SF作家として人気が高く、歴史小説家としても数多くの賞を受賞している「冲方丁」。特徴的な言葉選びから生み出される文体で、一気にその世界観に引き込まれる作家です。

今回は、冲方丁氏のおすすめ小説をご紹介。冲方丁氏の来歴、作品の魅力も解説するので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

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冲方丁とは?

冲方丁氏は、1977年岐阜県生まれ。4歳から14歳までを海外で過ごします。早稲田大学在学中、1996年に『黒い季節』で第1回スニーカー大賞金賞を受賞し、作家デビューしました。

大学に籍を置きつつゲーム会社で働き、『ばいばい、アース』『マルドゥック・スクランブル』を執筆しました。その後は大学を辞め、自ら『マルドゥック・スクランブル』の出版先を探し、2003年に第24回日本SF大賞を受賞しました。

SF小説で人気作を次々と生み出した冲方丁氏は、2009年に初の歴史小説『天地明察』を出版。第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞し、第143回直木賞の候補にも選出されました。

歴史小説の分野でも、2012年に『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞するなど、多くの作品で実力を発揮しています。

冲方丁作品の魅力

冲方丁作品の大きな特徴は、造語や記号を多用した独特の文体。少年時代を海外で過ごすあいだ“日本語に飢えていた”経験から、日本語の表記にこだわりをもって執筆をしています。

歴史小説の分野では、史実に基づいたフィクション作品を手掛け、数多くの受賞作も生み出しています。『天地明察』では渋川晴海の改暦、『光圀伝』では水戸光圀の「大日本史」編纂というように、1人の人物の生涯をめぐるドラマが中心となって構成されています。

時には手に汗握り、時には涙を流し、歴史上の人物たちの心情に寄り添いながら読める方も多いのが特徴です。また、小説・ゲーム・アニメ・漫画の原作など多方面で活躍しています。多様な経験と幅広い視点から生み出される冲方丁作品の世界観に、ぜひ浸ってみてください。

冲方丁のおすすめ作品

天地明察 上

KADOKAWA 著者:冲方丁


天地明察 上

映画化もされた冲方丁氏の代表作。第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞など、数々の賞を獲得している人気の1冊です。

四代将軍・徳川家綱の御代にとあるプロジェクトが立ち上がります。それは、日本独自の太陰暦を作ること。改暦の実行者となった渋川春海は、自らの境遇に飽き、算術に甲斐を見出していました。

何世代にもわたって人々が信じ、使ってきた暦を変えるという一大事業。全身全霊をかけた「天」との勝負に挑む渋川春海の姿に、勇気をもらいたい方にもおすすめの冲方丁作品です。

ばいばい、アース I 理由の少女

KADOKAWA 著者:冲方丁


ばいばい、アース I 理由の少女

冲方丁氏のデビュー2作目にして、異能の世界を描くライトノベル作品です。マンガ化もされている人気シリーズの第1巻目にあたります。

獣人たちのはびこる世界のなかで、唯一毛皮も牙も鱗もない少女・ラブラック=ベル。異形のものとして生きてきた「のっぺらぼう」の彼女は、自分と同じ存在を探すために旅に出ます。

放浪者の資格を得るため、巨大な 「唸る剣」 を振るうベル。剣士として「都市」と「外」との戦いに臨む彼女を待っていたものとはなんだったのでしょうか。

日本語と英語を組み合わせた言葉遊びや造語が数多く使われる、独特の世界観が魅力の作品です。SF小説が好きな方はもちろん、ライトノベル作家としての冲方丁作品を読んでみたいという方にもおすすめの1冊です。

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression

早川書房 著者:冲方丁


マルドゥック・スクランブル The 1st Compression

劇場アニメ化、マンガ化もされている「マルドゥックシリーズ」の第1巻目。人気の高い、冲方丁氏の代表作の1つです。

法律で禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル-09。身寄りのない少女・バロットは、賭博師・シェルの悪だくみによって、爆炎に飲まれます。瀕死の重体だったはずのバロットが目覚めると、金属繊維の人工皮膚と電子機器を操る力が与えられていて…。“なぜ私なの?”という問いの答えを探し求め、委任事件担当官のネズミ・ウフコックとともに闘います。

後半のバトルシーンにぐっと引き込まれる方も多いのが特徴。冲方丁氏が描き出すSFの世界に浸りたい方にもおすすめの作品です。

十二人の死にたい子どもたち

文藝春秋 著者:冲方丁

十二人の死にたい子どもたち

第156回直木賞候補にもなり、マンガ化・映画化もされているミステリー小説。冲方丁氏にとって初めての現代小説で、構想から出版まで12年を要したとされる超大作です。

安楽死するために、廃病院に集まった12人の少年少女たち。実行するために入った部屋には、すでに13人目の死体が横たわっていました。議論を重ねながら、謎の真相へと近づいていく12人。果たして、12人の子供たちは安楽死できるのでしょうか。

