自然とファンタジーを織り交ぜた独特の世界観が魅力の小説家「梨木香歩」。3つの文学賞に輝いた『西の魔女が死んだ』など、数々の名作を手掛けてきました。児童文学から小説・エッセイ・紀行まで、幅広い分野で活躍する作家です。

今回は、そんな梨木香歩のおすすめ作品をご紹介。長年愛される人気作から、隙間時間にも梨木香歩の世界観を楽しめる短編集までピックアップしているので、ぜひ参考にしてみてください。

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独特な世界観を描く「梨木香歩」とは?

1959年、鹿児島県生まれの作家・梨木香歩。イギリスに留学し、児童文学者のベティ・モーガン・ボーエンに師事していた経歴を持ちます。1994年『西の魔女が死んだ』で作家デビューを果たしました。

同作品で日本児童文学者協会新人賞をはじめとする3つの文学賞を受賞。1996年刊行の『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞を受賞するなど、デビュー直後から文学界での地位を確立させていきます。

児童文学以外にも小説やエッセイ、ネイチャーライティングなども精力的に手がけており、『渡りの足跡』では読売新聞賞随筆・紀行賞に輝きました。現在は八ヶ岳の山小屋暮らしなどもしながら、多彩な分野で独自の才能を発揮する人気作家です。

梨木香歩作品の魅力

幻想的で独特な世界観が魅力の梨木香歩作品。『西の魔女が死んだ』『家守綺譚』をはじめ、何気ない日常にファンタジーが溶け込む不思議な世界観の物語を数多く手掛けています。

そして、梨木香歩作品では植物がモチーフとして多く取り入れられているのもポイント。美しく繊細な描写力によって、生き生きとした自然の息遣いを感じるような読書体験を楽しめます。人間や自然の生命を丁寧に扱った作風が梨木香歩作品の魅力です。

また、留学生活の経験を元にしたエッセイ『春になったら苺を摘みに』のように、国境や人種の垣根を超えた交わりを描く作品もおすすめ。さまざまな名言とともに、平和や文化のあり方、命の尊さを考えさせられます。

心を落ち着けられるような物語を読みたい方、自分の生き方を改めて見つめ直すきっかけが欲しい方におすすめの小説家です。

梨木香歩のおすすめ小説

西の魔女が死んだ

新潮社 著者:梨木香歩


累計260万部を突破する、梨木香歩の代表作。日本児童文学者協会新人賞・新美南吉児童文学賞・小学館文学賞に輝いたデビュー作です。2008年に映画化され、韓国などでも翻訳出版されています。

主人公は中学生の少女・まい。入学してまもなく学校に足が向かなくなってしまったまいは、しばらく田舎に暮らす「西の魔女」こと英国人の祖母のもとで過ごすことになります。

不思議な力を受け継いでいるという祖母の手ほどきを受けながら、まいは「魔女修行」として自分の心と向き合うようになり…。

感受性が強いまいが、祖母との穏やかな田舎暮らしのなかで心を癒され、たくましくなっていく姿が見どころ。文庫版には、その後のまいを描いた『渡りの一日』が併録されています。数々の名言も多くの読者を魅了してきた、おすすめの梨木香歩作品です。

裏庭

新潮社 著者:梨木香歩


裏庭

第1回児童文学ファンタジー賞の大賞を受賞した梨木香歩の傑作児童文学。不思議な「裏庭」を舞台に、孤独な少女が自分探しの冒険を繰り広げるファンタジー小説です。

戦前、英国人の別荘だったという洋館。現在は庭も荒れ果てて、近所の子どもたちの遊び場になっていました。洋館の庭に苦い思い出を抱える少女・照美は、ある出来事がきっかけで、洋館の秘密の「裏庭」へと迷い込みます。

「裏庭」での旅を通して照美が自分の心の傷や感情と向き合い、成長していく姿を描いた1作。梨木香歩の哲学が重層的な物語構成のなかにちりばめられています。子どもはもちろん大人も楽しめる、おすすめの冒険小説です。

からくりからくさ

新潮社 著者:梨木香歩


からくりからくさ

1つの家で同居する女性たちの縁や想いの繋がりを、壮大なスケールで描いた長編小説。関連作品『りかさん』も刊行されている梨木香歩の人気作です。

祖母が遺した古い家で、共同生活を始めた4人の女性たち。糸を染めて機を織り、庭の草が食卓にのる、静かでたしかな日々を紡いでいきます。4人には、心を持つ不思議な人形「りかさん」を中心に絡まりあう、生命の連なりがあったのです。

手仕事を営む女性たちの丁寧な暮らしぶりを魅力的に描いた梨木香歩作品。自然や歴史、文化へのリスペクトが随所に感じられます。ゆったりとした気持ちで読みたいおすすめの1作です。

雪と珊瑚と

KADOKAWA 著者:梨木香歩


雪と珊瑚と

シングルマザーの奮闘と挑戦が胸を打つ、梨木香歩作品。生まれたばかりの赤ん坊を育てる、21歳の母が主人公のハートウォーミングな1作です。

高校を中退後、家を出て自力で生活してきた珊瑚。しかし、1人で育てている雪を預ける場所も働く環境もなく、途方に暮れてしまいます。そんなときに珊瑚を助けてくれたのが、“赤ちゃん、お預かりします”という貼り紙を出していた藪内くららでした。

