ホラー・ミステリー・SFなどさまざまなジャンルで、ベストセラー作品を多数発表している小説家「貴志祐介」。『新世界より』や『黒い家』など、アニメ化や映画化もされた有名な作品が名を連ねますが、何から読んだらよいか、迷う方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、貴志祐介のおすすめ小説をランキングでご紹介。どんな方におすすめなのかも解説するので、貴志祐介作品に興味がある方は参考にしてみてください。

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ホラー・SF・ミステリーの天才作家「貴志祐介」とは?

貴志祐介は1959年大阪府生まれの小説家。幼いころからミステリーやSFなどの読書に親しんでいました。京都大学経済学部卒業後は、生命保険会社に就職します。

勤務のかたわらでSF小説やホラー小説を執筆。そして、1996年『ISOLA』が日本ホラー小説大賞長編賞の佳作を受賞し、『十三番目の人格 ISOLA』と改題して刊行され、小説家としてデビューしました。

その後も、1997年『黒い家』で日本ホラー小説大賞、2005年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、2008年『新世界より』で日本SF大賞第1位など、さまざまなジャンルの小説で文学賞を受賞しています。

また、2010年『悪の教典』で山田風太郎賞や、このミステリーがすごい!とミステリーベスト10の国内部門第1位に選出。現在も月刊誌で『さかさ星』や、『新世界より』の前日譚にあたる『新世界ゼロ年』を連載するなど作家活動を続けています。

貴志祐介作品の特徴や魅力

貴志祐介は、人間の邪悪さや恐怖そのものの正体を描いた、モダンホラーの代表格として知られています。また、ホラーのみならず、サバイバル風のSF、倒叙ミステリーや青春小説など、作品を追うごとにジャンルの幅を広げているのが特徴。本人も“一冊一冊、新しいことに挑戦したいと思っています”と発言しています。

特にホラーやSFなどは、作り込まれた世界観の構築美があり、リアリティを感じられるのがポイント。エンターテインメント性の高さと、おぞましく徐々に感じる恐怖感を両立しており読者を惹きこんでいます。

また、貴志祐介作品は読者に先を読ませる筆力の高さにより、物語の世界に引き込まれ、先が気になり一気読みしやすいのも魅力です。

貴志祐介のおすすめ小説ランキング

第1位 黒い家

KADOKAWA 著者:貴志祐介

黒い家

貴志祐介が生命保険会社に勤務した経歴を生かし、生命保険業界を題材に執筆したホラーサスペンス小説です。日本ホラー小説大賞を受賞し、日韓で映画化もされました。累計発行部数は130万部を突破し、同氏の代表作のひとつとなっています。

主人公・若槻は生命保険会社の京都支社で、保険金の支払い査定に忙殺されていました。ある日、顧客の家に呼ばれ、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者となってしまいます。

ほどなくして、死亡保険金が請求されましたが、顧客の不審な態度により他殺を確信していた若槻。彼は独自調査に乗り出しますが、それが悪夢の始まりだったのです…。

ありふれた日常のなかで、人間心理の恐ろしさを極限まで描き、血も凍るような恐怖体験ができる1冊。モダンホラーの金字塔ともされる名作に触れたい方におすすめです。

第2位 硝子のハンマー

KADOKAWA 著者:貴志祐介

硝子のハンマー

日本推理作家協会賞を受賞した、貴志祐介初の本格ミステリー小説です。難攻不落の密室トリックが題材の「防犯探偵・榎本シリーズ」第1作品目。人気ドラマ『鍵のかかった部屋』の原作で、シリーズは累計100万部を突破しました。

ある日曜日の昼下がり、株式上場を控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見。オフィスには、エレベーターに暗証番号、廊下に監視カメラ、窓は強化ガラスなど厳重なセキュリティ網がありました。

殺害方法や凶器など、すべて不明なまま、隣室で仮眠をとっていた専務・久永が逮捕されます。そして、専務の弁護に就いた青砥純子は、彼の無実を信じ、防犯コンサルタント・榎本径のもとを訪れますが…。

