子どものために書かれた物語を指す「童話」。童話にはストーリーがしっかりとしたモノや教訓が含まれるモノも多くあります。大人が子どもに読み聞かせるだけでなく、国語力を身につけ始めた子どもが1人で読む本としてもおすすめです。
今回は、海外と日本の童話からおすすめの作品をご紹介。古くから伝わる昔話を元にした作品や、創作童話の人気作も取り揃えました。ぜひお気に入りの1冊を見つけてみてください。
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童話のおすすめ|海外
エルマーのぼうけん
福音館書店 作:ルース・スタイルス・ガネット 絵:ルース・クリスマン・ガネット 訳:わたなべ しげお
9歳の男の子・エルマーの冒険と友情を描いた「エルマーのぼうけんシリーズ」の第1作目。1949年にアメリカの権威ある文学賞・ニューベリー賞を受賞し、半世紀以上にわたって愛される童話の名作です。2022年には、NETFLIXで映画化もされています。
年老いた猫から、どうぶつ島に囚われている竜の子どもについての話を聞いたエルマー。竜を解放するために、エルマーは身近な道具をリュックに詰めてどうぶつ島へ冒険の旅にでます。しかし、島にはライオンやサイなどの恐ろしい動物たちが待ち受けており…。
機転をきかせてさまざまな危機に立ち向かうエルマーの冒険模様に、ハラハラドキドキさせられます。小学生が読書の面白さに触れるきっかけとしてもおすすめの童話です。
てぶくろ
福音館書店 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ 訳:うちだ りさこ
落とし物の手袋に動物たちが次々と住み着いていく、不思議でキュートな童話。ウクライナの民話から生まれ、1965年の刊行から日本でも長く愛されているロングセラー作品です。
おじいさんが森に落とした片方の手袋を見つけたネズミは、その中に住むことにします。すると、カエルやウサギなどの動物たちが次々とやって来て、”わたしもいれて”と仲間入りするのです。そのうちに手袋はどんどん大きくなっていき…。
さまざまな動物たちが登場し、ページをめくるたびに手袋がどうなっていくのか新鮮な驚きがあるのが本作品の見どころ。民族衣装を着た動物たちのリアリティあふれる表情にも注目してみてください。3歳頃から読み聞かせられるおすすめの童話です。
ブレーメンのおんがくたい
福音館書店 作:グリム 絵:ハンス・フィッシャー 訳:せた ていじ
飼い主に見放された動物たちが、ブレーメンの街の音楽隊になるべく旅に出るドイツの童話。グリム兄弟がドイツの民話を収集・編纂した『グリム童話』の人気作です。『グリム童話』は2005年にユネスコ世界記憶遺産にも登録されています。
年をとって働けなくなってしまったロバ・犬・猫・オンドリの4匹は、音楽隊に入れてもらうため、ブレーメンを目指しはじめます。日が暮れて辿り着いたのは、なんと泥棒たちの家。4匹は泥棒を追い払うために、ある作戦を立てるのです。
動物たちが協力しあって、自分たちの居場所探しの旅に出る愉快な1作。勧善懲悪的な展開の童話を読みたい方におすすめのグリム童話です。
三びきのやぎのがらがらどん
福音館書店 絵:マーシャ・ブラウン 訳:せた ていじ
ノルウェーの昔話を元にした海外の名作童話です。1957年にアメリカで刊行された作品。3匹のヤギ「がらがらどん」がトロルに知恵で立ち向かう物語です。
同じ名前の3匹のヤギは、橋の向こう側にある山に草を食べに行こうと思い立ちます。しかし、橋をわたる途中で恐ろしいトロルに遭遇。ヤギたちは機転をきかせますが、果たして3匹とも無事に橋を渡りきれるのでしょうか。
3匹がどのように橋を渡るのかが本作品の見どころ。色鮮やかで迫力あふれる絵も物語をドラマチックに引き立てます。4歳頃から読み聞かせるのがおすすめの童話です。
