恋愛小説や家族小説、エッセイなどで有名な「角田光代」。直木賞をはじめとして、国内文学賞の常連であるほか、映画化・ドラマ化作品も多く、知名度の高い小説家です。
今回は、角田光代氏のおすすめ書籍をランキングでご紹介。同氏の経歴や作品の魅力なども解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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直木賞作家・角田光代の経歴や受賞作品
角田光代氏は1967年神奈川県生まれの小説家です。早稲田大学第一文学部在学中の1988年に、彩河杏名義の『お子様ランチ・ロックソース』でコバルト・ノベル大賞を受賞。そして、同大学卒業後、1990年『幸福な遊戯』で、海燕新人文学賞を受賞しデビューしました。
1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、1998年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞を受賞。そして、2005年には『対岸の彼女』で直木賞を受賞しました。
また、2006年『ロック母』で川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞と『かなたの子』で泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞、2021年『源氏物語』で読売文学賞を受賞するなど、文学賞の常連です。
現在は、松本清張賞や山本周五郎賞、すばる文学賞といった文学賞の選考委員も務めており、日本を代表する作家のひとりとなっています。
角田光代作品の作風や魅力
角田光代作品は家族や恋愛をテーマにした小説やエンターテインメント小説のほか、“旅をする作家”ともいわれており、旅に関するエッセイも多く執筆。文章が読みやすいため、特に若い女性からの人気が高いのが特徴です。
角田光代氏には鋭い人間観察力があり、特に女性の心理描写に長けているのが魅力。自由奔放に見えながら暗く孤独な女性を、鋭く生々しく描いています。また、恋愛至上主義の主人公が恋愛に本気でのめり込み、必死にもがく姿を多く描いているのもポイントです。
作品内では名言ともされる言葉が多く登場し、多くの共感を呼び、読者を勇気づけてきました。ほかにも、恋人同士の会話や家族同士の微妙な関係性などの日常をリアルに描いており、物語に入り込みやすいなど、角田光代作品にはさまざまな魅力があります。
角田光代のおすすめ書籍ランキング
第1位 対岸の彼女
文藝春秋 著者:角田光代
角田光代氏の直木賞受賞作で、代表作のひとつ。多様化した現代を生きる女性による、現在と過去の友情と亀裂を描いた長編です。2006年にはドラマ化もされました。
専業主婦の小夜子は、パートの面接で訪れた会社で、偶然大学の同級生でベンチャーの女社長・葵と再会。そして、彼女からスカウトされた小夜子はハウスクリーニングの仕事を始めます。性格も立場も真反対の2人の再会と友情は、ささいなことから亀裂が生じていきますが…。
2人の過去と現在が交差していくのがポイント。女性の心情の暗い部分までが繊細かつリアルに描かれています。角田光代作品の魅力を存分に味わえるおすすめの小説です。
第2位 八日目の蝉
中央公論新社 著者:角田光代
角田光代氏初にして最高峰といわれる、長編ヒューマンサスペンス小説。「母性とは何か」をテーマにしています。中央公論文芸賞を受賞し、映画化・ドラマ化されたロングセラー作品です。
父親の不倫相手に誘拐された少女と誘拐犯の女の逃亡劇や、その後を描いた本作品。偽りの母子は東京から名古屋、小豆島へと、女たちにかくまわれながら逃亡生活を送ります。その後の2人に光は差すのでしょうか。
ハラハラドキドキの展開で息もつかせず、心揺さぶるラストが待ち構えている傑作。女性の生きる上での哀しみや強さを描いています。衝撃的かつ感動的な角田光代作品に触れたい方におすすめです。
第3位 愛がなんだ
KADOKAWA 著者:角田光代
「全力疾走」片思い小説と謳われている角田光代作品。残酷かつ甘美な恋愛が、濃密な筆致で描かれています。2019年には映画化され、特に若い女性の間でSNSを通じて口コミが広まり、人気を集めました。
主人公のOL・テルコは、マモちゃんと出会って恋に落ち、ベタ惚れになります。彼から電話があれば仕事中でも長電話、デートが入れば即退社と、マモちゃん最優先でクビになる寸前でした。しかし、彼はテルコのことが好きではないのです。そして、テルコの片思いはエスカレートしていき…。
テルコがマモちゃんに片思いしている様子は切なさがあるものの、突き抜けた爽やかさも感じられるのがポイント。片思いをしている方やしたことのある方、角田光代氏の傑作恋愛小説に触れたい方におすすめです。
