心理描写を得意とする作家「雫井脩介」。人間模様をリアルに描き出す“ヒューマンドラマの名手”ともいわれています。ミステリー小説・恋愛小説・ビジネス小説・家族小説など、幅広いジャンルの作品を執筆。読みやすいリズムと文体でつづられた、わかりやすい文章が魅力です。

そこで今回は、雫井脩介のおすすめ小説をご紹介します。映画化やドラマ化された作品もピックアップしているので、ぜひチェックしてみてください。

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多くの映画化・ドラマ化作品を手掛ける作家「雫井脩介」とは?

雫井脩介は1968年生まれ、愛知県出身の作家です。専修大学文学部を卒業後、出版社に入社。1994年に社会保険労務士事務所で勤務し始めた頃から、本格的な執筆活動を開始しました。

1999年に『栄光一途』で第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞。2000年1月に作家デビューを果たします。2005年には『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。既成の枠にとらわれない、新しい警察小説として話題を呼び、ベストセラーとなりました。

2005年と2016年に『火の粉』、2014年に『ビター・ブラッド』がドラマ化。また、2007年に『クローズド・ノート』『犯人に告ぐ』の2作品、2018年に『検察側の罪人』が映画化されるなど、実写映像化された作品が多いのも特徴です。

雫井脩介作品の魅力

雫井脩介は、ミステリー小説を中心に恋愛小説・ビジネス小説・家族小説など、幅広いジャンルの作品を生み出している作家です。

雫井脩介の作品は、登場人物の人間ドラマが濃密に描かれているところが特徴。人間の感情や心の機微を、具体的な言葉で表す作風が魅力です。

また、テンポがよく読みやすい文章も魅力のひとつ。作品に引き込まれ、ラストまで一気に読み終えてしまう読者も少なくありません。読書経験が少ない初心者にもおすすめです。

雫井脩介のおすすめ小説

犯人に告ぐ 上

双葉社 著者:雫井脩介

犯人に告ぐ 上

前代未聞の「劇場型捜査」を描いた、雫井脩介のベストセラー小説です。第7回大藪春彦賞を受賞した「犯人に告ぐシリーズ」の第1作品目。2007年に映画化された、雫井脩介の代表作です。

川崎市で発生した連続児童殺害事件。犯人はいまだに見つかっておらず、捜査は難航していました。追い詰められた神奈川県警は、捜査官をテレビニュースに出演させることに…。大役に抜てきされたのは、訳ありの警視・巻島史彦でした。

6年前の誘拐事件で捜査に失敗し、左遷された巻島。上巻では過去の事件や巻島の苦悩が丁寧に描かれています。今後の展開が気になり、すぐに下巻を手に取る読者も多い作品。警察小説が好きな方におすすめです。

検察側の罪人 上

文藝春秋 著者:雫井脩介

検察側の罪人 上

「人が人を裁くとは?」検事にとっての正義を描いた、雫井脩介の傑作小説です。上下巻で構成されている長編ミステリー。2018年には映画化されました。

老夫婦殺人事件の容疑者として浮かび上がったのは、23年前に起きた女子中学生殺人事件の重要参考人・松倉でした。事件を担当する若手検事・沖野は、厳しい尋問で松倉を追及しますが…。次第に、沖野はベテラン検事・最上の強引な捜査方針に対して疑念を抱き始めます。

松倉に対する取り調べシーンの鮮烈な情景描写が上巻の見どころです。また、二人が信じる「正義」に対する変化にも注目してみてください。映画との共通点や相違点を見つけながら楽しむのもおすすめです。

引き抜き屋 1 鹿子小穂の冒険

PHP研究所 著者:雫井脩介

引き抜き屋 1 鹿子小穂の冒険

ヘッドハンティングの世界を描いた、雫井脩介の連作短編集です。雫井脩介の初となるビジネス小説。「引き抜き屋シリーズ」の第1作品目です。2019年にはドラマ化されています。

会社を追い出され、職を失ってしまった主人公・小穂。再就職したのはヘッドハンティング会社でした。新米ヘッドハンターとなった小穂は、駆け引きや裏切りが横行するビジネスの世界に巻き込まれていきますが…。

本作品には『引き抜き屋の代理』『引き抜き屋の微笑』『引き抜き屋の冒険』の3作が収録されています。ビジネスを通して人間の心の機微を学び、成長していく主人公の姿が見どころ。ヘッドハンティング界の内情を垣間見たい方におすすめの雫井脩介作品です。

栄光一途

幻冬舎 著者:雫井脩介

栄光一途

ドーピングをテーマに描いた、スポーツミステリー小説。第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作品で、雫井脩介のデビュー作でもあります。

主人公は日本柔道強化チームコーチ・望月篠子。篠子は、柔道界の権力者からある重要な任務を任されます。任務内容は、代表候補のメンバー内でドーピングをしている選手を探し出すこと。プレッシャーに耐えながら調査を進める篠子でしたが…。

