イヤミスと呼ばれる、後味が悪く読後感の重い作風が特徴の「貫井徳郎」。驚くようなストーリー展開が魅力です。ミステリーを中心に、さまざまな分野の小説を執筆しています。
そこで今回は、貫井徳郎氏のおすすめ小説をランキング形式でご紹介。ドラマや映画の原作もピックアップしました。また、貫井徳郎作品の魅力についても解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
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貫井徳郎作品の魅力
貫井徳郎氏は、本格ミステリーのトリックを中心に、幅広い分野の作品を手がけている作家です。デビュー作である『慟哭』や代表作の『乱反射』『愚行録』をはじめ、数多くの人気作品を発表しています。
作品の特徴は、イヤミスと呼ばれる後味の悪い作風。読み終わったあとに必ずしも楽しい気分になる作品ではありませんが、不思議と読み進めてしまう魅力があります。登場人物の心理が細かく描かれている作品が多く、ミステリーでありながらヒューマンドラマを楽しめるのもポイントです。
貫井徳郎のおすすめ小説ランキング
第1位 乱反射
朝日新聞出版 著者:貫井徳郎
「裁けぬ殺人」をテーマに、現代社会のモラルの崩壊を描き出した作品。日本推理作家協会賞を受賞し、ドラマ化もされました。
職務怠慢なアルバイト医や救急外来の常習者など、違法とはいえない罪が交わい、悲劇が起こります。幼い子供を失った新聞記者の父親が辿り着いた真実とはなんだったのでしょうか。
日々の生活のなかで、自分が同じようなことをしていないかを考え込んでしまうストーリーです。一度読んだら忘れられないほど、衝撃を受けた方が多い作品。読みごたえのある作品を求める方におすすめです。
第2位 慟哭
東京創元社 著者:貫井徳郎
新興宗教や家族愛をテーマにした貫井徳郎氏の小説です。第4回鮎川哲也賞の最終候補作に選出された作品。貫井徳郎氏のデビュー作でもあります。
連続幼女誘拐事件の捜査に悩む捜査一課長。警察内部では若手キャリアの課長を巡るいざこざが起き、捜査一課長はマスコミに私生活を追われることとなってしまうのでした。そんななか、事態は新しい局面を迎えますが…。
多くの方が驚くラストの展開がみどころ。タイトルの意味と最後の1行に注目して読んでみてください。続きが気になって引き込まれるような作品を読みたいときにおすすめの貫井徳郎作品です。
第3位 愚行録
東京創元社 著者:貫井徳郎
格差社会の悲しさを描き出す、貫井徳郎氏の傑作のひとつです。2017年に映画も公開されました。『慟哭』『プリズム』に続く貫井徳郎氏の代表作です。
深夜、家に侵入した何者かによって家族4人が殺害されてしまいます。事件後、隣人や友人の証言を積み重ねることで見えてきたのは、事件や被害者の実像。幸せそうな家族が事件に巻き込まれた理由とはなんだったのでしょうか。
インタビューから読み取れる人間の多面性がみどころ。貫井徳郎作品の持つ独特な不気味さを存分に味わいたい方におすすめです。
第4位 後悔と真実の色
幻冬舎 著者:貫井徳郎
連続殺人鬼と警察の闘いを描いた作品。本作品は、第23回山本周五郎賞を受賞。捜査一課のエース・西條輝司が社会を震撼させている殺人鬼の捜査に挑みます。
殺人鬼は女性の指を切り落とす「指蒐集家」。西條は捜査に熱が入るあまり、超えてはいけない一線を超えてしまい…。挑発する犯人と刑事の執念がぶつかり合うなか、事件は驚きの結末を迎えます。
警察内部の複雑な人間関係がみどころ。ボリュームのある本格ミステリーを読みたい方におすすめです。
第5位 崩れる 結婚にまつわる八つの風景
KADOKAWA 著者:貫井徳郎
結婚をテーマにした8編の作品を収録したミステリー短編集です。ストーカーやDVなどの社会問題がテーマとして描かれているのが特徴。収録作品のひとつである『憑かれる』は映像化もされています。