くららの優しい言葉とあたたかなスープに生きる力を取り戻した珊瑚は、心にも体にもやさしい惣菜カフェをオープンし…。

さまざまな問題に直面しながらも、人の優しさを支えにたくましく生きる珊瑚の姿から、生きる勇気をもらえるおすすめの1作。作中に登場するおいしそうな料理の数々も見どころの梨木香歩作品です。

家守綺譚

新潮社 著者:梨木香歩


家守綺譚

約100年前を舞台に、青年文士が体験する不思議な1年間の出来事を描いた梨木香歩の連作短編集です。それぞれ植物の題がつけられた全28章で、さまざまな精霊や妖怪、植物との交流の記録が綴られています。

小説家志望の青年・綿貫征四郎は、行方不明になった親友・高堂の父親に依頼されて彼の実家の守をすることに。緑に囲まれたその家では、庭のサルスベリの木に惚れられたり、飼い犬が河童と懇意になったりと、天地自然の不思議な出来事が日常的に起こるのでした。

四季折々の情景とともに、怪異や植物と過ごす何気ない日常をノスタルジックに描いている本作品。文庫版の巻末には征四郎の随筆『烏蘞苺記(やぶがらしのき)』も収録されています。昔話のような読み味で楽しめる、おすすめの梨木香歩作品です。

僕は、そして僕たちはどう生きるか

岩波書店 著者:梨木香歩


僕は、そして僕たちはどう生きるか

1937年刊行の吉野源三郎の名作『君たちはどう生きるか』をモチーフに、梨木香歩が現代の新たな物語として生み出した青春小説。同作の主人公にちなんで「コペル」と呼ばれる、14歳の僕が主人公の物語です。

ある朝、染織家の叔父・ノボちゃんが僕のもとにやってきます。ノボちゃんの誘いで、僕は学校へ行くのをやめた親友・ユージンに会いに行くことに。そこから始まる、かけがえのない1日を描いた物語です。

多感な時期の少年たちが、日常のふとした瞬間から、人としての生き方を改めて見つめ直していくのが本作品の見どころ。深く思考しながら読みたいおすすめの1作です。

エンジェル エンジェル エンジェル

新潮社 著者:梨木香歩


エンジェル エンジェル エンジェル

認知症気味の祖母と孫の不思議な交流を描いた、梨木香歩初期の名作。現在と過去が交互に展開されながら、人の過ちに向き合う物語です。

寝たきりに近い祖母の深夜のトイレ当番を請け負うことで、熱帯魚を飼うことを許されたコウコ。それ以来、祖母は夜になると水槽のある部屋で不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話すようになります。

そんなある日、熱帯魚の水槽を見守る2人の前で衝撃の出来事が。それを目にしたコウコの嘆きが、祖母の胸の奥に眠る少女時代のある記憶を呼び覚まし…。

人間の悪意や残酷さを、少女時代の繊細な心情とともに痛切に描いた1作。人間の本質を深く描いた純文学が好きな方にもおすすめの梨木香歩作品です。

村田エフェンディ滞土録

KADOKAWA 著者:梨木香歩


村田エフェンディ滞土録

1899年のトルコを舞台に宗教や国、民族とは何かを問う、新境地の青春小説。2005年度青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選出された梨木香歩の名作です。

日本人の村田君は、遺跡発掘のためトルコの首都・スタンブールに留学します。下宿先には英国人の女主人をはじめ、さまざまな国の若者が集っていました。彼らとともにトルコでかけがえのない青春の日々を過ごしていたある日、村田君に突然の帰還命令が来ました…。

100年以上前の爽やかな異文化交流の様子を、留学経験のある梨木香歩ならではの筆致で臨場感たっぷりに描いた1作。何度も読み返したくなるという読者も多い、おすすめの感動作です。

丹生都比売 梨木香歩作品集

新潮社 著者:梨木香歩


丹生都比売 梨木香歩作品集

1994〜2011年にかけて発表してきた短編をまとめた、梨木香歩初の作品集です。草壁皇子を主人公にした表題作『丹生都比売』や、わずか5ページの人気作『コート』など、梨木香歩の小説世界を堪能できる9編の物語が収録されています。

不思議な世界観のなかに、人間の孤独を描いた短編が揃う本作品。澄み渡るような読み心地で、静かに物語の世界に浸れます。心を落ち着かせたいときに読みたい、おすすめの短編集です。

春になったら苺を摘みに

新潮社 著者:梨木香歩


春になったら苺を摘みに

イギリスで過ごしていた学生時代の日々を綴る、梨木香歩初のエッセイ作品です。下宿先の女主人やさまざまな人種の人々との騒動だらけで美しい毎日が、紀行文のように記録されています。

女主人・ウェスト夫人は、“理解はできないが受け容れる”という強靭な博愛精神の持ち主でした。時代に左右されない彼女の暮らしぶりをはじめ、下宿先の住人たちの多様な考え方をイギリスの風景とともに丁寧に描いています。

日常の体験や思考が巧みに言語化されており、生きるうえで大切なことをそっと心に落としてくれるエッセイ。人との違いを認め、誰かと繋がることの尊さを思い出させてくれるおすすめの梨木香歩作品です。

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