恋愛小説やエッセイで有名な「吉本ばなな」。代表作『キッチン』や『TSUGUMI』をはじめとして、美しく繊細な文章力や独自の世界観で、多くの読者を魅了しています。名作が多く、どんな作品を選べばよいか悩む方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、吉本ばななのおすすめ書籍をランキングでご紹介し、作品の特徴や魅力についても解説します。吉本ばなな作品を読んでみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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エッセイや恋愛小説で有名な作家 吉本ばななとは?

吉本ばななは、詩人・吉本隆明の次女として1964年東京都に生まれた、日本を代表する女流作家です。1987年日本大学芸術学部文芸学科の卒業制作『ムーンライト・シャドウ』で芸術学部長賞を受賞。同作品は1988年に泉鏡花文学賞も受賞しています。

1987年『キッチン』で海燕新人文学賞し、デビューしました。1989年には『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞と、『TSUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1995年に『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞しました。

著書は30を超える国や地域で翻訳出版されており、イタリアの文学賞であるスカンノ賞やカプリ賞など各賞を受賞し、高評価を獲得。現在も執筆活動を精力的に行っているほか、ブログやTwitter、noteの有料メールマガジン・サロンなどで積極的に自身の近況や情報を発信しています。

吉本ばなな作品の特徴や魅力

吉本ばななは小説を主に執筆していますが、エッセイや対談集なども多数発表しています。青春・恋愛小説のほか、生や死がテーマの作品も多く、生きることの淋しさや美しさを普遍的に描いているのが特徴です。

同氏の「生きること」への真摯な姿勢は、多くの読者の共感を呼んでいます。また、人と人とのつながりを描き、優しさやあたたかさに包まれた作品も多数です。

吉本ばなな作品は、幻想的で独特の世界観があるのに加え、繊細で美しく詩的な文章が魅力。特に女性から熱い支持を受けており、海外のファンも多くいます。読んで癒されるという読者も多く、心にしみる作品を読みたい方や、前向きになりたい方におすすめの小説家です。

吉本ばななのおすすめ書籍ランキング

第1位 キッチン

KADOKAWA 著者:吉本ばなな

キッチン

吉本ばななのデビュー作にして、世界各国で愛され続けているロングセラー作品です。死をテーマに、生きることの輝きを描いた鮮烈な作品で、海燕新人文学賞を受賞。2度にわたり映画化もされました。泉鏡花文学賞を受賞した『ムーンライト・シャドウ』も収録しています。

主人公は同居していた唯一の肉親であった祖母を亡くし、途方に暮れる桜井みかげ。彼女は祖母と仲のよかった雄一と、その母で元は父親のえり子さんの家に同居を決めます。日々の暮らしで、みかげは2人の優しさに孤独な心を和ませていきますが…。

絶望の底にいたみかげが感じる人のあたたかさや、過ぎ去る時が与える癒し、生死を見つめなおしていく様子が繊細かつ美しく描かれています。吉本ばなな作品に興味を持ったら読んでおきたい、おすすめの1冊です。

第2位 TUGUMI つぐみ

中央公論新社 著者:吉本ばなな

TUGUMI つぐみ

吉本ばななの代表作のひとつで、少女・つぐみが海辺の故郷で過ごした最後の夏の日々を描いた、透明で切ない青春・恋愛小説です。山本周五郎賞を受賞し、1989年のベストセラー30で1位を獲得。翌年には映画化もされた人気作品です。

少女から大人へ移ろう季節の、2度と戻らないきらめきを描いた物語。美少女であるものの生意気なつぐみのいとこ、白河まりあの目線で語られます。ある夏休み、まりあは少女時代を過ごした海辺の町に、最後の帰省をしました。そして、彼女とつぐみは、ふるさとでの最後のひと夏をともにする少年・恭一と出会うのです…。

人とのつながりを書いた小説で、つぐみ・まりあ・恭一3人のつながりによって、それぞれが成長していく様子に胸を打たれます。青春の懐かしさを感じる読者も多い作品。優しさやあたたかさがあり、吉本ばなな作品の魅力を味わえるおすすめの傑作です。

第3位 白河夜船

新潮社 著者:吉本ばなな

白河夜船

“眠り三部作”といわれる、表題作と『夜と夜の旅人』『ある体験』の3編を収録した小説集。生きてゆくことの苦しさを夜に投影し、許されない恋の切なさを描いているのが特徴です。表題作は2015年に映画化されました。

