時代小説家として人気シリーズを次々と生み出している作家「佐伯泰英」。読みやすいながらも本格的な作風で一躍ヒットしました。ドラマ化・映画化された作品も多数あり、多くの読者を魅了しています。
そこで今回は、佐伯泰英のおすすめ小説をご紹介。佐伯泰英の魅力や著者の経歴も解説するので、参考にしてみてください。
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時代小説で人気の「佐伯泰英」とは?
佐伯泰英は、1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、ノンフィクション作品をメインに発表していました。
1999年に初の時代小説『密命』を発表し時代小説家に転身。以後、次々とヒット作を生み出します。「居眠り磐音シリーズ」を初めとするシリーズものが人気を集めています。
また、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立。文庫書下ろし作品のみで累計5000万部突破の快挙を達成しました。出版界の流れをも大きく変えた作家の1人です。
佐伯泰英作品の魅力
佐伯泰英作品の魅力は、真に迫りながらも読みやすい筆致です。迫力ある剣戟シーンと人情味あふれる庶民を描き、時代小説の旗手として高い評価を得ました。
また、カメラマン、ノンフィクションライターとして活動し、さまざまな人々と関わってきた経験に裏打ちされた描写も魅力のひとつ。人間味あふれる登場人物たちと、想像力を掻き立てるストーリー性も相まって、幅広い層の読者から支持を集めています。
佐伯泰英のおすすめ小説
御鑓拝借 酔いどれ小籐次 一 決定版
文藝春秋 著者:佐伯泰英
「酔いどれ小籐次シリーズ」の第1巻。『酔いどれ小籐次』というタイトルで連続ドラマ化もされたシリーズです。
主人公は、小藩のうまや番である赤目小籐次。身の丈五尺一寸、50歳を目前に控えた高齢、風采の上がらない小籐次ですが、とある秘密がありました。
それは、来島水軍流の凄まじい遣い手であるということ。そして、胸には旧主・久留島通嘉の受けた恥辱をすすぐという野望をもっていました。誰1人殺すことなく大名行列を襲っていきます。
実力があるにもかかわらず控えめな性格の小籐次が、独りの闘いにも勇猛果敢に挑んでいく姿に勇気づけられる、佐伯泰英作品です。
陽炎ノ辻 居眠り磐音 一 決定版
文藝春秋 著者:佐伯泰英
「居眠り磐音シリーズ」の第1巻。テレビドラマ化や漫画化、そして2019年には映画化された佐伯泰英作品です。
坂崎磐音は、藩内での騒動がきっかけで藩を離れて、江戸深川六間堀で日々を過ごしていました。ある日磐音は、引き受けた用心棒の職をきっかけにして大陰謀に巻き込まれます。
幼馴染3人と故郷に戻った磐音は、一体どうなってしまうのでしょうか。
物語のスタートから波乱続きの長編時代小説ながら、穏やかな性格の磐音に心癒される作品。佐伯泰英作品を初めて読む方にもおすすめの1冊です。
初詣で 照降町四季 一
文藝春秋 著者:佐伯泰英
「照降町四季シリーズ」の1冊目にして、佐伯泰英作品初となる女性職人を主人公とした時代小説です。
舞台は日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町。鼻緒屋の娘・佳乃は、恋人と駆け落ちするも3年で出戻ってきます。そのあいだに父親は病気になり、店には浪人・周五郎が職人見習いとして店を切り盛りしている状況でした。
父親にかわり、職人としての修行に励む佳乃。着々と実力をつけていく佳乃は、斬新なアイディアで老舗・宮田屋や吉原の花魁・梅花から認められていきます。生まれた町に恩返しがしたい。そんな思いで賢明に生きる佳乃のところに、あの男が現れて…。
己丑の大火をめぐる、女性の底力と才能が生き生きと描かれます。小説に元気をもらいたい方にもおすすめの佐伯泰英作品です。
完本 密命 巻之一 見参! 寒月霞斬り
文藝春秋 著者:佐伯泰英
佐伯泰英の時代小説の第1作目。2008年にドラマ化もされた「密命シリーズ」の第1巻です。
時は、将軍・綱吉没後の1709年。豊後相良藩二万石の徒士組・金杉惣三郎 は、14年ぶりに江戸にやってきます。盗まれた相良藩の蔵書に、幕府の怒りに触れる本が混じっていたというのです。真相を暴くという“密命”を背負い、江戸での浪人生活がスタートするのですが…。
