“社会派小説の巨匠”として高い人気を有する国民的作家・山崎豊子。『白い巨塔』『華麗なる一族』といったベストセラー作品を手がけ、メディア化でも大きな話題を集めました。取材に裏打ちされた、リアリティあふれる世界観が山崎豊子作品の持ち味です。
今回は、山崎豊子が発表した小説からおすすめをご紹介。たびたびドラマ化もされている傑作や戦争のリアルを捉えた骨太な長編など、数々の名作をラインナップしているのでチェックしてみてください。
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山崎豊子とは?

1924年大阪府生まれの小説家・山﨑豊子。老舗の昆布商の長女として生まれ、大学卒業後は毎日新聞社大阪本社に入社します。会社員として勤務するなかで執筆を続け、1957年に刊行した『暖簾』で作家デビューを果たしました。
デビューの翌年に発表した『花のれん』で第39回直木三十五賞を受賞。その後も『白い巨塔』『華麗なる一族』といったヒット作を次々と手がけ、小説家としての知名度を高めていきます。1991年には菊池寛賞を受賞し、2013年に逝去しました。
作家としては比較的寡作で知られる山崎豊子。しかし、その多くがメディア化されており、『白い巨塔』を筆頭に日本社会で大きな話題を集めました。「社会派小説」の金字塔を打ち立てた、国民的作家です。
山崎豊子作品の魅力

“社会派小説の巨匠”と評される山崎豊子。当時の社会を鋭い視点で捉え、深く切り込んでいく骨太な物語に定評があります。複数巻にわたる長編大作が多いものの、ドラマチックな展開や重厚な人間ドラマの数々に読者も入り込みやすいのが山崎豊子作品の魅力です。
記者経験に裏打ちされた取材力も山崎豊子の持ち味。作品ごとに徹底した取材と緻密な構成が重ねられており、細部までリアリティを感じられる世界観が見どころです。医療や戦争といった幅広いテーマを通して、戦後の日本の光と闇の側面が表現されています。
山崎豊子作品では、人間の生々しい欲望や葛藤が巧みに描かれているのもポイント。現代の読者にとっても考えさせられる問題提起と普遍的な人間模様が、時代を超えて愛され続けています。
山崎豊子のおすすめ作品
華麗なる一族 上
新潮社 著者:山崎豊子
高度経済成長期を背景に、巨大銀行家一族に渦巻く人間の欲望を暴いたおすすめの長編経済小説。複数回にわたって映画化やドラマ化もされた、山崎豊子の代表作のひとつです。
業界ランク10位に名を連ねる阪神銀行の頭取・万俵大介は、都市銀行再編の動きを前に苦境に立たされていました。大介は長女・一子の夫を通じて上位銀行の経営情報を入手し、逆に自分たちが上位銀行を吸収合併しようと企てます。
銀行や企業の生き残りをかけた政治闘争に、華麗な富豪一族内部のさまざまな思惑や嫉妬が絡み合う泥沼の群像劇が描かれているのが魅力。上中下巻からなる長編大作ながら、一気読みしたという読者も多い山崎豊子の傑作です。
不毛地帯 一
新潮社 著者:山崎豊子
高度経済成長期の日本を舞台に、過酷なシベリア抑留から帰国した男が総合商社で世界を相手に戦う姿を描いた、山崎豊子のベストセラー小説です。週刊誌での連載中から大きな反響を呼び、実写映画も大ヒットを記録しました。
大本営参謀を務めていた壹岐正は終戦後、満州でソ連軍に抑留され、極寒のシベリアで11年にわたる強制労働を耐え抜きます。1956年に帰還した壹岐はその経歴を買われ、近畿商事に入社。第二の人生を商社マンとして歩むことを決意します。
戦争体験という葛藤を抱えながら、政財界も巻き込んだ激しい商戦に挑むことになる壹岐。彼の孤独な闘いと戦後復興を成し遂げようとする日本の姿が壮大なスケールで描かれます。胸が熱くなるような経済小説が好きな方におすすめの山崎豊子作品です。
沈まぬ太陽 1 アフリカ篇 上
新潮社 著者:山崎豊子
実際のジャンボ機墜落事故を背景に、巨大組織のなかで生きる企業人の闘い描き出した山崎豊子の巨編。”山崎豊子文学の最高峰”とも評される名作です。映画化やドラマ化もされ、累計部数は700万部を突破しています。
日本を代表する大企業・国民航空のエリートとして、将来を期待されていた恩地元。しかし、労働組合の委員長として会社と対立した結果、アフリカへと海外左遷されてしまいます。そんな流刑ともいえる日々は10年に及ぼうとしていました。
全5巻の大きく3部構成で次々と舞台が転換していくのが特徴です。「空の安全」をテーマに、巨大航空会社の不条理に翻弄されながらも、社会倫理を問い続ける恩地の奮闘が見どころ。山崎豊子作品のなかでもノンフィクション要素が強いとされる、おすすめの1作です。
白い巨塔 一
新潮社 著者:山崎豊子
山崎豊子の最高傑作とも名高い傑作長編小説。大学病院を舞台に、それまでタブー視されていた医学界の内情を暴き出し、当時の日本社会に大きな衝撃を与えました。国内外でたびたび映像化もされています。
財前五郎は国立大学の医学部第一外科助教授として、マスコミからも注目を集めているエリート。次期教授の座に着くと誰もが考えていました。しかし、現教授の東は傲慢な財前を認めず、他大学からの後任確保へと動き出すのです。
