警察組織や刑事らが、捜査で事件を解決していく様が見どころの「警察小説」。推理小説の形式のひとつとされています。現在では設定も多様化し、映像化などでも人気を集めるジャンルです。

今回は、警察小説のおすすめ作品をご紹介。推理系、ハードボイルド系、短編作品、海外作品と、おすすめ作品を4つに分けてピックアップしました。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてください。

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警察小説のおすすめ作品|推理系

64 ロクヨン 上

文藝春秋 著者:横山秀夫


64 ロクヨン 上

未解決事件をめぐる警察内部の対立や確執を描いた長編警察小説。2012年の「週刊文春ミステリーベスト10」、2013年の「このミステリーがすごい!」で1位を獲得し、テレビドラマ化や映画化もされている人気作品です。

D県警の広報官・三上義信は元刑事。匿名問題をめぐり記者クラブと対立するなか、時効が迫る「翔子ちゃん誘拐殺人事件」への警察庁長官視察が決まり、段取りを任されます。被害者遺族に拒絶され、警務部と刑事部の対立に巻き込まれながらも、職務を果たそうとする三上でしたが……。

個人と組織のせめぎ合いを緊張感とリアリティあふれる描写で綴った作品です。苦しい立場に置かれながらも奮闘する主人公と、怒涛のストーリー展開が見どころ。本格的な長編警察小説を読んでみたい方におすすめです。

犯人に告ぐ 上

双葉社 著者:雫井脩介


犯人に告ぐ 上

劇場型捜査をテーマにした雫井脩介の長編警察小説です。第7回大藪春彦賞をはじめ、週刊文春ミステリーベストテンの第1位を獲得した名作。2007年には映画化され、話題になりました。

6年前の誘拐事件で捜査に失敗した主人公・巻島史彦警視。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査が難航するなか、神奈川県警は巻島をテレビニュースに出演させ、公開捜査に踏み切りますが……。

失敗を乗り越えて成長する主人公の姿に胸を熱くする読者が多い作品。巻島を取り巻く人々の思惑や関係性も丁寧に描かれており、人間ドラマとしても存分に楽しめます。「警察小説の傑作」と称されるおすすめの作品です。

ST 警視庁科学特捜班 エピソード1 新装版

講談社 著者:今野敏


ST 警視庁科学特捜班 エピソード1 新装版

プロファイリングによって事件の謎を解き明かす、警視庁科学特捜班の活躍を描いた警察小説です。「隠蔽捜査シリーズ」や「安積班シリーズ」など数多くの警察小説を手がける今野敏の作品。テレビドラマ化や映画化もされている人気シリーズの第1作目です。

主人公は警視庁科学特捜班、通称「ST」に属する青山。連続猟奇殺人事件のプロファイリングを行い、捜査本部とは異なる犯人像を推定します。追い詰められた犯人がとった行動とは一体どのようなものだったのでしょうか。

青山をはじめとする、5人のスペシャリストが能力を発揮し、事件を解決に導く物語です。個性的なキャラクターに魅力を感じる読者が多い作品。チームを描いた警察小説が好きな方におすすめです。

ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人

KADOKAWA 著者:中山七里


ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人

安楽死をテーマにした警察小説です。”どんでん返しの帝王”の異名をとる中山七里が手がけた警察医療ミステリー。累計40万部を突破した「刑事犬養隼人シリーズ」の第4作目で、2020年には映画化もされています。

ある少年から”突然自宅にやって来た見知らぬ医師に父親が注射を打たれ、直後に息を引き取った”という通報を受け、捜査を開始した刑事・犬養隼人。犬養は「ドクター・デス」を名乗る医師が事件に関わっていることを突き止めますが……。

安楽死問題について考えさせられる作品です。警視庁の敏腕コンビと、苦痛のない安らかな死を提供する闇の医師が繰り広げる頭脳戦が見どころ。中山七里ならではの「どんでん返し」も楽しめるおすすめの警察小説です。

法医昆虫学捜査官

講談社 著者:川瀬七緒


法医昆虫学捜査官

法医昆虫学者と警部補のコンビを描いた警察小説です。江戸川乱歩賞受賞作家・川瀬七緒が手がけた人気シリーズの第1作目。法医昆虫学とは、死体にわく虫から死後経過や犯罪環境などを分析する学問で、欧米では既に捜査方法として導入されています。

アパートから1体の焼死体が発見され、放火殺人事件として捜査が開始。解剖の結果、被害者の腹腔内からハエの幼虫が大量に見つかりました。捜査一課の岩楯警部補と法医昆虫学者・赤堀涼子による、法医昆虫学を駆使した捜査が始まります。

