“どんでん返しの帝王”と称されるミステリー小説家「中山七里」。人気のシリーズものや、映画化・ドラマ化作品などさまざまなヒット作を執筆しています。速筆の作家としても知られており、続々と新刊が刊行されているため、何から手を付けたらよいか迷う方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、中山七里のおすすめ小説や、作品の魅力について解説します。特に、ミステリーが好きな方は参考にしてみてください。

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ミステリー小説家 中山七里とは?

中山七里は1961年岐阜県に生まれ、2010年『さよならドビュッシー』で、このミステリーがすごい!大賞を受賞し、48歳でデビューしたミステリー小説家です。ペンネームは生まれ故郷の岐阜県の地名「中山七里」から来ています。

幼少のころから読書に親しみ、高校時代から執筆をスタート。花園大学文学部国文学科卒業後は会社員になり、25年執筆から遠ざかっていました。しかし、2006年にミステリー小説家・島田荘司のサイン会に行ったことをきっかけに、小説の執筆を再開。2010年デビューに至りました。

『さよならドビュッシー』をはじめとして、『護られなかった者たちへ』『ドクター・デスの遺産』『作家刑事毒島』など、さまざまな中山七里作品が映画化・ドラマ化されており、知名度の高い小説家のひとりです。

中山七里作品の特徴や魅力

中山七里は斬新な視点を持ち、音楽を題材にしたミステリーや、時代を先取りした社会問題をテーマにした作品が多いのが特徴。音楽が好きな方や社会派ミステリーが好きな方におすすめの小説家です。

「岬洋介シリーズ」「御子柴礼司シリーズ」「刑事犬養隼人シリーズ」など人気のあるシリーズものも多く、順番に読むことでより楽しめます。また、登場人物がリンクしている小説も多いため、読み込み要素があるのも魅力です。

中山七里作品は物語の最初から張り巡らされた伏線や、ラストにかけて読者を欺く秀逸などんでん返しがポイント。”どんでん返しの帝王”と称されています。また、表現力に優れており、人間の感情などがしっかり描かれているのもポイントです。

ほかにも、中山七里は速筆で知られています。数多くの連載を抱えていたり、新刊刊行ペースが早いときで2ヵ月おきだったりと、質と量のどちらにも秀でている小説家です。

中山七里のおすすめ小説

さよならドビュッシー

宝島社 著者:中山七里


さよならドビュッシー

中山七里のデビュー作にして、このミステリーがすごい!大賞を受賞した音楽ミステリー小説。シリーズ累計162万部を突破した人気の「岬洋介シリーズ」第1作品目で、映画化もされました。「音楽ミステリーシリーズ」ともいわれています。

ピアニスト・岬洋介が周囲で起こる事件を解決していく物語。ピアニストを目指す16歳の遥は、祖父と従姉妹とともに火事に遭い、全身火傷を負いながらも1人生き残りました。

それでも、彼女はピアニストになることを堅く誓い、コンクール優勝を目指してレッスンに励みます。しかし、遥の周囲で不吉な出来事が次々と起こり、殺人事件まで発生するのです……。

大がかりなトリックや、予想もつかない衝撃的などんでん返しが楽しめます。また、音楽の表現が美しく、臨場感にあふれているのもポイント。中山七里の秀逸なデビュー作に触れたい方や、音楽が好きな方におすすめの小説です。

護られなかった者たちへ

宝島社 著者:中山七里


護られなかった者たちへ

中山七里が日本の社会福祉制度の限界に挑んだといわれる、社会派ヒューマンミステリー小説。2021年に映画化され、文庫本は発売から2ヵ月足らずで35万部を突破した人気作品です。

仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体となって発見されます。三雲は誰もが口をそろえて”人格者”という人物で、怨恨殺人とは考えにくいうえ、物盗りの可能性も低く捜査は難航。しかし、事件数日前に1人の模範囚が出所しており、彼は過去に起きたある出来事の関係者を追っているといいます。

その後、第2の被害者が発見されたのです……。男の目的は何でしょうか。そして、三雲はなぜ無惨な殺され方をしたのでしょうか。

日本の制度に翻弄される、当事者の怒り、悲しみ、葛藤、正義などの感情がぶつかり合うさまに、胸を打たれる読者が多い1冊。社会問題を扱った、衝撃と感動の中山七里作品に触れたい方におすすめです。

