警察組織や刑事らが、捜査で事件を解決していく様が見どころの「警察小説」。推理小説の形式のひとつとされています。現在では設定も多様化し、映像化などでも人気を集めるジャンルです。

今回は、そんな警察小説のおすすめ作品をご紹介。日本と海外の作品に分けて、ロングセラーの人気作から最近の話題作までピックアップしました。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてください。

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警察小説のおすすめ|日本

64 上

文藝春秋 著者:横山秀夫

64 上

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時効が迫った未解決事件をめぐって繰り広げられる、警察関係者の攻防を描いた警察小説。国内の主要なミステリーランキングで1位を獲得し、多数のメディアミックス作品も展開された名作です。海外でも高い評価を得ており、イギリスでも連続ドラマ化されています。

元刑事・三上義信はD県警の警務部広報官として、昭和64年に起きた誘拐殺人事件に関する警察庁長官視察の段取りを任されることに。しかし、遺族は長官慰問を拒むほか、刑事部と警務部も対立関係にありました。その間に挟まれながら、三上は職務を全うするために奔走します。

“警察小説の最高峰”とも評される一作。事件に関する謎を追うだけでなく、さまざまな立場の対立関係も交錯する緊迫感あふれるストーリーが展開されます。熱い人間ドラマに心を揺さぶられる、おすすめの名作です。

新宿鮫 新装版

光文社 著者:大沢在昌

新宿鮫 新装版

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“警察小説の金字塔”と評されるロングセラー「新宿鮫シリーズ」の第1作目。第12回吉川英治文学新人賞・第44回日本推理作家協会賞長編部門に輝いた傑作です。映画化もされ、シリーズ累計部数は800万部を突破しています。

新宿署の刑事・鮫島は、単独でも執拗に犯人を追い詰める執念深さから「新宿鮫」と呼ばれ、恐れられていました。そんななか、歌舞伎町を中心に、警察官が立て続けに射殺されるという事件が発生。鮫島はひとり、銃密造の大元に迫りますが……。

組織の中で孤立しながらも、事件解決のために犯人に喰らいつく鮫島の活躍ぶりが、多くの読者の支持を集めています。手に汗握るハードボイルドな世界観の警察小説を読みたい方に、まずおすすめの人気シリーズです。

百舌の叫ぶ夜

集英社 著者:逢坂剛

百舌の叫ぶ夜

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2014年にドラマ化もされた「百舌シリーズ」の第1作目。壮大なスケールの事件と隠された陰謀に挑む公安警察の活躍を追いかけた、サスペンスフルな警察小説です。第95回直木賞の候補作にも選出されています。

能登半島の岬で、記憶を失った状態で発見された男・新谷。一方、新宿では爆弾テロ事件が発生し、公安の警部・倉木の妻が巻き込まれて死亡します。同じく公安所属の明星は、テロリストと思われる男・新谷を追っており……。

さまざまな人間の思惑と複数の出来事が複雑に絡み合いながら、事件の謎を明らかにしていくおすすめの一作。謎の殺し屋・百舌とは一体何者なのでしょうか。エンターテインメント性の高い警察小説を探している方は、ぜひ手に取ってみてください。

教場

小学館 著者:長岡弘樹

教場

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警察学校を舞台にした警察小説「教場シリーズ」の第1作目です。2013年のミステリーベスト10の第1位やこのミステリーがすごい!の第2位を獲得し、ドラマ化でも話題を集めました。警察小説の新境地を拓いた一作として支持されている人気作です。

「必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩(ふるい)」という過酷な役割を担う警察学校。「落ち度があれば退校」という極限の精神状態のなか、生徒たちは異色の教官・風間公親の教育を通して覚醒し、大きく成長していくのでした。

さまざまな動機で入校した生徒たちに、風間は一筋縄ではいかない試練を与えていきます。人間の心理を鋭くえぐるような人間模様が連作短編形式で描かれていくのが特徴。警察学校のリアルな内側を垣間見られるおすすめの警察小説です。

第三の時効

集英社 著者:横山秀夫

第三の時効

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『64』『陰の季節』などを手掛け、”警察小説の名手”と名高い横山秀夫の連作短編小説。「F県警強行犯シリーズ」の第1作目としてドラマ化もされました。2012年には、この警察小説がすごい!ALL THE BESTの第1位にも輝いた名作です。

ある殺人事件の時効成立を目前に控えるも、容疑者が海外に滞在していたことで7日間のタイムラグが生じる事態に。F県警の捜査一課長・田畑と、「青鬼」「冷血」「天才」と称された3人の班長たちは、この7日間の間に容疑者を逮捕・起訴まで持っていこうと奮闘します。

