ハートフルな青春小説や家族小説を多数発表している小説家「瀬尾まいこ」。やわらかくあたたかみのある物語により、多くの人々の心を揺さぶっています。

今回は瀬尾まいこ作品のおすすめ小説をランキング形式でご紹介。映画化・ドラマ化された人気作品や、本屋大賞などの文学賞受賞作もピックアップしました。瀬尾まいこ作品に触れてみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

本屋大賞作家 瀬尾まいこの経歴

瀬尾まいこ氏は1974年、大阪府生まれの小説家です。大谷女子大学(現:大阪大谷大学)国文学科を卒業後、中学校の国語教師になり、勤務のかたわら執筆活動をスタート。デビュー後も2011年に退職するまで執筆活動と両立しながら教壇に立った、元教師の小説家です。

2001年に『卵の緒』で坊っちゃん文学賞の大賞を受賞し、翌年2002年に同作品の単行本で小説家デビュー。2005年には『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年に『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を受賞しました。

そして、2019年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。同作品は映画化され、2021年にはトーハン・日販の文庫年間ベストセラーランキングや、オリコン年間“文庫”ランキング2021で1位を獲得し、話題になりました。

ほかにも、『あと少し、もう少し』『僕らのごはんは明日で待ってる』『夜明けのすべて』など多数の小説を発表しています。

瀬尾まいこ作品の特徴や魅力

瀬尾まいこ作品は、やわらかくあたたかい作風が特徴です。同氏は教師の経験や、一児の母として子供の世界を見てきた経験から、家族や青春をテーマにした作品が豊富。特に若者に寄り添い、優しさや愛を描いた作品を数多く執筆しています。

また、自殺・継母・兄弟コンプレックスなど、つらい設定ながら周囲の優しさに助けられ、自分も優しさを配りながら生きていく登場人物の姿を描いた作品が多いのも魅力。読後感は爽やかな小説が多く、前向きな気持ちになりたい方におすすめの小説家です。

『花曇りの向こう』は教科書にも掲載されるなど、中高生にも読みやすい小説が多いのもポイント。文章がやさしいため、読書初心者にもおすすめです。

瀬尾まいこのおすすめ小説ランキング

第1位 そして、バトンは渡された

文藝春秋 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏のベストセラー小説で、代表作のひとつ。山本周五郎賞候補にノミネートされ、2019年には本屋大賞を受賞しました。さらに、2021年には映画化され、文庫本年間ベストセラー1位を獲得するなど、話題になった作品です。累計発行部数は120万部を突破しています。

主人公は高校2年生の森宮優子。生まれたときは水戸、その後田中、泉ヶ原と苗字が変わり、現在は森宮を名乗っています。幼いころに実の母親を亡くし、父とは海外赴任を機に別れ、継母を選びました。

その後も継父や継母が変わりますが、血のつながっていない人ばかりでした。そして、高校生の今は20歳しか離れていない「父」と暮らしています。優子を通して家族の形を問う、複雑なものの優しい物語です。

優子の巣立ちまでが描かれており、涙する方も多い1冊。読後は心があたたかくなる、瀬尾まいこ氏会心のおすすめ小説です。

第2位 あと少し、もう少し

新潮社 著者:瀬尾まいこ

駅伝をテーマに描いた感涙必至の青春小説で、瀬尾まいこ氏の傑作。駅伝の県大会出場を目指して、寄せ集めのメンバーがぶつかり合いながら、たすきをつないでいく物語です。

陸上部の名物顧問が転勤になり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師でした。一方で、部長・桝井は中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募ります。そして、元いじめられっ子・設楽、不良・大田、頼みを断れないジロー、プライドが高い渡部、後輩・俊介と寄せ集めの6人で練習を始めますが…。

メンバーひとりひとりが悩みを抱えながらも、成長していく様子に胸を熱くする方が多い小説。ドラマチックで疾走感あふれる、おすすめの瀬尾まいこ作品です。

第3位 夜明けのすべて

水鈴社 著者:瀬尾まいこ

本屋大賞受賞後、第1作品目の瀬尾まいこ作品です。人生は厳しいものの、救いはそこら中にあることを訴えている小説。“生きるのが少し楽になる、心に優しい物語”と謳われています。

主人公は、職場の人たちからの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗。彼女は転職してきたばかりの山添君に当たってしまいます。

一方で、山添君はパニック障害になり、生きがいや気力を失っていました。お互いに友情も恋も感じないものの、おせっかい者同士の2人。自分の病気は治せずとも、相手は助けられるのはないかと思うようになっていきます。

誰しもが抱える人の辛い部分や繊細さなど、暗闇のなかに光が差すような魅力がある、おすすめの瀬尾まいこ作品です。

第4位 君が夏を走らせる

新潮社 著者:瀬尾まいこ

16歳の少年と1歳の女の子の、ひと夏の出会いや奮闘、別れを描いた感涙必至といわれる青春小説。瀬尾まいこ氏が、教師時代のやんちゃな教え子と自身の娘、“自分を振り回す2人が小説で出会ったら”を想像して描いた作品です。