3びきのくま
福音館書店 文:トルストイ 絵:バスネツォフ 訳:おがさわら とよき
ロシアの文豪、レフ・トルストイがイギリスの古い民話をもとにした有名な童話。森で迷子になった女の子がクマの住む家に迷い込んでしまうという、ハラハラドキドキとしたストーリーが長く子どもたちに支持されています。
迷子になった女の子は、森で小さな家を見つけます。家の中には大中小のお椀やベッドがあり、家主の姿はありません。思わず小さなベッドで眠りについてしまった女の子。しかし、その家は3匹のクマの親子が住む家だったのです。
クマの家で、何も知らずに自由に振る舞う女の子は果たしてどうなってしまうのでしょうか。ストーリーはもちろん、クマの一家のキュートな暮らしぶりにも注目したいおすすめの童話です。
ぼくはめいたんてい きえた犬のえ 新装版
大日本図書 文:マージョリー・W・シャーマット 絵:マーク・シーモント 訳:光吉夏弥
アメリカ発の「ぼくはめいたんていシリーズ」の第1作目。少年名探偵・ネートが、さまざまな日常の謎を推理していく人気童話です。
ネートはホットケーキが大好きな男の子。ある日、ネートの仲良しのアニーから、絵を探してほしいと依頼されます。アニーが黄色で描いた犬の絵がどこかに消えてしまったというのです。ネートの見事な謎解きが始まります。
簡潔な文章で読みやすい童話でありながら、二転三転する本格的な謎解きを味わえるのがポイント。シリーズはそれぞれ独立した物語なので、どの作品から読んでも楽しめます。子どもが初めて読むミステリーとしてもおすすめの童話です。
あかいくつ
偕成社 作:アンデルセン 絵:いわさきちひろ 文:神沢利子
デンマークの童話作家・アンデルセンが手掛けた『アンデルセン童話』のうちの1作。赤い靴を履いて教会に行った少女の悲しくも不思議な運命を描いた創作童話です。
主人公は、赤い靴がお気に入りの少女・カーレン。履いていってはいけない教会にさえ赤い靴で訪れてしまいます。そんなある日、赤い靴を履いたカーレンの足は勝手に踊り始め…。
他者へ感謝の心を忘れない大切さや、間違いを反省することの重要性など、多くの教訓が込められています。アンデルセン童話のダークであたたかな世界観とともに、大人も考えさせられるおすすめの1作です。
おおきなかぶ
福音館書店 再話:A・トルストイ 絵:佐藤忠良 訳:内田莉莎子
おじいさんたちが大きく育ったかぶを引っこ抜くために奮闘する童話の人気作。絵本としても評価が高く、教科書にも掲載されるロシアの昔話です。
おじいさんが植えたかぶは、とてつもなく大きく成長。力いっぱい抜こうとしますが、なかなかかぶは抜けません。おじいさんはおばあさんを呼び、さらに孫や犬、猫まで応援に呼び寄せます。
繰り返される”うんとこしょどっこいしょ”という掛け声は愉快なリズム感があり、子どもが音読するのにもおすすめ。親子で楽しみながら読める童話を探している方はぜひ手に取ってみてください。
ふたりはともだち
文化出版局 作:アーノルド・ローベル 訳:三木卓
世界中で愛される童話の不朽の名作「がまくんとかえるくんシリーズ」の第1作目。仲良しのカエルの友情を描いた短編が5編収録されています。本作品収録の『おてがみ』は教科書にも採用され、子どもから大人まで高い人気を集めてきました。
正反対な性格ながら仲がよい、がまくんとかえるくんの2匹が本シリーズの主人公。2匹が過ごす何気ない日常が、情緒豊かにユーモラスに描かれています。
クスッと笑える軽妙なやり取りや、お互いを思いやるあたたかなエピソードなど見どころが多数。短編なので読書が苦手な子どもも飽きずに読みやすく、贈りものにもおすすめの童話です。
あおい目のこねこ
福音館書店 作・絵:エゴン・マチーセン 訳:せた ていじ
