オカルト要素を使った作品で人気を博す「京極夏彦」。直木賞や山本周五郎賞など、さまざまな賞を受賞している作家です。「百鬼夜行」シリーズや「港説百物語」シリーズなどの代表作以外にも、多様なジャンルの作品を執筆しています。

そこで今回は、京極夏彦のおすすめ作品をご紹介。文学賞の受賞作を中心に、幅広い作品をピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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オカルト要素を使った作品で人気の作家「京極夏彦」とは?

京極夏彦は、1963年生まれで北海道出身の小説家。1994年に『姑獲鳥の夏』でデビューし、名を馳せて以降さまざまな作品を執筆しています。1996年には、『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞を受賞。『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』と続く「百鬼夜行シリーズ」は、著者を代表する作品として人気を博します。

1997年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞を受賞。さらに、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で直木賞、2011年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞を受賞するなど、幅広い賞を受賞しているのもポイントです。

また、趣味について聞かれると「整理整頓」と答えており、なかでも膨大な書籍が整然と並べられた書斎はたびたび話題となっています。

京極夏彦作品の魅力

京極夏彦作品はオカルトや学問など、作品内に多様な話題を持ち出すのが特徴。一見すると関係のない話題は、ほとんどが物語のどこかで伏線回収されていく複雑な構成をとっていることが少なくありません。

オカルトのイメージが強い作家ですが、SF小説・時代小説・日常を取り扱った小説に加え、パロディをテーマにしたコメディ小説まで、幅広い作品を執筆しているのも魅力です。

ボリュームのある作品が多いのも特徴。作品によっては1000ページを超えるモノもあります。

京極夏彦のおすすめ小説

文庫版 姑獲鳥の夏

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 姑獲鳥の夏

京極夏彦のデビュー作です。古本屋にして陰陽師でもある主人公が、妖怪が関わる事件を解決してゆく著者を代表するシリーズの第1弾。2005年には実写映画化されているのもポイントです。

東京・雑司ヶ谷の病院に不可解な噂が流れていました。とある女性が20ヵ月も身ごもったままで、その夫は密室からいなくなってしまったというのです。文士・関口や探偵・榎木津が推理を繰り広げるなか、物語は意外な結末へ向かってゆき…。

ボリュームがあるのに、一気に読めてしまう作品。はじめて京極夏彦に挑戦する方にもおすすめです。

文庫版 魍魎の匣

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 魍魎の匣

京極夏彦のミステリ小説。『姑獲鳥の夏』に続く「百鬼夜行」シリーズの第2弾です。日本推理作家協会賞を受賞している作品でもあります。

箱を祀る霊能者、箱詰めにされた少女達の四肢、巨大な箱型の建物。箱に関わる不思議は、美少女転落事件やバラバラ殺人事件とどう関わっているのでしょうか。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場たちは京極堂の元へ集結して…。

別々に起きていたように見えた事件が、しだいにひとつの真実にたどり着く構成が特徴。伏線を次々に回収していく物語を読みたい方におすすめです。

文庫版 狂骨の夢

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 狂骨の夢

京極夏彦のミステリ小説です。『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』に続く「百鬼夜行」シリーズの第3弾。文庫版は刊行の際に、未定稿・割愛部分を含む400枚以上の加筆がなされているのが特徴です。

夫を4度殺した女性・朱美、強い強迫観念に心を病む元精神科医・降旗、神を信じない牧師・白丘。それぞれが悩みを持つ3人の前に、不可思議な事件が起こります。京極堂は事件を解決できるのでしょうか。

「骨」をテーマにした、さまざまなエピソードが集まって構成されているのが特徴。ページ数は1000ページに近く、ボリュームのある作品を読みたい方におすすめです。

文庫版 死ねばいいのに

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 死ねばいいのに

京極夏彦が贈るミステリー作品。各種メディアでも取り上げられており、「極上のベストセラー」と謳われています。

3ヵ月前に自宅マンションで殺された鹿島亜佐美について、突如現れた謎の男から尋ねられた彼女の関係者たち。心を乱され、しだいに自分たちのついた嘘に苦しめられていきます。男の追求によって浮かび上がる真実とは何なのでしょうか。

