コメディからサスペンスまで手掛け、発表した作品は次々ドラマ化・映画化されている人気作家「奥田英朗」。直木賞を受賞した『空中ブランコ』のほか、多くの作品で賞を受賞しています。

そこで今回は、奥田英朗のおすすめ小説をご紹介。奥田英朗作品の魅力や作風についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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映画・ドラマ化作品を多く手掛ける作家「奥田英朗」とは?

奥田英朗は、1959年岐阜県生まれ。本をほとんど読まず、マンガを好んで読む少年時代を過ごした奥田英朗。自分から活字を求めたのは小学校高学年のときでした。幕末や世の動乱期といった時代背景に興味があったのだといいます。

本は読まないけれど文章を書くのが得意という特技を活かし、プランナー、コピーライター、構成作家などの職業を経験。34歳のときに初めて小説を書き、 1997年『ウランバーナの森』で作家デビューを果たします。

以降、2002年『邪魔』で大藪春彦賞、2004年『空中ブランコ』で直木賞を受賞。また、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞するなど、多数の賞を受賞しています。

映像化もされるヒット作を多く世に出す、人気作家の一人です。

奥田英朗作品の魅力

奥田英朗作品の魅力は、手掛ける作風の豊富さです。

「精神科医・伊良部シリーズ」や『サウスバウンド』に代表されるようなユーモアのある文体で描かれる作品がある一方で、『無理』『最悪』といった救いのない暗いストーリーも生み出しています。

『ガール』では30代の女性視点で描かれていますが、『マドンナ』は40代課長世代の視点で語られるなど、同じオフィス小説でも男女それぞれの立場に立った物語を描いているのが魅力。

幅広いジャンルの作品を手掛けており、自分に合った作品が見つけやすい作家です。

奥田英朗のおすすめ小説

向田理髪店

光文社 著者:奥田英朗

向田理髪店

2022年秋冬に映画公開が予定されている人気作品。表題作含めた6作を収録した連作集です。

表題作の舞台は、高齢化が進む廃れた元炭鉱町・北海道苫沢町。理髪店を営む向田康彦は、札幌で働く息子からの“会社を辞めて店を継ぐ”という言葉に戸惑います。

ほかにも、異国からやってきた花嫁に興味津々の町民たちをよそに、お披露目したがらない新郎を描いた『中国からの花嫁』。地元出身の若者が全国指名手配犯になり、まさか、あのいい子がと騒然となる『逃亡者』など、さまざまな物語を収録しています。

向田理髪店を軸に、過疎の町のいろいろな騒動と人間模様を描いているのが特徴。心あたたまるヒューマンドラマに触れたい方におすすめの奥田英朗作品です。

ガール

講談社 著者:奥田英朗

ガール

働く女性の気持ちに寄り添った描写が冴える5編が収録されている短編小説集。2012年には映画化もされました。

仕事も順調で、おしゃれも楽しんでいる滝川由紀子、32歳。しかし、そんな彼女でも、ふとした瞬間にブルーになってしまうことがあります。

“わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな”。仕事しても結婚しても、生涯ガール。30代の女性の生き方を問い直します。

ライフステージの変化に揺れる心が丁寧に描かれている作品。女性だけではなく、男性読者にもおすすめの1冊です。

我が家の問題

集英社 著者:奥田英朗

我が家の問題

家庭内の問題を明るく描く短編小説集。「平成の家族小説シリーズ」の2冊目にあたります。2017年にオムニバス形式でドラマ化されました。

夫は仕事ができないと気づいてしまった妻。家に帰るのが怖くなってしまった夫や、オカルトにハマった夫など、さまざまな家庭の問題を軽やかに描いています。

ささやかだけど悩ましい家族をテーマにした人間ドラマの数々。少し笑えて、心あたたまる作品を読みたい方にもおすすめの奥田英朗作品です。

イン・ザ・プール

文藝春秋 著者:奥田英朗

イン・ザ・プール

「精神科医 伊良部シリーズ」の1巻で、ドラマ化や映画化、アニメ化もされている人気作品。第4回大藪春彦賞受賞しており、「このミステリーがすごい! 」で2位を獲得しています。

伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられます。精神外科医の伊良部一郎は色白で太った身体の持ち主です。

彼のもとに訪れる患者たちは、それぞれ特有の症状で悩んでいました。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖。そんな患者たちの悩みを少し変わった伊良部が解決していきます。

