学生時代から頭角を現し、数々の賞を受賞してきた作家「島本理生」。登場人物の心の機微をていねいに描写する作風が魅力です。リアリティがある作品の世界観が多くの読者を魅了し、実写映画化された作品も存在します。

そこで今回は、島本理生氏のおすすめ小説をご紹介。島本理生作品の魅力や著者自身の経歴についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

人気の恋愛小説家「島本理生」とは?

島本理生氏は1983年生まれの恋愛小説を得意とする作家です。2001年、17歳でデビュー作の『シルエット』が第44回群像新人文学賞優秀作を受賞しました。2003年には『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を史上最年少で受賞。さらに、同作は高校在学中に第128回芥川賞候補となり話題となりました。

2018年には『ファーストラヴ』で直木賞を受賞。登場人物の心情に迫るリアルな描写が印象的な作品を多く執筆しており、実写映画の原作としても積極的に採用されています。

島本理生作品の魅力

恋愛や家族にまつわる話を得意とする島本理生氏の作品。男女の心理を透明感あふれる文章で表現しているのが魅力です。

なかでも、子供から大人に変わる時期に焦点を当てた物語を多く執筆。思春期の繊細な感情や不安・葛藤をていねいに表現することで、10~20代からも人気を得ています。一方で、不倫や性愛といったテーマを盛り込んだ大人の恋愛を描くこともあり、一辺倒ではない幅広い恋愛小説を楽しめるのも魅力です。

作中で取り扱う題材を深く理解するため、取材に力を入れることが多いのも特徴。たとえば、宗教を学びに大学に通いつめたり、舞台となる土地を何度も見に行ったりしており、作品のリアリティを高めるポイントになっています。

島本理生のおすすめ小説

イノセント

集英社 著者:島本理生

愛と救済をテーマに描いた島本理生氏の恋愛小説。作中にはキリスト教が大きく関わっており、描写をよりリアルなモノにするために大学の先生へ数年間学びに通い、書き上げました。

イベント会社代表・真田幸弘と若き神父・如月歓は、さまざまな問題を抱えているシングルマザー・比紗也をそれぞれの想いから救おうとします。しかし、比紗也は彼らの想像を超える深い絶望を抱えていました。

絶望のなかでも助けてくれる人間はいる、そんな希望を感じさせてくれるストーリー。読み終わったあとに鮮烈な印象を残す作品を求めている方におすすめです。

よだかの片想い

集英社 著者:島本理生

瑞々しく切ない恋と成長を描いた、島本理生氏の恋愛小説。恋愛が不得手な24歳の女性が、不器用な初恋に落ちていく物語です。

顔に大きなアザを持っている大学院生・アイコは、世の中に居心地の悪さを感じています。そんな折にルポ本の取材をきっかけとして映画監督の飛坂に出会い、恋に落ちてゆくのでした。

美の在り方が他者から押し付けられる社会で、アザのある自分を肯定したいと願うアイコの考え方が魅力的に映ります。自分の持つ価値観や考え方と向き合いたい方にもおすすめの作品です。

あなたの愛人の名前は

集英社 著者:島本理生

すれ違う大人の恋愛を繊細に描いた島本理生氏の小説。苛烈さのある全6編の作品集です。

都合のよい関係を繰り返している瞳と浅野。考え方も普段の生活も異なる男女の心を、それぞれの視点から描いた『俺だけが知らない』と『あなたは知らない』は2つで1つの作品になっているのが特徴です。

ほかに、『足跡』『蛇猫奇譚』『氷の夜に』『あなたの愛人の名前は』を収録しています。大人になって失ってしまったモノを思い出させてくれる作品。夜、眠る前に少しずつ読み進めるのもおすすめです。

リトル・バイ・リトル

KADOKAWA 著者:島本理生

家族の形を描き出す島本理生氏の小説です。第25回野間文芸新人賞の受賞作。高校を卒業してからアルバイトをして過ごしているふみが主人公です。

ふみは母と小学校2年生の異父妹の3人暮らし。習字の先生である柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父など、ふみはさまざまな人と関わりを持っていくことになります。

家族をはじめ、身近な人物とのふれあいのなかで少しずつふみの青春が形作られていく様子が見どころ。青春や家族について考えたい方にもおすすめの作品です。

シルエット

KADOKAWA 著者:島本理生

島本理生氏のデビュー作を収録した作品です。群像新人賞優秀作の表題作『シルエット』を含む短編集。切なさと愛おしさが溢れる、等身大の恋愛小説です。

女性の体に触れることを避ける元カレ・冠くんや、ノリでつき合った遊び人・藤野。そして、大学生の恋人・せっちゃんとの恋愛を通して、「わたし」は人を強く求めることの喜びや苦しみを感じていきます。

女子高生の内面を鮮やかに描き出しているのがポイント。青春時代特有の、繊細な感情の動きを表現した作品に触れたい方におすすめです。

ナラタージュ

KADOKAWA 著者:島本理生

島本理生氏が若くして書き上げた、恋愛文学の最高作といわれています。2006年の『この恋愛小説がすごい』では1位を獲得、2017年には実写映画化。累計発行部数40万部を超えている人気作です。

高校教師と生徒として出会った2人は、ごまかすこともそらすこともできない痛みに満ちた恋に落ちていきます。決して許されることのない恋の結末とは…。

登場人物たちが最後にどんな選択をするのかが見どころ。禁断の恋を描いた恋愛小説を読みたい方におすすめの作品です。

ファーストラヴ

文藝春秋 著者:島本理生

家族の意味を問いかける、島本理生氏の長編小説。2018年に第159回直木賞を受賞、2021年に実写映画化された作品です。臨床心理士・真壁由紀は、女子大生・聖山環菜が父親を殺傷した事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼されます。

アナウンサー志望の美しい女子大生が起こした事件は、マスコミでも大きく取り上げられました。なぜ、彼女は父親を殺さなければならなかったのでしょうか。由紀が取材するなかで辿り着いた真実とは一体何なのでしょうか。

殺人の動機、そして下される裁判の結末にも注目。繊細な心理描写も堪能してみてください。

真綿荘の住人たち

文藝春秋 著者:島本理生

ごく個人的な幸福感を描いた島本理生氏の小説。性別も年齢も考え方も異なる男女が集まる真綿荘を舞台に、奇妙で切なくてあたたかい下宿物語が展開されます。

1階には訳ありげな大家・綿貫と内縁の夫・晴雨、2階には3人の下宿人が住んでいる東京・江古田にあるレトロな真綿荘。住人それぞれが主人公となる連作短編であり、全体を通して綿貫と晴雨の関係が浮かび上がってくる仕掛けとなっています。

複雑な家庭事情や年の離れた恋愛、コンプレックスなどの問題に向き合っていく様子がポイント。ラストで綿貫と晴雨が選んだ結末にも注目してみてください。

夏の裁断

文藝春秋 著者:島本理生

芥川賞候補に選ばれたことで話題作となった島本理生氏の作品。紙の書籍を裁断してデータ化する「自炊」をテーマにしています。

女性作家の前に現れた男性編集者。強引な男性に翻弄され疲弊した彼女は、休息を取るために訪れた鎌倉で本を裁断していきます。作品を電子書籍化する作業を進めるなかで、次第に気持ちに変化が生じて…。

著者が自身最後の純文学作品と謳う作品。過去のトラウマが大人になって人格や精神に影響を及ぼす、という臨床心理学的観点を交えて描く心理描写や理不尽さにも注目です。

あられもない祈り

河出書房新社 著者:島本理生

2013年に出版された島本理生氏の恋愛小説です。小説家・西加奈子氏が絶賛した話題作でもあります。

名前すら必要としないあなたと私が織りなす恋。昔から自分自身を無下に扱ってしまう主人公が、恋を通して生きるということを学んでいきます。

著者の紡ぐ繊細で美しい言葉や世界観に浸れる作品。名だたる著名人が絶賛した、珠玉の恋愛小説を読みたい方におすすめの作品です。

Red

中央公論新社 著者:島本理生

島本理生氏が官能をテーマに描いた作品です。第21回島清恋愛文学賞を受賞、第6回山田風太郎賞の候補作にも選出。2020年には実写映画化もされました。

元恋人と逢瀬を重ねることで、日常の不安や不満から逃れようとする塔子。その先に待ち構えている結末とは一体何なのでしょうか。

社会と家庭、女と妻という二面性に揺れる塔子の葛藤が印象的。刺激的な描写も多く、大人の恋愛を描いた作品を探している方におすすめです。

アンダスタンド・メイビー 上

中央公論新社 著者:島本理生

若者の生きづらさや焦燥感を描き出した島本理生氏の小説。直木賞候補作にも選出されました。著者が、普段から本を読まない方にも読んでもらいたい、という想いを込めて執筆した作品です。

中学3年生の少女は、切ない初恋と夢を見つけます。それは、まだ知らない愛と破滅へ進む一歩となりました。

若者が持つ危なっかしさや脆さがリアルに描かれているのがポイント。思春期のころの気持ちや行動を思い出しながら読んでみるのもおすすめです。

夜はおしまい

講談社 著者:島本理生

カソリック神父・金井のもとを訪ねる悩める女性たちの姿を描く島本理生氏の恋愛小説。ミスコンの順位に悩む女性やお金持ちの愛人をする女性、夫とは身体を重ねたくない女性など、苦悩する彼女たちが自分なりに生きようと奮闘する作品です。

人数合わせでミスコンに参加することとなった琴子。結果は8人中8位でした。他者に自分の価値を決められた日に、軽い気持ちで誘ってきた男・北川。誘いを断れないのは、誰かに求められることに自分の価値を見出してしまうからなのでしょうか…。

登場する女性たちや金井を通して、信仰の意味を問いかける恋愛小説。傷を抱えた方に優しく寄り添うおすすめの島本理生作品です。

大きな熊が来る前に、おやすみ。

新潮社 著者:島本理生

恋を通じて心の闇と向き合う短編集です。島本理生氏が描く3つのラブストーリーを収録しています。1編は本作品のために書き下ろされた作品です。

表題作では、穏やかな同棲生活が彼の突然の暴力により揺るがされます。それでも関係を続けるのは、互いが抱える問題に惹かれあい、かすかな希望を求めているからでした…。

恋愛を通してあらわになる孤独や不安、残酷さを島本理生氏ならではの繊細なタッチで描いた作品。重みのある恋愛小説を読みたい方におすすめです。

わたしたちは銀のフォークと薬を手にして

幻冬舎 著者:島本理生

どこへ向かうのかわからない、そんな大人の恋を描いた島本理生氏の恋愛小説。残業も休日出勤も積極的にこなすOL・知世が主人公の物語です。

彼女のプライベートでの楽しみは、仕事で出会った年上のエンジニア・椎名とのデート。特別なことをするでもなく、ただ美味しいモノを食べに出かける関係が続いたある日、彼が抱える秘密を打ち明けられます。

秘密を聞いた知世が下す決断が見どころです。食事シーンが頻繁に登場するのもポイント。ひと味違った島本理生作品を読みたい方におすすめです。

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