昆虫の生態から謎を解明していく斬新なストーリーと、魅力的なキャラクターたちが見どころ。昆虫に関するさまざまなウンチクも楽しめます。これまでとは違う切り口の警察小説を読んでみたい方におすすめです。

警察小説のおすすめ作品|ハードボイルド系

新宿鮫 新宿鮫1 新装版

光文社 著者:大沢在昌


新宿鮫 新宿鮫1 新装版

新宿歌舞伎町を舞台にしたハードボイルド警察小説です。ミステリー作家・大沢在昌が手がける人気シリーズの第1作目。第12回吉川英治文学新人賞、第44回日本推理作家協会賞長編部門賞を獲得しており、『眠らない街〜新宿鮫〜』のタイトルで映画化もされています。

主人公は新宿署の刑事・鮫島。単独で犯人を追い詰めていく執念深さから「新宿鮫」と恐れられていました。そんななか、歌舞伎町を中心に警官が射殺される連続殺人事件が発生。鮫島は署員たちとは別に、銃密造の天才・木津を追いかけるのですが……。

組織から孤立しながらも、妥協せずとことん捜査をする鮫島の姿勢に共感し、支持する読者が多い作品です。手に汗握るスリリングな展開や魅力的な登場人物たちも見どころ。シリーズ物のハードボイルド長編警察小説を探している方におすすめです。

冬の狩人

幻冬舎 著者:大沢在昌


冬の狩人

新宿署の一匹狼と新米刑事の異色コンビを描いた警察小説です。累計200万部を突破した大沢在昌のベストセラー「狩人シリーズ」の作品。本格的なハードボイルド小説を読んでみたい方におすすめです。

3年前にH県で発生した未解決殺人事件の重要参考人が、出頭の条件として提示したのは新宿署のマル暴・佐江による護衛。H県警捜査一課の新人・川村は、佐江の行動確認を命じられます。重要参考人が佐江を指名した理由とは一体なんだったのでしょうか。

主人公・佐江の頭脳や度胸、刑事としての能力に好感を持つ読者が多い作品。スピード感のある展開で、テンポよく読み進められます。ハードボイルドな雰囲気に加えて謎解き要素を楽しめるのも魅力のひとつです。

機龍警察 完全版

早川書房 著者:月村了衛


機龍警察 完全版

最新鋭の機甲兵装「龍機兵」を擁する警視庁特捜部の活躍を描いた警察小説です。「龍機兵シリーズ」の第1作目であり、月村了衛のデビュー作。第2作目では日本SF大賞、第3作目では吉川英治文学新人賞を獲得しています。「月刊ヤングマガジン」で漫画化もされている人気作品です。

警視庁特捜部のトップに任命された元外務官僚・沖津旬一郎。特捜部は凶悪化する組織犯罪に対抗するため「龍機兵」を導入し、搭乗員として3人の傭兵を警部待遇で雇います。警察組織内から疎んじられながらも、凶悪犯罪に立ち向かっていく彼らでしたが……。

警察内部の対立やいざこざに加えて、ハードボイルドな雰囲気やSF要素も楽しめる近未来型警察小説。定番とはひと味違う警察小説を読んでみたい方におすすめです。

孤狼の血

KADOKAWA 著者:柚月裕子


孤狼の血

マル暴刑事と暴力団の戦いを描いたハードボイルド警察小説です。『検事の本懐』『臨床真理』『最後の証人』などで知られるミステリー作家・柚月裕子の作品。第69回日本推理作家協会賞を獲得し、2018年には映画化、2021年にはコミカライズもされています。

物語の舞台は昭和63年の広島。所轄署の捜査2課に配属された新人刑事・日岡は、極道との癒着を噂される刑事・大上とともに、暴力団がらみの事件を担当することになります。型破りの捜査を繰り返す大上に戸惑いつつ、事件に立ち向かっていく日岡でしたが……。

プライドを感じさせる大上の生き様に胸を熱くする読者が多い作品。男たちの仁義なき戦いが、迫力のある広島弁や登場人物の心理描写とともに綴られています。ヤクザものの警察小説を読みたい方におすすめの作品です。

ヘルドッグス 地獄の犬たち

KADOKAWA 著者:深町秋生


ヘルドッグス 地獄の犬たち

極道の世界に身を置く潜入捜査官の暗躍を描いた警察小説です。『果てしなき渇き』や『死は望むところ』などで人気のミステリー作家・深町秋生が手がけた作品。2022年には『ヘルドッグス』のタイトルで映画化され、話題になりました。

