泣ける小説を数多く発表していることで知られている「重松清」。同氏の作品は、どこにでもいるような人々の心の機微を巧みに描いており、小説の世界に入り込みやすい魅力があります。文章も読みやすく、子供から大人まで、幅広い年代の方に人気の小説家です。

そこで今回は、重松清のおすすめ小説をランキング形式でご紹介。ドラマ化・映画化された人気作品や、直木賞受賞作など、泣ける名作を厳選しました。

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泣ける小説が有名な作家 重松清とは?

重松清は1963年岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターとして執筆活動に入り、1991年『ビフォア・ラン』で作家デビューしました。

同年『ナイフ』で坪田譲二文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞し、2001年には『ビタミンF』で直木賞を受賞。その後も2010年『十字架』で吉川英治文学新人賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞などさまざまな賞を受賞しています。

映画化・ドラマ化された作品も多数で、『流星ワゴン』『きみの友だち』『青い鳥』『きよしこ』など、”泣ける”と話題の作品を次々と発表。そのかたわら、ルポルタージュやインタビューなど、幅広く活躍している小説家です。

重松清作品の特徴や魅力

重松清作品では、どこにでもいるような普通の人々に焦点を当てているのが特徴。親子の確執や友人関係の悩み、夫婦のすれ違いといった、現代におけるありふれた人間関係のドラマが巧みに描かれています。読者が共感しやすく、自らの経験を振り返れるような読み味が重松清作品の魅力です。

“涙腺キラー”とも称されており、大人から子供まで、さまざまな立場の人物の繊細な心の機微がリアルに表現された泣ける小説が揃っています。心を揺さぶる重松清作品を手軽に楽しみたいなら、短編集やメディアミックスされた作品から手に取るのがおすすめです。

また、思春期の小学生や中学生にとって身近なテーマの作品が数多く刊行されているのもポイント。『小学五年生』をはじめ、重松清作品は中学受験の問題としてもたびたび採用されています。文体は平易で子供も読みやすいため、受験対策を兼ねて親子で物語を楽しんでみてください。

重松清のおすすめ小説ランキング|人気

第1位 とんび

KADOKAWA 著者:重松清

とんび

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高度経済成長期を背景に、親子の不器用な絆を描いた感動小説。ドラマ化のほか、2022年には実写映画化もされました。”父親物語の最高傑作”とも評された重松清の代表作のひとつです。

時は昭和37年。瀬戸内海に面した小さな街の運送会社で働くヤスと愛妻・美佐子の間に、長男・アキラが誕生。幼い頃に親と離別していたヤスにとって、憧れだった家族の存在は大きな幸せをもたらしてくれました。しかし、その幸せな日々は長くは続かなかったのです。

頑固な父親・ヤスが、周囲に支えられながら深い愛情で一人息子を育てていく様を追いかける1作。親と子が互いに影響し合いながらともに成長していく姿が、ていねいな心情描写とともに表現されています。親子愛が胸を打つ、人情味あふれる重松清作品を読みたい方におすすめの名作です。

第2位 きみの友だち

新潮社 著者:重松清

きみの友だち

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10章の物語を通して「友だち」の本当の意味を明らかにしていく、重松清の連作長編小説です。泣ける小説として中高生から高い支持を集めており、2008年に実写映画化もされています。

足が不自由な恵美ちゃんは、ある事件を発端に病気がちな由香ちゃん以外のクラスメイトとの関わりを避けるようになりました。一方、学校の人気者・ブンちゃんは何でもこなす転校生・モトくんの存在が面白くありません。

そのほかにも優等生・弱虫・八方美人など、それぞれ心に孤独や重荷を背負った人物が登場。各章で視点を入れ替えながら、学生たちのリアルな衝突や喪失感が描かれます。読書感想文の題材としても採用しやすい、おすすめの青春小説です。

第3位 流星ワゴン

講談社 著者:重松清

流星ワゴン

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2015年にテレビドラマ化されて話題を集めた重松清の長編家族小説。さまざまな後悔を抱えた親子の関係性を、SFテイストな世界観のなかに描いた物語です。累計部数は130万部以上を誇る大ヒット作品になりました。