第4位 紙の月
角川春樹事務所 著者:角田光代
角田光代氏の鎌田錬三郎賞受賞作で、スリリングかつ狂おしいまでに切実な長編ヒューマンサスペンス小説。映画化・ドラマ化されました。
主人公は、自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定していた生活を送っている、わかば銀行の契約社員で41歳の梅澤梨花。ある日、顧客の孫で大学生の光太に出会ったことから、金銭感覚や日常が歪んでいきます。
そして、彼女はわかば銀行から約1億円を横領し、発覚する前に海外へ逃亡するのです…。梨花が最後に見つけたものとは何なのでしょうか。
人間の欲望といった心情や、一歩道を踏み外してしまうことをリアルに描いており、物語に引き込まれやすいのが魅力。スリルあふれ、重く考えさせられるテーマの小説を読みたい方におすすめの角田光代作品です。
第5位 さがしもの
新潮社 著者:角田光代
本にまつわる9つの短編を収録した角田光代作品。『この本が、世界に存在することに』を改題した小説です。全国学校図書館協議会による『集団読書テキスト中・高校向き』のひとつに選ばれました。
表題作は、病床のおばあちゃんに“その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ”と頼まれ、1冊の本を探し求めて奔走した少女を描いた物語です。ほかにも、『彼と私の本棚』など、恋愛がテーマの本にまつわる物語も収録されています。
読者がこれまで出会った本に思いを馳せられ、読書が楽しみになるような魅力があるのがポイント。本が好きな方や中高生におすすめの角田光代作品です。
第6位 空中庭園
文藝春秋 著者:角田光代
角田光代氏が普通の家族の光と影を描いた、連作家族小説です。角田光代氏の作風の転機になったともいわれており、婦人公論文芸賞を受賞した傑作。2005年には映画化もされました。
郊外の団地で暮らす、普通に見える京橋家のモットーは“何ごともつつみかくさず”。しかし、全員が秘密を持ち、それぞれが違う方向へ向かっていくのです…。ひとりひとりが閉ざしている、透明なドアから見える風景を描いています。
6人の視点から家族の闇を見られ、怖さを感じる読者も多い1冊です。結末に待ち構える「乾いた絶望と希望」も見どころ。人間の本質や家族について考えさせられる、おすすめの角田光代作品です。
第7位 森に眠る魚
双葉社 著者:角田光代
角田光代氏が凄みのある筆致で、母親たちの心の変容をあぶり出した、衝撃的な母子小説。テレビ番組でも取り上げられ、たちまち大重版された話題作です。
東京の文教地区で出会った5人の母親。育児を通して、次第に心を許し合いますが、“あの子さえいなければ。私さえいなければ…。”と関係性が変容していくのです…。
現代の母親たちの深い孤独や痛みを描いており、緊迫感にあふれています。気持ちのよい明るい話ではないものの、時にすれ違い通じ合う人の心を描きたかったと、角田光代氏も発言している渾身の1冊。圧倒的な共感や静かな感動を生んだおすすめの小説です。
第8位 坂の途中の家
朝日新聞出版 著者:角田光代
家庭に潜む究極の心理サスペンスと絶賛され、感情移入度100%ともいわれる小説です。角田光代氏の新たな代表作で、乳幼児の虐待死事件と、「家族」であることの光と闇に迫っています。ドラマ化もされました。
主人公は、刑事裁判の補充裁判員になった山咲里沙子。子供を虐待で殺した母親をめぐる証言に触れるうちに、いつしか、彼女の境遇に自分を重ねていきます。育児の最前線で戦う母親たちや、周りの人々に対して「家族愛」「母性」など刺さるテーマを投げかけた作品です。
里沙子の悩み・焦り・喜びなどの心情がリアルに描かれており、息苦しいほど共感する読者も多いのがポイント。これから結婚を考えている方や子育て中の方までおすすめの角田光代作品です。
第9位 くまちゃん
新潮社 著者:角田光代
「ふった」「ふられる」で繋がる、7組の男女を描いた連作短編小説です。学生以上で社会人未満の揺れる心を描き、共感度満点ともいわれる角田光代作品。5編はふった人が別の人にふられる物語です。
芸術家気取りで風変わりなくまのTシャツを着ている英之や、人生最大の偶然に賭けてあこがれのバンドマンに接近したゆりえ、舞台女優の夢を捨てて有望な画家との結婚を狙う希麻子などの、恋愛事情や心の機微が描かれています。
物語に出てくるセリフの数々が、多くの読者を共感させた1冊です。切なさや痛みがあるものの、前を向けるようなよい読後感が味わえるのも魅力。恋の終わりを迎えたことがある方におすすめの角田光代作品です。
第10位 ツリーハウス
文藝春秋 著者:角田光代
角田光代氏の新境地とされる、伊藤整文学賞受賞作です。西新宿で小さな中華料理屋「翡翠飯店」を営む一家三代の家庭年代記が、昭和のさまざまな出来事を背景に描かれています。「逃げる」がテーマです。