F県警の刑事たちの葛藤と執念を描いた、6編の短編を収録。3人の班長の個性豊かな人物像も、それぞれの物語を引き立てます。読み応えのある本格ミステリーを短編で楽しめる、おすすめの一作です。

機龍警察 完全版

早川書房 著者:月村了衛

機龍警察 完全版

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軍用有人兵器が普及した「至近未来」を舞台に、警視庁特捜部が巨悪に立ち向かうSFテイストの警察小説。コミカライズもされた「機龍警察シリーズ」の第1作目に当たります。2作目で第33回日本SF大賞、3作目で第34回吉川英治文学新人賞など、数多くの文学賞を受賞している名シリーズです。

組織犯罪が凶悪化するに伴って、警視庁に有人兵器・龍機兵が導入され、特捜部が新設されます。トップに据えられた元外務官僚・沖津旬一郎と、搭乗員として雇われた3人の傭兵とともに、特捜部の刑事たちは凶悪犯罪に立ち向かっていきますが……。

警察組織内から疎んじられながらも、傭兵と契約した前代未聞の刑事チームが奮闘する様を追いかけます。警察内部や犯罪組織の策謀が渦巻く展開と、アクションを交えたダイナミックな世界観が見どころ。冒険小説が好きな方にもおすすめの、ユニークな警察小説です。

隠蔽捜査

新潮社 著者:今野敏

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2006年に第27回吉川英治文学新人賞を受賞した、今野敏の大ヒット警察小説。警察庁のキャリア官僚を主人公にした斬新さが刊行当時に話題を集めました。シリーズとしても第2回吉川英治文庫賞に輝いた、警察小説の代表的な名作です。

主人公・竜崎伸也は、警察庁長官官房でマスコミ対策を担当している警察官僚。無口で厳格な性格から、周囲からは「変人」と称されていました。竜崎はエリートとしての強い使命感を持ち、組織を揺さぶる連続殺人事件に正面から向かっていきます。

“警察小説の歴史を変えた”と評される本作品。続きが気になるという読者も多い、おすすめの警察小説シリーズです。

朽ちないサクラ

徳間書店 著者:柚月裕子

朽ちないサクラ

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「孤狼の血シリーズ」をはじめとする、警察ミステリーの人気作を手掛けた柚月裕子がおくる新たな警察小説シリーズ。捜査権限のない県警の広報職員のヒロインが、独自捜査で事件の真相に迫っていく様が描かれます。2024年に実写映画が公開された、おすすめの注目作です。

ストーカー被害を訴えていた女子大生が殺害される事件が発生。広報職員・森口泉は、新聞記者の親友・津村千佳を口止めするも、警察のこの不祥事は地元新聞のスクープ記事として取り上げられてしまいます。

情報漏洩で警察内部が揺れるなか、今度は千佳が遺体で発見される事態に。泉は警察学校の同期とともに、千佳を殺した犯人を探しはじめます。

親友の変死事件を発端に、警察内部のできごとが浮き彫りになっていくサスペンスフルな展開が見どころ。捜査権のない立場で泉がどのような立ち回りを見せるのかに注目しながら読みたい、異色の警察小説です。

可燃物

文藝春秋 著者:米澤穂信

可燃物

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『氷菓』『黒牢城』など、ミステリー小説の名作を数多く手掛けてきた米澤穂信が初めて挑戦した、話題の警察小説。群馬県警捜査一課に所属する警部の活躍を軸にした、短編形式の物語です。2023年の国内ミステリーランキングで3冠を達成しました。

主人公は、刑事部捜査第一課の警部・葛。必要なことしか喋らない合理的な性格で、上司からも部下からも好ましく思われていません。しかし、些細な違和感も逃さず捉え、事件を論理的に解決に導く並外れた捜査能力を持っていました。

そんな葛の鮮やかな推理が光る5つの短編が収録されています。凶器当てやホワイダニットなど、各短編で推理小説の多彩なバリエーションを網羅しているのが魅力。読者も一緒に事件解決の謎解きに挑戦できる、おすすめの警察小説です。

切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

KADOKAWA 著者:中山七里

切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

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臓器移植にまつわる事件の謎を刑事が明らかにしていく骨太な警察小説です。ミステリー作家・中山七里の警察医療ミステリー「刑事犬養隼人シリーズ」の第1作目。2015年にドラマ化もされました。

臓器が丸ごとくり抜かれた遺体が発見され、さらに「切り裂きジャック」を名乗る犯人からの声明文までもがテレビ局に届きます。第二の被害も発生するなか、警視庁捜査一課の刑事・犬養隼人は捜査に乗り出しますが……。