“ふぬけ”を装い暮らしていた惣三郎。かつて“相良の龍”と呼ばれていたときの自分を取り戻します。秘剣・寒月霞斬りで陰謀に立ち向かう姿に胸が熱くなる方におすすめの佐伯泰英作品です。
声なき蟬 上 空也十番勝負 一 決定版
文藝春秋 著者:佐伯泰英
2016年に完結した「居眠り磐音シリーズ」の続編。坂崎磐音の嫡子・空也が主人公の、厳しい旅と若者の成長を描く「空也十番勝負シリーズ」として刊行を開始した1巻目にあたります。
“空也、旅立ちなされ”。空也は、母・おこんの言葉を胸に武者修行の旅に出ました。よそ者を受け入れないという異国・薩摩へ向かう空也は、自分自身に“無言の行”を課します。
そんな空也をつけ狙う、国境をまもる影の集団・外城衆徒は、空也を迎え入れた百姓を殺害。空也の闘いが今、始まります。
「居眠り磐音シリーズ」のファンの方はもちろん、読んだことがない方でも入り込みやすい1冊です。子の成長と自立を描く佐伯泰英作品が気になる方は、チェックしてみてください。
神君狩り:夏目影二郎始末旅 十五
光文社 著者:佐伯泰英
「夏目影二郎始末旅シリーズ」の最終巻。主人公・夏目影二郎が、南北朝時代の鍛冶に作られた大薙刀を鍛え直した豪剣・法城寺佐常を相棒に、南蛮外衣をまとって旅をする人気シリーズです。
“最後の始末旅”から7年。穏やかな日常を過ごしていた影二郎のところへ、国定忠治の子分・蝮の幸助がやってくるところから物語はスタート。国定忠治が中気で倒れたという知らせをうけ、死に目にあうために影二郎は幸助とともに上州に向かいます。そして迎える、最期とは…。
全15巻に及ぶ長編時代小説が、この1冊で完結を迎えます。影二郎の旅の行方から目が離せない、おすすめの作品です。
死闘 古着屋総兵衛影始末 第一巻
新潮社 著者:佐伯泰英
「古着屋総兵衛影始末シリーズ」の1巻目。2011年からは「新・古着屋総兵衛シリーズ」が新シリーズとしてスタートしている人気作品です。
主人公は、影の旗本・大黒屋総兵衛。古着問屋は表向きの姿、裏では徳川家の危機に立ち向かいます。
“徳川家危難の際には身命を捨てて闘え”と家康に命じられた初代総兵衛。密命から85年、6代目総兵衛に襲いかかるのは、闇の勢力による大黒屋殲滅の宣言でした。神君下賜の名刀・葵典太を携えた、六代目総兵衛の物語です。
地理や歴史、登場人物の来歴も丁寧に描く1冊。時代小説が初めての方にもおすすめの佐伯泰英作品です。
流離 決定版
光文社 著者:佐伯泰英
「吉原裏同心シリーズ」の第1巻目にあたる時代小説。佐伯泰英が手掛ける時代小説文庫書下ろし作品の中で、今も新作が出されているシリーズです。2014年にNHKでドラマ化もされました。
時は安永5年。豊後岡藩の馬廻役・神守幹次郎は、幼馴染で納戸頭の妻・汀女と行方をくらまします。追手をまきながら放浪の旅をしていた2人は、やがて江戸へ。
吉原遊郭・四郎兵衛会所の名主のもとで用心棒として働くことになった幹次郎は、無頼集団の吉原炎上計画を知ります。さらに、その背景には、悲劇の心中事件が関係あるようでした。
幹次郎たちが、吉原の地で起こる謎を解いていくストーリー。テンポよく読み切れるので、江戸時代の歴史や文化を知りたい方にもおすすめの佐伯泰英作品です。
新装版 橘花の仇 鎌倉河岸捕物控 一の巻
角川春樹事務所 著者:佐伯泰英
江戸鎌倉河岸を舞台に描かれている、人気シリーズの第1巻。2010年に『まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控〜』としてドラマ化もされました。
物語は酒問屋の看板娘・しほの唯一の肉親である父親が斬殺される事件から始まります。相手の御家人はお咎めなし、加えて事件の発端の橘の鉢を売り物にして商売を始めると聞き、しほは落胆しました。
しほを慕う幼馴染の男たちは一念発起し、彼女を支えつつも江戸の町で事件を解決していきます。
江戸に生きる10代の若者達が、居場所を探しながら成長していく青春群像劇。爽やかな読後感に浸りたい方にもおすすめの佐伯泰英作品です。
空也十番勝負 青春篇 剣と十字架
双葉社 著者:佐伯泰英
『声なき蝉』『恨み残さじ』に続く、「空也十番勝負シリーズ」の3巻目にあたる作品。坂崎磐音の嫡子・坂崎空也の武者修行の旅が描かれます。
