旅情ミステリーの代表的作家「内田康夫」。人気の「浅見光彦シリーズ」をはじめ、全国各地を舞台にしたミステリー小説を数多く手掛けた小説家です。

今回は、内田康夫作品の数ある名作のなかから、おすすめの小説をご紹介。代表作から人気作まで、バラエティ豊かな小説をピックアップしているので、ぜひ参考にしてみてください。

※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

ミステリー作家「内田康夫」とは?

内田康夫は、1934年東京都生まれの小説家です。東洋大学文学部を卒業後、コピーライターやテレビCM制作会社の経営に携わり、1980年『死者の木霊』を自費出版して作家デビューしました。

以降、『後鳥羽伝説殺人事件』にはじまる代表作「浅見光彦シリーズ」など、旅情ミステリー小説を中心に、多数のメディア化作品を発表。2007年時点で著作は累計部数1億冊を突破し、2008年に日本ミステリー文学大賞を受賞しています。

2016年には、内田康夫の業績と意思を後世に伝える「浅見光彦記念館」が開館。名探偵・浅見光彦をはじめとする、内田康夫作品ゆかりの品などが展示されています。

同氏が生み出した魅力的なキャラクターとともに、今もなお、ファンから愛され続ける人気作家です。

内田康夫作品の魅力

“旅情ミステリー作家の代表的人物”と評される内田康夫。綿密な取材とともに描いた豊かな情景描写が特徴で、まるで旅行しているような感覚で楽しめる作品が多いのが魅力です。

1999年『ユタが愛した探偵』で、内田康夫の物語の舞台は全国制覇を達成。日本全国さまざまな土地を題材にしたミステリー小説を発表しており、気になる土地の作品を読むという楽しみ方もできます。

また、内田康夫作品はそれぞれ独立した物語でありながら、大半は主人公が共通しているシリーズ作品なのもポイント。特に「浅見光彦シリーズ」の浅見光彦は、著作数166冊のうち115冊に登場し、多くがテレビドラマなどで映像化されています。

ドラマシリーズが好きな方はもちろん、映像が浮かぶような旅情を感じながら、ミステリーも楽しみたい方におすすめの小説家です。

内田康夫のおすすめ小説

後鳥羽伝説殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

後鳥羽伝説殺人事件

名探偵・浅見光彦が初登場した、「浅見光彦シリーズ」の1作目。1982年から複数回にわたってテレビドラマ化もされている、内田康夫の代表作です。

一人旅の女性が古書店で見つけた、ある1冊の本。彼女がその本を手にしたとき、後鳥羽伝説の地・広島を舞台にした殺人劇の幕が切って落とされます。浅見の推理によって浮かび上がる意外な犯人とは、一体誰なのでしょうか。

豊かな風景描写とともに、浅見光彦の名推理を楽しめるのがポイント。どんでん返しの展開もあり、最後まで一気に読んだという読者も。初期の浅見光彦という人物像を楽しみたい方にも、おすすめの内田康夫作品です。

天河伝説殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

天河伝説殺人事件

「浅見光彦シリーズ」屈指の人気作と名高い内田康夫作品。テレビドラマ化のほか、1991年には映画化もされています。

能の水上流宗家の嫡男・和春の、七回忌に催された追善能。宗家である和憲の二人の孫、和鷹と秀美もそれぞれ演目を舞う予定でした。しかし、舞台の最中に蛇面をつけたまま和鷹が急死します。

和鷹の死や、兄妹間の後継問題などに注目が集まるなか、和憲までが行方不明に。秀美は、祖父の残した言葉を頼りに奈良の吉野へと向かいます。

天河を舞台に、旅情を誘う美しい情景描写が特に魅力的に描かれている本作品。映画の原作としても読み応えのあるおすすめの1作です。

平家伝説殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

平家伝説殺人事件

人気ヒロインである稲田佐和が登場する「浅見光彦シリーズ」の2作目。テレビドラマ化もされています。探偵小説としてはもちろん、濃密なロマンスも楽しめる人気作です。

銀座のホステスである萌子は、“3年間で1億5千万円になる”という仕事に誘われます。誘いを受けて偽装結婚する萌子でしたが、周囲の男たちが次々と不審死を遂げていきます。

倒叙ミステリーでありながらも、状況が二転三転していき、結末が読めない展開にのめり込む読者が多いのもポイント。凝ったトリックの内田康夫作品を読みたい方におすすめの小説です。

浅見光彦殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

浅見光彦殺人事件

“「浅見光彦シリーズ」を3冊以上お読みになった方以外はお買いにならないでください”と、内田康夫が注意書きをしている異色作。テレビドラマ化もされた傑作長編ミステリーです。

“トランプの本”と言い残して病死した、詩織の母。父もまた、”トランプの本を見つけた”というダイイングメッセージを残して非業の死を遂げます。途方にくれた詩織は浅見光彦に頼りますが、その浅見にも死の影が迫っていたのでした。