祖父の死によって、虚脱してしまった祖母・ヤエ。彼女を伴った満州への旅が、封印された過去への旅の幕開けとなるのです。戦争や満州から引き上げ、祖父とともにバラック街に「翡翠飯店」を開き、戦後を生き抜いてきたヤエが半世紀抱えていた思いを覗けます。
歴史を知ることについて考えさせられる作品。現在と過去が並行する物語進行で歴史背景を楽しく読み進められます。ほかの作品と一風異なる、角田光代氏によるクロニクルに触れたい方におすすめです。
第11位 今日も一日きみを見てた
KADOKAWA 著者:角田光代
角田光代氏が飼っているアメリカンショートヘアの猫・トトとの日常を描いたフォトエッセイ。トトへの優しいまなざしを通じて、誰かを愛しく思う人の心を揺さぶるといわれる感動作です。
角田家に生後3ヵ月でやってきた、粘り強く慎重派で運動音痴なアメショーのトト。寝息に至福を覚え、怖い夢を見ないようにと本気で祈ります。
そして、行動にいちいち目を見張り、トイレ掃除をし、病院に連れていき…と心を砕きながらするトトの世話。角田光代氏が“救われているのは自分かもしれない”と、トトを飼うことでひらけた、世界の喜びや発見が描かれています。
最後に「ボーナストラック」として短編小説『任務十八年』が収録されているのもポイント。愛する存在と暮らしている方や、猫が好きな方におすすめの角田光代作品です。
第12位 源氏物語 上
河出書房新社 著者:角田光代
世界的に読まれ続けている、日本文学最大の傑作『源氏物語』を、角田光代氏が完全新訳した作品。原文に沿いながらも自然な訳文で、最も読みやすいといわれています。上巻には、全五十四帖のうち第一帖『桐壺』から第二十一帖『少女』までが収録。光源氏の誕生から若き日々が描かれています。
輝く皇子として生まれた美しい光源氏が、さまざまな女性との恋愛を繰り広げる物語。同時に、生死や無常観など、人生や社会の深淵が描かれているのがポイントです。
本作品を訳すにあたって、現代的で歯切れのよい文章や生き生きとした会話文など角田光代氏が工夫を凝らしており、物語に入り込みやすいのが魅力。『源氏物語』を初めて読む方や、日本文学初心者にもおすすめです。
第13位 いつも旅のなか
KADOKAWA 著者:角田光代
角田光代氏がこよなく愛する旅についてつづられたエッセイ。モロッコ・ロシア・ギリシャ・スリランカ・ラオス・イタリアなど、世界中を歩き回った記録です。
ロシアの国境で、居丈高な巨人職員に怒鳴られながら激しい尿意に耐えた話や、キューバで命そのもののように人々に染み込んだ音楽やリズムに驚いた話など、ガイドブックにも載っていない、角田光代氏が旅先で捉えた出来事が描かれています。
読みやすく軽快な文章で描かれているうえ、ユーモアにあふれており楽しく読める1冊。旅をしたいと思えるおすすめの角田光代作品です。
第14位 銀の夜
光文社 著者:角田光代
すべての女性の物語といわれる角田光代作品。直木賞受賞作『対岸の彼女』受賞時に執筆しており、14年間埋もれていた傑作です。
女子高時代に少女バンドを組んでメジャーデビューをして現在は35歳となり、人生のピークは10代だったと懐かしむ3人の女性が描かれています。
1人目は、イラストレーター・井出ちづる。夫が若い女と浮気しているものの、嫉妬を感じない自分に戸惑います。2人目は早く結婚して母となった岡野麻友美。自分ができなかったことを娘に託して、人生を生き直そうとしています。3人目は帰国子女で独身の草部伊都子。著名な翻訳家の母のように非凡に行きたいと必死になるものの、何ひとつうまくいきません。
3人の心情や、生きる手ごたえや深い充実を求めて必死にもがく様子が、リアルに描かれています。多くの読者の共感を誘った、おすすめの角田光代作品です。
第15位 タラント
中央公論新社 著者:角田光代
角田光代氏が5年ぶりに描いた、新刊の長編小説。あきらめた人生に使命(タラント)が灯るという、慟哭と感動の作品です。
主人公は40歳を前に、心に深い傷を負い無気力になったみのり。ある日、香川の実家で祖父に若い女性から手紙が届いているのを見つけます。その手紙や不登校になった甥の手によって、祖父の過去がひも解かれるとき、みのりの心は予想外の道へ走り始めるのです…。
戦争やパラリンピックスポーツを背景に、現代女性の生き方を描いています。深く心に刺さるシーンが多数出てくるのが魅力。立ち止まっている方から走り続けている方まで、さまざまな方におすすめの角田光代作品です。
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女性の繊細な心理や心の闇、人間関係などをスリリングかつ美しく描く角田光代氏。文学賞受賞作品も多く、話題沸騰の恋愛小説、人気のエッセイなどさまざまな書籍があります。今回ご紹介したのも名作ばかり。気になった作品があれば、ぜひ手に取ってみてください。