トリックを解いていくワクワク感と、犯人視点からの倒叙ミステリーの両方を楽しめるのが魅力。見えない犯人の悪意も描かれているため、貴志祐介作品の本髄も味わえます。ミステリー初心者にも向いており、シリーズを順番に読み進めたい方にもおすすめです。

第3位 新世界より 上

講談社 著者:貴志祐介

新世界より 上

人々が神の力「念動力」を得た、1000年後の日本が舞台のSF小説。貴志祐介の頂点を極めたとされ、三部作からなる超弩級の大作です。日本SF大賞第1位を受賞し、アニメ化やマンガ化もされています。

豊かな自然のなかにあり、純真無垢な子供たちの歓声が響き渡る集落「神栖66町」。周囲はしめ縄で囲まれているため、外から穢れが侵入することはありません。

そして、神栖66町には、野心と希望に燃えており念動力の技を磨く早季たち12歳の子供がいました。しかし、ある禁を犯したことにより、彼女を含めた同級生5人に突然の悪夢が襲いかかるのです…。

綿密に作り込まれたストーリーや世界観により、物語に引き込まれやすく、ページをめくる手が止まらない魅力があります。貴志祐介のSF作品に興味があるなら、まずは読んでおきたいおすすめの小説です。

第4位 青の炎

KADOKAWA 著者:貴志祐介

青の炎

完全犯罪に挑む少年・櫛森秀一の、孤独な戦いや哀切な心情を巧妙に描いた、青春ミステリー小説。日本ミステリー史に残る感動作ともいわれており、映画化もされています。

湘南の高校に通う17歳の秀一は、女手ひとつで家計を担う母と、素直で明るい妹と3人で暮らしていました。しかし、平和な家庭を踏みにじる、母の元夫・曾根が現れます。彼は3人の家に居座り、傍若無人に振る舞い、母の体だけではなく妹にまで手を出そうとしていたのです。

話し合いも成立せず、警察も法律も、誰も家族の幸せを取り戻してくれないことを知った秀一は決意します。自らの手で曾根を葬り去ることを…。

登場人物の心情がリアルに描写された1冊。人間の尊厳や愛、正義、家族の絆とは何かを考えさせられます。現代日本の『罪と罰』とも評される、哀しいミステリーを読みたい方におすすめです。

第5位 天使の囀り

KADOKAWA 著者:貴志祐介

天使の囀り

ありえない設定ながら、リアルな恐怖を味わえる究極のホラー・サスペンス小説。マンガ化もされており、貴志祐介作品のなかでも人気の高い大ヒット作です。

終末期医療に携わる精神科医・北島早苗の恋人・高梨は、病的な死恐怖症(タナトフォビア)でした。しかし、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加したことで、人格が異様な変容を見せ、恐れていた「死」に魅せられたように自殺してしまいます。

さらに、ほかの調査隊メンバーも、異常な方法で次々と自殺していることが判明。アマゾンでは一体何が起きたのでしょうか。

ホラー小説で怖いと感じたことのない方でも、“初めて怖いと感じる小説になることを約束します”と謳われています。グロテスクでドキドキ感が高く、とにかく怖いホラーエンターテインメント作品を求める方におすすめです。

第6位 十三番目の人格 ISOLA

KADOKAWA 著者:貴志祐介

十三番目の人格 ISOLA

貴志祐介の小説家デビュー作で、日本ホラー小説大賞の佳作受賞作です。阪神淡路大震災と多重人格障害をテーマにしたサイコホラー小説。『ISOLA 多重人格少女』として映画化もされています。

主人公・賀茂由香里は人の強い感情を読み取れるエンパス。その能力を活かし、阪神大震災のあと、ボランティアで被災者の心のケアをしていました。そして、ある日西宮の病院に長期入院している少女・森谷千尋と出会います。

由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目の当たりにしました。少女が多重人格者であることに胸を痛めつつも次第に打ち解け、いくつかの人格と言葉を交わします。しかし、13番目の人格「ISOLA」が出現して…。