刺激的なタイトルが印象に残る小説。登場人物と自分自身とを重ね合わせてしまう方も少なくありません。心に刺さるような作品を読みたい方におすすめです。

文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼

講談社 著者:京極夏彦

文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼

自由を求めて行動した少女たちの物語を描いた京極夏彦作品。続編として『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』も執筆されています。

人間同士の直接接触がほとんどなくなった高度情報化社会が舞台。完全にコントロールされた世界で起きた連続殺人事件によって、14歳の少女たちは世界のすべてだと思っていた端末が「鎖」だと気づきます。友達と協力して真実を追求する牧野葉月達は、殺人鬼から狙われて…。

自由を求めた少女たちを待ち受ける結末に注目したい作品。SFタッチの京極夏彦作品を読みたい方におすすめです。

嗤う伊右衛門

KADOKAWA 著者:京極夏彦

嗤う伊右衛門

京極夏彦が贈る傑作と謳われる怪談。愛と憎・美と醜・正気と狂気といった物事の境界線をゆるがす作品です。第25回泉鏡花賞を受賞。第118回の直木賞候補にあがりました。

鶴屋南北の『東海道四谷怪談』と実録小説『四谷雑談集』をベースに、伊右衛門とお岩夫婦の物語をリメイク。生真面目で笑うことさえ知らない浪人・伊右衛門と、病で顔が崩れても凛とした精神を持つ女性・岩の愛の物語としてよみがえります。

恐ろしくも美しい物語に注目。著者流に蘇った古典を楽しみたい方におすすめです。

覘き小平次

KADOKAWA 著者:京極夏彦

覘き小平次

人間の哀しくも美しい部分を描きだす京極夏彦の作品。古典怪談を取り扱う『嗤う伊右衛門』に続くシリーズの第2弾です。2003年には第16回山本周五郎賞を受賞しています。

押し入れで死んだように生きる木幡小平次は、一流の幽霊役者。あるとき、舞い込んだ旅巡業の仕事をきっかけに、長年積もった愛と憎しみが解き放たれます。女房・お塚や周囲の人々からの欲望・悲嘆・執着が絡み合ってゆき…。

哀しき人間の性が張り裂けたとき、浮かび上がる異形の愛の形が見どころ。古典作品をベースにした京極夏彦作品を読みたい方はチェックしてみてください。

後巷説百物語

KADOKAWA 著者:京極夏彦

後巷説百物語

京極夏彦の妖怪時代小説。第130回直木賞を受賞しました。明治10年、文明開化が迫りくる時代が舞台の作品です。

一等巡査・矢作らは、ある伝説について調べるために隠居老人・一白翁を訪ねます。老人は、若い頃に怪異譚を求めて旅をしており、怪談話をよく知る人物だったのです。彼はおもむろに、今は亡き者どもの話を語り始めて…。

話の構成が巧みであることに定評のある作品。良質な怪異譚を楽しみたい方におすすめです。

西巷説百物語

KADOKAWA 著者:京極夏彦

西巷説百物語

京極夏彦が手がける「巷説百物語シリーズ」のひとつです。従来のシリーズと比べて話の構成や主要な登場人物が異なっているのがポイント。第24回柴田錬三郎賞の受賞作です。

大坂有数の版元で裏社会の元締めでもある一文字屋仁蔵のもとには、多様な厄介話が持ち込まれていました。問題を解決するために動き回っているのは又市の悪友・林蔵。舌先三寸の嘘を用いて、気づかぬうちに因縁を解決していくのでした。

