『宮本武蔵』『三国志』など、数多くの歴史小説で人気の「吉川英治」。文芸発展の功績により文化勲章を受賞した国民的小説家です。

そこで今回は、吉川英治のおすすめ小説をご紹介します。長編から1冊で完結する作品まで、幅広くピックアップ。吉川英治が描く、個性的で魅力あふれるキャラクターと夢中で読めるストーリーを楽しみたい方は、ぜひチェックしてみてください。

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三国志や宮本武蔵など歴史小説で人気の作家「吉川英治」とは?

吉川英治は1892年、現在の神奈川県横浜市生まれの小説家です。10代から文学の道を進むようになり、1922年に東京毎夕新聞社に入社。新聞連載小説をはじめ、多数の作品を公表し、少しずつ文才が認められるようになりました。

初めて吉川英治のペンネームを使用したのは、1925年に雑誌「キング」で連載していた『剣難女難』。その後、『鳴門秘帖』『神州天馬侠』『宮本武蔵』などを発表し、全国に知られる作家となっていきます。1953年3月『新・平家物語』で第1回菊池寛賞を受賞。1960年11月には、文化的な貢献を称えられ文化勲章を受賞しています。

1962年1月には『私本太平記』で毎日芸術大賞を受賞。このときの賞金を基金として吉川英治賞を創設します。同年9月7日に70歳で逝去。1977年3月には、青梅市柚木町の旧宅敷地内に「吉川英治記念館」が開館され、現在も多くのファンが訪れています。

吉川英治作品の魅力

吉川英治作品は『三国志』『宮本武蔵』『私本太平記』など、歴史をテーマにした大衆小説を得意とするのが特徴。戦前から戦後までを通して、多くのファンから人気を集めた国民的小説家です。

歴史上の事実をもとにした話のなかで、個性豊かなキャラクターが奮闘するストーリーが楽しめます。話に登場する主人公などは細かな人物描写で、まるで目の前にいるかのような臨場感があるのも魅力です。

読み始めたら止まらないストーリーの面白さと、存在感のある魅力的なキャラクターの人間ドラマを楽しみたい方におすすめです。

吉川英治のおすすめ小説

三国志 一

講談社 著者:吉川英治


三国志 一

魏・呉・蜀の3つの国が争った三国時代の歴史を描いた歴史大作。中外商業新報や地方紙にて、4年間連載されていた吉川英治の長編小説です。文庫本は全8巻で完結しています。

日本では邪馬台国を治めていた卑弥呼がいた時代、中国大陸は漢という国が統治。漢王朝の役人たちは自分の私腹を肥やすことばかりで、民衆は苦しめられます。そのような状況で劉備・関羽・張飛の3人が出会い、世を救うために立ち上がるのでした。

約100年にも及ぶ戦乱の時代を描いた壮大なドラマを見事に描き切った作品。三国志をゲームやマンガなどでしか知らない方にもおすすめです。

宮本武蔵 一

新潮社 著者:吉川英治


宮本武蔵 一

動乱の世を生きた、剣豪・宮本武蔵を描いた全8巻の人気作。朝日新聞で連載され、吉川英治文学の方向性を決定づけました。NHK大河ドラマやテレビドラマなど、多数メディア化されています。

負け戦となった関ケ原の戦いから、なんとか生き延びた武蔵と又八。お甲と朱実という母娘に1年ほど世話になったあと、武蔵1人で故郷に戻ります。剣の腕前だけでなく、精神的にも高みを目指す武蔵。ただの武士が二天一流の開祖に至るまでの生涯が始まります。

剣豪・宮本武蔵が、迷い苦しみながらも少しずつ人間として成長していく姿を描いているのが魅力。武蔵の人生を通して、自分の生き方を見つめ直したい方におすすめです。

親鸞 一

講談社 著書:吉川英治


親鸞 一

鎌倉時代初頭に浄土真宗を開いた親鸞の生涯を描いた小説です。吉川英治は東京毎夕新聞社の社命によって新聞小説『親鸞記』を無署名連載していました。その作品を新たに執筆した作品です。

源氏の血を引いて生まれた十八公磨(親鸞)。しかし、世は平家が全盛の時代でした。落ちぶれた藤家のせがれとして育った親鸞は、平家の寿童丸から何かにつけて嫌がらせの犠牲に。わずか9歳で出家し、範宴と改名した親鸞は、修行のために比叡山に登ります。そこで彼を待っていたのは、下界以上の腐敗でした。

1巻では、親鸞の誕生から20代のころまでの比叡山での修行の日々が主に描かれています。周りに理解されず苦しみながらも、独自の仏法を切り開いていく親鸞の生き様を読みたい方におすすめの作品です。