暴力団である東鞘会組員・兼高昭吾は、警視庁組対部に所属する潜入捜査官。後継者争いが激化するなか、弟分の室岡とともに喜納修三殺害の任務を遂行します。兼高が潜入を続ける目的とは一体なんだったのでしょうか。

ハラハラする展開が見どころ。正義と悪の間で揺れ動く主人公の葛藤を丁寧に描いたおすすめの警察小説です。

ノワール 硝子の太陽

中央公論新社 著者:誉田哲也


ノワール 硝子の太陽

誉田哲也の警察小説「ジウシリーズ」と「姫川玲子シリーズ」のコラボ作品です。本作品は「ジウシリーズ」の主人公視点、光文社から刊行されている『ルージュ 硝子の太陽』は姫川玲子視点で語られているのが特徴。両シリーズの魅力を堪能できるおすすめの作品です。

沖縄で活動していた人物が事故死したことをきっかけに、全国で反米軍基地デモが激化。一方で、新宿署の警部補・東弘樹は「左翼の親玉」の捜査を行っていました。そんななか、不気味な覆面集団による滅多刺し事件が発生し……。

緊張感あふれるストーリー展開と、「姫川玲子シリーズ」との繋がりを楽しめるのが見どころ。両シリーズのファンにはたまらない作品です。物語の世界観により深く没入したい方は、それぞれのシリーズ作品を読んだあとに楽しんでみてください。

百舌の叫ぶ夜

集英社 著者:逢坂剛


百舌の叫ぶ夜

第61回毎日芸術賞を獲得した逢坂剛の警察小説です。1986年の刊行以来、愛され続けている「百舌シリーズ」の第1作目。シリーズ累計280万部を突破しており、テレビドラマ化や映画化もされている人気作品です。

主人公は警視庁公安部刑事・倉木尚武。能登半島の狐狼岬で記憶喪失の男・新谷が発見されるなか、東京新宿では過激派による爆弾テロ事件が発生し、倉木の妻が巻き添えになります。一方、部長刑事・明星美希はテロリストと思われる新谷を尾行していましたが……。

視点や時制が入れ替わりながら進んでいく、濃密で面白いストーリーが魅力です。スピーディーな展開に引き込まれる読者も多い作品。ドラマや映画と一緒に楽しめるハードボイルド警察小説としておすすめです。

警察小説のおすすめ作品|短編作品

教場0 刑事指導官・風間公親

小学館 著者:長岡弘樹


教場0 刑事指導官・風間公親

シリーズ累計130万部を突破した人気の警察小説です。警察学校の鬼教官・風間公親を主人公とする「教場シリーズ」の第3作目。刑事指導官時代の風間と若手刑事たちの姿を描いています。テレビドラマ化もされている、おすすめの警察小説です。

T県警では、キャリア3ヵ月の刑事が本部に送られ指導を受ける「風間道場」というシステムが採用されていました。風間道場では、殺人事件の現場を実際に捜査しながら、風間による1対1の指導が行われています。そこで落第した者は交番勤務に戻されると噂されていて……。

『仮面の軌跡』や『三枚の画廊の絵』などを含む全6話を収録した短編集。風間の鋭いまなざしとプレッシャーに耐えながら捜査する新人刑事の奮闘と、犯罪者たちとのバトルが見どころです。

13・67 上

文藝春秋 著者:陳浩基


13・67 上

香港社会の変化を「リバース・クロノロジー」形式で綴った警察小説。2013年から1967年へ時代を遡りながら描かれているのがポイントです。

“天眼”と称される香港警察の名刑事・クワンと愛弟子のロー。彼らが関わった難事件を戦後の香港の歴史を重ねながら描いています。

2015年の台北国際ブックフェア大賞など数々の文学賞を獲得し、さまざまな国で翻訳出版された作品。スピード感のあるアクションシーンや、犯人との論戦も楽しめるおすすめの警察小説です。

K2 池袋署刑事課 神崎・黒木

講談社 著者:横関大


K2 池袋署刑事課 神崎・黒木

2人の刑事がコンビを組み、数々の事件に立ち向かう警察小説です。江戸川乱歩賞作家・横関大が手がけた傑作短編集。『勲章』『失態』『幽霊』などを収録しています。2020年にはドラマ化もされている人気作品です。

池袋警察署刑事課強行犯係でコンビを組む神崎と黒木。理論派でクールな神崎と、直感派で破天荒な黒木がさまざまな凶悪事件に挑みますが……。最後に神崎が直面した究極の選択とは一体なんだったのでしょうか。