表題作の主人公は、植物状態の妻を持つ恋人との恋愛を続ける寺子。そんなある日、客と「添い寝」をする仕事をしていた彼女の親友・しおりが亡くなります。

それから2ヵ月、寺子はなぜか眠たくて仕方のない日々を送っていました。眠りはどんどん深くなり、埋められない寂しさが彼女の身に迫っていきます。

生きることについて考えさせられ、希望も感じられる1冊。物静かで優しく美しい、おすすめの吉本ばなな作品です。

第4位 とかげ

新潮社 著者:吉本ばなな

とかげ

運命的な出会いや別れを描き、“緩やかな癒しの時間が流れる”と謳われている、6編の短編集。恋の鮮やかさと痛み、死などをテーマに据えています。

表題作は、心に痛みを抱えながら生きてきたカップルが、再生していく物語。3年の交際期間を経て私が、「とかげ」にプロポーズしたある夜、彼女は“実は、私子供のころ目が見えなかったことがあるの”と言います。そして、とかげの家族を襲った惨劇や呪いが明かされるのです…。

とまどいながら生きる人々を、優しく励ますような魅力のある作品。短編ながら濃密な、吉本ばなな初期の小説を読みたい方におすすめです。

第5位 デッドエンドの思い出

文藝春秋 著者:吉本ばなな

デッドエンドの思い出

つらく切ない5編のラブストーリーを収録した短編集です。“これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。”と、吉本ばなな自身が発言している最高傑作。2019年には日韓合作で映画化もされました。

表題作は、婚約者に手ひどく裏切られた私が、子供のころ虐待を受けてニュースになった西山君に、“幸せってどういう感じなの?”と、ふと尋ねるというあらすじです。

つらくどんなに切なくてもふいに訪れる幸せや、時が流れても忘れ得ない、かけがえのない祝福の瞬間を鮮やかに描いています。ただ悲しく辛いだけではなく、心あたたまるおすすめの吉本ばなな作品です。

第6位 哀しい予感

幻冬舎 著者:吉本ばなな

哀しい予感

19歳の弥生とおば・ゆきの、2人の初夏の物語を描いた吉本ばなな初の長編小説。1989年の年間ベストセラーで7位を獲得し、2007年には舞台化もされています。

幸せな4人家族の長女として、何不自由なく育ってた弥生にはただひとつ、幼いころの記憶が欠けていました。そして、心の奥底に光る「真実」に導かれ、音楽教師のおば・ゆきのの住む家にやってきます。

弥生にはなぜか昔から、ゆきのの気持ちが分かるのです。そこで見つけた、泣きたいほど懐かしく胸に迫る思い出の数々とは…。

弥生の家族に秘められた物語を掘り起こす物語で、切なく透明感があるのがポイント。みずみずしく鮮烈さがある、吉本ばなな初期の大力作に触れたい方におすすめです。

第7位 うたかた/サンクチュアリ

新潮社 著者:吉本ばなな

うたかた/サンクチュアリ

運命的な恋愛の光や影を、みずみずしく穏やかに描いた吉本ばなな作品。中編2編が収録されています。芸術選奨文部科学大臣新人賞の文学部門を受賞し、芥川賞候補にノミネートされました。

『うたかた』は複雑な家庭環境のなかで、これまで会わずに育ってきた「兄妹」が、出会った瞬間から恋を育んでいく物語。そして、『サンクチュアリ』は互いに大切な人を喪った男女が出会い、何かに導かれるように寄り添っていく物語です。

恋の切なさや悲しい甘さだけでなく、明日への光や希望が感じられ、心を打たれる読者も多い1冊。詩的で美しい描写が特徴的な恋愛小説が好きな方におすすめです。

第8位 アムリタ 上

新潮社 著者:吉本ばなな

アムリタ 上

オカルトをテーマにした、吉本ばなな初期の集大成ともされる記念碑的長編小説。生と死、出会いや別れ、幸福と孤独など、両極とその間で揺れ動く人々を描いています。紫式部文学賞受賞作です。

記憶をなくして以来「自分」を取り戻せない朔美の、再離婚した母や父違いの弟、居候女性2人との奇妙な生活のなかに訪れる変化を描いた本作品。弟の不思議な力の目覚めや、死んだ妹の恋人・竜一郎との再会や恋、そして新たな出会いとは…。

朔美が高知への旅やサイパンへの旅の時間を過ごすなかで、すべてを見つめ、全身で生きることや幸福を感じ取っていきます。

不思議な世界観で、自分や自分の大切な人について考えさせられる1冊。純粋で切なく、懐かしく愛おしい、吉本ばななワールドを堪能できるおすすめの小説です。

第9位 N・P

KADOKAWA 著者:吉本ばなな

N・P

アメリカで暮らし、48歳で自殺した高瀬皿男。彼が執筆し、熱狂的な支持を集めた、97本の短編集『N・P』に翻弄される人々の、激しく美しい夏を描いた傑作長編小説です。

高瀬の死後、遺されたのは二卵性双生児の咲と乙彦でした。そして、『N・P』に未収録の98話目を発見し、翻訳していた庄司も自殺してしまいます。98話に描かれていたのは、実の娘に恋する男の話でした。

