リアリティ溢れる恋愛小説が人気の小説家「唯川恵」。背中を押されるような爽快感のある物語から、背筋が凍るような恐ろしい物語まで、さまざまなテイストの恋愛小説を発表している直木賞作家です。

今回は、唯川恵氏のおすすめ小説を独自のランキングにしてご紹介。直木賞受賞作をはじめ、唯川恵氏の名作をピックアップしました。唯川恵作品の魅力も解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

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直木賞受賞作家「唯川恵」とは?

唯川恵氏は、1955年石川県生まれの小説家です。金沢女子短期大学(現:金沢学院短期大学)を卒業後、10年間OLとして銀行で勤務。働きながら、日記を書いていた延長で小説を書き始めました。

1984年に第3回コバルト・ノベル大賞を受賞した『海色の午後』が、唯川恵氏のデビュー作。デビュー後は、少女向け小説をメインに多数の作品を発表していました。その後、恋愛小説を中心とした一般小説へとジャンルを移行します。

そして、2001年に『肩ごしの恋人』で第126回直木賞を受賞。同作品は2007年にテレビドラマ化され、さらに同年、日韓合作で映画化もされました。2008年には『愛に似たもの』で第21回柴田錬三郎賞を受賞しています。

『セシルのもくろみ』『彼女の嫌いな彼女』などの映像化作品のほか、短編集やエッセイなど、恋愛小説以外にも幅広いジャンルの作品を手掛ける小説家です。

唯川恵作品の魅力

唯川恵氏は恋愛小説を数多く手掛けてきた小説家です。しかし、男女の穏やかな恋愛物語だけではなく、恋愛にホラーやサスペンス要素を織り交ぜた緊張感のある作品を多く発表しています。

結婚や浮気、不倫といった、現実的な人生の悩みに寄り添った題材を多く扱っているのも特徴。誰しも経験しそうな出来事を、リアリティのある巧みな心情描写とともに鮮烈でドラマチックに描いています。

また、唯川恵作品は文章の読みやすさも魅力です。引き込まれるような物語展開とあわせて、一気読みしてしまう読者も多く存在。登場人物の悩みや葛藤に共感しながら、物語を通して自分の人生を見つめ直す体験を味わえます。

唯川恵のおすすめ小説ランキング

第1位 肩ごしの恋人

集英社 著者:唯川恵

肩ごしの恋人

第126回直木賞を受賞した唯川恵氏の代表作。アラサー女性の本音や悩みがリアルに描かれています。2007年にはテレビドラマ化や映画化もされました。

女であることを最大の武器として生きるるり子と、仕事も恋にものめりこめない萌は、幼なじみで親友同士。対照的な2人が支え合いながら、女性としての幸せを模索していきます。

魅力的な登場人物たちと、ユーモラスで軽快な描写が魅力。自分らしさを貫く女性たちの潔さに、読後には清々しい爽快感も味わえる、おすすめの唯川恵作品です。

第2位 燃えつきるまで

幻冬舎 著者:唯川恵

燃えつきるまで

2002年にテレビドラマ化された、唯川恵氏の傑作失恋小説。失恋をきっかけに壊れていく女性の絶望と、その再生までを臨場感たっぷりに描いています。

5年交際し、結婚も考えていた耕一郎から突然別れを告げられた31歳の怜子。失恋を受け入れられない怜子は、仕事も手に付かず、精神的にも混乱していきます。手にしていたはずの幸せを突如失った怜子は、どのように自分の感情へ向き合うのでしょうか。

失恋した女性の心を、恐ろしいほどに生々しく描いた本作品。失恋の痛みや苦しみなど、狂気のなかにもどこか共感できる要素もあります。辛くも希望のある唯川恵作品が読みたい方に、おすすめの小説です。

第3位 100万回の言い訳

新潮社 著者:唯川恵

100万回の言い訳

結婚する意味や、夫婦になるということについて深く考えさせられる唯川恵作品。第11回島清恋愛文学賞の候補作にも選出されました。

結婚して7年の士郎と結子。夫婦仲は悪くなく、生活は平穏ですが、どこか物足りなさを感じていました。ところが、思いがけない出来事から2人の別居生活が始まります。

離れたことで、改めて夫婦である意味とは何かを問われる1組の夫婦。登場人物の心理描写に引き込まれ、思わず我が身に重ねてしまう方も。結婚を経験した方だけでなく、これから結婚に向き合う方にもおすすめの1作です。

第4位 淳子のてっぺん

幻冬舎 著者:唯川恵

淳子のてっぺん

女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子氏をモデルにした、唯川恵氏渾身の長編作。エベレスト登頂に挑む女性の生き様を描いた山岳小説です。