“どんでん返しの帝王”と称される中山七里ならではの読み味を楽しめます。本格的な警察小説でありながら、社会派ミステリーとして考えさせられる点も多い、おすすめのシリーズ作品です。

ストロベリーナイト

光文社 著者:誉田哲也

ストロベリーナイト

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女性刑事・姫川玲子の活躍を追った警察小説。ドラマ化や映画化もされた話題作「姫川玲子シリーズ」の第1作目に当たります。シリーズ累計500万部を超える大ヒット作品です。

溜め池のそばの植え込みから、男の惨殺死体が発見されるところから物語はスタート。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、鋭い直感と思考力でこれが単独の事件で終わらないと考えます。捜査を進めるなかで「ストロベリーナイト」という謎の言葉が浮上し……。

曲者が揃った個性豊かな刑事たちと、事件解決に向けて躍動する本作品。事件捜査を通して、凄惨で難解な事件を鮮やかに解決に導く様が描かれます。一気読みしたという読者も多い、おすすめの警察小説です。

警察小説のおすすめ|海外

13・67 上

文藝春秋 著者:陳浩基

13・67 上

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香港のミステリー作家・陳浩基が手掛けた、”華文ミステリーの記念碑的傑作”とも評される一作。世界各国で翻訳出版され、日本でも話題になった警察小説です。台北国際ブックフェア大賞など数々の文学賞も受賞しています。

物語の中心は、香港警察随一の名刑事・クワン。雨傘革命を前夜に控えた2013年から、反英暴動が起こった1967年へと時代をさかのぼりながら、クワンの警察人生を振り返ります。結末に意外性を持たせた6つの事件が語られる、連作短編形式になっているのが特徴です。

各章で描かれる物語は、香港社会の重要な節目を背景にしているのもポイント。市民と権力の狭間で揺れる香港警察の姿や、当時の香港と東アジアの情勢も垣間見られます。本格警察ミステリーとしても社会派小説としても読み応えがある、おすすめの警察小説です。

ストーンサークルの殺人

早川書房 著者:M・W・クレイヴン

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“英ミステリー界最高峰”と評される、英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールドダガー賞を受賞した警察小説。「刑事ワシントン・ポーシリーズ」として、続編を含めて高い評価を得ている海外ミステリーの名作です。

イギリス・カンブリア州のストーンサークルにて、猟奇的に損壊された焼死体が次々と発見される連続殺人事件が発生します。3番目の被害者の身体には、不祥事のために停職になっていた警察官であるワシントン・ポーの名前と、5のような字がなぜか刻み入れられており……。

国家犯罪対策庁の重大犯罪分析課に所属する警察官・ポーが、仲間たちとともに難解な事件の解決に挑む警察ミステリー。二転三転し、先を読ませない巧みな構成が、読者を物語に引き込みます。テンポよく読める、おすすめの一作です。

悲しみのイレーヌ

文藝春秋 著者:ピエール・ルメートル

悲しみのイレーヌ

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フランスの作家であるピエール・ルメートルが手掛ける警察小説の人気作。各国で7冠を達成した傑作『その女アレックス』を含む警察小説シリーズ「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」の第1作に当たる作品です。

パリ警視庁犯罪捜査部の警部であるカミーユ・ヴェルーヴェンの捜査班に、殺人事件の一報が入ります。被害者の女性2人は異様な手口で惨殺されており、遺体のそばの壁には”わたしは戻った”という謎の血文字が残されていました。カミーユたちは、以前起きた未解決事件と関連があるのではないかと予想しますが……。

生々しく描写された凄惨な事件の謎のなかに、巧妙に伏線が仕掛けられているのが見どころ。ハラハラドキドキとするような、サスペンスホラー色が強い警察小説が読みたい方におすすめです。

チェスナットマン

ハーパーコリンズ・ジャパン 著者:セーアン・スヴァイストロプ

チェスナットマン

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2021年にNetflixにてドラマ化された警察小説。2020年のバリー賞最優秀新人賞に輝いた話題作です。物語は、デンマークの首都・コペンハーゲンで若い母親をターゲットにした連続殺人事件が起こるところから始まります。

生きたまま身体の一部を切断された被害者たちのそばには、栗で作られた人形「チェスナットマン」が残されていました。重大犯罪課の刑事・トゥリーンと相棒のヘスは、人形についていた指紋が1年前に誘拐・殺害されたはずの少女のものであると知るのです。

事件の裏に隠された秘密が明らかになるにつれて、さまざまな物事がつながっていく巧妙な構成が高い評価を集めています。場面が次々に転換するテンポのよい構成で読みやすいのもポイント。不穏な雰囲気が漂う北欧ノワールが好きな方におすすめの警察小説です。