コピーライターから転身し、ユーモアに溢れる文体で幅広い層からの人気を集める小説家「荻原浩」。直木賞を受賞した『海の見える理髪店』のほか、多彩なジャンルに受賞作や人気作を持つ小説家です。

今回は、荻原浩のさまざまなジャンルの小説から、おすすめの作品をピックアップ。文学賞を受賞した名作に加え、多様な人気作を魅力とともにご紹介します。ぜひ、次に読みたい荻原浩作品を選ぶ参考にしてみてください。

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元コピーライターの作家「荻原浩」とは?

荻原浩は、1956年埼玉県生まれの小説家です。成城大学を卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターになります。その後、1997年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビューしました。

2005年に『明日の記憶』で山本周五郎賞、2014年に『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞を受賞。数多くの作品が、名だたる文学賞の候補作にノミネートされており、2016年には『海の見える理髪店』で直木賞を受賞しています。

『噂』や『僕たちの戦争』など、受賞作品以外にも人気作が多く、ドラマ化された作品も。2017年には、60歳で漫画家としてもデビューしました。幅広いエンターテインメント作品を世に送り出し続ける、人気作家の1人です。

荻原浩作品の魅力

自身を“ノンジャンルの人間”と評する荻原浩。ユーモアに溢れる仕事小説からファンタジー、サイコサスペンスまで、発表している作品のジャンルは多岐にわたります。人気作のジャンルも幅広いので、荻原浩作品だけでも多様な読書体験ができるのが魅力です。

また、コピーライターの経歴を活かし、荻原浩作品の文体はキャッチーでユーモアに富んでいます。重厚なテーマでも、緩急のある展開と軽快な文章で読みやすいのが特徴。反面、細やかな情景描写や心情描写によって、物語を追体験できるような感覚も味わえます。

さまざまなジャンルの小説を読み比べてみたい方や、映像が浮かぶような読みやすい小説を探している方におすすめの小説家です。

荻原浩のおすすめ小説

明日の記憶

光文社 著者:荻原浩


明日の記憶

山本周五郎賞を受賞した、荻原浩の代表作。若年性アルツハイマーを患う男性を主人公にした、感動の長編小説です。2006年に映画化もされています。

50歳にして若年性アルツハイマーと診断された、広告代理店営業部長の佐伯。結婚を間近に控えた1人娘を持ち、仕事でも重要な案件を抱えています。病によって徐々に記憶が抜け落ちていく様子を、佐伯の視点から克明に描き出しました。

病が進行していく様子が一人称で展開されることで、身に迫るような恐怖や切なさを感じさせる本作品。山本周五郎賞の選評では、浅田次郎が“病気小説の金字塔”と評しています。

主人公・佐伯の心情が丁寧に記されており、涙が止まらなかったという読者も。あまり小説を読まない方にもおすすめの作品です。

新潮社 著者:荻原浩


噂

“衝撃のラスト一行に瞠目!”とのキャッチコピーが印象的な、都市伝説と犯罪を絡めたサスペンス・ミステリー。コピーライターとして活躍していた荻原浩が、噂の恐ろしさを巧みに描いた人気作です。

“レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって”。香水の新ブランドを売り出すために流した噂は広まり、販売戦略通り香水は大ヒットします。

女子高生を中心に広まり、都市伝説と化した噂。しかし、やがて噂通りに足首のない少女の遺体が発見されます。

都市伝説に関連する事件を、刑事が地道に捜査していく展開が見どころ。徐々に真相に近づいていくハラハラドキドキとした感覚に、ページをめくる手が止まらなかったという読者もいます。上質な警察小説としても楽しめる、おすすめの長編サスペンスです。

海の見える理髪店

集英社 著者:荻原浩


海の見える理髪店

荻原浩の筆致を存分に味わえる、6編からなる短編集。2016年に直木賞を受賞し、2022年にはドラマ化もされました。

店主の腕に惚れて有名人が通いつめたという、海辺にある伝説の理髪店。ある想いを胸に予約を入れた僕が、噂の店を訪れます。表題作の『海の見える理髪店』をはじめ、収録作はどれもさまざまな家族を主題にした、心に染みる物語です。

過去と向き合い、前を向こうとする人々の姿に、胸に詰まるような切なさや希望を見出せる1作。1話ずつ独立しており、読みやすさにも定評があります。隙間時間で読書を楽しみたいという方にも、おすすめの荻原浩作品です。

僕たちの戦争 新装版

双葉社 著者:荻原浩

僕たちの戦争 新装版

2006年にドラマ化された、荻原浩の名作長編小説。現代と戦時下という、対照的な時代に生きる2人の青年を主軸に、戦争と平和について描いた感動ファンタジーです。

サーフィン中に大波に呑み込まれた、“根拠なしポジティブ”のフリーター・尾島健太。訓練中に雷雲に突っ込み墜落した、帝国海軍飛行術練習生・石庭吾一。2人は2001年と1944年という時空を超えて、互いの時代にタイムスリップしてしまいます。