主人公は『あと少し、もう少し』にも登場した、金髪ピアスでろくに高校も行かずふらふらしている大田。ある日、彼のもとに先輩から1本の電話が入ります。それは、1ヵ月ほど1歳の娘・鈴香の子守をしてくれないかというものでした。

断り切れず引き受けますが、泣き止まない、ご飯は食べない、小さな鈴香に振り回される大田。しかし、いつしか今まで知らなかった感覚が大田の心を揺り動かしていたのです…。

2度と戻らない記憶に、あたたかい涙があふれる物語。誰かのために何かをしたいと思ったときに人は変わり、その経験が人を輝かせることを感じられます。泣ける瀬尾まいこ作品に触れたい方におすすめです。

第5位 幸福な食卓

講談社 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏の吉川英治文学新人賞受賞作です。切なくて優しく、“心にふわりと響く”長編の家族小説。マンガ化・映画化もされている人気作品です。

主人公・佐和子の家族は、父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けにくる母、元天才児の兄と「ちょっとヘン」でした。そして、佐和子には、心のなかで次第に存在が大きくなるボーイフレンド・大浦君がいます。それぞれ切なさを抱えながらもつながり合い、再生していく一家の姿をあたたかく描いた小説です。

物語のラストにかけて起きる事件をはじめとして、「幸福」とはいえないものの、瀬尾まいこ作品ならではの淡々としたユーモアあふれる文章や、食卓を彩る料理が魅力。中高生ごろの年代の方や、読書初心者にもおすすめの瀬尾まいこ作品です。

第6位 天国はまだ遠く

新潮社 著者:瀬尾まいこ

“無器用にしか生きられないあなたに贈る”といわれている、爽やかな旅立ちを描いた瀬尾まいこ作品。2008年には映画化もされました。

仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰まりそうな23歳の千鶴。会社を辞めて死ぬつもりだった彼女は、たどり着いた山奥の民宿で睡眠薬を飲みました。しかし、死にきれず自殺を諦めた千鶴は、民宿の田村さんのおおざっぱな優しさに癒されていきます。

そして、千鶴は大らかな村人や、大自然に囲まれ充足した日々を送りますが、自分の居場所がここにないことに気付いてしまうのです…。

千鶴が再生していく様子や、彼女を応援する田村さんの優しさにあたたかい気持ちになれる1冊。爽やかな読後感を味わえる、おすすめの瀬尾まいこ作品です。

第7位 卵の緒

新潮社 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏のデビュー作で、坊っちゃん文学大賞受賞作。新しい家族のあり方を描いた、2編からなる作品集です。『7’s blood』はマンガ化されたほか、『七子と七生~姉と弟になれる日~』としてドラマ化されました。

表題作は自分が捨て子だと思っている小学生・育生と元気な母さん、ときどき訪ねてくる母さんのボーイフレンド・朝ちゃんや、育生の同級生・池内君の物語。「親子」の強く確かな絆を描いています。

『7’s blood』の主人公は、家庭の事情から2人きりで暮らすことになった異母姉弟の物語。初めて会う2人はギクシャクしていましたが、徐々に心を通わせていきます。

家族のあたたかさを感じられ、優しい気持ちになるとされている感動作。瀬尾まいこ氏の泣けるデビュー作に触れたい方におすすめです。

第8位 図書館の神様

筑摩書房 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏のファンを増やしたとされる鮮やかな青春小説。表題作と『雲行き』の2編を収録しています。表題作は、赴任した高校で思いがけず文芸部顧問になって「しまった」清の、不思議な出会いや再生を描いた物語です。

清は思い描いていた未来を諦めて、傷ついた心を抱えながら、どこからでも海の見える明るい高校に赴任します。驚いたことに文芸部顧問になった彼女。そして、男の子・垣内君との学校の図書館での出会いから、みずみずしい物語が始まります。

垣内君と清の交流が味わい深く、徐々に傷ついた心が再生していく様子に、優しい気持ちになれる1冊。爽やかな青春小説を読みたい方におすすめの瀬尾まいこ作品です。

第9位 戸村飯店 青春100連発

文藝春秋 著者:瀬尾まいこ

坪田譲治文学賞受賞作で、瀬尾まいこ氏の傑作青春小説。大阪にある超庶民的な中華料理店「戸村飯店」の2人息子が繰り広げる物語。オーディオドラマ化もされました。アンソロジー『Re-born はじまりの一歩』の収録作品『ゴーストライター』に加筆修正を加えたものが、本作品の第1章に収録されています。