家庭内暴力をふるう息子と、浮気を重ねる妻に悩まされ、仕事もリストラ寸前という窮地に追い込まれていた38歳の永田一雄。死を考えはじめたある夜、永田は死んだはずの父子が乗る不思議なワゴンに拾われます。ワゴンの行き先で出会ったのは、自分と同い年の姿になった父親でした。

時空を超えて、人生の岐路になった過去の時間を旅するというファンタジー要素を取り入れているのがポイント。過去を振り返りながら、親子の在り方を見つめ直していく様が描かれます。家族愛をテーマにした切ない重松清作品を読みたい方におすすめの人気作です。

第4位 その日のまえに

文藝春秋 著者:重松清

その日のまえに

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生死と家族にとっての幸せとは何かを問いかける連作短編集。”涙なしには読めない感動作”とも評された、重松清のベストセラー作品です。実写映画化をはじめ、さまざまな媒体でメディアミックス展開もされています。

余命を告げられた男性が、思い出の地を訪れて過去の出来事や家族のことを振り返りながら、自らの死を意識していく『潮騒』。余命わずかな妻と、その家族が死に向き合う様を描いた『その日の前に』『その日』『その日のあとで』など、死にまつわる7編が収録されています。

死を前にした当事者と彼らを取り巻く人々の心情を、連作形式の構成を生かして淡々と綴っているのが魅力。身近な人の死について改めて考えるきっかけを与えてくれる、おすすめの重松清作品です。

第5位 きよしこ

新潮社 著者:重松清

きよしこ

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重松清の自伝的小説とされている1作。小学1年生から高校3年生までの12年の時間軸で、吃音症に苦しむ少年・きよしの成長を追いかける少年小説です。7つの短編で構成された連作長編形式をとっています。

きよしの悩みは、カ行・タ行・濁音をうまく発音できないこと。学校でからかわれたことをきっかけに引っ込み思案な性格になったきよしは、父親の仕事の都合でたびたび転校も経験してきました。そんな彼が、想像上の不思議な友達「きよしこ」に支えられながら成長していく姿を描いた物語です。

吃音によるコミュニケーションの壁や転校生としての孤独感などに直面するきよし。困難を抱えながらも、さまざまな人との関わりのなかで自立していく様が印象的に描かれています。人との対話について考えさせられる、おすすめの重松清作品です。

第6位 エイジ

新潮社 著者:重松清

エイジ

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第12回山本周五郎賞を受賞し、2000年にドラマ化もされた重松清の青春小説。中学2年生の少年・エイジの視点から、中学生のリアルな日常と思春期に揺れ動く心情を巧みに表現した傑作です。

エイジは東京郊外にある桜ヶ丘ニュータウンの中学校に通う14歳。ある日、町で発生した連続通り魔事件の犯人として捕まったのは、なんとエイジのクラスメイトでした。この事件に学校や家族が騒然とするなか、エイジ自身も大きな衝撃を受けるのです。

通り魔事件を発端に、身の回りの人間関係や自身のなかの黒い衝動について改めて見つめ直すエイジの思考が描かれているのがポイント。思春期にありがちな言語化しにくいモヤモヤとした感情が重松清によってわかりやすく代弁されている、おすすめの長編小説です。

第7位 ビフォア・ラン

幻冬舎 著者:重松清

ビフォア・ラン

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「かっこ悪い青春」をテーマに、高校生たちの青春を描いた長編小説。重松清のデビュー作です。平凡な高校生・優が、授業で登場した「トラウマ」という言葉に心を奪われることから物語は始まります。

「トラウマ」に対して”今の自分に足りないものはこれだ”と確信した優。「トラウマづくり」として、まだ生きている同級生・まゆみの墓を作ることにします。そんなある日、優の前に現れたまゆみは、覚えのない優との記憶を語ったばかりか恋人宣言までしてしまうのです。

昭和時代に生きた高校生たちの、思春期のほろ苦さや危うさを感じさせる青春模様が巧みに描かれています。作家・重松清の始まりの作品を読んでみたい方におすすめの青春小説です。

重松清のおすすめ小説ランキング|家族がテーマの作品

第1位 ビタミンF

新潮社 著者:重松清

ビタミンF

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“家族小説の最高傑作”と謳われる短編集。第124回直木賞を受賞した、重松清の代表作のひとつです。刊行以来ロングセラーで愛されており、累計部数は85万部を突破しています。