山が好きで、会社勤めをしながら山登りをしていた淳子。“エベレスト?女なんかに登れるもんか”という男の言葉に奮起し、淳子は女性だけの隊で世界最高峰・エベレストの頂を目指します。

山を舞台にした壮大な情景描写と、手に汗握るドラマが満載。読後には、思わず登頂したような達成感を味わえます。登山の知識がなくても楽しめる、おすすめの感動作品です。

第5位 息がとまるほど

文藝春秋 著者:唯川恵

息がとまるほど

唯川恵氏の傑作恋愛短編集。嫉妬や裏切り、優越感など、女性の奥底に潜む複雑な感情をあぶり出すような、8つの短編が収録されています。

同僚にプロポーズされたのを機に、不倫中の上司と別れる決意をした朋絵。しかし、上司との最後のデートを後輩に目撃されてしまうのです。

朋絵をはじめとする、さまざまな女性の恋愛と、それにまつわる女性たちの狂気的で恐ろしい感情の数々が描かれています。息が止まるほどゾクリとさせられるような、怖くて美しいおすすめの短編集です。

第6位 瑠璃でもなく、玻璃でもなく

集英社 著者:唯川恵

瑠璃でもなく、玻璃でもなく

不倫を中心とした題材ながら、背中を押されるような爽快感も味わえる唯川恵らしさが溢れる小説。女性にとっての恋愛と結婚の本音をリアルに描いています。

結婚に憧れながらも、同じ会社の朔也と不倫を続けるOL・美月と、望んで結婚したものの、単調な毎日に不満を感じている朔也の妻・英利子。他人にあって自分にないものを妬ましいと思う女性たちの心は、果たしてどのような幸せを見出すのでしょうか。

対照的な2人の女性の心情を通して、人生に真に求める幸せとは何かを考えさせられる唯川恵作品。人生の節目の時期に読むのにおすすめの小説です。

第7位 手のひらの砂漠

集英社 著者:唯川恵

手のひらの砂漠

執拗なDV被害から逃げる女性の戦いを題材にした、唯川恵氏の長編サスペンス。DVで心が壊れていく絶望と恐怖を、被害女性の視点から克明に描いています。

夫の暴力から逃れるべく、居場所を変えながら自立を果たそうと模索する可穂子。しかし、離婚したはずの元夫・雄二の執拗な追跡の手が可穂子に迫り…。

逃げるDV被害者の切実な心情とともに、希望と絶望が繰り返されるスリリングな展開が秀逸。現実にもあり得るシチュエーションだからこそ、より身に迫る恐怖を味わえるおすすめの唯川恵作品です。

第8位 永遠の途中

光文社 著者:唯川恵

永遠の途中

対照的な生き方を選んだ2人の女性たちの、20代から還暦までの人生を描いた長編小説。他者を羨み、比較するといった、誰もが持ちうる感情を丁寧に描いています。

同期入社の薫と乃梨子は、仲は良いものの、相手と自分を比較せずにいられない関係。ともに同僚の郁夫に恋していましたが、薫が郁夫と結婚して主婦になり、乃梨子は独身でキャリアを積み続けます。

いつしか相手の生き方を羨むようになる薫と乃梨子が、互いの人生に思いを馳せては、感情が揺さぶられる視点がユニーク。自分の人生に自信が持てるよう、背中を押してくれるような唯川恵作品です。

第9位 啼かない鳥は空に溺れる

幻冬舎 著者:唯川恵

啼かない鳥は空に溺れる

母と娘の関係を鮮烈に描いた小説。歪んだ親子関係に潜むリアルな闇の数々に、ホラー小説のような恐ろしさも味わえる唯川恵作品です。

幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた千遥と、母子家庭で母と2人、仲良く助け合って暮らしてきた亜沙子。歪んだ部分のある2組の母娘関係は、それぞれ娘の結婚を機に思いがけない方向へ暴走していきます。

千遥と亜沙子の視点で交互に語られる物語は、母の狂気に恐ろしさもありつつ一気読みしたという読者も多数。読後、後味の悪い作品を読みたい方におすすめの小説です。

第10位 テティスの逆鱗

文藝春秋 著者:唯川恵

テティスの逆鱗

美容整形を題材にした唯川恵氏の長編小説。恋愛が絡まない“女性の裏側を書いてみたかった”という唯川恵氏が、女性の美への欲望から着想を得てできた物語です。

それぞれに理由を抱えて美容整形外科に通いつめる、女優・OL・キャバクラ嬢・資産家令嬢という4人の女性たち。彼女たちの終わりのない美を追求する欲望は、ついには禁断の領域にまでエスカレートしていきます。