心理や精神が詳細に描かれているのに加え、構成も精密で、貴志祐介ワールドを堪能できる1冊。心理ホラーや、ゾッとする哀しいホラーを読みたい方におすすめです。

第7位 鍵のかかった部屋

KADOKAWA 著者:貴志祐介

鍵のかかった部屋

驚天動地の密室トリックが4編収録された短編集。「防犯探偵・榎本シリーズ」の第3作品目で、防犯コンサルタントの榎本径と、美人弁護士の青砥純子が密室トリックに挑む物語です。

表題作では、元・空き巣狙いの会田が、甥が練炭自殺をしたとみられる瞬間に偶然居合わせます。ドアにはサムターン錠がかかっていたうえ、目張りまでされており、完全な密室状態でした。しかし、榎本と純子はこれは計画的な殺人ではないかと疑っていたのです…。

短編かつコメディー色が強いため、読みやすく、さまざまなパターンの密室トリックが楽しめます。雰囲気の異なる4編を飽きずに楽しめる、おすすめの貴志祐介作品です。

第8位 悪の教典 上

文藝春秋 著者:貴志祐介

悪の教典 上

デビュー以来の貴志祐介のテーマである「心を持たない人間」を描き、ピカレスクロマンの輝きを秘めた、戦慄のサイコホラー小説。山田風太郎賞、このミステリーがすごい!とミステリーベスト10の1位を受賞。映画化・マンガ化もされました。

晨光学院町田高校の英語教師・蓮実聖司は、ルックスもよく爽やかな弁舌で、生徒からは絶大な人気を誇り、同僚・PTAから信頼も厚い教師。しかし、その実態は邪魔者は躊躇なく排除する、共感性が欠如した殺人鬼、サイコパスでした。

彼は暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、さまざまな問題を抱える病理にむしばまれた私立高校で、一体何を行ったのでしょうか。

息もつかせぬスリリングな展開で、一気読みしやすい魅力があります。また、蓮見が問題を軽快に解決していく様子に、グロテスクながら痛快感を覚える読者も多い1冊。貴志祐介の衝撃的な話題作に触れたい方におすすめです。

第9位 クリムゾンの迷宮

KADOKAWA 著者:貴志祐介

クリムゾンの迷宮

戦慄の新感覚ゲームノベルで、日本のホラー界の新たな地平を切り拓いたとされる長編サバイバルホラー。マンガ化もされ、累計50万部を突破した人気作品です。

主人公・藤木芳彦は、まったく見覚えのない、この世のものとは思えない異様な光景の場所で目を覚まします。そこは、一面が鮮やかな深紅色に濡れ、奇岩が連なっている世界でした。

すると、手元にはポーチがあり、中に入っていた携帯用ゲーム機の電源を入れてみると、“火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された。”という文字が映し出されます。そこから凄惨なゼロサム・ゲームが始まるのです…。

人間の怖さや狂気を描いており、ハラハラドキドキで一気読みしやすい名作。“エンタメホラーの神髄”ともいわれる、おすすめの貴志祐介作品です。

第10位 狐火の家

KADOKAWA 著者:貴志祐介

狐火の家

防犯探偵・榎本径が4つの密室トリックに挑む短編集。「防犯探偵・榎本シリーズ」の第3作品目です。貴志祐介自身が、「知的遊戯」のフィールドにおいての自信作と発言しています。

前作に引き続き少しファニーな榎本と、美人弁護士・青砥純子のコンビが謎に挑む物語。表題作では、長野の旧家で中学3年の長女が殺害される事件が発生します。死因は突き飛ばされて柱に頭をぶつけたことによる、脳内出血と思われていました。

しかし、現場は築100年の古い日本家屋で、玄関からは鍵がかけられ、完全な密室状態。第一発見者の父が容疑者となりますが….。

コミカルな話もあれば、ホラーで不気味な雰囲気を味わえる話もあるのがポイント。クラシカルな本格ミステリーを手軽に読みたい方におすすめです。

第11位 雀蜂

KADOKAWA 著者:貴志祐介

雀蜂

文庫書き下ろし作品で、雪の山荘を舞台にした、ノンストップ・サバイバルホラー小説。ラスト25ページのどんでん返しが予測不能と謳われている衝撃作です。

11月下旬、八ヶ岳の山荘で目醒めた安斎が見たのは、次々と襲ってくるスズメバチの大群でした。昔ハチに刺されたことのある安斎は、もう1度刺されると命の保証はないという状況。逃げようにも外は吹雪で、通信機器も使えません。