要領も見た目もよい兄・ヘイスケと、ボケがうまく単純な性格の弟・コウスケ。家族や兄弟でも折り合いが悪かったり、波長が違ったりします。ヘイスケは高校卒業後東京に行き、大阪と東京で兄弟が将来に迷い、青春を謳歌する姿を描いた物語です。

あたたかい笑いに満ちており、爽やかな読後感を味わえます。どこか不器用で誠実な2人のキャラクターも魅力。気を抜いて、笑いながら読めるおすすめの瀬尾まいこ作品です。

第10位 強運の持ち主

文藝春秋 著者:瀬尾まいこ

じんわりと優しくあたたかい、瀬尾まいこ氏の世界に満ちている傑作小説。占い師が主人公の連作短編集です。

上司との折り合いが悪く半年で会社を辞めた吉田幸子は、営業で鍛えた話術を活かして、占い師・ルイーズ吉田に転身。ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押します。

“父と母のどちらを選ぶべき? ”という小学生男子、占いが何度外れても訪れてくる女子高校生、物事の終わりが見えるという青年など、さまざまな悩みを持つ人々が訪れてくるのです…。

ルイーズの内面が仕事を通じて、少しずつ変化していくのがポイント。きっとよいことがあると信じられるといわれる、おすすめの瀬尾まいこ作品です。

第11位 おしまいのデート

集英社 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏がさまざまなデートの形を描いた、5つの短編小説です。元不良と教師、バツイチOLと大学生、園児と保育士など、5組のデートをみずみずしく描いています。

表題作は、両親の離婚以降、月に1度祖父と会うようになった彗子の物語。既に父は再婚しており、母も再婚することになったため、会うのをやめることにした2人でしたが…。

待ち合わせのワクワクや、一緒にいるときのドキドキ、別れるときの切なさなど甘酸っぱい気持ちになれます。何気ないものの、あたたかい人と人のつながりを軽やかに描いているのが魅力。ほっこりする瀬尾まいこ作品に触れたい方におすすめです。

第12位 僕らのごはんは明日で待ってる

幻冬舎 著者:瀬尾まいこ

あたたかく優しい恋愛を描き、笑って泣ける瀬尾まいこ作品。2017年に映画化されたほか、マンガ化もされた話題作です。

主人公は兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。しかし、高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた、天真爛漫な小春と過ごすうちに、亮太の時間は動き始めます。やがて、2人は家族となり毎日一緒においしいご飯を食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春に異変が起こるのです…。

正反対の2人の恋愛を淡々と、かつコミカルに描いており、瀬尾まいこ氏の魅力を凝縮した1冊。あたたかい恋愛小説を読みたい方におすすめです。

第13位 春、戻る

集英社 著者:瀬尾まいこ

“今を精一杯生きるすべての人に贈る”といわれる瀬尾まいこ氏のハートフルな小説。「結婚」という人生の大きな節目に生まれる、チャーミングで大きなドラマです。

36歳で結婚を控えた主人公・さくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れます。どう見てもひと回り年下の彼は、さくらのことをよく知っていました。どこか憎めない空気を持つ“おにいさん”。さくらの結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、生活に溶け込んでいきます。彼は何者で目的は何なのでしょうか。

すべてが明らかになる時、さくらの今と未来が輝きだすのが見どころ。人生において大切なことを教えてくれます。心あたたまるウェディングストーリーを読みたい方におすすめの瀬尾まいこ作品です。

第14位 優しい音楽 新装版

双葉社 著者:瀬尾まいこ

少し不思議な交流が生み出すあたたかい心の交流を描いた、瀬尾まいこ氏の短編小説。2022年にはドラマ化され、累計20万部を突破しました。

表題作は、駅のホームでいきなり声をかけたことをきっかけに、恋人になったタケルと千波。しかし、心も身体もなじみきったある日、タケルは唐突に、千波が自分に近づいた理由を知ってしまうのです…。

現実を受け止めながら希望を見出して歩む人々や大切な人のために頑張る人々に心を打たれ、爽やかな感動を呼ぶ1冊。ドキドキワクワクしながら読める、おすすめの瀬尾まいこ作品です。

第15位 夏の体温

双葉社 著者:瀬尾まいこ

瀬尾まいこ氏の最新作で、3つの小説集です。表題作と『魅惑の極悪人ファイル』のほか、教科書にも掲載された掌編『花曇りの向こう』の3編を収録しています。

表題作は、夏休み小3の瑛介が入院している小児病棟に、同い年の壮太がやってくるところからスタート。退屈な入院生活に飽き飽きしていた瑛介は、彼と心弾む時間を過ごします。しかし、検査入院の壮太はすぐに退院してしまうのです…。ひと夏の出会いが生む、少年たちの友情を描いています。

ビターな思いをじんわりとあたたかく包み込む、瀬尾ワールドの真骨頂ともされる1冊。夏を感じられる、爽やかな瀬尾まいこ作品を読みたい方におすすめです。