性別不明の覆面作家として衝撃デビューし、以降数多くの日常ミステリー小説を手掛ける「坂木司」。緻密な心理描写と謎解きの爽快さで、支持を集める作家です。

今回は、坂木司氏のおすすめ小説をご紹介。坂木司氏が執筆する小説の作風や魅力なども解説するので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

坂木司とは?

坂木司氏は1969年、東京都生まれ。2002年『青空の卵』でデビューをかざり、ミステリー小説を中心に執筆しています。性別を明かさない覆面作家として、デビュー当時も話題になりました。

なお、‟坂木司”というペンネームは「ひきこもり探偵シリーズ」の主人公・坂木司から取っています。

お仕事小説のなかに日常ミステリーを忍ばせる名手である坂木司氏。マンガ化もされている「和菓子のアンシリーズ」や、『切れない糸』『シンデレラ・ティース』などの人気作品でもその手法は光ります。仕事のリアルな描写と、舞い込む謎の面白さが魅力です。

また、坂木司作品で目を引くのは食べ物の描写。美味しそうな料理の数々に、思わず喉が鳴るという方も多いです。日常ミステリー以外にも、青春小説やエッセイなどのジャンルも執筆する坂木司氏ですが、ぜひ作中の食べ物にも注目してみてください。

坂木司のおすすめ作品

青空の卵

東京創元社 著者:坂木司

坂木司氏のデビュー作にして、全3巻からなる「ひきこもり探偵シリーズ」の第1作目。ドラマ・マンガ・ドラマCD化もされている、人気ミステリー作品です。

自称引きこもり・鳥井真一は、複雑な生い立ちから心を閉ざしがち。鳥井を外に連れ出すため、親友・坂木司は不思議な出来事の解決を依頼していきます。鳥井が作る美味しい料理を囲みながら、坂木は身近に起こったさまざまな謎を問いかけていきますが…。

坂木司作品の原点にして、人気を有する代表作。大人の視点で推理し、子供の視点で真実を語る鳥井の謎解きで、2人の心も成長していきます。坂木司氏の作品をまだ読んだことがないという方にもおすすめの1冊です。

和菓子のアン

光文社 著者:坂木司

シリーズ累計80万部を突破している大人気シリーズ。2018年に第2巻『アンと青春』、2020年には『アンと愛情』が刊行されています。マンガ化もされている、お仕事ミステリー小説です。

体型を気にしている梅本杏子こと通称アンちゃんは、デパ地下にある和菓子店「みつ屋」で働き始めた18歳の女の子。「みつ屋」で働く人たちは、実はみんな一癖も二癖もある人たちばかりのようで…。持ち込まれる謎と意外な真相に、目が離せません。

深い歴史と遊び心が詰まった和菓子の魅力が散りばめられているところも、本作品の魅力。坂木司氏のミステリー小説を初めて読む方にもおすすめの作品です。

ワーキング・ホリデー

文藝春秋 著者:坂木司

マンガ化・映画化もしている人気作品。心あたたまる父と子の交流の物語です。『ウィンター・ホリデー』『ホリデー・イン』へと続く人気の「ホリデーシリーズ」の第1作目にあたります。

元ヤンキーでホストの沖田大和の前に、息子を自称する家出少年・進がある日突然やってきます。ホストクラブを辞めて宅配便のドライバーに転職した大和と、料理も掃除もできてしっかり者の進。2人の前に現れるのは、宅配の荷物と親子関係のギクシャク、そして謎とトラブルでした。

正義感あふれる大和、口うるさいけれど優しい進の親子が、ぎこちないながらも過ごすひと夏を爽やかに描きます。少し変わった親子の交流に優しい気持ちになれる方が多い坂木司作品です。

シンデレラ・ティース

光文社 著者:坂木司

個性豊かなスタッフの集まる歯科クリニックを舞台にした日常ミステリー小説。各章に仕掛けられた小さな謎が解き明かされながら、ストーリが進みます。

大学2年生のサキは、幼い頃のトラウマから歯医者が苦手。しかし、母親の策略に引っかかったサキは、叔父が勤める歯科で受付のアルバイトをすることになってしまいます。どうやらこのクリニックでは歯の治療だけでなく、患者さんの心に隠された悩みも一緒に解決してくれるようで…。クリニックのメンバーたちと打ち解けていくなかで、サキの心もしだいに成長していきます。

本作品は、『ホテルジューシー』の姉妹編。『ホテルジューシー』の浩美、『シンデレラ・ティース』のサキが大学の友達としてクロスオーバーしており、主人公たちの異なる表情が楽しめます。2冊セットで読むのがおすすめです。

ホテルジューシー

KADOKAWA 著者:坂木司

沖縄のホテルを舞台にした日常ミステリー。登場人物の人間味あふれるエピソードの数々に、『シンデレラ・ティース』の主人公・サキが登場する姉妹編です。

大家族の長女として生まれた柿生浩美は、天下無敵のしっかり者。責任感も強く、真面目な女の子です。しかし、卒業旅行の資金調達のためにアルバイトを始めたホテルジューシーは、いつもと勝手が違います。二重人格のオーナー代理、アバウトな双子の老ハウスキーパー、さらにはお客さんたちも訳ありの人たちばかりのようで…。浩美は人との関わりのなかで、自分が信じてきた‟正しさ”と向き合い、成長していきます。