さらに、一緒にいたはずの妻は姿を消していました。これは、妻が安斎を殺すために仕込んだ罠なのでしょうか。ハラハラドキドキの展開で、読む手が止まらない1冊。昆虫を扱ったパニックホラーに興味がある方におすすめです。

第12位 ダークゾーン 上

KADOKAWA 著者:貴志祐介

ダークゾーン 上

将棋のような壮絶なバトルが繰り広げられる、最強のゲームエンターテインメントといわれる貴志祐介作品。将棋に見立てて盤上は現実、駒は幻想、敗北は死という悪夢の対局を描いており、将棋ペンクラブ大賞特別賞を受賞しています。

プロ棋士の卵・塚田は闇のなかで、赤い異形の戦士となって目覚めました。そして、突然、謎の廃墟で青い軍団との戦いがスタート。駒が敵として生き返ったり、戦果に応じて強力化したりと奇妙なルールのもとで勝負が続きます。

「軍艦島」で頭脳戦・心理戦・奇襲戦などが繰り広げられ、緊張感がありスリリングな物語に引き込まれる1冊。アクション・エンターテインメント作品に興味がある方におすすめです。

第13位 ミステリークロック

KADOKAWA 著者:貴志祐介

ミステリークロック

貴志祐介の人気ミステリーシリーズ「防犯探偵・榎本シリーズ」の第4作品目です。文庫には表題作と『ゆるやかな自殺』を収録。単行本には文庫の2編に加え、別の文庫にもなっている『コロッサスの鉤爪』と『鏡の国の殺人』も収録されています。

精巧な完全犯罪と、命がけの推理戦に防犯コンサルタント・榎本径が挑む本作品。表題作では人里離れた山荘での晩さん会で、招待客が超高級時計をめぐり、奇妙なゲームに興じていました。その最中、山荘の主で女性作家・森怜子が書斎で変死を遂げます。

巻き込まれた榎本と、美人弁護士・青砥純子は、完全密室の謎に挑みますが…。謎解きのロジックはもちろん、物理的トリックが非常に凝っているのが魅力。また、短編ながらしっかり伏線も張られており、本格ミステリーを堪能できる、おすすめの小説です。

第14位 罪人の選択

文藝春秋 著者:貴志祐介

罪人の選択

貴志祐介ワールド全開で、同氏の魅力を濃縮した、SFやミステリーなどの作品集。本格デビュー前に執筆された『夜の記憶』や、『新世界より』の刊行直後に発表された『呪文』なども収録されています。

表題作では、1946年8月21日、佐久間茂が戦争に行っている間に、磯部武雄が佐久間の妻を寝取ったため、磯部が佐久間に殺されようとしていました。そして、磯部の前には一升瓶と缶詰が差し出されます。

それは、一方に猛毒が入っており、どちらかを口にして生き延びられれば、彼は許されるというものだったのです…。果たして正解は何なのでしょうか。

貴志祐介自身が“ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません”と発言している自信作です。多くの読者を驚愕、戦慄させた作品。緊迫感があり、短編ながら読みごたえがあります。新旧さまざまな、貴志祐介の傑作に触れたい方におすすめです。

第15位 我々は、みな孤独である

角川春樹事務所 著者:貴志祐介

我々は、みな孤独である

ファンに熱望された、貴志祐介7年ぶりの新作。「死生観」をテーマに壮大な世界観で描かれた、新たなる代表作とも評される傑作です。

物語は、探偵・茶畑徹朗のもとに、“前世で自分を殺した犯人を捜してほしい”という不可思議な依頼が舞い込むところから始まります。前世など存在しないと考えている茶畑と、助手の毬子。しかし、調査を進めるにつれて、次第に自分たちの前世が鮮明な記憶として蘇るようになっていくのです…。

あまりにオリジナルで奇想天外といわれるラストが見どころ。ハードボイルド風のミステリーや、SF要素も感じられる、おすすめの貴志祐介作品です。

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