シリーズ小説ならではの、ひと味違った面白さを味わえる本作品。どんでん返しに驚いたという読者も多く、ネタバレなしで楽しむのがおすすめの内田康夫作品です。

死者の木霊

KADOKAWA 著者:内田康夫

死者の木霊

警部・竹村岩男を主人公にした、刑事ミステリー「信濃のコロンボシリーズ」の1作目。内田康夫が自費出版し、テレビドラマ化もされた内田康夫のデビュー作です。

信州の松川ダムで、バラバラ死体が発見されるという事件から物語は始まります。借金がらみの単純な殺人事件と思われましたが、その見解に納得できない竹村は捜査の手を緩めようとせず…。

真相究明のため、1人で地道に捜査を進める竹村の実直さに、感情移入する読者も。事件の凄惨さを克明に描きながらも、人のあたたかみなども感じられ、読後には爽快感も味わえます。初期の内田康夫作品に触れたい方におすすめの1作です。

氷雪の殺人

KADOKAWA 著者:内田康夫

氷雪の殺人

「浅見光彦シリーズ」のなかでも特に重厚感があり、スケールの大きい1作。浅見光彦が、兄・陽一郎とともに国家権力へ立ち向かうサスペンス・ミステリーです。

北海道利尻山の登山道で、男の凍死体が発見されます。警視庁刑事局長の兄・陽一郎から、真相究明を頼まれた浅見光彦。“プロメテウスの火矢は氷雪を溶かさない”という、被害者が遺した謎の言葉と1枚のCDから、浅見らは事件の真相に迫っていきますが…。

旅情ミステリーに留まらない、壮大な社会派ミステリーでもある本作品。事件の謎に関連して、現代社会の問題にも切り込んでいます。権力に対する個人の正義への葛藤などが丁寧に描かれている点でも、おすすめの内田康夫作品です。

新装版 漂泊の楽人

講談社 著者:内田康夫

新装版 漂泊の楽人

テレビドラマ化もされた「浅見光彦シリーズ」の1作。旅情を感じられる描写のみならず、緊迫感のあるサスペンスとしても楽しめる長編推理小説です。

沼津の千本浜海岸に、1人の男性の死体が漂着します。被害者の妹・肇子は、死の直前に兄から託された秘密の解明を浅見光彦に依頼。しかし、奇妙なダイイングメッセージを残して、肇子の母までもが刺殺されてしまうのです。

巨額投資詐欺事件と、一連の事件の関連を察する浅見。浅見は真相の解明のため、新潟・月潟へ向かいます。

登場人物の因縁が絡みあい、切なさや物悲しさも味わえる本作品。ほかの「浅見光彦シリーズ」との繋がりもあるため、序盤に読むのがおすすめの内田康夫作品です。

遺譜 浅見光彦最後の事件 上

KADOKAWA 著者:内田康夫

遺譜 浅見光彦最後の事件 上

名探偵・浅見光彦の、史上最大スケールの難事件とも評される長編ミステリー。「浅見光彦シリーズ」では、最後の事件を描いています。

本人の知らない間に企画された、浅見光彦34歳の誕生日パーティ。初恋の稲田佐和との再会に心躍る浅見でしたが、ドイツ出身の美人バイオリニストに頼まれ、ともに丹波篠山へ赴くことに。彼女の祖母が遺した「遺譜」を捜索するなか、手がかりに繋がる男が殺されてしまいます。

さらには、浅見に殺害の嫌疑がかかり、事態は思わぬ方向へ。これまでの「浅見光彦シリーズ」に登場した人物が勢揃いする1作です。

ぼくが探偵だった夏

講談社 著者:内田康夫

ぼくが探偵だった夏

名探偵・浅見光彦が遭遇した、最初の事件を描いた長編ミステリー。小学5年生の浅見を主人公に、夏休みの青少年たちの冒険譚としても楽しめる1作です。

光彦が小学生の頃、夏は軽井沢の別荘で過ごしていました。光彦は、“山の友達”の峰男と本島衣理の3人で、女の人が行方不明になった妖精の森へ出かけます。

怪しげな館の庭で大きな穴を掘る男、その穴へ棺のような箱を埋めようとする3人組を目撃する光彦たち。20歳の若い刑事・竹村岩男に事情を説明した3人は、妖精の森の謎を追います。

みずみずしい好奇心や探究心で、事件の真相に迫っていく光彦。ミステリーでありながら、爽やかな児童期の夏休みをノスタルジックな気持ちで味わえます。小学生にもおすすめの内田康夫作品です。

高千穂伝説殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

高千穂伝説殺人事件

「浅見光彦シリーズ」のなかでも人気の高い1作。内田康夫が綿密な取材のうえ書き上げた、サスペンス・ミステリーです。

美しきヴァイオリニスト・千恵子の父が、謎のメッセージを残して突然失踪します。父の知り合いと称する男も不審死を遂げ、さらにまた新たな殺人が。浅見光彦に助けを求めた千恵子は、神話と伝説の国・高千穂へと向かうのでした。