『憑かれる』では、30代独身の翻訳家・聖美が高校の同級生・真砂子からの結婚を祝うための食事会に招待されて…。また、表題作『崩れる』は、夫や息子に不満を感じる女性が主人公です。限界を超えた女性のとった行動が描かれています。
ごく日常的な生活が些細なことをきっかけに崩れていく様子がポイント。気軽に読めるイヤミス作品を求める方におすすめです。
第6位 光と影の誘惑
東京創元社 著者:貫井徳郎
貫井徳郎氏らしいストーリーテリングで楽しむ作品集。表題作『光と影の誘惑』は、つまらない日常に嫌気が差した2人の男が起こした現金強奪事件に関する物語です。
綿密な計画によって成功したかのように見えた強奪でしたが、結果的に悲劇を招いてしまい…。そのほか、平和な家庭が巻き込まれた児童誘拐事件や動物園での密室殺人、ある家族に関する秘密などを描いた全4編を収録しています。
先の展開が読める部分も多いのですが、緊張感を保ったまま読み続けられる技巧が魅力のひとつ。最後まで楽しめる作品を求める方に適しています。
第7位 微笑む人
実業之日本社 著者:貫井徳郎
既存のミステリー作品にとらわれない衝撃的な展開が魅力の作品です。“理解できない犯罪が、一番怖い”がキャッチコピー。2020年にはドラマ化されました。
ノンフィクション作品を書くため、とある事件について調査する「私」。その事件とは、エリート銀行員が“本が増えて家が手狭になった”という動機から妻子を殺害したとのことでした。さらに、犯人の周辺では不審死が発生していたことも判明します。
真実を求めた先に、衝撃のラストが待ち受けているのがみどころ。ラストの展開に感想が集中する作品です。本をめくる手が止まらなくなるような作品を求める方は、チェックしてみてください。
第8位 追憶のかけら
文藝春秋 著者:貫井徳郎
底知れぬ悪意と陥穽の物語を描く、貫井徳郎氏の傑作長編。事故で愛する妻を失い、絶望する大学講師・松嶋が、自殺した作家の未発表手記を入手するところから物語ははじまります。
絶望を乗り越えるため手記の真相を探り始めた松嶋でしたが、調査の先には不気味な悪意が待っているのでした。
二転三転しながら進むストーリーの意外性がみどころ。わかりやすくテンポのよい作品を求める方にぴったりです。
第9位 迷宮遡行
朝日新聞出版 著者:貫井徳郎
揺らぎやすい人間の様子を描く本格ミステリーの傑作。貫井徳郎作品の魅力が詰まっている作品です。
失業中の男・迫水の妻である絢子は、ある日突然置き手紙を残して失踪。妻が失踪した理由がわからない迫水は、必死に行方を探すのですが…。
すべての謎が解き明かされたときに明らかになる究極の愛がみどころ。妻が失踪した理由やその正体を、迫水と一緒に考えながら読み進めてみてください。
第10位 灰色の虹
新潮社 著者:貫井徳郎
”復讐のための殺人は罪になるのか”を問う、人間の本質に迫った貫井徳郎氏のミステリー大作。2012年にドラマ化された作品です。
冤罪によって服役した江木雅史は、事件によって家族や恋人、日常生活を失ってしまいます。出所後、刑事や検事、弁護士に復讐を決意する江木。殺人という選択をした先に求めるモノとはなんなのでしょうか。
誰の身にも降りかかる可能性がある冤罪を生々しく描いている点がみどころ。読むほど心が削られる一方で、作品にのめりこんでいってしまう魅力を持った作品です。
第11位 殺人症候群 新装版
双葉社 著者:貫井徳郎
“大切な人を殺された者が、犯人に復讐することは是か非か”を問いかける本格ミステリーです。「症候群シリーズ」の3作目にあたります。ドラマ化もされている作品です。
警視庁人事二課・環敬吾は自身が率いる特殊任務チームは、それぞれ別の事件と思われていた殺人事件の繋がりを探し始めました。一方で、看護師・和子は息子の命を救うために、事故に見せかけた殺人を繰り返し…。
1つの事象を各登場人物の視点を通して、複数の角度から見られる構成になっています。善と悪について考え直すきっかけになる作品です。
第12位 天使の屍
KADOKAWA 著者:貫井徳郎
