされた作品です。
大学院生・珠は、大学時代のゼミで知ったアーティスト・ソフィ・カルの影響で尾行に興味を持ちます。近所に住む男性・石坂の後をつけて不倫現場を目撃。他人の秘密を知ることに快感を覚えた珠は、尾行を繰り返しますが…。
他人を観察することを目的としていた珠の行動が、次第に自分自身の人間関係にも影響を与えていく点に注目。「尾行」という刺激的なテーマの作品で、スリルのある作風を楽しみたい方におすすめです。
ソナチネ
文藝春秋 著者:小池真理子
エロスや生と死の本質を探る小池真理子の短編集です。著者が一貫して描き続けてきたテーマの作品を堪能できる7編を収録しました。
表題作『ソナチネ』では、ピアニスト・佐江が教え子のコンサートで少女の叔父と名乗る男性と出会います。音楽堂の暗い客席で、教え子の弾くソナチネのメロディに合わせるように、2人の男女は視線や指先を絡ませていき…。
そのほか、『鍵』『木陰の家』『終の伴侶』『千年萬年』『交感』『美代や』を収録しています。小池真理子作品の真骨頂を楽しみたい方におすすめです。
沈黙のひと
文藝春秋 著者:小池真理子
生と死を通して、家族のあり方を描き出した小池真理子の小説です。著者自ら“何か不思議な力が書かせた作品で、私にとっての生涯の勝負作です”と語る作品。2013年には吉川英治文学賞を受賞しています。
昔に家を出て、別の家族を持った「父」は年老いて病にかかり、やがて口が利けないまま亡くなりました。遺品である手紙や短歌から、新しい家族との関係や恋愛事情、娘である「私」への想いが明らかになっていき…。
作品内の短歌は、著者の亡くなった父親が実際に詠んだモノ。自身の家族をモデルにした本作品は、心を揺さぶる傑作ともうたわれています。
存在の美しい哀しみ
文藝春秋 著者:小池真理子
哀しくも美しい家族を描いた小池真理子の小説。“好きな場所を旅行して短編を書きませんか”という編集部の声を受けて執筆した作品です。
異父兄の存在を亡き母から教えられた榛名は、兄がいるプラハへと向かいます。榛名は妹であることを隠し、ガイドとして兄を雇う形で対面。やがて、両親の過去や家族の真の姿を知らされて…。
1章と2章以降で語り部の異なる、ユニークな構成が特徴的な作品。登場人物の視点を変えながら、家族の真の姿が浮き彫りになっていきます。趣向を凝らした作品を読みたい方におすすめです。
夏の吐息
講談社 著者:小池真理子
小池真理子の傑作短編集。著者自身が“この6編を超える作品は、もう書けないかもしれません”と語っている作品です。
“永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待って…”と、6年前に恋人が突然行方不明になった女性のモノローグで構成される『夏の吐息』のほか、『秘めごと』『月の光』『パロール』『上海にて』『春爛漫』の6編を収録しています。
大人の恋愛を描いた濃厚な物語が魅力。年齢によって感じ方が変わる、切ない小説を読みたい方におすすめです。
危険な食卓
集英社 著者:小池真理子
人間関係のなかに見え隠れする悪意や殺意をテーマにした小池真理子の短編集。妻と夫、嫁と姑といった、ありふれた関係性のなかにある恐怖を描いた作品です。
表題作は、健康至上主義の妻と美食家の夫の食卓が舞台。殺意が隠された特別料理とは、どのようなものなのでしょうか。そのほか、おおざっぱな嫁に不満を募らせる姑の裏の顔に恐怖する『天使の棲む家』、21年ぶりの連絡に隠された意味が気になる『同窓の女』などを収録しています。
後味の悪い終わり方をする「イヤミス」作品が多い作品集。日常の出来事における人間の心理をうまく切り取った作品を読みたい方におすすめです。
妻の女友達
集英社 著者:小池真理子
日々の生活に潜む愛や憎しみが殺意として襲いかかる恐怖を描いた小池真理子の短編集。6編の秀逸なサスペンスを収録しています。
表題作『妻の女友達』は、市役所で戸籍係として働く夫と清楚でおとなしい妻の物語。ある日、穏やかな生活を好む夫妻の前に、妻の学生時代の友人で女流評論家として活動する女性が現れます。刺激的な女性の登場は、平和だった家庭をいつのまにか崩壊させていき…。
表題作は推理作家協会賞を受賞。人間の恐ろしさを描いた短編を楽しみたい方におすすめです。
虹の彼方
集英社 著者:小池真理子
切なさで胸が苦しくなる、小池真理子の恋愛小説。柴田錬三郎賞を受賞した1作です。48歳の人気女優・志摩子と43歳の売れっ子作家・正臣が恋に落ちるところから物語は始まります。
既婚者で、業界で確立した地位もある2人。禁断の恋が周りに与える影響を理解していながらも、気持ちを抑えられずに愛し合います。やがて、全てを投げ捨てて駆け落ちすることを決意しますが…。
2人の燃えるような恋の行き着く先に注目したい作品。本気の恋を描いた小池真理子作品を読みたい方におすすめです。
月夜の森の梟
朝日新聞出版 著者:小池真理子
哀しみを通じて人間存在の本質を考える小池真理子のエッセイ集。亡くなった著者の夫であり、作家・藤田宜永の死と向き合って過ごした日々をつづっています。連載時より多くの読者から反響があった作品です。
かけがえのない人を失うこと、夫婦や愛の本質、生や死の意味など、さまざまな喪失について考えた筆者の言葉が収められています。
少し読むだけでも涙が止まらなくなってしまう方も多い作品。生きていることの尊さや大切な方の存在意義を再確認したい方におすすめです。
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小池真理子作品には読者の胸を締め付けるような、切ない作品が多数存在します。生死や性愛といったテーマを取り上げることが多いのも特徴。作品を読むことで、自分自身の生き方や大切な方の存在を改めて考えるきっかけを与えてくれます。短編作品やエッセイにも魅力的なモノが多いので注目してみてください。