30代後半から40代という、人生の中頃に差し掛かった男性を軸に据えた7編を収録。息子が思うように育たなかったり、娘に恋人ができたり、夫婦の間で離婚の危機が訪れたりと、各短編の主人公はそれぞれに問題を抱えています。ありふれた7つの家族のささやかな事件を綴った1作です。

父親や会社員として奮闘する等身大の男性たちの目線を通して、多彩な家族の在り方とコミュニケーションの難しさが描かれる本作品。人生の停滞感に悩む方の背中を押すような読み味が魅力的な、おすすめの重松清作品です。

第2位 ステップ

中央公論新社 著者:重松清

ステップ

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妻を亡くした夫が幼い娘とともに一歩ずつ成長していく姿を描いた、重松清の心あたたまる家族小説。2020年に実写映画化もされた人気作です。2歳半の娘・美紀が小学校を卒業するまでの10年間が、季節の移ろいとともに表現されています。

結婚して3年目、30歳という若さで妻・朋子に先立たれた健一。男手ひとつで娘・美紀を育てる決意を固めた健一は、喪失感を抱えたまま保育園の初登園日を迎えます。小学校生活や義両親との距離、自身のキャリアなどさまざまな葛藤に悩まされながら、父娘は少しずつ前に進んでいくのでした。

「のこされた人たち」に焦点を当て、彼らの日々の暮らしと周囲の人々との関係性が、穏やかな語り口で綴られています。寂しさや悲しさと向き合い、乗り越えていく姿に胸が熱くなったという読者も多い、おすすめの重松清作品です。

第3位 卒業

新潮社 著者:重松清

卒業

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悲しみを乗り越え、新たな世界へと歩みを進めるために、さまざまな形の「卒業」を経験する家族を描いた重松清の家族小説。4つの家族に焦点を当てた、4編の物語で構成されているのが特徴です。

ある日、14年前に自ら命を絶った親友の娘・亜弥が僕のもとを訪ねてきます。中学2年生の彼女の手首には、リストカットの傷跡がありました。深い悩みを抱えた亜弥の要望に応えるべく、彼女が会えなかった父親の話として、僕は青春時代の思い出を語りはじめますが……。

4編はどれも40歳前後の男性の視点から、さまざまな「死」と家族の有り様が描かれています。切なく、感傷的な読後感に浸れるおすすめの重松清作品です。

第4位 カシオペアの丘で 上

講談社 著者:重松清

カシオペアの丘で 上

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重松清の魅力が詰まった渾身の長編小説。幼なじみの4人を中心とした、再会と贖罪の道のりが描かれます。2011年に舞台化もされた1作です。

39歳にして、肺の悪性腫瘍によって人生の限界を突きつけられた俊介。偶然、テレビで幼なじみ4人の思い出の地である丘の上の遊園地を目にした俊介は、二度と帰らないと誓ったふるさとへ向かうことにします。俊介の脳裏には、封印していたはずのかつての記憶が蘇り……。

北海道の田舎を舞台に、絡み合う複雑な因縁を抱えたかつての幼なじみたちが、自分の過去と向き合っていく様が見どころ。人を許し、許されることが大きなテーマとして物語が描かれています。深く掘り下げられたていねいな人物描写が高い評価を集めている、おすすめの重松清作品です。

第5位 めだか、太平洋を往け

幻冬舎 著者:重松清

めだか、太平洋を往け

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元教師の祖母と血のつながらない孫を軸に、かつての教え子とのつながりを描いた重松清の長編小説。涙した読者も多い話題の感動小説です。

主人公のアンミツ先生は、小学校の教師を引退した日の夜に息子夫婦を事故で失います。のこされたのは、血縁関係のない孫・翔也。不登校の翔也との生活に戸惑うなかで、教え子たちに”先生はみんなに「太平洋を泳ぐめだかになりなさい」と言いました。でも、ほんとうに正しかったのでしょうか”という手紙を送ります。

手紙に返事をくれた教え子2人を翔也とともに訪ねたことをきっかけに、物語は大きく広がっていくことに。正しさと幸せについて、現代の教育の在り方とともに考えさせられます。重松清が作家として長く描いてきたテーマや持ち味が数多く詰まった、おすすめの1作です。