正反対の2人が事件を解決する様をテンポよく描いた作品です。バディとしての絆に胸を熱くする読者も多い名作のひとつ。魅力的なキャラクターが登場する警察小説を探している方におすすめです。

小鳥を愛した容疑者

講談社 著者:大倉崇裕


小鳥を愛した容疑者

警視庁総務部総務課の動植物管理係を舞台にしたユニークな警察小説です。タイトルの『小鳥を愛した容疑者』を含む4作品を収録した短編集。「警視庁いきもの係シリーズ」のひとつで、テレビドラマ化もされています。

銃撃による怪我で前線を離れ総務部総務課動植物管理係に配属された、警視庁捜査一課の鬼警部補・須藤友三。容疑者のペットを保護する部署でコンビを組んだのは、動物をこよなく愛する新米巡査・薄圭子でした。

現場に残されたペットから事件の謎を紐解いていく面白いストーリーが魅力。2人の凸凹コンビが繰り広げるコミカルな会話にも注目してみてください。ライトに楽しめる警察小説が好きな方におすすめです。

警察小説のおすすめ作品|海外作品

チェスナットマン

ハーパーコリンズ・ジャパン 著者:セーアン・スヴァイストロプ


チェスナットマン

2020年のバリー賞最優秀新人賞を獲得し、ベストブック・オブ・ザ・イヤーにも選出されたデンマークの警察小説。Netflixにて映像化もされている人気作品です。

デンマークの首都コペンハーゲンで、若い母親を狙った恐ろしい連続殺人事件が発生。被害者は生きたまま体の一部を切断されており、死体の側には栗で作った人形の「チェスナットマン」が残されていました。重大犯罪課の刑事・トゥリーンとヘスが辿り着いた驚くべき真相とはどのようなものだったのでしょうか。

北欧ノワールらしい不穏な雰囲気と、緊迫感のあるストーリー展開も魅力のひとつ。テンポよく読み進められるおすすめの警察小説です。

ストーンサークルの殺人

早川書房 著者:M・W・クレイヴン


ストーンサークルの殺人

イギリスのミステリー界最高峰といわれる、英国推理作家協会賞ゴールドダガー賞を獲得した警察小説。「ワシントン・ポーシリーズ」の第1作目です。

イギリス・カンブリア州にあるストーンサークル内で、年配の男性が焼き殺されるショッキングな連続殺人事件が発生。残虐な殺人を繰り返す犯人の動機や目的とは一体なんだったのでしょうか。

3番目の被害者に名前と「5」の数字が刻み付けられていたことから、捜査に合流することになった国家犯罪対策庁警察官・ポー。SCASの分析官・ティリー・ブラッドショーとコンビを組み、謎を解明していきます。魅力的なキャラクターが登場するおすすめの警察小説です。

傷だらけのカミーユ

文藝春秋 著者:ピエール・ルメートル


傷だらけのカミーユ

シリーズ累計100万部を突破した「ヴェルーヴェン警部シリーズ」の最終作です。2013年の『その女アレックス』に続き、2015年のイギリス推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞を獲得。2016年の週刊文春ミステリーベスト10でも第1位になった人気作品です。

主人公はカミーユ・ヴェルーヴェン警部。ある日、カミーユ警部の恋人が強盗に襲われて重傷を負います。なんとか一命を取り留めたものの、再び命を狙われる彼女。カミーユは独断で強盗犯を追いますが……。

物語は襲撃事件の1日目・2日目・3日目の3部構成になっています。スリリングかつ度肝を抜かれる展開に驚く読者が多い作品。カミーユが抱える痛みや悲しみを丁寧に描いた、おすすめの警察小説です。

悪しき狼

東京創元社 著者:ネレ・ノイハウス


悪しき狼

“ドイツミステリの女王”といわれるネレ・ノイハウスが手がける、人気警察小説「刑事オリヴァー&ピアシリーズ」の第6作目です。同シリーズには『白雪姫には死んでもらう』『悪女は自殺しない』『母の日に死んだ』などがあります。

マイン川で発見された少女の遺体には、長年にわたる虐待の痕が残されていました。死因は川の水ではなく塩素水による溺死と判明。しかし、2週間経っても身元がわからず、刑事オリヴァーとピアの捜査は難航を極めていきます。

複数の事件が絡み合いながら、最後には想像を絶するどんでん返しが待っている作品。オリヴァーとピアの活躍を堪能できるおすすめの警察小説です。