歌手としてもアルバムを発売、小説家としては芥川賞をはじめとし多くの賞を受賞している「川上未映子」。大阪弁を駆使した、リズミカルな文体が魅力の作家です。

そこで今回は、川上未映子のおすすめ小説をご紹介。川上未映子作品の魅力や作風についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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歌手でありながら芥川賞作家「川上未映子」とは?

川上未映子は1976年生まれ、大阪府出身の歌手・小説家です。文筆歌手を自称し、ビクターエンタテインメントからアルバムを発売。2006年に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』を刊行します。

2007年に初の中編小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補に選ばれ、坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。2008年に、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞しました。

ほかにも、2010年には長編小説『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞を受賞するなど、多くの賞を獲得している作家です。

現在『ヘヴン』は2022年ブッカー国際賞最終候補作としてもノミネートされています。

川上未映子作品の魅力

川上未映子作品の大きな特徴は、リズミカルで詩的な文体です。大阪弁を駆使した文章から生み出される独特の世界観に、海外からも称賛の声が上がっています。

女性の身体性、生命の大切さなど、哲学的なテーマについて深掘りしていく作品が多いのも魅力。鋭い観察力と心を揺さぶるような筆致で、男性、女性問わず楽しめる方が多い作家です。

川上未映子のおすすめ小説

夏物語

文藝春秋 著者:川上未映子

夏物語

毎日出版文化賞・芸術部門受賞、2020年本屋大賞ノミネートされた作品。世界40ヵ国で翻訳され、アメリカの『TIME』が選ぶ2020年ベスト小説10冊、『New York Times』今年の100冊にも選ばれる、世界からも注目されている長編小説です。

夏子は大阪の下町で生まれ、小説家を目指し上京。38歳を迎えた夏子のひそやかな願いは“自分の子どもに会いたい”というものでした。パートナーなしでの妊娠・出産を目指すことに決めた夏子の前に現れたのは、精子提供で生まれて父親の顔を知らない逢沢でした。本当の父親を探す逢沢と夏子は、次第に惹かれあっていき…。

生まれてきたことの意味を問い直す、至高の物語と名高い川上未映子作品。川上未映子の小説を初めて読む方にもおすすめです。

乳と卵

文藝春秋 著者:川上未映子

乳と卵

2008年に第138回芥川賞を受賞した中編小説です。読点でつなぐ長い一文で書かれているところから、“現代の樋口一葉”と称されました。

女3人をめぐる、3日間の物語。大阪でホステスとして働く巻子は、娘・緑子を連れて上京してきます。巻子は豊胸手術を受けることに憑りつかれていました。巻子の妹のわたしは、母娘を三ノ輪のアパートに迎え入れることになるのです。

緑子は、初潮を迎える直前の年齢の女の子。彼女は言葉を発さず、ノートに言葉を書くことでコミュニケーションを取っていました。

3人の身体観と言葉が行き交う、哀切な物語。それぞれが交じわいながら流れていく時間を感じられる作品です。

ヘヴン

講談社 著者:川上未映子

ヘヴン

川上未映子初の長編小説。芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞をダブル受賞、さらに2022年ブッカー国際賞最終候補作としてもノミネートされています。

斜視が原因で同級生からいじめられている14歳の僕。ある日、“わたしたちは仲間です”と書かれた、差出人不明の手紙を受け取りました。しかし、いじめられっ子同士のあいだで育まれた無垢な関係性は奇妙に変容していきます。

衝撃的な展開と感動のラストに、涙する方も多い作品。川上未映子の長編小説を読んでみたいという方にもおすすめの1冊です。

愛の夢とか

講談社 著者:川上未映子

愛の夢とか

川上未映子の初短編集。なにげない日常を描く7つの物語で構成されており、2013年に第49回谷崎潤一郎賞を受賞しています。

臨月の妻が不思議な話を僕に語る『三月の毛糸』や、先立った妻が、相思相愛だった夫を死後の世界から見つめる『十三月怪談』。表題作『愛の夢とか』では、ピアノの音をきっかけに始まった女同士の交流を描きます。

収録されているのは、マタニティブルーや死別、痴話喧嘩など、身近な題材が多いのが特徴。どこか思い当たったり、経験があったりする方も多いテーマが、川上未映子のみずみずしい視点で捉えられています。小説に心ゆさぶられ、感動したいという方にもおすすめの川上未映子作品です。

ウィステリアと三人の女たち

新潮社 著者:川上未映子

ウィステリアと三人の女たち

研ぎ澄まされた言葉で紡がれる短編小説集です。さまざまな境遇で生きる女性たちの人生を鮮やかに描き出します。

表題作は、真夜中に大きな藤の木のある壊れかけの家に侵入したわたしが主人公。そこで暮らした老女・ウィステリアの人生を体験することになって…。『シャンデリア』では、思いがけない大金を手に入れて、デパートで買い物し続ける女性を描きます。

4つの物語から描きだされる、女たちの虚無と喪失。短編集で読みやすい川上未映子作品を探している方におすすめです。

わたくし率 イン 歯ー、または世界

講談社 著者:川上未映子

わたくし率 イン 歯ー、または世界

坪内逍遙大賞奨励賞を受賞し、芥川賞候補作にも選ばれた川上未映子初の小説集です。

人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳ではなく歯であり、ー人並外れた健康な奥歯だと考えたわたし。歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子に向けて日記を書きます。

独特の文体とリズミカルな大阪弁で描かれる、川上未映子の筆致を味わいたい方にもおすすめの作品です。

あこがれ

新潮社 著者:川上未映子

あこがれ

渡辺淳一文学賞を受賞した作品。2人の小学生が、大人への扉を探しながら成長していくストーリーです。

おかっぱ頭で元気娘のヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くんの2人は、最強の小学生コンビ。寂しさも悩みも、2人で分け合うと笑顔に変えられます。2人でおたがいの「あこがれ」を支え合い、必死で生きていく姿を描いた作品です。

子供のころの自分を思い起こし、懐かしい気持ちに浸りたい方はチェックしてみてください。

きみは赤ちゃん

文藝春秋 著者:川上未映子

きみは赤ちゃん

35歳で初めて妊娠や出産、育児を経験した川上未映子によるエッセイ。誰もが直面する出来事を描き、共感と感動を呼んだ作品です。

つわり、マタニティーブルー、分娩の壮絶な苦しみ、産後クライシス、仕事と育児の両立。まさにそれは試練の連続でした。身体にかかわるデリケートな内容を、赤裸々に、なおかつユーモラスに描いています。

妊娠発覚から、出産を経て1歳の誕生日までを描いた1冊。女性読者はもちろん、男性読者にもおすすめの川上未映子作品です。

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