第6位 ポニーテール

新潮社 著者:重松清

ポニーテール

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ステップファミリーを題材にした重松清の家族小説です。父母と2人姉妹の家族としてのはじまりの日々が、一人ひとりの歩みとともに描かれています。

母を亡くした小学4年生のフミと、親の離婚によって三度も苗字を変えてきた6年生のマキ。互いの父と母の再婚によって姉妹となった2人の生活は、トラブルに満ちていました。姉と仲良くなりたいと願うフミに対し、マキは無愛想な態度をとるものの、内心は新しくできた妹に戸惑うばかりで……。

両親もそんな姉妹の様子を見守りながらも、家族としての在り方に悩みや迷いを抱えています。一家が絆を深めていく過程には、関係を縮めるための仲直りの方法も満載。新しく家族を作る難しさと尊さを感じさせてくれる、おすすめの重松清作品です。

第7位 小さき者へ

新潮社 著者:重松清

小さき者へ

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重松清が「家族」と「父親」について見つめ直した6編の短編からなる短編集です。収録作のひとつ『団旗はためくもとに』は『卒業ホームラン』として再編成のうえ、ドラマ化されています。

かつて息子と同じ中学2年生のころ、自分もわかったフリをする大人が許せなかったという父親。父としての在り方を改めて自省しながら、心を閉ざしてしまった息子に自身の思いを語りかけます。

大人になると忘れてしまいがちな、子供と同年代だった頃の純粋な気持ちを見つめ直す不器用な父親像に、多くの読者の共感が集まっています。親としての振る舞いを振り返るきっかけになる、おすすめの短編集です。

重松清のおすすめ小説ランキング|小中学生がテーマの作品

第1位 小学五年生

文藝春秋 著者:重松清

小学五年生

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小学5年生の少年を主人公にしたショートストーリーで構成された短編集です。原稿用紙15枚程度の短い物語が、全17編収録されています。中学入試や模試の国語の問題にも数多く採用されており、重松清作品のなかでも高い知名度を誇るおすすめの1冊です。

突然の転校でクラスメイトと離ればなれになってしまったり、校外のイベントで女の子と出会ったり。さまざまな出会いと別れ、性への目覚めを経験しながら、「子供」から「大人」へと成長していく少年たちの繊細な心の動きが描かれているのが特徴です。

ささいなことに一喜一憂する小学5年生の日常風景を描いた各短編は、人物や情景描写の完成度の高さに定評があります。成長過程の甘酸っぱくもほろ苦い感情が的確に表現されている、珠玉の短編集です。

第2位 くちぶえ番長

新潮社 著者:重松清

くちぶえ番長

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小学4年生の男女の忘れられない友情を描いた、懐かしくてほろ苦い重松清作品。物語は、主人公・ツヨシのクラスに転校生の少女・マコトがやってくるところから始まります。

一輪車と口笛が得意なマコトは、転校早々”わたし、この学校の番長になる!”と宣言。ツヨシをはじめとするクラスメイトを驚かせます。一見型破りに見えるマコトは幼い頃に父親を亡くしており、誰よりも優しくて強く、仲間思いな少女でした。

優等生で少し気弱だったツヨシが、マコトとの交流を通して人間的に成長していく様が快活な筆致で綴られています。マコトへの淡い思い出に、死や別れといった切ない要素が盛り込まれているのもポイント。小学生向けの重松清作品を探している方におすすめの1作です。

第3位 せんせい。

新潮社 著者:重松清

せんせい。

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教師と生徒の関係性に焦点を当てた、6つの物語からなる重松清の短編集です。収録作『泣くな、赤鬼』は、2019年に実写映画化されました。

自分の夢を追いかけ続けた先生や、1人の生徒を快く受け入れられなかった先生。厳しく接することでしか生徒に向き合えなかった先生など、さまざまな立場の先生が登場します。そんな先生たちに反発していた生徒たちが、時間を重ねてゆるしあう物語です。

大人になったからこそ理解できる教師の教えや、教師を1人の人間として捉えることで見えてくる人間味のある後悔や葛藤が綴られているのがポイント。ほろ苦くも胸に染み入るような物語を堪能できる、おすすめの短編集です。

第4位 ナイフ

新潮社 著者:重松清

ナイフ

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いじめをテーマに、懸命に生きようとする子供と家族を描いた重松清の短編集。1999年に第14回坪田譲治文学賞に輝いた名作です。表題作『ナイフ』を含む、全5編の短編が収められています。

