日本を代表するSF作家の一人である「小松左京」。『日本沈没』をはじめ、豊富な科学知識を元に執筆した作品を多数発表しています。映画やドラマ、コミックになった作品も多く、時代を超えて愛され続けている作家です。

そこで今回は、小松左京の短編・長編のおすすめ作品を、代表作からデビュー作まで幅広く紹介します。小松左京の作品が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

日本を代表するSF作家「小松左京」とは?

小松左京は、1931年大阪府生まれ。京都大学文学部を卒業し、経済誌の記者や工場経営、ラジオ漫才の台本執筆などを経て、1962年に商業誌デビューをしました。以降、数多くの作品を発表し、「日本SF大賞」「日本推理作家協会賞」など、著名な賞も数多く受賞しています。

ルポルタージュやエッセイの執筆、国際SFシンポジウムの創設など、創作以外にもさまざまな分野で活動した小説家です。

小松左京作品の魅力

小松左京作品の魅力は、深い知見に基づく圧倒的なリアリティと構成力です。自然科学や生物化学、情報工学、海洋学や地学などにも関係する作品が多いのが特徴。代表作『日本沈没』をはじめ、著作には突拍子もない設定の作品が目立つものの、それぞれの設定の裏付けがきちんと用意されています。不思議と現実味が感じられ、物語に引き込まれる作品ばかりです。

一方、小松左京は落語小説やホラー小説、コミカルなショートショートなど、SF以外の作品も多数執筆しています。ハードなSFで知られる作家でありながら、ユーモアに富んだ多彩な作風も楽しめるのも、小松左京の魅力です。

小松左京のおすすめ小説

復活の日

KADOKAWA 著者:小松左京

”傑作SF小説”と名高い長編小説です。人類の滅亡と復活をテーマに、細菌兵器と戦う人々の姿を描きます。1980年には、映画化もされた作品です。

吹雪のアルプス山中に、生物化学兵器を運んでいた飛行機が墜落。生物化学兵器は、急性心筋梗塞や全身まひを高確率で引き起こす細菌でした。春になり雪解けを迎えた世界各地では、心臓まひによる突然死など、奇妙な事故の報告がされ始めます。

約60年前の作品ながら、メッセージ性の強い1作。著者渾身のSF長編小説を読みたい方はチェックしてみてください。

日本アパッチ族

KADOKAWA 著者:小松左京

小松左京の長編デビュー作で、”最高傑作”と高く評価されているSF小説。戦後の大阪を舞台に、謎の民族・アパッチ族との物語が繰り広げられます。

仕事を懲戒免職になり、再就職もしなかったため、「失業罪」で逮捕された木田福一。彼を救ったのは、鉄とガソリンを主食とする謎の民族・アパッチ族でした。木田は彼らと行動をともにしますが、アパッチ族の存在は、徐々に日本の政治にも影響を及ぼすようになっていくのです…。

独特な設定とストーリーながら、関西弁を交えたユーモラスな文体によって読みやすいのがポイント。テンポよく楽しめるSF小説を探している方におすすめです。

首都消失 上

角川春樹事務所 著者:小松左京

政府が機能不全に陥った日本の行く末を描く、長編SF小説の上巻。日本SF大賞受賞作で、1987年には映画化もされた作品です。

首都圏に突然、半径30km、高さ1000mもの大きさの雲が発生しました。都心を中心に立ち込めた雲により、首都圏との交通網・通信網は壊滅し、人々も閉じ込められてしまう事態に陥ります。大きなダメージを受けた日本政府と国民の運命は…。

“もし今、東京が機能しなくなったら?”と考えながら読むのもおすすめです。下巻で完結するので、あわせて読んでみてください。

新装版 果しなき流れの果に

角川春樹事務所 著者:小松左京

「宇宙」や「時の流れ」をテーマに、時空を超えた壮大な戦いを描く長編SF小説。日本を代表するSF長編作として、何度も文庫化されている人気の作品です。

白亜紀の地層から、永遠に砂が落ち続ける砂時計が発見されました。N大学理論物理研究所に所属する野々村は、教授たちとともに発掘現場へ。砂時計の謎を解明しようとしますが、現場に行った関係者たちは次々と変死してしまいます。

砂時計という身近なモノから、徐々にスケールが大きくなる展開に、思わず引き込まれる作品。本格的なSF小説を読みたい方におすすめです。

さよならジュピター 上

角川春樹事務所 著者:小松左京

太陽系に迫る危機を描いた、長編SF小説の上巻。当初、テレビアニメや特撮映画の企画として考案したモノを小松左京が小説化し、その後あらためて映画化されたユニークな作品です。