教授を絶対的なトップとする大学病院の医局制度の問題点や、教授の座を争う激しい権力闘争を描き出した本作品。さまざまな欲望と思惑が絡み合う重厚な人間ドラマのなかに、人の生き様がドラマチックに描かれた、山崎豊子を代表する名作です。
大地の子 一
文藝春秋 著者:山崎豊子
中国人に育てられた戦争孤児の青年の、迫害と葛藤の日々を追いかける山崎豊子の大河小説です。山崎豊子が完成まで8年もの歳月をかけたという巨編。1990年に第52回文藝春秋読者賞を受賞し、ドラマ化されているほか、舞台化も予定されています。
日本の敗戦後、旧満州国で家族と離ればなれになってしまった少年は、中国人の教師夫妻に引き取られます。名前を陸一心と改め、愛情深く育てられますが、やがて中国では文化大革命が巻き起こる事態に。一心は肉親への情と中国への思いに揺れ動き……。
中国残留孤児が直面した壮絶な人生の道のりを、戦後の中国情勢と絡めながら描き出していくのがポイント。戦争の不条理を、山崎豊子が日中双方への徹底的な取材をもとに緻密に表現した、おすすめの大作です。
暖簾
新潮社 著者:山崎豊子
“山崎文学の原点”として知られる、山﨑豊子のデビュー作です。山﨑豊子の生家をモチーフに、店の暖簾を守り続ける大阪商人の奮闘が親子二代にわたって描かれます。
年季奉公の少年時代から苦労の末に築いた店も、戦争で奪われてしまった吾平。亡くなった長男に代わり、吾平の跡を継いだのは次男・孝平でした。孝平は大学出身のインテリ商人と笑われながらも、本店の再興のために闘い続けます。
戦後の動乱期から高度成長期に至るまでの日本を背景に、商業モラルを徹底しながら店を守ることに奮闘する商人の姿を追った1作。商売に対する根性とプライドを感じられる、人情味あふれる物語が好きな方におすすめの山崎豊子作品です。
運命の人 一
文藝春秋 著者:山崎豊子
沖縄返還密約事件を題材に、国家権力とジャーナリズムの間で揺れる男の闘いを全4巻で描いた長編小説。2012年にドラマ化もされた、山﨑豊子の人気作です。
1971年の春、新聞社に勤める政治部記者・弓成亮太は、沖縄返還交渉に関する日米間の密約文書の存在を知ります。大スクープとして記事にしはじめたところ、国家権力の逆鱗にふれてしまう弓成。やがて、一大スキャンダルの渦中へと巻き込まれていくのです。
不屈の精神で権力に立ち向かおうとする新聞記者と、そんな夫を支える覚悟を決めた妻や周囲の人々の生き様が描かれます。戦後の日本が抱えていた沖縄とジャーナリズムの問題に山崎豊子が正面から向き合った、おすすめの1作です。
花のれん
新潮社 著者:山崎豊子
第39回直木三十五賞に輝いた、山崎豊子の初期の代表作。明治から昭和の激動の時代を生き、大阪で女性プロデューサーの先駆けとして道を切り拓いた女性興行師の生涯を追いかける大河小説です。2025年にもドラマが放送されました。
主人公・多加が嫁いだ船場の呉服店店主・吉三郎は、家業ではなく芸事に興味津々。そんな吉三郎を見かねて、多加は道楽を本業にすることを勧めます。2人は店を廃業して寄席を始めますが、吉三郎が急死し、多加は自らが寄席を支える覚悟を決めるのです。
吉本興業の創業者・吉本せいをモデルに、山崎豊子がショービジネスの世界に人生を捧げた女性の生き様を描き出した本作品。当時の女性としてのあり方や悩みが情緒豊かに表現されています。女性実業家の痛快な奮闘ぶりが魅力的な、おすすめの名作です。
二つの祖国 一
新潮社 著者:山崎豊子
山崎豊子が第二次世界大戦前後の日系アメリカ人たちの悲劇に迫った、全4巻からなる大河巨編です。2019年にテレビドラマ化も果たしました。
物語の中心は、アメリカに生まれ、アメリカ人として育った日系2世の人々。ロサンゼルスに社を構える邦字新聞・加州新報の記者・天羽賢治と、その家族も日系2世でした。しかし、日米が開戦へと踏み切り、彼らは日本とアメリカの板挟みになってしまいます。
戦争に翻弄された日系2世の過酷な人生を描いた山崎豊子作品。自身のアイデンティティに揺らぐ天羽を軸に、祖国とは何かを痛切に問いかけます。重厚なテーマが数多く盛り込まれた、おすすめの1作です。
女系家族 上
新潮社 著者:山﨑豊子
女系家族の遺産相続争いを題材に、人間のエゴと欲望を抉り出した山﨑豊子のロングセラー小説。映画のほか、テレビドラマも反響を集めました。
大阪・船場の老舗木綿問屋・矢島家は、跡継ぎ娘に養子婿をとることを継承してきた女系の一家。四代目・嘉蔵が亡くなったことを受け、3人の娘と親戚一同の前で遺言状が読み上げられます。そこには、莫大な財産の分配方法に加えて妾の存在まで記されており……。
3姉妹に愛人を交え、女同士が壮絶な相続争いを繰り広げます。人間の業の深さを山崎豊子ならではの筆致で描きつつ、衝撃的な展開も多くの読者を驚かせました。ドロドロとした人間模様を味わえるヒューマンドラマが好きな方におすすめです。
戦争による悲劇や当時の社会問題に鋭く切り込んだ山崎豊子。重厚な長編大作が多い一方で、魅力的な登場人物たちが奮闘するドラマチックな物語は読みやすさにも定評があります。まるでノンフィクションのように作り込まれた世界観は、じっくり物語に浸りたいときにもおすすめです。ぜひ山崎豊子作品を堪能してみてください。