5作品とも舞台は学校。ワニがいるという池に魅入られるミキや、精神的な辛さから教室で吐いたダイスケ。子供を守れない不甲斐なさに葛藤する父親など、いじめに直面した小中学生と家族の生々しい姿が克明に描かれているのがポイントです。

思春期の複雑な心情とともに、目を背けたくなるほど壮絶ないじめの描写も細かく表現されています。重松清がいじめのリアルに真正面から向き合った、心がひりつくような短編集を読んでみたい方におすすめの1作です。

第5位 星のかけら

新潮社 著者:重松清

星のかけら

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命の意味について考えながら、大人へと近づいていく子供たちの人間的成長を描いた重松清の子供向け小説。亡くなっているはずの少女との出会いから始まる、ファンタジー要素が絡められた世界観が特徴です。

いじめに遭っている小学6年生のユウキは、どんなに辛いことがあっても耐えられるというお守り「星のかけら」の噂を耳にします。誰かが亡くなった交通事故現場に落ちているという星のかけらを探しに、夜の町へと繰り出すユウキ。そんな彼の前に、不思議な少女・フミちゃんが現れるのです。

生きるとは死ぬとはどのようなことなのかを、子供たちの群像劇のなかにわかりやすく表現した感動作。心が洗われるような読み味で、小学生にも命の尊さをやさしく語りかけるおすすめの重松清作品です。

第6位 ゼツメツ少年

新潮社 著者:重松清

ゼツメツ少年

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第68回毎日出版文化賞に輝いた重松清の傑作長編小説。50歳の小説家を主人公にした本作品は、重松清が物語が持つ意味に改めて向き合った作品とされています。

ある日、ある小説家の元に”センセイ、僕たちを助けてください”と書かれた手紙が送られてきます。送り主は中学2年生の少年・タケシと、小学5年生のリュウとジュン。学校や家で居場所を無くしてしまったという彼らを、「物語」の中に隠してほしいというのです。

不思議な願いに応えるため、センセイは彼らに向けた物語を綴りはじめます。2013年に初めて刊行されており、過去の重松清作品の登場人物が物語のなかに織り込まれているのがポイント。現実と物語の世界が交錯する、独特な雰囲気の意欲作が気になる方におすすめです。

重松清のおすすめ小説ランキング|短編集やメディアミックス作品

第1位 青い鳥

新潮社 著者:重松清

青い鳥

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吃音を抱える中学教師と、さまざまな傷を抱えた生徒たちの心の触れ合いを描いた重松清の感動作です。全8編からなる連作短編形式が特徴。2008年に主演・阿部寛で映画化もされました。

中学校で国語の非常勤講師を務める村内先生。彼の赴任先で出会った生徒たちは、いじめや親の自殺、児童虐待など、それぞれに重い苦しみを抱えています。そんな生徒の孤独に寄り添い、心を解きほぐしていく過程を描いているのがポイントです。

言葉がつかえてうまく話せないからこそ、大切なことだけを真摯に伝えようとする村内先生の数々の名言が胸に迫ります。小中学生だけでなく、子供時代に傷ついた経験がある大人世代の胸にもあたたかく沁み入る、おすすめの重松清作品です。

第2位 十字架

講談社 著者:重松清

十字架

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2016年に実写映画化された重松清の長編小説。いじめを題材に、のこされた人々の20年にわたる軌跡が描かれます。第44回吉川英治文学賞を受賞した傑作です。

いじめを苦に、中学2年生のときに自殺した藤井俊介ことフジシュンの遺書に「親友」として名前が書かれていた真田裕。しかし、ユウはクラスで起こっていたいじめを止めることなく、ただ黙って見ているだけだったのです。いじめの傍観者は果たして「罪」になるのでしょうか。

後悔を背負いながら大人になっていくユウたち同級生と、息子を奪われた遺族の苦しみや葛藤が交錯する物語。いじめが周囲へどのような影響を与えるのかが、現実味あふれる筆致で表現されています。年代を問わず引き込まれたという読者が多い、おすすめの作品です。