雫井脩介の特徴でもある読みやすい文章と、軽やかなテンポが魅力です。ラストの急展開に驚く読者も多い作品。雫井脩介の原点に触れてみたい方におすすめです。

火の粉

幻冬舎 著者:雫井脩介

火の粉

累計55万部を突破した、雫井脩介のミステリー小説。2005年と2016年にドラマ化された人気作品です。元裁判官・梶間の隣家に、武内という男が引っ越してくるところから物語が始まります。

2年前に一家殺人事件の容疑者として裁判にかけられた武内。武内の裁判を担当し、無罪判決を下したのが梶間でした。武内は「よい隣人」として梶間家の人々に近づき、次第に心をつかんでいきますが…。梶間家の周りでは、次々と奇怪な事件が起こり始めます。

武内の行動に恐怖を感じる方が多い作品です。スリリングな展開のなかに、介護や育児の葛藤が細やかに描かれているのもポイント。人間の狂気を描いたサイコホラー小説が好きな方におすすめです。

ビター・ブラッド

幻冬舎 著者:雫井脩介

ビター・ブラッド

親子刑事コンビの奮闘を描いた、雫井脩介の長編ミステリー小説です。累計13万部を突破した人気作品。2014年には『ビター・ブラッド〜最悪で最強の親子刑事〜』でドラマ化もされました。

新人刑事・夏輝が初めてコンビを組んだ相手はベテラン刑事・明村。明村は、夏輝が幼い頃に離別した実の父親でした。ある日、捜査1課の係長が殺害される事件が発生。捜査本部は内部の犯行を疑いますが…。

ミステリー要素だけでなく、親子の軽妙な掛け合いが楽しめるのも魅力のひとつ。明村の個性的なキャラクターや、夏輝が刑事として成長していく姿にも注目してみてください。

霧をはらう

幻冬舎 著者:雫井脩介

霧をはらう

弁護士の「信念」に迫った、雫井脩介の法廷ミステリー小説。1つの殺人事件をきっかけに巻き起こる、さまざまな人間ドラマを描いています。

事件の舞台は、ある病院の小児病棟。入院している患児4人の点滴にインスリンが混入され、2人の子供が死亡してしまいます。無差別殺人事件の容疑者として逮捕されたのは、生き残った子供の母親。しかし、母親は無罪を主張します。

若手弁護士・伊豆原が挑むのは冤罪の証明です。少しずつ情報収集し、真実に迫っていく伊豆原の姿が印象的。容疑者の家族が抱える葛藤や問題も描かれており、さまざまな視点から冤罪問題について考えさせられる作品です。

クローズド・ノート

KADOKAWA 著者:雫井脩介

クローズド・ノート

雫井脩介による、甘く切ないラブストーリーです。100万アクセスを達成して話題となり、ケータイ連載小説を書籍化した作品。2007年に映画化されています。

主人公はどこにでもいる普通の大学生・堀井香恵。文具店でアルバイトをしながらサークル活動に励み、穏やかな日々を過ごしていましたが…。自室のクローゼットで見つけた1冊のノートをきっかけに、香恵の日常は大きく変わり始めます。

雫井脩介ならではの明瞭な文章に、思わず引き込まれる読者が多い作品です。切なさが伝わるような丁寧な心理描写が見どころ。透明感のある、さわやかな恋愛小説が好きな方におすすめです。

つばさものがたり

KADOKAWA 著者:雫井脩介

つばさものがたり

涙なしには読めない、雫井脩介の家族小説。夢に向かって頑張る主人公と家族の姿を描いた、切なくもあたたかい感動作です。

ある秘密を抱えて帰郷したパティシエール・君川小麦は、家族と共に念願のケーキ屋を開業します。しかし、甥の叶夢に“はやらないよ”と言われてしまい…。叶夢の言葉通り、小麦の店はすぐに行き詰まってしまいます。

読者の心にやさしい余韻を残す作品。読みやすい文体で、主人公や家族の心情をやわらかく描いています。落ち込んでいるときや、前向きな気持ちになりたいときにおすすめの小説です。

望み

KADOKAWA 著者:雫井脩介

望み

少年事件に関係する家族の心理を描いた、サスペンスミステリー小説です。心理描写の名手といわれる雫井脩介が、苦労の末に生み出した傑作。2020年に映画化され、話題となった作品です。

石川一登と妻・貴代美には、高校生の息子と中学生の娘がいました。ある日、息子・規士と連絡が取れなくなってしまい、心配する家族のもとに、規士の友人が殺害されたとの知らせが舞い込みます。そして、規士を含む3人が行方不明、うち2人は逃走中だというのです。

規士が加害者ではないことを願う一登と、無事を祈る貴代美。葛藤し揺れ動く家族の心情を、具体的な言葉でリアルに描き出しています。家族の在り方について考えてみたい方におすすめ。それぞれの「望み」に注目しながら読んでみてください。