贖罪の奏鳴曲

講談社 著者:中山七里


贖罪の奏鳴曲

中山七里の新たな傑作とされ、「正義」や「贖罪」の意味を問う法廷ミステリー小説です。リーガルサスペンス「御子柴礼司シリーズ」の第1作品目で、悪辣弁護士・御子柴礼司の逆転法廷劇を描いた作品。ドラマ化もされました。

主人公・御子柴礼司は、被告人に多額の報酬を要求する悪辣な弁護士。14歳のときに幼女バラバラ殺人を犯し、少年院に収監された彼は、名前を変えて弁護士になりました。

ある晩、御子柴は記者の死体を遺棄。死体を調べた警察は彼にたどり着き、事情を聞きます。しかし、御子柴には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があったのです……。

スタートの衝撃やどんでん返しの連続などにより、物語に引き込まれる読者が多い1冊。御子柴の過去や罪、圧巻の法廷劇など読み応えのあるおすすめの中山七里作品です。

切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

KADOKAWA 著者:中山七里


切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人

中山七里が臓器移植をテーマに描いた、社会派本格ミステリー小説。シリーズ累計40万部を突破した、警察医療ミステリー「刑事犬養隼人シリーズ」の第1作品目で、ドラマ化もされました。

本作品では、深川警察署の目の前にある公園で、臓器をすべてくり抜かれた遺体が発見されます。残忍な殺人事件に捜査本部が混乱するなか、テレビ局に”ジャック”を名乗る犯人からの声明文が届きました。さらに、第2の事件が起こり、警視庁捜査一課・犬養が捜査に乗り出します。

現代医療に関する社会問題に対して大胆に切り込んでおり、考えさせられる内容です。話者の視点が変わり、一気読みしやすい作品。中山七里自身が”どんでん返し率最大”と発言している、おすすめのミステリー小説です。

ヒポクラテスの誓い

祥伝社 著者:中山七里


ヒポクラテスの誓い

死者の声なき声を聞き、遺体の真実を暴く、迫真の法医学ミステリー小説。「ヒポクラテスシリーズ」第1作品目で、ドラマ化もされました。

主人公・栂野真琴は、浦和医大の法医学教室に試用期間として入った研修医。彼女を出迎えたのは、法医学の権威で偏屈者の光崎藤次郎教授と、死体好きの外国人准教授キャシー・ペンドルトンでした。

光崎は凍死や事故死など、事件性のない遺体を強引に解剖しており、刑事に”既往症のある遺体が出たら教えろ”と指示していました。彼の真意とは一体何でしょうか。解剖委の矜持や真琴の情熱が、隠された真実を導き出します。

物語が1章ごとに分かれているので、テンポよく読みやすい作品。ラストに作品全体を貫く仕掛けがあります。中山七里の法医学ミステリーに触れたい方におすすめの小説です。

連続殺人鬼カエル男

宝島社 著者:中山七里


連続殺人鬼カエル男

猟奇的な殺人鬼を描いた、戦慄のサイコサスペンス小説です。このミステリーがすごい!大賞に『さよならドビュッシー』とともに、最終候補として史上初めてダブルエントリー。”こっちを読みたい!”という声が続出し、刊行された作品で、ドラマ化もされました。

マンションの13階から、フックでぶら下げられた女性の全裸死体が発見されます。傍らには、子供が書いたような稚拙な犯行声明文がありました。それが、住民たちを恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だったのです。

警察の捜査が進展しないまま、第2第3と殺人事件が発生し、町中はパニックに陥ります。カエル男の正体とは何なのでしょうか。

どんでん返しにつぐどんでん返しで、読む手が止まらない魅力があります。中山七里作品ではおなじみの刑事、古手川や渡瀬の活躍もポイント。中山七里のどんでん返しを存分に味わいたい方におすすめの小説です。

総理にされた男

宝島社 著者:中山七里


総理にされた男

“もしあなたが、突然総理になったら。”を描いた、ポリティカル・エンターテインメント小説。タイトル通り、総理の替え玉として総理にされた売れない舞台役者が、国民の怒りや願いを代弁した作品です。

総理そっくりの容姿に目を付けられ、主人公・加納慎策は官房長官に”しばらく総理の替え玉をやってくれ”と引っさらわれます。

意識不明の総理の代理といいますが、政治知識はかけらも持っていない加納。そんな彼に野党や官僚との対決、海外で起こる史上最悪の事件など、不条理な現実が直面します。

政治・経済・外交の世界が分かりやすく、感動的に描かれた小説。怒涛の展開で一気読みしやすく、爽快な読後感を味わえます。政治に興味がある方や、エンターテインメント性の高い中山七里作品に触れたい方におすすめです。