思春期の不安定な心の動きと、世代間のギャップを描いた異色のミステリー。主人公は、14歳の息子を飛び降り自殺で失った父親です。
自殺した息子の体内からは、とある薬物が発見されました。父親は、息子の死の真相を求めて調査するも、親世代にはなかなか理解できない「子供達の論理」が行く手を阻むのです。
狭い世界で生きる子供達の心情がポイント。昔も今も変わらない、思春期特有の世界に触れたい方におすすめです。
第13位 転生
幻冬舎 著者:貫井徳郎
医療が進歩する現代社会において、「生」の意味を問い直すミステリー。テーマとなっている心臓移植は、発表当時はまだ日本でなじみの薄かった医療技術が注目で、貫井徳郎氏の考察力に驚く作品です。
心臓移植を受けた青年・和泉は、移植後に変わった夢を見るようになります。タブーと知りつつ、ドナーを探しにいく和泉。ドナーの家族と接触し、彼が突き止めた臓器移植の実態は恐ろしい闇でした。
貫井徳郎作品らしからぬ爽やかさがみどころ。魅力的な登場人物が繰り広げるヒューマンドラマを読みたい方にぴったりです。
第14位 失踪症候群 新装版
双葉社 著者:貫井徳郎
警察組織が扱いにくい事件を捜査する特殊工作チーム「警務部人事二課」の活躍を描いた作品です。累計50万部を超える「症候群シリーズ」の1作目。ドラマ『犯罪症候群』として映像化もされています。
秘密裏に事件を捜査するチームのメンバーは、私立探偵・托鉢僧・肉体労働者の3人です。あるとき、若者が立て続けに失踪する事件が発生。失踪の背景に何があるのかを探るべくチームが動き出します。
リアリティのある描写が魅力。最後まで興奮が冷めない展開を楽しみたい方におすすめです。
第15位 被害者は誰?
講談社 著者:貫井徳郎
頭も容姿も態度も規格外なミステリー作家の主人公が、謎を解き明かしていく貫井徳郎氏の推理小説。名推理が冴え渡る作品が4編収録されています。
豪邸の庭から発見された、身元のわからない白骨死体をめぐる事件を描いた表題作『被害者は誰?』。警察は押収物を元に身元の特定を試みますが、捜査は進展しません。迷宮入りかと思われた事件を依頼されたのは、ミステリー作家・吉祥院慶彦でした。
普段小説を読まない方でも気軽に読める軽さが特徴。ミステリーといえば一般的に犯人を当てるモノですが、表題作では被害者が誰かを当てるという試みがポイントです。
第16位 罪と祈り
実業之日本社 著者:貫井徳郎
著者の貫井徳郎氏が“これを書けたからもう小説家をやめてもいいです”と語った作品。これまでに発揮してきた著者の魅力がすべて詰め込まれたような長編ミステリーです。
物語は、元警察官の辰司が、隅田川で遺体となって発見されたことに端を発します。辰司の息子・亮輔と、幼馴染の刑事・賢剛が真相を追求。調べを進めていくなかで、父親の秘密を突き止めます。
下町ならではの密な人間関係とバブルという時代が引き起こした展開がみどころ。時代の移り変わりや友人・親子の絆に思いを馳せたい方にぴったりです。
第17位 プリズム
東京創元社 著者:貫井徳郎
本格ミステリーの限界に挑戦した貫井徳郎作品です。「2000本格ミステリ・ベスト10」で、第6位を獲得した話題作でもあります。
自宅で遺体となって発見された小学校教師。すぐに容疑者が浮上し、事件は解決するかと思われました。しかし、事件の様相は何度も変化し、推理を組み立てては崩されてしまいます…。繰り返した推理の先にあるモノはなんなのでしょうか。
珍しいコンセプトで書かれた推理小説。推理の過程を楽しみたい方にもおすすめです。
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貫井徳郎氏は、イヤミスを中心とした作品を執筆しているのが特徴です。ジャンルはミステリー小説ですが、そのなかにもさまざまなテーマを扱った作品があります。ぜひ、気になる作品から手にとってみてください。後味の悪さが特徴なので、気分が沈みにくい元気なときに読むのがおすすめです。