青い目の子猫がさまざまな困難を乗り越えながら冒険する、海外の創作童話です。デンマークを代表する絵本作家、エゴン・マチーセン自身が手掛けた挿絵にも注目してみてください。
お腹を空かせた青い目の子猫は、ねずみの国を探しに出ることにします。トラブルに見舞われながらも、前向きに旅を続ける子猫。途中、同じくねずみの国を探す黄色い目の5匹の猫たちに出会い、一緒に暮らし始めますが…。
前向きな姿勢と考え方で胸を張って生きる子猫の姿に、元気と勇気をもらえます。ありのままの自分を肯定したくなる、大人にもおすすめの童話です。
王さまと九人のきょうだい
岩波書店 絵:赤羽末吉 訳:君島久子
9人のそっくりな兄弟が、王様の無理難題に立ち向かう童話です。中国の少数民族の民話を、日本で初めて国際アンデルセン賞画家賞を受賞した赤羽末吉が迫力のある絵で表現しました。
子どものいないおじいさんとおばあさんは、老人から9人の赤ん坊を授かります。立派な青年に育った兄弟は、顔も体つきもそっくり。そんなある日、兄弟は王様の宮殿で倒れた柱を直した者には褒美が与えられるという話を聞きつけます。
それぞれに違う特技を持った兄弟が、得意分野で王様の命令を成し遂げていく痛快さが魅力の童話。子どもと大笑いしたという読者も多い、おすすめの海外絵本です。
おおかみと七ひきのこやぎ
福音館書店 作:グリム 絵:フェリクス・ホフマン 訳:せた ていじ
子ヤギたちの家にオオカミがやって来る、『グリム童話』の有名な1作です。本作品はスイスの作家、フェリクス・ホフマンが巧みな構図と深みのある鮮やかな絵で物語を表現し、ドイツ児童書優秀賞を受賞しています。
母親が留守の間、オオカミを家に入れないよう言いつけられた子ヤギたち。オオカミの声や足の色を見抜いて、オオカミを追い払っていました。しかし、知恵を働かせたオオカミは、子ヤギたちを騙すためにある工夫を施します。
本作品では原作の展開が余すことなく忠実に表現されているのがポイント。子ヤギたちがどうなってしまうのか、衝撃的なエンディングまで目が離せません。本格的な海外の昔話を読みたい方におすすめの1作です。
トラのじゅうたんになりたかったトラ
岩波書店 作・絵:ジェラルド・ローズ 訳:ふしみ みさを
トラがとんでもないアイデアで宮殿に入り込む、愉快であたたかな人気作。英語圏の優れた絵本に贈られるケイト・グリーナウェイ賞を受賞した作家、ジェラルド・ローズが手掛けた創作童話です。
痩せこけたトラは、宮殿の広間で楽しそうに食事をしている王様一家の仲間に入りたくてたまりませんでした。そんなある日、宮殿の庭にトラの絨毯が干されているのを目撃し…。
不憫な目に遭いながらも一生懸命なトラの姿が魅力的な1作。しっかりとしたストーリー構成で、読み応えがあります。愉快で面白い童話を読みたい方におすすめの作品です。
おおきな木
あすなろ書房 作:シェル・シルヴァスタイン 訳:村上春樹
無償の愛が胸を打つ世界的な名作童話を、人気作家・村上春樹が翻訳した絵本。少年を見守り続ける大きなりんごの木の切ない愛に満ちた物語です。
幼い頃から少年が遊んでいた大きな木は、少年のことが大好き。いつまでも変わらずそこにある木に対し、少年はすくすくと成長していきます。やがて大きくなり木と遊ばなくなった少年は、木にあるお願いをするのです。
愛するとは何かを淡々としたストーリーのなかに描いた本作品は、読み返すたびにさまざまな解釈を楽しめるのが魅力。小学校低学年の子どもだけでなく、中高生にもおすすめの童話です。
わすれられないおくりもの
評論社 作・絵:スーザン・バーレイ 訳:小川仁央
イギリス人作家、スーザン・バーレイの心に沁みる創作童話。物知りで、誰からも頼りにされていたアナグマの死から物語は始まります。