最後に解き明かされる事実に衝撃を受ける方も多い1冊。会話文が多く読みやすいので、普段ミステリーを読まない方にもおすすめの冲方丁作品です。

オイレンシュピーゲル

KADOKAWA 著者:冲方丁

オイレンシュピーゲル

マンガ化・アニメ化もされている人気SF作品。全4巻刊行されている「シュピーゲルシリーズ」の第1巻にあたります。

舞台は「ロケットの街」と呼ばれるほど犯罪やテロが多発する国際都市・ミリオポリス。警察組織MPBに所属するケルベロス遊撃小隊、黒犬・紅犬・白犬と呼ばれる3人の少女たちが、街の治安を守っていました。銃弾が吹き荒れるなか、凶悪犯罪者たちと少女たちのバトルが開幕します。

14歳の少女たちを取り巻く、それぞれが抱える過去と血塗られた世界。重たい小説が好きな方におすすめの1冊です。

光圀伝 上

KADOKAWA 著者:冲方丁

光圀伝 上

水戸藩主・光圀を主人公とした、史実をもとにした長編歴史小説。第3回山田風太郎賞受賞作品で、マンガ化されたほか、朗読ラジオとしても放送された1冊です。

父・頼房からの過酷な試練に耐えた幼少期。「傾奇者」として暴れまわった青年期を経て、詩歌や文学に目覚めた光圀は、詩の天下を目指します。“なぜあの男を自らの手で殺めることになったのか”。老齢の光圀は、その経緯と自身の生涯を綴り始めます。

諸国を旅する「水戸黄門」のイメージが強い方も多い水戸光圀は、実は「虎」と称される男。光圀の熱く誇り高い生涯に触れてみたい方にもおすすめの冲方丁作品です。

はなとゆめ

KADOKAWA 著者:冲方丁

はなとゆめ

『天地明察』『光圀伝』に続く、冲方丁氏が描く歴史小説の第3弾。『枕草子』の作者として知られる清少納言の生涯を描いた作品です。

28歳にして内裏に仕えることになった清少納言は、華やかな雰囲気になじめない毎日を送っていました。そんななかで、彼女の才能を見出し、伸ばしたのは17歳の中宮定子。清少納言は、漢詩や和歌の才能を周囲に認められていきます。しかし、幸せな時間も束の間、藤原道長と定子一族との政争に清少納言も巻き込まれていき…。

清少納言と中宮定子の関係性や、『枕草子』執筆の舞台裏も知ることができます。歴史が好きな方、平安文学に興味のある方にもおすすめの冲方丁作品です。

 

麒麟児

KADOKAWA 著者:冲方丁

麒麟児

幕末最大の転換点とされる「江戸城無血開城」の2日間に焦点をあてた、長編歴史小説です。

時は慶応4年、鳥羽・伏見の戦いに勝利した官軍は江戸城へと迫っていました。徳川慶喜の追討の命、そして江戸百万の命がかかった緊迫の局面を背負うのは、軍事取扱の勝海舟。五万の大軍を率いる西郷隆盛と和議交渉に臨むべく、策を練るのですが…。

3月14日、運命の日に対峙する勝海舟と西郷隆盛。2人の麒麟児が描いた未来は実現するのでしょうか。

勝海舟と西郷隆盛の会談場面、幕府と新政府との駆け引きには、手に汗握る方も多い1冊。歴史小説が好きな方にもおすすめの冲方丁作品です。

OUT OF CONTROL

早川書房 著者:冲方丁

OUT OF CONTROL

冲方丁氏の短編小説集。歴史小説からSF小説、現代小説までの幅広い全7編が収録されています。

「日本改暦事情」は、冲方丁氏の代表作『天地明察』の原点となった物語。SFの世界での親から子への愛情を描く「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」のような、冲方丁氏の得意とするSF設定の中で巻き起こるホラーな作品もあります。

また、冲方丁氏本人を思わせる作家の一夜を、疾走感たっぷりに描いた表題作「OUT OF CONTROL」も異色な短編です。

冲方丁作品を読んだことがある方は、ほかの作品との繋がりを見つけながら読むのがおすすめ。幅広いジャンルを書き分ける冲方丁氏の筆致を読み比べてみたいという方にぴったりの1冊です。

もらい泣き

集英社 著者:冲方丁

もらい泣き

実話をもとにしたショートストーリー・エッセイ集。冲方丁氏が実際に出会った人々から集めた、泣ける話が33編収録されています。

『金庫と花丸』は、亡くなった祖母の遺品をめぐる話。一族全員から怖がられていた厳格な祖母が遺した金庫の中に入っていたのは、意外なものでした。また、東日本大震災でのエピソードを扱った『インドと豆腐』は、冲方丁氏本人が体験したエッセイ。福島空港で車がなく困っていたところに声をかけてくれた人との思い出が綴られています。

『小説すばる』で2009年から3年間にわたり連載されていた作品をまとめた1冊。思わず涙を流してしまう方も多い冲方丁作品です。

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