「谷崎潤一郎」は、耽美派の第一人者と呼ばれる小説家です。美を追求した作品で、多くのファンを獲得。さまざまなジャンルで数多くの作品を発表しており、私生活を反映したモノも多くあります。

そこで今回は、谷崎潤一郎のおすすめ小説をご紹介。映画化やドラマ化された名作を中心にピックアップしました。谷崎潤一郎が描く、美しく妖艶な世界を覗き見たい方はぜひチェックしてみてください。

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谷崎潤一郎とは?

谷崎潤一郎の生い立ち

谷崎潤一郎は、1886年東京都日本橋生まれの文豪です。16歳のときに父の事業が苦境に陥ったため、築地精養軒の主人・北村宅の書生となり、19歳で第一高等学校英法科に入学。22歳のときに現在の東京大学である東京帝国大学国文科に進学し、のちに中退します。

在学中に創作を始めた谷崎潤一郎は、和辻哲郎らと同人誌である第2次『新思潮』を創刊。同誌で発表した『刺青』などの作品が絶賛されたのをきっかけに、文壇デビューを果たしました。

谷崎潤一郎作品の特徴

初期の作品は、西欧的なスタイルが特徴。耽美派や悪魔主義などと称されています。耽美派とは、道徳や常識よりも美を重んじる考え方のこと。谷崎潤一郎は、耽美派を代表する作家として知られています。

関西に移住後は作風が大きく変わり、伝統的な日本語による美しい文体の作品を多く執筆。晩年は、老いと性を赤裸々に描いた『鍵』や『瘋癲老人日記』などが話題になりました。

初期から晩年まで一貫して描かれているのが「エロティシズム」。自らの変態性やフェティシズムを作品に昇華しているのがポイントです。1949年には文化勲章を受章。主な作品に『痴人の愛』『卍』『細雪』などがあり、映画化や舞台化された作品も多くあります。

谷崎潤一郎のおすすめ小説

刺青・秘密

新潮社 著者:谷崎潤一郎

刺青・秘密

谷崎潤一郎の処女作『刺青』が収録された短編集です。2007年には『刺青-堕ちた女郎蜘蛛-』で映画化もされました。『刺青』のほかに、自伝小説『異端者の悲しみ』『少年』『秘密』など、短編7編が収録されています。

『刺青』の主人公である清吉は江戸で評判の高い刺青師。気に入った骨格と肌の者にしか相手にしない清吉は、いつか理想とする美女の肌に入れ墨を彫りたいという願望を抱いていました。ついに長年求めていた理想の肌を持つ美しい娘に出会い、背中に大きな蜘蛛の絵を彫りますが…。

美しい者に征服される喜びや、作者独自の美の世界観が表現されています。短編ながらそれぞれが濃い内容のストーリー。谷崎潤一郎ならではの美しい日本語で描かれた、フェティシズムを堪能したい方におすすめです。

瘋癲老人日記

中央公論新社 著者:谷崎潤一郎


瘋癲老人日記

年老いた身の性と死を芸術的に描いた、谷崎潤一郎の名作です。本作品で毎日芸術大賞を受賞。1962年には映画化もされました。

登場人物は77歳の卯木と、美しく高飛車な嫁・颯子。颯子に魅かれた卯木が、間接的な方法で性的快楽を得ようとする物語です。

滑稽さとともに感じる不気味さが見どころ。老人の性への執着を文学作品としてまとめ上げた、谷崎潤一郎らしい世界観を覗き見たい方におすすめです。

細雪 上

新潮社 著者:谷崎潤一郎

細雪 上

昭和初期の上流社会の生活を描いた、谷崎潤一郎の長編小説です。上・中・下の3巻構成。第1回毎日出版文化賞を受賞した作品です。3度にわたって映画化されており、2018年にはドラマ化もされています。

大阪船場の名家・蒔岡家には4人の姉妹がいました。衰退しつつある家の誇りを守るため、三女・雪子は縁談を断り続けます。30歳をすぎても独身の雪子を心配する幸子夫妻。しかし、縁談はまとまらないまま、月日だけが過ぎていくのでした。

共感しやすい心情の描写が魅力。作品が描かれた昭和10年代の、恋愛観や結婚観を垣間見たい方におすすめの谷崎潤一郎作品です。

痴人の愛

新潮社 著者:谷崎潤一郎

痴人の愛

エリートサラリーマンと妻の関係を私小説風に描いた長編小説。『刺青』などと並ぶ、谷崎潤一郎の代表作です。複数回にわたって映画化もされています。

主人公はきまじめなサラリーマン・河合譲治。河合は浅草のカフェで見初めた少女・ナオミを引き取り、妻にします。成熟するにつれ妖艶さを増すナオミに悩まされながらも、肉体的な魅力には抗えない河合。最終的には、愛欲地獄の底へと落ちていくのでした。

愚かともいわれるナオミと河合の関係性が見どころ。谷崎潤一郎ならではの緻密な恋愛心理描写に、引き込まれてしまう読者が多いおすすめの作品です。

卍 まんじ

新潮社 著者:谷崎潤一郎

卍 まんじ

「恋愛小説家・谷崎潤一郎」の名を不動のものとしたといわれる作品です。4人の男女が絡み合う、複雑な恋愛関係を描いています。複数回にわたって映画化された人気作品です。

夫に不満を持っている若妻・園子は、技芸学校で出会った光子と禁断の関係に陥ります。一方で、異性の愛人・綿貫とも関係を続ける光子。園子は光子への情欲と独占欲に苦しみます。

告白体で綴られているのがポイント。人間の内面を生々しく描写する、谷崎潤一郎作品の魅力を堪能したい方におすすめです。衝撃のラストにも注目してみてください。

蓼喰う虫

新潮社 著者:谷崎潤一郎

蓼喰う虫

谷崎潤一郎のプライベートが反映されている長編小説。関係が破綻しながらも、子供のために夫婦を続ける男女の関係を描いた作品です。ドラマ化もされています。

セックスレスが原因で、関係に溝ができてしまった夫婦。夫は娼婦をあさり、妻は夫公認で不倫相手の元へ通っているにもかかわらず、なかなか離婚に踏み切れません。

昭和初期の物語ながら、現代にも通じるテーマが描かれている作品。夫婦とは何かを考えたくなったときにおすすめの谷崎潤一郎作品です。

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