シリーズを通して、多彩で魅力的な登場人物が特徴。続編として『遠巷説百物語』も刊行されているので、あわせてチェックしてみてください。

文庫版 厭な小説

KADOKAWA 著者:京極夏彦

文庫版 厭な小説

奇妙な7つの物語を楽しめる作品です。擦り寄る戦慄と驚愕が味わえます。

同期・深谷から“厭だ。厭だ。厭だ―”と、パワハラ部長・亀井に対する愚痴を聞かされて帰宅した「私」が目にしたのは見知らぬ子供でした。巨大な顔に山羊のような瞳、左右に離れた眼と奇妙な姿に驚きますが、妻は自分たち以外に誰もいないと言います。しかし、それは悪夢の始まりに過ぎませんでした。

不気味なのにページをめくる手が止まらない怪作。後悔してしまうような、おぞましい作品を読みたい方におすすめです。

文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし

KADOKAWA 著者:京極夏彦

文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし

妖怪とは何なのかを語る京極夏彦の妖怪小説。妖怪好きにとって必読の作品と謳われています。2011年にはアニメ映画化もされた作品です。

豆腐の載った皿を持って立ちつくすだけの妖怪・豆腐小僧は、江戸郊外の廃屋に暮らしています。豆腐を落としたとき、自分はどうなるのか、消えてしまうのか。悩みの尽きない小僧は、自らの存在理由を探して旅をするのでした。

軽快な語り口で語られる妖怪論が魅力の1冊です。消えたくないと願う豆腐小僧の行く末にも注目。著者の考える妖怪について知りたい方におすすめです。

南極。

集英社 著者:京極夏彦

南極。

連作全8編を収録した京極夏彦のコメディ作品。赤塚不二夫や秋本治とコラボレーションしているのも特徴です。

最底辺の作家・南極夏彦と、彼を取り巻く編集者たちの愉快な日々を描いています。漫画をネタにした、笑いの止まらないナンセンスギャグが炸裂。巻末に南極夏彦の特別インタビューを掲載している点も洒落が利いています。

ギャグやパロディを堪能できる1冊。著者の作品ではあまりみない、愉快な雰囲気を楽しみたい方におすすめです。

どすこい。

集英社 著者:京極夏彦

どすこい。

京極夏彦のギャグがセンスが炸裂する連作巨編。有名小説を力士と肥満でパロディをした、奇想天外な作品です。

相撲取りの討ち入りを描く『四十七人の力士』、肥満ミトコンドリアが暴れる『パラサイト・デブ』など、ユニークなタイトルがポイント。しりあがり寿先生の4コマや、解説では児嶋都作品に登場する大盛肉子ちゃんがゲスト出演するのも注目です。

「全編でぶのちゃんこ盛り」と謳われる悪ふざけ全開の作品集。毛色の異なる京極夏彦作品を読んでみたい方におすすめです。

虚言少年

集英社 著者:京極夏彦

虚言少年

甘酸っぱい初恋も素敵な思い出も取り立てるべき大事件もないが、ユーモアに満ちた日々を描いた京極夏彦の作品。「非・青春小説」と謳われています。

内本健吾・矢島誉・京野達彦は、それぞれが個性的な小学生3人組。「馬鹿なことはオモシロい」をモットーに生きる3人は、馬鹿らしくも笑いのある日々を過ごしています。

青春らしさのない彼らの日々を描く7編を収録。小学生とは思えない口調や単語がならべられているのに、取り上げるテーマは小学生らしいモノばかりというギャップが魅力の作品です。

ヒトごろし

新潮社 著者:京極夏彦

ヒトごろし

大ボリュームで描かれる、京極夏彦の時代小説です。ダークなキャラクターとして描かれる土方歳三が主人公。著者史上でも衝撃度の高い作品と謳われています。

世間に鬼と恐れられた新選組の副長・土方歳三。小さいころに見たある光景が、彼の運命を大きく狂わせます。心の内に救う闇によって、人でなしとして生きる土方歳三の運命とは…。

土方歳三を、刀による殺人に取りつかれた人物として設定しているのがポイント。京極夏彦作品らしい、ひねりのきいた時代小説を読みたい方におすすめです。

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