坂木司作品の魅力である料理の描写に加え、舞台となる沖縄の風景描写の美しさにも引き込まれるのが魅力。心癒されたい方におすすめの坂木司作品です。

切れない糸

東京創元社 著者:坂木司

商店街のなかにあるクリーニング店での謎解きを描いた、青春ミステリー小説。連作短編集なので、一章ずつからでも読み進めやすい1冊です。

主人公は、大学卒業間近の新井和也。家庭の事情で、和也が実家のアライクリーニングを継ぐところから物語はスタートします。不慣れな集荷作業中に預かった洗濯物から生まれる謎の数々。和也は友人の沢田直之とともに、衣類・汚れ・依頼者の様子などを手掛かりにして真相を解き明かしていきます。

仕事を通じてさまざまな人たちと関わり、悩み成長していく和也たち。登場人物たちの気持ちが、四季の移ろいとともに丁寧に表現されています。心あたたまる小説を読みたい方におすすめの坂木司作品です。

大きな音が聞こえるか

KADOKAWA 著者:坂木司

夢を追いかける男子高校生を描く、青春大河小説。700ページを超えるページ数で、坂木司作品のなかでは長編の1冊となっています。

‟このままは嫌だ!”という思いを抱えつつも、退屈な毎日を持て余している高校1年生の八田泳。大好きなサーフィンをしているあいだだけは、何もかもを忘れることができました。ある日泳は、アマゾンには終わらない波・ポロロッカというものがあると知ります。ポロロッカに乗ってみたいという夢を叶えるため、泳が取った行動とはなんだったのでしょうか。

たくさんの人との出会いのなかで成長していく泳の姿から、勇気をもらえる方も多い作品。日常ミステリー以外の坂木司作品を読んでみたいという方にもおすすめです。

女子的生活

新潮社 著者:坂木司

理不尽なモヤモヤを解消する人気連作短編小説。2018年にはドラマ化され話題になりました。

憧れのガールズライフを楽しむために東京に出てきたみき。アパレル店に勤務し、毎日おしゃれをして、部屋も好きなインテリアで飾りつける、そんな‟女子的生活”を過ごすみきのもとにやってきたのは不審な男でした。マウンティングや毒親問題、セクハラにモラハラ。次々にやってくる難題にも、みきは毅然とした態度で立ち向かいます。

世間のモヤモヤを吹き飛ばしながら、自分らしく生きていくみき。痛快なストーリーに元気をもらいたい方におすすめの坂木司作品です。

先生と僕

双葉社 著者:坂木司

日常で起きた身近な謎を中学生が解き明かしていく、連作短編集です。「二葉と隼人の事件簿シリーズ」の1巻目にあたります。

怖がりなのに大学の推理小説研究会に入ることになってしまった“僕”。家庭教師をしている中学生の隼人から、ミステリー作品について教えてもらうことになりました。“僕”が生徒、隼人が先生という立場で講義を受けていくなかで、先生は出先で遭遇する日常の謎を解き明かします。

各章の最後に怖くないミステリー小説の紹介も載っており、本全体が読者をミステリーの世界に導いてくれるガイドブックかのよう。ミステリーを読みたいけれど、怖い作品は避けたいという方にもおすすめの1冊です。

鶏小説集

KADOKAWA 著者:坂木司

豚肉をテーマにした『肉小説集』の続編にあたる、鶏肉と人生をめぐる短編小説集。トリドリの味わいが楽しめる全5編を収録しています。

思春期の少年の気持ちのゆらぎ、死にたがりの漫画家に、我が子をうまく愛せない父親…。悩みを抱えた登場人物たちが好んで食べるのは、コンビニで買える鶏肉料理でした。あげチキ、チキン南蛮、ローストチキン。たくさんの調理法があり、身近な食材である鶏肉から生まれるユーモアと感動があふれる人生の物語です。

美味しいものを食べて明日もまた頑張ろうと、一歩踏み出す主人公たちの姿に元気がもらえます。グルメ小説が好きな方にもおすすめの坂木司作品です。

おやつが好き お土産つき

文藝春秋 著者:坂木司

作中でたくさんの食べ物が登場する坂木司氏の手掛けるお菓子エッセイ。甘い、しょっぱい、かりかり、サクサク、こってり、あっさりを語り尽くしています。

雑誌『銀座百点』で連載されていたエッセイを1冊にまとめている本作品。紹介されるお店は銀座が中心ですが、量販店で売られるお菓子も言及されており、幅広いお菓子が登場します。

単行本化にあたり、未収録のエッセイを大幅に加筆。巻末には 『おやつ雑文集』もついており、最後の1ページまで美味しいエッセイ集になっています。坂木司氏の小説に登場する料理の描写が好きな方にもおすすめの1冊です。

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