かけがえのない友を失った悲しみで、野原の仲間たちは深い悲しみを抱えたまま冬を越すことになりました。しかし、自分に死が迫っていることも知っていたアナグマは、仲間たち1人1人に素敵な贈り物を遺していたのです。
身近な人を失った悲しみをどのように乗り越えるのかを、あたたかく優しいエピソードのなかに描いているのがポイント。「死」の意味や、残された側の生き方について考えるきっかけをくれる、おすすめの童話です。
きたかぜとたいよう
岩崎書店 絵:山福朱実 文:蜂飼耳
紀元前6世紀ごろに古代ギリシア人が語ったとされる『イソップ童話』のなかの1作。北風と太陽の競争を、ダイナミックな絵とオノマトペで表現したおすすめの童話です。
北風と太陽は、旅人の洋服をどちらが脱がせるか競争することになります。北風は豪快に風を吹いて、力づくで洋服を飛ばそうとしますが、うまくいきません。一方の太陽はどのような方法を取るのでしょうか。
相手の立場に立って物事を考える必要性など、さまざまな教訓が込められているのが魅力。古代から読み継がれる寓話を子どもに読み聞かせたい方にもおすすめの絵本です。
童話のおすすめ|日本
ごんぎつね
偕成社 作:新美南吉 絵:黒井健
“国民的な名作童話”と名高い、日本の童話の傑作。現在まで長く教科書に掲載されており、日本図書館協会選定図書や全国学校図書館協議会・選定図書にも選出されました。
キツネのごんは、いたずら心から兵十が捕まえたウナギを奪ってしまいます。後日、兵十が病気の母親のために持ち帰ろうとしていたウナギだったことを知ったごん。自分の罪を償うために栗や松茸を兵十の家に持っていくようになりますが…。
ごんや兵十の気持ちに寄り添いながら、何度も読み返したい童話の名作。読後には深い余韻に浸れるおすすめの1作です。
くまの子ウーフ
ポプラ社 作:神沢利子 絵:井上洋介
1969年に刊行されて以来、親子で読み継がれるロングセラーの創作童話。クマの子ども・ウーフが抱くさまざまな日常の疑問を、ユーモラスで心あたたまるエピソードのなかに描いた9編が収録されています。
いつも日常の「なぜ?」「どうして?」を考えたがるウーフ。卵を割ると必ず卵が出てくるなら、自分は何でできているのかといった疑問をウーフは真剣に考えます。家族や仲間たちと過ごすなかで、ウーフはどんな答えを見つけ出すのでしょうか。
ウーフの純粋な疑問から、命の不思議や生きることの本質を自発的に考えられるのがポイント。複数の短いエピソードからなる作品集なので、長い物語を読むのが苦手な子どもにもおすすめの童話です。
泣いた赤おに
偕成社 作:浜田廣介 絵:梶山俊夫
日本図書館協会選定図書などにも選出された日本童話の不朽の名作。相手を思いやる心の大切さを感動的に描いた、鬼たちの友情物語です。
人間と仲良くしたい赤鬼は、お茶やお菓子を用意して村人と仲を深めようとします。しかし、赤鬼の姿を見ただけで逃げ出してしまう村人たち。そんな赤鬼を助けるために、友達思いの青鬼がある作戦を立てます。
友情の尊さや孤独の悲しさをわかりやすく伝えてくれる感動作。人間関係を築くにあたって大切にしたい、さまざまなメッセージを読み取れるおすすめの童話です。
一休さん
小学館 絵:長野ヒデ子 文:杉山亮
幅広い世代から愛されるキャラクター・一休さんの物語です。室町時代に実在した僧侶がモデルになったとされています。1970〜80年代にアニメ化もされ、高い人気を集めました。
一休さんは、さまざまな無理難題にも機転を効かせて解決してしまうチャーミングな小僧。本作品は『このはしわたるべからず』『屏風のトラ退治』など、一休さんのとんち話のなかでも有名な作品が複数収録されています。
本作品は、賢く優しい一休さんが繰り広げるさまざまな知恵比べが見どころ。複数の短編が収録されているので、多彩なとんち話を楽しめます。スカッと痛快な童話を読みたい方におすすめの1作です。
きいろいばけつ
あかね書房 作:もりやまみやこ 絵:つちだよしはる