タイ捨流・丸目道場での修行を終えた空也。仇討ちをしようと忍び寄る東郷示現流・酒匂兵衛入道一派から逃れるべく、五島列島の福江島へと向かいます。
しかし、刺客たちの魔の手が忍び寄り、辿り着いた先は野崎島。野崎島には、隠れ切支丹と異人の剣士が潜んでいました。‟試練の三番勝負”が今、始まります。
どこへ旅しても好かれ、人々から助けられる空也の人柄が生き生きと描かれているシリーズ。旅や闘いの場面だけでなく、磐音たちのいる江戸の様子も度々描かれ、心あたたまるおすすめの作品です。
まよい道 新・吉原裏同心抄 一
光文社 著者:佐伯泰英
「吉原裏同心シリーズ」の続編にあたる作品です。前シリーズに引き続き神守幹次郎が主人公として活躍します。
吉原遊郭の裏同心をしている幹次郎は、表向きは謹慎という体で、元花魁・加門麻と共に修行の旅に出ます。桜の季節に京都に到着した2人。木屋町の旅籠・たかせがわに宿をとりつつ修行先を探します。
その最中に、京都の街中で襲撃を受けた幹次郎と麻.。一方、汀女たちが留守を守っている吉原の地では、謎の山師が暗躍していました。京都と吉原、2つの地で運命が動き出します。
全4巻の人気シリーズの1巻目にあたる1冊。「吉原裏同心シリーズ」のファンの方はもちろん、読んだことがない方にもおすすめの佐伯泰英作品です。
血に非ず 新・古着屋総兵衛 第一巻
新潮社 著者:佐伯泰英
「古着屋総兵衛シリーズ」に続く新シリーズの第1巻目。新旧合わせた「古着屋シリーズ」としては、完結まで20年、全30巻という大長編の時代小説です。
六代目総兵衛が活躍した元禄・宝永年間から90年あまり。九代目総兵衛勝典は、労咳で死の床にありました。大黒屋は、流行病で嫡子・幸之輔を亡くして直系の者がいません。後継問題に頭を悩ませている最中、一人の若者が訪ねて来ます。
深川の女郎屋で、女が勝典を誑かして子を孕んだという話の真相とは。後継について、勝典がつぶやいた‟血に非ず”という謎の言葉。果たして、後継問題は収束するのでしょうか。
女性の活躍を生き生きと描くことを意識したという、時代小説ながらも「今」を捉える佐伯泰英作品。時代小説ファンの方にもおすすめの人気シリーズです。
光圀 古着屋総兵衛 初傳
新潮社 著者:佐伯泰英
「古着屋総兵衛シリーズ」「新・古着屋総兵衛シリーズ」の前史を描いた佐伯泰英作品。新潮文庫100年にあたっての特別書き下ろし作品として刊行されました。
御三家定府・水戸光圀は、天下の悪法・生類憐みの令やゆがんだ将軍継承方針といった五代将軍・綱吉の独裁に怒り心頭。対立が激化する綱吉と光圀ですが、そんな綱吉のバックにはある僧の影があり…。
表の顔は古着問屋、裏では隠れ旗本として、500年徳川家の守護をしてきた鳶沢一族。将軍家への忠誠と大義とのあいだで揺れ悩む、若き総兵衛勝頼を描きます。
新旧「古着屋シリーズ」にまたがったエピソード。「古着屋シリーズ」に興味はあるけれどまだ読んだことがない方にもおすすめの1冊です。
惜櫟荘だより
岩波書店 著者:佐伯泰英
2014年度日本建築学会文化賞を受賞した、佐伯泰英初のエッセイ作品です。岩波書店の創業者・岩波茂雄が熱海に建てた惜櫟荘。惜櫟荘の“番人”をすることになった佐伯泰英が明かす、解体・復元のエピソードが収録されています。
惜櫟荘は、建築家・吉田五十八の感性と、長野県生まれの岩波茂雄の海への憧れから生まれた“近代数寄屋すきやの名建築”といわれる建物。佐伯泰英は、その美を後世に残すべく完全修復を志しました。
設計図がないなか、家具・調度も含めて全て当初の姿に復元するという徹底した完全修復計画。作業が進むにつれ、惜櫟荘に詰まった創造性が明らかになっていきます。
カラー口絵に加え、建物細部の写真も収録した、修復完成までの4年を綴った一大記録。佐伯泰英作品を読んだことがない方にもおすすめです。
佐伯泰英の小説の売れ筋ランキングをチェック
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多彩な経験から生み出される描写の細やかさで、一気に引き込まれてしまう佐伯泰英の時代小説の数々。有名芸能人が出演し映像化されている作品が多いので、親しみやすい作家です。時代小説を読んだことがない方も、ぜひ手に取ってみてください。