衝撃的なラストまで、恐ろしさとともに、のめり込んでしまうような魅力も。怖いもの見たさでページをめくってしまう、おすすめの唯川恵作品です。

第11位 みちづれの猫

集英社 著者:唯川恵

みちづれの猫

唯川恵氏による心あたたまる短編集で、全ての物語に猫が登場します。悩みを抱えた女性たちが、猫との触れ合いをきっかけに前を向き、乗り越えていく様を描いた感動作です。

実家の猫の死期が近いことを知らされ、東京から金沢へ向かう『ミャアの通り道』。離婚後、人付き合いがなくなり生活が荒れていた江美の元に、1匹の猫が現れる『運河沿いの使わしめ』など、境遇もさまざまな女性と猫が織りなす7つの短編が収録されています。

猫を飼っている方はもちろん、猫に触れ合う機会の少ない方の心にもそっと寄り添い、癒してくれるようなおすすめの1冊です。

第12位 雨心中

講談社 著者:唯川恵

雨心中

血の繋がりも肉体関係もない2人の男女の関係を描いた、救いのない愛の物語。第17回島清恋愛文学賞の候補作に選出されました。

施設育ちで、実の姉弟のように生きてきた芳子と周也。芳子は自分が周也を甘やかしているとわかっていながら、仕事が続かない周也を見捨てません。そして、ついに周也が犯罪を犯したとき、芳子は後戻りできない道を選択します。

究極の愛ともいえる歪んだ2人の関係に、もどかしさや苦しさ、恐ろしさなど、さまざまな感情を抱かせる本作品。普通の恋愛とはひと味違う物語を味わいたい方に、おすすめの唯川恵作品です。

第13位 めまい

集英社 著者:唯川恵

めまい

唯川恵氏の一般小説が注目されるようになった、きっかけの1つでもある作品。愛と表裏一体な人の狂気を描いた、ホラー要素の強い短編集です。

美容外科クリニックを開業した庸子の元を、高校時代にいじめていた吉江が訪ねてくる『きれい』。ずっと愛してきた男に友人としか見てもらえない女性の『誰にも渡さない』など、女性の内に潜む恐ろしい感情を存分に味わえる、10編の物語が収録されています。

どの物語も狂気的で、まさに恋愛ホラー。しかし、思わず引き込まれてしまうような濃密な物語を味わえます。特に重厚感のある唯川恵作品を読みたい方におすすめの小説です。

第14位 ため息の時間

新潮社 著者:唯川恵

ため息の時間

女性作家である唯川恵氏が、男性の目線から恋愛と女性を表現した9つの短編集。身勝手な男たちの心情を中心にして、ほろ苦い男女の関係を描いています。

妻を裏切り、若い女性と浮気する木島。妻が化粧するのを許せない原田。婚約寸前の彼女がいるにもかかわらず、社内で二股をかける洪一。そんな男たちの視点から、女性はどのように描かれるのでしょうか。

男女の互いに理解しがたい性質を、巧みに表現しているのがポイント。痛快な物語からホラーまで、さまざまなテイストの短編を味えるおすすめの唯川恵作品です。

第15位 セシルのもくろみ

光文社 著者:唯川恵

セシルのもくろみ

人気女性誌で連載され、多くの読者から人気を集めた、専業主婦のシンデレラストーリー。書籍として出版され、2017年にはテレビドラマ化もされました。

平凡な専業主婦・宮地奈央は、友人に誘われて応募した女性誌の読者モデル募集で、思いがけず採用されてしまいます。業界の華やかさに翻弄され、モデルたちのさまざまな思惑に困惑する奈央。しかし、奈央は“負けたくない”という自分の本心に気が付きます。

主婦の奈央が、モデル活動を通して人としても成長していく様には清々しさも。唯川恵作品の中でもエンターテインメント性が高く、普段あまり小説を読まないという方にもおすすめの1作です。

第16位 愛に似たもの

集英社 著者:唯川恵

愛に似たもの

第21回柴田錬三郎賞を受賞した唯川恵氏の短編集。幸せを求めるも上手くいかない、リアルで不器用な女性たちの物語が8編収録されています。

美貌と若さを利用して、“母親のようにはなりたくない”ともがく女性の『真珠の雫』。親友を真似て人生の選択をするなか、ある日を境に親友と自分の立場が逆転する『ロールモデル』など、さまざまな女性たちが登場します。

登場するどの女性にも、自分の奥底にある嫌な感情を見透かされるような表現が多いのが特徴。希望のある物語が1編もなく、ぞくりとした毒のある物語を楽しみたい方におすすめの唯川恵作品です。

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