青少年読書感想文全国コンクール課題図書などにも選定された「きつねの子シリーズ」の第1作目。幼い子どもが抱く不安や喜びなどの心の揺れを、優しい語り口で表現した人気の童話です。
キツネの子は、誰が落としたのかわからない真新しい黄色いバケツを見つけます。友達に”だれもとりにこなければきつねくんのものにしたら”と助言を貰い、キツネの子はバケツを1週間置きっぱなしにしてみることにするのです。
黄色いバケツを毎日見に来て大切にする、キツネの子の心情が丁寧に描かれているのがポイント。キツネの子の気持ちに寄り添い、一緒にドキドキしながら読み進めたいおすすめの童話です。
みどりいろのたね
福音館書店 作:たかどの ほうこ 絵:太田大八
1988年に出版されてからロングセラーで愛されている、日本の創作童話です。土の中でエンドウ豆の種とメロン味のあめが大喧嘩する様を、コミカルに描いています。
畑に種をまくことになったまあちゃんたちのクラス。先生から5粒ずつ種を貰うと、まあちゃんは舐めていたメロンあめも一緒に埋めてしまいました。なまけ者のまあちゃんは水をやろうとしないので、土の中で種たちはイライラとしてしまいます。
すると、同じ色なのに根も芽も出ていないメロンあめに、種たちの注目が集まり…。
ユニークな展開と表情豊かな種とあめの攻防に、思わず笑いが込み上げます。テンポのよい簡潔な文章で読みやすく、1人で童話を読んでみたい子どもにもおすすめです。
かさじぞう
福音館書店 絵:赤羽末吉 再話:瀬田貞二
日本各地に伝わる民話を元にしたあたたかな読み心地の童話です。読み聞かせの場合は4歳から、子どもが自分で読む場合は小学校低学年頃から楽しめます。
編み笠を作って暮らしているおじいさんは、正月に食べる餅を買うため、笠を5つ持って町に出かけました。しかし、売れないまま雪が降るなか帰ることになります。その途中、おじいさんは頭に雪を積もらせた6人のお地蔵様を見かけるのです。
大人になっても何度も読み返したい、優しさに満ちた昔話の名作。親しみやすい身近な題材を通して、思いやりを持って生きることの大切さや素晴らしさを考えさせられます。日頃の行いを振り返るきっかけにもなるおすすめの童話です。
ふらいぱんじいさん
あかね書房 作:神沢利子 絵:堀内誠一
フライパンのおじいさんが、第二の人生の居場所を求めて旅に出る創作童話です。全国学校図書館協議会・選定図書にも選出されています。
ふらいぱんじいさんは卵を焼くのが大好き。しかし、新しい目玉焼き鍋の登場により、野菜を炒めてばかりになってしまいます。そんな日々から、旅に出ることを決意したじいさん。じいさんを待ち受けていたのは、見たこともない新しい世界でした。
ジャングル・草原・砂漠などを巡る、じいさんの波瀾万丈な冒険がドラマチックに描かれています。出会いや縁の素晴らしさを教えてくれる名作。ほっこりと感動できる童話を読みたい方におすすめの作品です。
あらしのよるに
講談社 作:木村裕一 絵:あべ弘士
ヤギとオオカミのかけがえのない友情を描いたベストセラー童話「あらしのよるにシリーズ」の第1作目です。講談社出版文化賞絵本賞を受賞し、累計部数は350万部を突破。アニメ映画や新作歌舞伎など、メディアミックス作品も話題になりました。
嵐の夜に、真っ暗な小屋の中で出会った2匹。美味しそうなヤギと、ヤギの肉が大好きなオオカミは、お互いの正体を知らないまま嵐の夜を過ごし、意気投合します。果たして2匹の命と友情はどうなってしまうのでしょうか。
草食動物と肉食動物の禁断の友情テーマの本作品は、先の読めないスリルあふれる展開が魅力。続きが気になるという読者も多く、シリーズを通して楽しみたいおすすめの童話です。
ねずみのすもう
偕成社 絵:赤羽末吉 文:神沢利子