5年後、庄司の恋人だった風美は遺された双子と再会。さらに、庄司の形見である98話の原稿を狙う女も現れるのです…。

不思議な雰囲気がただよい、重く暗い話でありながら、最後には希望も見いだせるのが魅力。吉本ばななの小説のテーマのひとつである、オカルトチックな雰囲気も味わえる、おすすめの1冊です。

第10位 ハチ公の最後の恋人

中央公論新社 著者:吉本ばなな

ハチ公の最後の恋人

求め合う2つの魂の出会いや、約束された至高の恋を描いた吉本ばなな作品。古風で新しい不思議な恋物語とされる中編小説です。

霊能者のおばあちゃんは、私に対して、“ハチ公の最後の恋人になる”という予言を残します。そして、予言通りインドから来た青年「ハチ」とめぐり合い、彼の「最後の恋人」になるのです…。

別れを予感しながらハチと過ごす、短くて切ない時間を描いた本作品。切ないもののの、心あたたまります。短めで読みやすいのもポイント。吉本ばななの新境地ともされる恋愛小説を読みたい方におすすめです。

第11位 ハードボイルド/ハードラック

幻冬舎 著者:吉本ばなな

ハードボイルド/ハードラック

闇のなかを過ごす人々の心が、輝き始める時を描いた2編の癒しの物語。吉本ばなな自身が1999年刊行当時、“今は次のステップへ向かう習作の時期という感じ”と発言しており、次へのステップを感じられる力作です。

“ハードボイルドに生きてね。どんなことがあろうと、いばっていて。”と最後になった電話でそう言った千鶴のことを、繰り返し思い起こす奇妙な夜を描いた物語が『ハードボイルド』。そして、『ハードラック』では死を待つ姉が、ひとりひとりの心情を心鮮やかに変える季節を行く物語です。

「死」を描きながらも美しく、心あたたまる物語。吉本ばなな作品の魅力を堪能できる、おすすめの1冊です。

第12位 なんくるない

新潮社 著者:吉本ばなな

なんくるない

“なにかに感謝したくなる”といわれる、滋味深い4つの短編集。それぞれ事情を抱えた、沖縄を訪れる4人の物語です。

心ここにあらずの母や、不慮の事故で逝った忘れ得ぬ人、離婚の傷が癒えない私、そして野生の少女に翻弄される僕。4人の心に刻まれた辛い思い出を、沖縄のきらめく光や波音が、優しく削り取っていきます。

情景描写が美しく、ゆったりした沖縄の空気感を味わえる1冊。癒され、前向きな気持ちになる読者も多くいます。心地のよい吉本ばなな作品を読みたい方におすすめです。

第13位 人生の旅をゆく

幻冬舎 著者:吉本ばなな

人生の旅をゆく

By: rakuten.co.jp

吉本ばななが産後に初めて、自身の経験を鮮やかにつづったエッセイ。人を愛することや、ほかの生命に寄り添うこと、毎日を人生の旅として生きることが描かれています。

イタリアや沖縄への旅の様子、妊娠・出産という未知の体験、愛するものたちとの別れ…。吉本ばななの家族・友人への愛情や哀惜、自身を取り巻く日本社会の違和感や矛盾について真摯につづっています。

あわく切ない読後感を味わえ、勇気づけられる読者も多い作品。吉本ばななのエッセイ集のなかでも最高傑作ともいわれる、おすすめの1冊です。

第14位 「違うこと」をしないこと

KADOKAWA 著者:吉本ばなな

「違うこと」をしないこと

“本来の自分を生きるには違うことをしないことが大切”など、生き方のヒントを吉本ばなながつづったエッセイ集。読者からの質問に吉本ばななが答えている箇所もあります。文庫版では、さらに書き下ろしが充実しており、単行本版に加え、新たに25問の読者からの質問に回答しているのがポイントです。

“最近、なんとなく、うまくいっていないな”と思う方や、周りの人と比べてしまい自信が持てない方、ため込んだ怒りをどうしたらよいか分からない方におすすめとされている作品。自己啓発本のような要素もあります。吉本ばななによる珠玉の言葉に、前向きな気持ちになる読者も多いおすすめの1冊です。

第15位 ミトンとふびん

新潮社 著者:吉本ばなな

ミトンとふびん

吉本ばななの新刊小説で、30年間にわたる数々の旅の経験を込めて執筆した、全6編の短編集。自身が“この本が出せたから、もう悔いはない”と発言している傑作です。

母・弟・親友など、大切な人の死を経験し、癒えることのない喪失を抱えて、主人公たちは旅に出ます。凍てつくヘルシンキの街、石畳のローマ、南国の緑が濃く甘い風が吹く台北へ。回り続ける地球の上でめぐりゆく出会いや、小さな光に照らされた人生の喜びを描いています。

切なさや優しさが詰まっており、吉本ばななワールドを堪能できる1冊。同氏の自信作に触れたい方におすすめです。

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