作家刑事毒島

幻冬舎 著者:中山七里


作家刑事毒島

コメディータッチの、ノンストップミステリー小説です。異色の作家刑事・毒島真理が活躍し、人間の業や出版業界の闇を暴く中山七里作品。「作家刑事毒島シリーズ」の第1作品目で、ドラマ化もされました。

新人賞選考に関わる、編集者の刺殺死体が発見されます。3人の作家志望者が容疑者に浮上しますが、捜査は難航。捜査一課の新人刑事・高千穂明日香の前に現れた助っ人は、人気ミステリー作家で、刑事技能指導員の毒島真理でした。彼は冴えわたる推理や、鋭い弁舌で犯人を追い詰めていきますが……。

“虫も殺さないような善人面”という設定ながら超が付くほど毒舌な毒島が、出版業界の人間たちを一刀両断していく痛快な物語。個性的なキャラクターや、ブラックな笑いを楽しめるおすすめの中山七里作品です。

能面検事

光文社 著者:中山七里


能面検事

中山七里が”新たな名探偵を生み出した”といわれる、驚愕の検察ミステリー小説。検事・不破俊太郎が大阪府警の暗部を暴いていく物語です。

どんな圧力にも屈せず、みじんも表情を変えないことから、陰で”能面”と呼ばれている大阪地検一級検事の不破。彼は、新米事務次官・惣領美晴と、西成ストーカー殺人事件の殺人事件を調べていました。

そのなかで、容疑者のアリバイを証明し、捜査資料が一部なくなっていることに気づきます。これが、大阪府警を揺るがす一大スキャンダルに発展するのです……。

空気を読まず忖度もしない不破の鮮やかな謎解きや、巨大な組織に屈せず立ち向かっていくさまに、魅せられる読者も多い1冊。探偵ものの要素もあるため、推理小説が好きな方にもおすすめの中山七里作品です。

合唱 岬洋介の帰還

宝島社 著者:中山七里


合唱 岬洋介の帰還

親友の絶体絶命の危機を救うため、ピアニスト・岬洋介が活躍する音楽ミステリー小説。人気シリーズ「岬洋介シリーズ」の第7作品目で、中山七里の作家生活10年、構想5年の集大成ともされる作品です。

幼稚園で幼児らを惨殺した「平成最悪の凶悪犯」仙街不比等。検事・天生は彼の担当検事になります。しかし、取り調べ中に天生は突然意識を失い、目を覚ましたときには、目の前に仙街の銃殺死体があったのです。

指紋や硝煙反応などにより、身に覚えのない殺害容疑で逮捕された天生。そんな彼を救うべく、岬洋介が地球の裏側から急遽駆け付けます。

本作品には、中山七里作品ではおなじみの刑事・犬養隼人や弁護士・御子柴礼司など、主要人気キャラクターが続々と登場するのがポイント。シリーズのファンはもちろん、中山七里作品への理解を深めたい方にもおすすめの1冊です。

境界線

NHK出版 著者:中山七里


境界線

中山七里が復興の闇や人々の祈りを描いた、社会派ヒューマンミステリー小説。人気作品『護られなかった者たちへ』に続く、「宮城県警シリーズ」の第2作品目です。

前作と同じく宮城県捜査一課が舞台で、東日本大震災の行方不明者と、個人情報ビジネスという復興の闇を照らし出す物語。震災によって引かれてしまった「境界線」に翻弄される、人々の行く末を描いています。

超えるか踏みとどまるか、善と悪、生者と死者など、誰にでもある「境界線」について考えさせられる1冊。慟哭必須ともいわれており、胸を打たれるシリアスな中山七里作品に触れたい方におすすめです。

魔女は甦る

幻冬舎 著者:中山七里


魔女は甦る

恐怖と驚愕のどんでん返しミステリー小説。中山七里がデビュー前に、このミステリーがすごい!大賞に応募し、最終選考まで残った作品です。

製薬会社・スタンバーグ製薬に勤めていた元薬物研究員の、肉と骨が散乱するバラバラ殺人事件が起きます。埼玉県警の槙畑は捜査を開始しますが、会社は2ヵ月前に閉鎖され、社員も行方が分かりません。同時に、生後4ヵ月の嬰児誘拐と、繁華街で日本刀による無差別殺人事件が起きます。