鳴門秘帖 一

講談社 著者:吉川英治

鳴門秘帖 一

徳島県阿波を舞台にした全3巻の時代小説です。大阪毎日新聞に連載し注目を浴び、吉川英治が時代小説家の地位を確立するきっかけとなった作品でもあります。

阿波に潜入した世阿弥が消息を絶って10年。落ち込む世阿弥の娘・お千絵を見かねて、新たに阿波に潜入をはかる2人の男がいました。しかし、世阿弥の消息の秘密を探る2人に、刺客による邪魔がはいって…。

大衆文学の発展期に発表し、多くのファンに愛された本作品。魅力あふれる登場人物と手に汗握るストーリーが魅力のおすすめの吉川英治作品です。

新・平家物語 一

講談社 著者:吉川英治

新・平家物語 一

晩年の吉川英治が7年の歳月を費やした、全16巻にもおよぶ長編歴史小説です。週刊朝日で連載され、菊池寛賞を受賞。1971年にはNHKでドラマ化もされています。

平安時代の末期、己の利益のためには民衆の犠牲も省みない藤原政権が衰退。新しい勢力である武士が頭角をあらわします。優れた武者で政治家でもある平清盛は大志を胸に、武家の頂点へと登りつめていくのでした…。

平清盛をはじめ、源頼朝、義経、弁慶など、さまざまな人物が登場するのがポイント。読み応えのある吉川英治作品を読みたい方におすすめです。

平の将門

講談社 著者:吉川英治

平の将門

平将門がおくった波瀾万丈の生涯を描いた歴史小説です。平将門は、吉川英治が魅了された人物のひとり。朝廷に逆らった反逆者という評価を取り除きたい思いと、人間性あふれる将門の魅力が、吉川英治に筆を取らせたといわれています。

都では貴族に非難にされ、故郷では親族間の争いに巻き込まれる将門は、やり場のない怒りを爆発させるのでした。それはやがて天慶の乱にまで発展。都中の人々を震撼させます。

戦に関するストーリーだけでなく、素直で飾り気がない平将門の豊かな人間性も描かれているのがポイント。吉川英治作品では珍しく1巻完結となっています。時代に翻弄された平将門の生涯を知りたい方におすすめです。

私本太平記 一

講談社 著者:吉川英治

私本太平記 一

南北朝時代を舞台にした長編歴史小説。毎日新聞に連載され、文庫本は全8巻で完結しています。毎日芸術賞大賞受賞。NHKで大河ドラマ化もされています。

日本の歴史上、空白の期間とされる南北朝時代。もはや、王朝のきらびやかな部分は影をひそめ、人間の腹黒い裏切りや殺し合いが表面に出てきた時代でした。そんななか、京に足利又太郎が華々しく京に現れます。

『新・平家物語』を完成させたあと、吉川英治がすぐに執筆に取りかかった作品。日本の歴史や思想を学びたい方におすすめです。

新書太閤記 一

講談社 著者:吉川英治

新書太閤記 一

動乱の世を治め、新しい時代を築いた豊臣秀吉の生涯を描いた全11巻の歴史小説。読売新聞に連載された本作品は、大河ドラマ化もされています。

自由奔放な少年時代を過ごした日吉(秀吉)が、生涯の主君として選んだのは、うつけで知られる織田信長でした。名を木下藤吉郎と改め、一歩ずつ確実に出世の道を進んでいきます。

秀吉の利発さと行動力が痛快に描かれているのがポイント。武士の時代の出世物語を、現在の生き方と重ね合わせて読めるおすすめの作品です。

新・水滸伝 一

講談社 著者:吉川英治

新・水滸伝 一

吉川英治が生涯最後に描いた未完の名作。全4巻にわたる本作品は、中国文学の水滸伝をテンポよく軽快に読めるのが特徴です。

中国は栄朝の時代。龍虎山に派遣された勅使が、きびしく禁じられた岩山の洞穴の中に立ち入ったため、封じられていた108の魔星が地上に解き放たれてしまいます。やがて、解き放たれた魔星が人間に化けて梁山泊に集まり、天下を揺るがす存在になるのでした。

少年時代から中国古典に親しんだ吉川英治が、意のままに日本語に訳し再現した作品。中国の伝奇小説を読みたい方におすすめです。

上杉謙信

講談社 著者:吉川英治

上杉謙信

領土欲を持たず正義のために戦をおこなった上杉謙信を描いた作品。永禄4年の川中島の戦いに焦点を当てており、吉川英治が得意とする武将列伝小説のひとつです。

自分の信じる道を行く孤高な謙信と武田騎馬隊を率いる戦の達人の信玄。川中島の決戦で戦国最強と呼ばれる両軍の戦いの行方は果たしてどうなるのでしょうか。

有名な武田信玄との一騎打ちや迫力のある合戦シーンを、上杉・武田両方の視点で細部まで描いているのがポイント。1巻完結しているため、気軽に読みたい方にもおすすめです。

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