そっくりな容姿のせいで、互いに環境が入れ替わる2人。それぞれの環境で奮闘しながら、元の時代に戻ろうとします。

入れ替わったことで一変する環境のなか、必死に生き抜こうとする2人の様子には、クスリと笑えるようなユーモアも。青年の成長譚として描きつつ、戦争について考えさせられる、おすすめの1作です。

神様からひと言

光文社 著者:荻原浩

神様からひと言

“サラリーマンに元気をくれる”と評される、傑作長編小説。85万部を突破した、荻原浩の人気作の1つです。2006年にドラマ化もされました。

「珠川食品」に再就職して早々、販売会議でトラブルを起こしてしまった佐倉凉平。凉平は“リストラ要因収容所”と恐れられる「お客様相談室」へ異動を命じられ、クレーム処理に奔走します。

半年前にプライベートでも彼女に逃げられ、厳しい現実を生きる凉平。彼の奮闘が報われる日はくるのでしょうか。

コミカルを交え、スカッとできる痛快さが魅力の本作品。個性溢れる登場人物たちが織りなす、怒涛の展開も見どころになっています。前向きになれるような荻原浩作品を読みたい方に、おすすめのお仕事小説です。

コールドゲーム

新潮社 著者:荻原浩

コールドゲーム

いじめへの報復をテーマにした、荻原浩の青春ミステリー。2002年度の山本周五郎賞の候補作にも選出されました。

光也が高3の夏、中2時代のクラスメイトが、次々と襲われていく事件が起こります。犯行予告から浮かび上がった犯人は、かつてクラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。しかし、転校したトロ吉の行方は誰も知りません。

光也たち有志は「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜し始めますが…。

いじめていた側を主人公にした、荻原浩の意欲作です。緊張感漂うサスペンスな展開に、ホラー小説のようなハラハラとした恐怖感も味わえます。イヤミスなどが好きな方におすすめの1作です。

オロロ畑でつかまえて

集英社 著者:荻原浩

オロロ畑でつかまえて

1997年に小説すばる新人賞を受賞した、荻原浩のデビュー作。過疎化した村の復興をテーマにした、ユーモア小説の傑作です。

物語の舞台は人口わずか300人の、超過疎化にあえぐ日本の秘境・牛穴村。村おこしのため手を組んだのは、なんと倒産寸前の広告代理店・ユニバーサル広告社でした。最弱タッグの彼らが計画した作戦とは、一体どのようなものなのでしょうか。

村おこしに励む村人と広告社の、笑い満載のドタバタコメディです。「ユニバーサル広告社シリーズ」として、ほかにも2作を発表しています。軽快なコメディを読みたいという方におすすめの荻原浩作品です。

金魚姫

KADOKAWA 著者:荻原浩

金魚姫

2018年に開催された「発見!角川文庫70周年記念大賞 泣ける!1位」を獲得した荻原浩の感動長編作。テレビやラジオでドラマ化もされました。

ブラック企業で仕事に追われ、恋人にも振られた潤は、夏祭りで気まぐれに金魚をすくいます。「リュウ」と名付けた琉金は、その夜に赤い衣を纏った美女へと変身。誰かを捜しているようですが、リュウは記憶を失って途方に暮れていました。

突然始まった奇妙な同居生活に、次第に幸せを感じはじめる潤。しかし、リュウには秘密があったのです。

微笑ましさや癒しを感じられる、金魚の化身である美女との同居暮らし。随所に差し込まれるほの暗く切ない描写に、胸を締め付けられる場面も。ひと夏に重ねて読みたい、おすすめのファンタジー小説です。

砂の王国 上

講談社 著者:荻原浩

砂の王国 上

ホームレスから宗教団体を創設し、起死回生を狙うという荻原浩のエンターテインメント小説の傑作。第144回の直木賞候補作にも選出されています。

ささいなきっかけで、大手証券会社勤務からホームレスになった私。全財産3円という極貧の日々のなか、占い師と美形のホームレスとの公園での出会いが、私に「宗教創設計画」を閃かせます。

上下巻とボリュームのある長編作ながら、ハラハラと引き込まれるような感覚で読み進められる荻原浩作品。人間のリアルな心の脆さや闇を、宗教という題材を通して描いています。コミカルな描写も交えて楽しめる、おすすめの1作です。

押入れのちよ

新潮社 著者:荻原浩

押入れのちよ

さまざまなテイストの物語が楽しめる、荻原浩の名作短編集。収録作の『お母さまのロシアのスープ』は、2005年の日本推理作家協会賞の候補作にも選出されています。

失業中のサラリーマン・恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の格安アパート。そんなアパート生活初日の夜に玄関脇の押し入れから出てきたのは、自称明治39年生まれの14歳、身長130cm後半の女の子でした。

表題作の『押し入れのちよ』をはじめ、必死に生きる人間や幽霊を主人公に、少しぞくりとするような9編を収録。ホラー要素もありつつ、心あたたまる物語も楽しめます。荻原浩の幅広い世界観を存分に味わいたいという方に、おすすめの短編集です。

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