22世紀、火星で宇宙人が残したと思われる地上絵が見つかりました。宇宙考古学者・バーナード博士は、絵の研究を進めるうちに木星の大気中に隠された秘密を知ることに。そこで、「木星太陽化計画」主任・本田英二に協力要請を出しますが…。

宇宙を舞台に、開発をめぐる争いなどのさまざまな要素を絡めながら展開していくのが魅力。王道のSF小説を読みたい方におすすめです。

虚無回廊 1

角川春樹事務所 著者:小松左京

小松左京の遺作となった、未完の長編SF小説。AIに魂を込めた存在であるAE(人工実存)を使って、未知の物体の正体に迫ります。第3巻まで刊行されているなかの第1巻です。

宇宙空間に突然現れた、謎の物体「SS」。直径は1.2光年、長さは2光年という途方もない規模の存在です。研究者・遠藤たちは調査を計画し、AEを使ってSSに接触。しかし、その後、遠藤は突然死をしてしまい、調査プロジェクトの行方も危ぶまれます。

大規模なスケールで物語が進んでいき、SFの知識や読書経験が少なくても展開に引き込まれる作品。壮大な世界観のSF小説が読みたい方におすすめです。

日本沈没 上

KADOKAWA 著者:小松左京

小松左京の代表作であり、日本推理作家協会賞を受賞した、日本のSF小説界におけるベストセラー小説の上巻。1973年に初めて映画化され、テレビドラマやアニメ、漫画などのメディア化もされています。

ある無人島が、一晩で沈む事態が発生。深海潜水艇の操縦者・小野寺と地球物理学の博士・田所が調査に向かうと、海底で異変が起きていました。その後、日本全国で天変地異が頻繁に発生するように。調査をしていた小野寺も、地震に巻き込まれて消息不明になってしまいます。

地学や海洋学などの分野にも触れながら話が進んでいくため、物語は非常に緻密で専門的。単なるパニック小説ではない、読み応えのある小説が読みたい方におすすめです。

ゴルディアスの結び目

KADOKAWA 著者:小松左京

熱烈な支持者も多い、小松左京の代表作。「宇宙」をテーマにした、全4編のSF小説が収録された短編集です。

ある少女に取り憑いたモノの正体を暴こうと、精神分析医が彼女の精神へと入り込んでいく表題作の『ゴルディアスの結び目』、宇宙船の冒険劇が繰り広げられる『すぺるむ・さぴえんすの冒険』などが楽しめます。

1話1話が濃密に仕上がっているのが魅力。読み応えのある短編集を探している方におすすめです。

地には平和を

KADOKAWA 著者:小松左京

小松左京の初期作品を収録した短編集です。短編2編とショートショート集を収録しています。

表題作の『地には平和を』は、小松左京の短編デビュー作であり、直木賞候補にもなった作品。ショートショート集『ある生き物の記録』には37編もの短編が収められていて、コミカルな内容の作品も多く収録されています。

どの物語も読み口が異なり、バラエティに富んでいるのが特徴。小松左京の作品を初めて読む方にもおすすめの短編集です。

霧が晴れた時 自選恐怖小説集

KADOKAWA 著者:小松左京

小松左京の恐怖小説15編を収録した短編集です。”ホラー短編の金字塔”と呼ばれ、現代のホラー小説界に大きな影響を及ぼしたといわれています。

太平洋戦争末期、空襲を受けた少年が、身を寄せた屋敷で見た恐怖を描く名作『くだんのはは』や、小松左京の家に伝わるおまじないを元に執筆された『まめつま』など、小松左京自ら選んだ短編が楽しめるのがポイント。

SFの要素はありつつも、神話や伝承などをテーマにした短編も多く、巻末には作品の詳細な解説も収録されています。小松左京のさまざまな切り口の作品を楽しみたい方におすすめです。

明烏 落語小説傑作集

集英社 著者:小松左京

落語をテーマにした短編集。落語の有名な演目をベースに、色恋や人情劇などの要素を加えた全4編が収録されています。

初心な若者がだまされて遊郭へ行く演目を現代風にアレンジした表題作の『明烏』をはじめ、『三十石夢の通路』『反魂香』といった噺が登場。なかでも、短編『天神山縁糸苧環』は、”小松短編屈指の傑作”ともいわれています。

SF作家として知られる小松左京のイメージを一変させる作品。落語好きの方や、小松左京の変わり種の作品を読みたい方にもおすすめです。