日本の昔話を、人気児童文学作家・神沢利子が読みやすいあたたかな筆致で表現した童話。相撲をとる2匹のネズミの友情と、見守るおじいさん・おばあさんの優しい心を描いた物語です。
貧しいおじいさんとおばあさんの家に住む痩せたネズミは、太ったネズミに相撲で負けてばかりいました。痩せたネズミを気の毒に思った2人は、餅を与えて太らせてあげようとします。やがて、痩せたネズミは太ったネズミと再戦し…。
どちらが相撲に勝つのかワクワクできるだけでなく、互いを思いやる登場人物の心配りにも注目したい1作。優しい気持ちになれる日本の昔話を探している方におすすめの童話です。
ペンギンたんけんたい
講談社 作:斉藤洋 絵:高畠純
シリーズ累計30万部を突破するロングセラーシリーズ「ペンギンシリーズ」の第1作目。50羽ものペンギンたちが、シュールな冒険を繰り広げる創作童話です。
カヌーで南の島にやってきたペンギンたちの探検隊。浜辺から草原を抜けて、ジャングルへとペンギンたちは進んでいきます。ライオンやワニたちには目もくれず、ペンギンたちはどこを探検するのでしょうか。
マイペースなペンギンたちの冒険模様が魅力的な童話。クスッと笑えるような軽快なテンポの筆致で、小学校低学年から1人読みしやすいおすすめの童話です。冒険や動物が好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。
だいくとおにろく
福音館書店 絵:赤羽末吉 再話:松居直
大工と鬼のスリリングな取引を描いた童話。古くから読み継がれてきた日本の昔話を、赤羽末吉の絵巻のような情緒あふれる絵とともに楽しめる人気の絵本です。
あるところに、何度橋をかけても流されてしまう大きな川がありました。その川に橋をかけるよう依頼された大工が河岸で悩んでいると、川から鬼が登場。鬼は大工の目玉と引き換えに橋をかけるという取引を持ちかけてきます。
大工がいい加減な返事をしていると、2日後には立派な橋ができあがってしまい…。
大工と鬼のユーモラスでドキドキとするような駆け引きが本作品の見どころ。昔ながらの絵本を読んでみたい方におすすめの童話です。
さんまいのおふだ
福音館書店 絵:梶山俊夫 再話:水沢謙一
水沢謙一が古事記に起源をもつ類話を比較研究したうえで、改めて童話に仕上げた作品。小僧が3枚のお札で鬼婆に立ち向かう、疾走感あふれる物語です。
山へ出かけた小僧は、日が暮れて道に迷ってしまいます。白髪のおばあさんが住む一軒家に泊めてもらいますが、夜中になるとおばあさんは恐ろしい鬼婆になって小僧を食べようとしていたのです。
トイレに逃げ込んだ小僧は、トイレの神様に3枚のお札を貰います。小僧がどのようにお札を使って鬼婆から逃げるのかが見どころ。スリルあふれる童話を読んでみたい方におすすめの作品です。
まゆとおに やまんばのむすめ まゆのおはなし
福音館書店 絵:降矢なな 文:富安陽子
元気いっぱいで力持ちな山姥の娘・まゆが、妖怪や怪物などに囲まれながら愉快な日々を過ごす日本の名作童話。本作品は「やまんばのむすめ まゆのおはなしシリーズ」の第1作目にあたります。
小さな少女・まゆはある日、山の中でお腹を空かせた大きな体の鬼に出会います。まゆを煮て食べるため、お湯を沸かし始める鬼。そうとは知らないまゆは、薪の山を作ったりかまどの石を積んだりと、鬼を手伝い始めてしまうのです。
まゆを食べようとする鬼と、純粋で好奇心旺盛なまゆがすれ違う様が痛快なおすすめの童話。描かれている脇役のコミカルな表情まで、ぜひ楽しんで見てみてください。
わかりやすく教訓を学べる昔話から、大人も楽しめる創作物語まで、多様な作品が童話として親しまれています。すでにあらすじを知っている作品でも、訳や絵によって違った見方で楽しめるのも童話のおすすめポイント。あらすじや絵柄に興味を持てる作品から手に取って、童話を通して読書の楽しみに触れてみてください。