第3位 カレーライス ー教室で出会った重松清ー

新潮社 著者:重松清

カレーライス ー教室で出会った重松清ー

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国語の学習教材にたびたび掲載されている重松清の名作をまとめた短編集です。文庫本には、『カレーライス』『あいつの年賀状』『もうひとつのゲルマ』の3作品を含む、全9編の短編が収められています。

ささいなことで父親に叱られた小学生男子・ひろしを主人公にした表題作『カレーライス』は、国語の教科書にも掲載。謝ればすぐに解決する問題を前に、なかなか素直に謝れないひろしの人間的成長が描かれます。

教科書や問題集を通して、子供の情緒と言葉を育んできたあたたかな短編が揃っている本作品。子供が読むのはもちろん、大人が読んでも子供時代の昔懐かしい気持ちに浸れる、おすすめの1作です。

第4位 疾走 上

KADOKAWA 著者:重松清

疾走 上

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過酷な運命に巻き込まれた15歳の少年の軌跡を追いかける、重松清のヘビーな衝撃作。2005年に主演・手越祐也で実写映画化されています。

舞台は、広大な干拓地と水平線が広がる田舎町。中学生のシュウジは、地元有数の進学校に通う兄と両親の4人で暮らしています。たまに教会を訪れながらシュウジが陸上に励んでいたある日、優秀だったはずの兄が犯罪を犯す事態に。これをきっかけに、一家に壮絶な苦難が襲いかかるのです。

人とつながることだけを切に願い、茨の道を疾走するシュウジの生き様が胸に迫る長編大作。差別に貧困・暴力・絶望といった、重いテーマ性に満ちた世界観が展開されます。重苦しくも読みごたえのある重松清作品に触れてみたい方におすすめです。

第5位 定年ゴジラ

講談社 著者:重松清

 定年ゴジラ

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ドラマ化や舞台化もされた重松清の連作長編小説。老朽化したニュータウンを舞台に、定年後の第二の人生を歩みはじめた4人の男性の姿を描いたヒューマンドラマです。直木賞の候補作にもノミネートされました。

開発から30年が経ち、老朽化の一途を辿るニュータウン。定年を迎えて、娯楽も何もない現実に途方に暮れて町内の散歩を始めた山崎さんに、同じような境遇の仲間ができます。新たな自分の居場所を探す男たちの、哀愁と喜びに満ちた日々を連作形式で追いかける物語です。

1998年に刊行された本作品は、定年退職を迎えた父親やその家族が変化にどのように向き合っていくのかが、ユーモアを交えて描かれます。未来に少し前向きになれるような重松清作品を読みたい方におすすめの1作です。

第6位 かあちゃん

講談社 著者:重松清

かあちゃん

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母の在り方に焦点を当て、8章を通して物語がつながっていく連作短編集です。重松清が初めて「母と子」を描いた作品とされています。

同僚を巻き添えにして、交通事故で亡くなった父。その罪を背負った母は生涯、笑うことも幸せになることも禁じる枷を自ら掛けることにします。一方の僕は、いじめの傍観者として過ごしていた日々の焦りや苦しみをうまく伝えられないでいました。

贖罪に生きる女性を起点に、さまざまな人の視点が絡み合っていく多角的な構成が特徴。精一杯、母としての自分を生きる女性と、母へ言葉にできない思いを抱えた子供たちの姿が描かれます。償うということについて考えさせられる、おすすめの短編集です。

第7位 かぞえきれない星の、その次の星

KADOKAWA 著者:重松清

かぞえきれない星の、その次の星

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誰かに会いたいと願いながら、ままならない現実を生きる人々を描いた重松清の短編集です。2021年に初版、2024年に文庫本が刊行された比較的新しい1作。雑誌「小説 野性時代」に掲載されていた短編に書き下ろしを加えた、全11編がまとめられています。

感染症の流行によって休校になるなか、こいのぼりが子供たちのためにある作戦を立てる『こいのぼりのナイショの仕事』。出張先から帰れず、幼い娘と毎日画面越しに会話する父の姿を綴った『天の川の両岸』。どれも重松清が「会うこと」を意識しながら執筆したという作品が揃っています。

いじめ・戦争体験・感染症・人種問題といった思いテーマをライトなファンタジーで包み込んだ、寓話的な世界観になっているのが特徴。どの短編から読んでも楽しめるため、隙間時間に読みやすい重松清作品を探している方にもおすすめです。

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