コミカルで軽妙なタッチが特徴的な奥田英朗作品。くすっと笑える小説を読みたい方にもおすすめする1冊です。

空中ブランコ

文藝春秋 著者:奥田英朗

空中ブランコ

「精神科医 伊良部シリーズ」2巻目にあたる1冊。前作『イン・ザ・プール』に引き続きドラマ化などもされた人気作品です。奥田英朗は本作品で直木賞を受賞しました。

跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗りに対して、自分も空中ブランコに乗ってみたいと言って聞かない伊良部。伊良部は果たして名医なのか、それともとんでもない迷医なのか。最後まで目が離せない、短編5編を収録しています。

伊良部先生の奇想天外な治療に、思わず笑ってしまう作品。明るい気持ちになりたい方にもおすすめです。

ナオミとカナコ

幻冬舎 著者:奥田英朗

ナオミとカナコ

復讐か、サバイバルか、自己実現か。2人の女が巻き起こす前代未聞の殺人劇です。2016年にテレビドラマ化されました。

望まない職場で憂鬱な毎日を過ごすOL・直美。直美はあるとき、親友の加奈子が夫・達郎からひどい暴力を受けていることを知ります。加奈子の顔に黒いアザを見た直美は、達郎を殺す完全犯罪を夢想し始めました。

私たちは親友で、共犯者。計画は現実味を帯び、直美と加奈子は共に達郎を殺すことになりますが…。

泥沼の人生をやり直すため、決断をした直美と加奈子。2人は一体どうなってしまうのでしょうか。ミステリー小説が好きな方にもおすすめの奥田英朗作品です。

無理 上

文藝春秋 著者:奥田英朗

無理 上

それぞれの登場人物の視点から描かれる、オムニバス形式の長編小説です。

合併で生まれた地方都市・ゆめのに、鬱屈した思いを抱えた男女が暮らしていました。人間嫌いの地方公務員、東京に行きたい女子高生、かつて暴走族をしていたセールスマン、新興宗教に入信している中年女性、大きな仕事がしたい市議会議員…。

それぞれの人生が思いがけないところから絡み合い、信じていたものに裏切られ、猛スピードで崩壊していきます。出口のないこの社会で、彼らに未来はあるのでしょうか。

思いもよらない展開に、ページをめくる手が止まらない奥田英朗作品。八方塞がりで鬱々と生きている人間たちの、挫折や諦念に触れてみたい方にもおすすめの1冊です。

サウスバウンド

講談社 著者:奥田英朗

サウスバウンド

型破りな父に翻弄される家族を描いた長編小説。2007年に映画化もされました。

国家権力が嫌いな父の名前は一郎。その息子で長男・二郎は父について悩んでいます。父は実は、元過激派の活動家。二郎が物心ついたときから大抵家にいて、会社では働いたことがありません。

学校に行く必要はないと日々説き、担任の先生にも絡みにいく父。二郎は父に翻弄されますが…。

映画を見たことがある方や奥田英朗作品を初めて読む方にもおすすめ。家族との絆、仲間との絆をユーモラスに描く奥田英朗作品です。

マドンナ

講談社 著者:奥田英朗

マドンナ

男性側の視点から描かれるオフィス小説。5編のストーリーが収録されている短編集です。

表題作『マドンナ』は、人事異動でやってきた新しい部下に片想いしてしまう上司の苦悩が描かれています。入社4年目で素直で有能、そのうえ好みのタイプの彼女との恋の行方は一体どうなってしまうのでしょうか。

ほかにも、ダンサーになりたいと言い出した息子の父、同い年の女性が上司になる男など、さまざまな物語が収録。40代の課長たちの日々をユーモアあふれる筆致で描かれています。

同じ世代の男性読者はもちろん、上司や夫の気持ちが知りたい女性の方にもおすすめの奥田英朗作品です。

沈黙の町で

朝日新聞出版 著者:奥田英朗

沈黙の町で

朝日新聞での連載当初から大きな話題を巻き起こした問題作。被害者や加害者とされた子の家族、学校、警察など、さまざまな視点から語られるオムニバス小説です。

北関東のとある県で、中学2年生の男子生徒・名倉祐一が転落死するところからストーリーは始まります。やがて、祐一は同級生から陰湿ないじめを受けていたことが判明。一気に町に波紋が広がります。中学生の死をめぐる、地方都市の精神風土にも言及している作品です。

奥田英朗による長編サスペンス。中学生とその周囲の大人たちをリアルな筆致で描いています。普段サスペンス小説を読まない方にもおすすめの作品です。

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