それぞれの事件は、繋がりを見せながら衝撃と驚愕のラストへとなだれ込んでいくのです……。なぜ研究員は殺されなければならなかったのでしょうか。そして、槙畑は犯人にたどり着けるのでしょうか。

ハラハラドキドキの展開で一気読みしやすい1冊。中山七里の原点ともいわれる、どんでん返しを楽しみたい方におすすめの小説です。

テミスの剣

文藝春秋 著者:中山七里


テミスの剣

「司法制度」や「冤罪」がテーマの、社会派ミステリー小説。中山七里のシリーズではおなじみの渡瀬警部が、「刑事の鬼」になるまでの前日譚です。

昭和59年の台風の夜、埼玉県浦和市で不動産会社を経営する夫婦が殺害されました。浦和署の若手刑事・渡瀬はベテラン刑事・鳴海とコンビを組んで、楠木青年へ過酷な聴取をします。結果、犯行の自白を得ますが、楠木は裁判で供述を一転。しかし、死刑が確定し、楠木は獄中自殺をしてしまいます。

事件から5年後の冬、同一管内で発生した窃盗事件をきっかけに、渡瀬は昭和59年の殺人事件に真犯人がいる可能性に気づきました。そして、彼は警察内部の妨害と戦いながら、過去の事件を洗い直していきますが……。

どんでん返しの伏線が巧妙に隠されており、ラストまで二転三転するスリリングな展開が魅力。エンターテインメント性にあふれた、中山七里の本格ミステリーに触れたい方におすすめです。

ネメシスの使者

文藝春秋 著者:中山七里


ネメシスの使者

「死刑制度」をテーマに描いた社会派ミステリー小説。司法の矛盾や闇に鋭く斬り込んだ中山七里作品のひとつで、『テミスの剣』の渡瀬刑事が事件の謎を追う物語です。

死刑判決を免れた殺人犯らの家族が、次々に殺される事件が起きます。現場に残されていたのは、ギリシア神話で「義憤」の女神を意味する”ネメシス”という血文字。遺族による加害者への復讐、司法制度に対するテロ、ネメシスの真の狙いとは何なのでしょうか。

被害者遺族・加害者家族・刑事・弁護士などと、さまざまな事件関係者にスポットを当てているのがポイント。中山七里のどんでん返し作品のなかでも、屈指の強烈なラストが待ち受けるといわれているおすすめの小説です。

静おばあちゃんにおまかせ

文藝春秋 著者:中山七里


静おばあちゃんにおまかせ

元裁判官の祖母と、彼女の孫娘が難事件を解決していく中山七里作品です。予想外の物語で、一気読み必至といわれる痛快ミステリー「静おばあちゃんシリーズ」の第1作品目。2018年にはドラマ化もされています。

警視庁一課の刑事・葛城公彦は平凡な青年です。彼は天才的なひらめきや鋭い洞察とは無縁ですが、ガールフレンド・高遠寺円に助けられて難事件に立ち向かっていきます。

彼女のブレーンは元裁判官の静おばあちゃん。円は何があったかを静おばあちゃんに逐一報告しますが、彼女は家から一歩も出ない「安楽椅子探偵」として事件を解決に導いていきます。

中山七里作品らしいどんでん返しも楽しめ、最後まで油断できない物語が魅力。5編の連作短編集のため読みやすく、安楽椅子探偵が好きな方や、ミステリー初心者にもおすすめです。

絡新婦の糸ー警視庁サイバー犯罪対策課ー

新潮社 著者:中山七里


絡新婦の糸ー警視庁サイバー犯罪対策課ー

2023年11月に刊行された、中山七里の新刊小説。正義面をするSNSのインフルエンサーの素顔を暴く、サスペンス・社会派ミステリーです。

ネット界最恐といわれる情報通の「市民調査室」。芸能人の醜聞や財政界の不祥事といった、さまざまな暴露ネタで物議を醸していました。しかし、あるときから投稿にフェイクが混ざり始め、ネットリンチを煽るようになります。

そして、ある日ネットの炎上が現実に飛び火し、人命にかかわる事態に発展。サイバー犯罪対策課・延藤は執念深く調査を進め、特定寸前まで追い詰めますが……。

他人事ではないSNSをテーマにした、体中が粟立つようなサスペンス。題材の新しい中山七里作品を読みたい方におすすめです。

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