神話を絡めた事件が展開することで、高千穂の神秘的な雰囲気も感じられる本作品。複数の事件と謎が絡みあい、浅見とともに調査していくようなストーリーには読み応えもあります。中学生から楽しめる内田康夫作品です。

長崎殺人事件

光文社 著者:内田康夫

長崎殺人事件

「浅見光彦シリーズ」屈指の傑作と謳われ、シリーズのファンからも評価の高い1作。長崎を舞台に、複数の事件が同時並行して巻き起こる長編ミステリーです。

作家・内田康夫のもとへ届いた、浅見光彦宛の1通の手紙。“殺人容疑をかけられた父親を助けて欲しい”という、長崎の女性からの手紙の内容を受け、内田は浅見を頼ります。すると、浅見は別件の連続殺人事件に関連して、すでに長崎にいるというのです。

同時に発生した3つの事件の解決のため、長崎を奔走する浅見。死者が遺した“蝶々夫人の怨み”とは、一体何なのでしょうか?

長崎の名所が作中に多く登場する本作品。観光しているような旅情感を、ミステリーとともに味わえる巧みな描写が、特に魅力的に描かれています。内田康夫の本格派な旅情ミステリーを楽しみたい方におすすめの小説です。

靖国への帰還

講談社 著者:内田康夫

靖国への帰還

内田康夫作品としては珍しい単発作品。太平洋戦争時代の青年が、現代へタイムスリップする感動のファンタジー長編小説です。

本土攻撃が激化するなか、夜間戦闘機「月光」に乗り込んだ若き海軍中尉・武者滋。被弾して薄れていく意識の下、滋が乗った「月光」が降りたのは、なんと現代の厚木基地でした。

戦時の軍人を現代に登場させることで、靖国神社に対する戦時の人々との意識差や、現代の問題をわかりやすく浮き彫りにした本作品。SF要素もありながら、重厚な社会派小説としてもおすすめの1作です。

白鳥殺人事件

祥伝社 著者:内田康夫

白鳥殺人事件

実在の未解決事件をモチーフにしたとされている、内田康夫の傑作長編ミステリー。「浅見光彦シリーズ」の6作目という、シリーズ中でも初期の作品です。

お菓子の業界新聞社から依頼を受け、社長・芹沢とともに取材旅行に出た浅見光彦。しかし、新潟県新津のホテルで芹沢が殺害され、現場には”白鳥の”という血文字が残されていました。宿泊者から不審人物が浮上しますが、直後に熱海で溺死体として発見されます。

被害者の足跡を追って岐阜へ向かう浅見。そこで、浅見は意外な事件との関連を突き止め…。

モチーフとなった事件に対し、内田康夫の推理を交えて展開していく作品。リアリティと迫力のある場面描写で、実際に事件に迫っていくような感覚も味わえます。スリリングな内田康夫作品を読みたい方に、おすすめの1作です。

「萩原朔太郎」の亡霊

KADOKAWA 著者:内田康夫

「萩原朔太郎」の亡霊

詩人・萩原朔太郎の詩をモチーフにした、サスペンス推理小説。『死者の木霊』など、内田康夫の複数作品に登場する、警部・岡部和雄が主人公の1作です。

萩原朔太郎の詩さながらに演出された、オブジェのような他殺死体が発見されます。警視庁捜査一課の警部・岡部の調査で見えてきたのは、被害者である上野義則の出身地・群馬県K村で、30年前に起きた殺人事件との関連でした。

さらに、元刑事・須貝国雄も岡部とは別に調査に乗り出し、2人は事件の謎を執念で解き明かしていきます。

丁寧に織り込まれた伏線を、捜査で解き明かしていく堅実なストーリーには、“刑事小説の王道”と評価する読者も多い1作。「浅見光彦シリーズ」以外のシリーズ作品を読んでみたい方に、おすすめの内田康夫作品です。

熊野古道殺人事件

KADOKAWA 著者:内田康夫

熊野古道殺人事件

内田康夫本人が作家役で本編に登場するという、「浅見光彦シリーズ」のユニークな1作。作家と名探偵のコンビが、世界遺産・熊野古道で起きた殺人事件に挑みます。

那智勝浦から船で補陀落へ渡る、「補陀落渡海」を学生たちが企画していると、大学教授の松岡に相談を持ちかけられた作家・内田康夫。不吉な予感がするという松岡の話に、内田は浅見光彦を誘い、紀伊半島へと向かうことにします。

南紀山中に差し掛かったところで、殺人事件に遭遇する内田と浅見。さらに、浅見の愛車・ソアラにも罠が襲いかかり…。

2人のユーモアに溢れた漫才のようなやり取りが特徴。宗教観や死生観も織り交ぜられた、深みのある物語としても楽しめます。エンターテインメント性の高い「浅見光彦シリーズ」を読みたい方におすすめです。

内田康夫の小説の売れ筋ランキングをチェック

内田康夫の小説のランキングをチェックしたい方はこちら。