人気のボーイズラブ(BL)作品やヒューマンドラマ、恋愛などの一般文芸も手掛ける作家「凪良ゆう」。本屋大賞を2度受賞しており、数々の作品を世に送り出してきた実力派で、登場人物の繊細な心理描写が魅力です。

そこで今回は、凪良ゆうのおすすめ小説をご紹介。凪良ゆう作品の魅力や作風についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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本屋大賞受賞作家「凪良ゆう」とは?

凪良ゆうは滋賀県生まれの作家。2006年に「小説花丸」に『恋するエゴイスト』が掲載、2007年に『花嫁はマリッジブルー』でBL作家として本格的にデビューしました。以降、代表作「美しい彼シリーズ」など、各社でBL作品を精力的に刊行していきます。

デビュー10周年を迎えた2017年に初めての非BL作品『神様のビオトープ』を発表しました。同作品を機に一般文芸にも進出し、作風を広げるとともに高い支持も得ました。

2019年に刊行した『流浪の月』は多くの書店員の支持を集め、2020年本屋大賞を受賞。同作品は2022年映画化もされています。さらに、2023年には『汝、星のごとく』で2度目の本屋大賞を受賞するなど、今注目が集まっている作家です。

凪良ゆう作品の魅力

凪良ゆう作品の魅力は、巧みな人物造形や展開の妙、そして心の動きを描く丁寧な筆致です。”関係性をクローズアップしないとBLにならない。心の動き、絡み合いには力を入れてきた”と述べており、BL執筆で磨かれた心理描写を生かし、一般文芸作品でも心の動きを描いています。

また、凪良ゆうは「どこまでも世間と相いれない人たち」をテーマに執筆しているのが特徴。お互いが分かりあえなくてもよいから、認め合おうという姿勢を繊細な筆致で表現しています。自分の生き方、周囲との関係性に悩む方にもおすすめの作家です。

凪良ゆうのおすすめ小説

流浪の月

東京創元社 著者:凪良ゆう

流浪の月

2020年本屋大賞を受賞した作品。2022年に松坂桃李主演で映画化もされました。凪良ゆうが遺憾なく本領を発揮したとされる話題作です。

帰る家もなく、居場所もなく、公園で過ごす少女・更紗に出会った青年・文。2人は、ひょんなことから加害者と被害者の立場になってしまいます。

周囲の人たちは更紗を心配するがゆえに、反対や批判をします。しかし、更紗は”それでも文、わたしはあなたのそばにいたい”と、話に耳を傾けようとはしませんでした。再会すべきではなかった男女が出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら走り始めます。

新しい人間関係への旅立ちを描いた凪良ゆう作品。刺激的な小説を読みたいという方にもおすすめの1作です。

汝、星のごとく

講談社 著者:凪良ゆう

汝、星のごとく

2023年に2度目の本屋大賞受賞を果たした、凪良ゆうの恋愛小説。直木賞や吉川英治文学新人賞にノミネートされたほか、「2022王様のブランチBOOK大賞」や「キノベス!2023」など、さまざまな賞を受賞しています。

穏やかな海に囲まれた、瀬戸内の島で育った女子高校生の井上暁海。彼女と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた少年・青埜櫂の15年間におよぶ物語です。17歳の2人は惹かれ合い、すれ違い、そして成長していきます。

暁海と櫂の恋愛を、真正面からリアルに描いた作品。”自分の人生を自分で選んで生きていく”というメッセージが込められており、「生き方」についても考えさせられます。凪良ゆう自身が一番色濃く出ている作品とされている、おすすめの1冊です。

わたしの美しい庭

ポプラ社 著者:凪良ゆう

わたしの美しい庭

心つらぬく、感動作と謳われている凪良ゆう作品。神社を訪れる不器用な人たちがもがきながら生きていく姿を描く連作短編集です。登場人物の1人である統理が語り手を務める番外編『ぼくの美しい庭』も収録されています。

小学生の百音は血の繋がりのない統理と2人暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、3人でご飯を食べるのが日課です。3人が住むマンションの屋上には、統理が管理をする小さな神社がありました。そこには、断ち物の神様が祀られており……。

「生きづらさ」を抱えた人たちを中心に描かれる、救いに満ちた1冊。初めて凪良ゆう作品を読む方にもおすすめの小説です。

神さまのビオトープ

講談社 著者:凪良ゆう

神さまのビオトープ

人が抱える秘密と愛を描いている凪良ゆう作品。”世界が決めた「正しさ」から置き去りにされた人々へ”というメッセージが添えられている作品です。

事故死した夫・鹿野くんの幽霊と一緒に暮らしているうる波。鹿野くんの存在を秘密にしていたうる波でしたが、大学の後輩で恋人同士の佐々と千花にその事実を知られてしまいました。うる波が事実を打ち明けてしばらく経ったある日、佐々は不審な死を遂げたのでした……。

ほっと心あたたまる本が読みたい方にもおすすめ。幸せのかたちに思い悩んでいる方にも、手に取ってみてほしい1冊です。

すみれ荘ファミリア

講談社 著者:凪良ゆう

すみれ荘ファミリア

凪良ゆうが紡ぐ家族の物語。本作で登場するすみれ荘のその後を描く『表面張力』も収録している完全版です。

すみれ荘の管理人・一悟は、気心知れた入居者たちと穏やかに暮らしていました。そんなある日、すみれ荘に芥と名乗る小説家の男が引っ越してきます。

芥は幼いころに一悟と生き別れた弟のようですが、なぜか正体を明かしません。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、入居者みんなの秘密と思わぬ一面が明らかになっていきます。

愛は毒なのか、それとも救いなのか、登場人物たちの間に巻き起こる事件と真相に注目してみてください。サスペンスやミステリー作品が好きな方にもおすすめの凪良ゆう作品です。

滅びの前のシャングリラ

中央公論新社 著者:凪良ゆう

滅びの前のシャングリラ

圧巻のラストが見どころの凪良ゆうの傑作です。キノベス!2021で第1位にも選出されました。

舞台は、1ヶ月後に小惑星が地球に衝突し、人類が滅亡すると突然宣言された世界。学校でいじめを受けている友樹、人を殺したヤクザ・信士、恋人から逃げ出した静香、世界滅亡を前にしたそれぞれの事情が語られていきます。

滅亡を前にして荒廃していく世界で、”人生をうまく生きられなかった”4人は最期の時間をどのように過ごすのでしょうか。

絶望の中に生きる人々の姿を見つめ、幸せのあり方を探っていく物語。ディストピア小説が好きな方にもおすすめの1冊です。