新ミステリの女王とも呼ばれる作家「芦沢央」。短編や連作形式のミステリを得意としているのが特徴です。予想できない結末に辿り着く作品が多く、読み始めたら止められないのもポイント。読みごたえのある作品を探している方にぴったりです。
そこで今回は、芦沢央作品のおすすめをご紹介します。代表作を中心に、著者の魅力を堪能できる作品をピックアップ。ぜひ参考にしてみてください。
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芦沢央作品の魅力
芦沢央は複数の作品が推理作家協会賞の候補になっており、「新ミステリの女王」とも呼ばれている作家。短編や連作形式の作品を多数執筆しており、気軽に読める作品が多いのも魅力です。
予想できない結末を迎える作風にも特徴。読み始めたら一気に読みたくなり、読み終えたら読み返したくなるような作品を探している方におすすめです。
芦沢央のおすすめ小説
悪いものが、来ませんように
KADOKAWA 著者:芦沢央
読み進める手が止まらないと謳われる、芦沢央の心理サスペンス小説。想像できないような結末を迎える作品で、読後もう一度読み返したくなる作品です。
助産院で事務として働きながら、自分の身体や夫との関係について悩んでいる紗英。相談相手のいない彼女にとって、奈津子は心の支えとなる存在でした。奈津子もまた、子育てや家族との関係に悩んでおり、紗英を心の拠り所に。そんななか、紗英の夫が何者かに殺害されてしまいます。
事件をきっかけに、変わっていく紗英と奈津子の関係性がポイント。ふたりの共依存のような関係は、どのようにして事件と繋がっていくのでしょうか。衝撃の結末が気になる方におすすめです。
罪の余白
KADOKAWA 著者:芦沢央
緊迫感のある心理描写と巧みな構成で描かれるサスペンス小説です。第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞し、2015年に実写映画化されています。
通っている学校のベランダから転落死した娘を持つ男性・安藤は、娘の死を受け止めきれず、葛藤する日々を送っていました。そんななか、死んでしまった娘・加奈のクラスメートを通して、娘が持っていた悩みを知った安藤は…。
娘の死の真相を探る安藤が辿り着いた驚きの真実とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。娘の死とどう向き合うのかにも注目して読んでみてください。
許されようとは思いません
新潮社 著者:芦沢央
驚きの結末を迎えるミステリーを5編収録した、芦沢央の短編集。人間に潜む闇をテーマにした作品を楽しめるのが特徴です。
『目撃者はいなかった』では、修哉は入社3年目の夏に、営業成績を最下位から大きく伸ばすことに成功します。上司も認めてくれ、ようやく自信を持ち始めますが、売上を確認しているときに恐ろしいミスに気づきます。なんと、誤受注で11倍もの注文を行っていたのでした。
ほかにも、さまざまな立場の人物が織りなす、濃密なミステリー作品を楽しめるのが特徴。良質なミステリーを楽しみたい方におすすめです。
火のないところに煙は
新潮社 著者:芦沢央
SNSやテレビなどのメディアで話題となった背筋が凍る怪談ミステリです。2019年の本屋大賞にノミネート。さらに、第7回静岡書店大賞で小説部門を受賞しています。
神楽坂を舞台に怪談を書いて欲しいという依頼に、おぞましい記憶が呼び起こされた作家。作家は、過去の事件を小説にしようと考えます。
驚きの展開と裏切りの連続の先に待ち受ける真実とは、どのようなものなのでしょうか。一見すると関係のないように思える5つの物語が、全て繋がっていく点に注目してみてください。
汚れた手をそこで拭かない
文藝春秋 著者:芦沢央
洗練された5つのミステリを楽しめる、芦沢央の短編集です。本作品は第164回直木賞の候補作にもなっています。
夏休みを何事もなく過ごしたい小学校教諭や、認知症を患う妻を気遣う夫。元不倫相手に見栄を張りたい料理研究家などの小さな秘密を持つ人々は、気付くとお金に捉われていくのでした。
登場人物は、日常のどこにでもいそうな平凡な人物像を持っています。しかし、平凡に生きているからこそ、人間はそれぞれにミステリを抱えていることを描き出した作品。2020年代の新しいミステリを読みたい方におすすめです。
バック・ステージ
KADOKAWA 著者:芦沢央
独立した事件が衝撃のラストへ繋がっていく、芦沢央のミステリ小説です。連作短編形式の作品。6編すべての作品に対して綿密な時系列を組み立てて執筆しているのが特徴です。
新入社員・松尾は夜の会社で、先輩・康子がパワハラ上司の不正を暴こうとする現場に遭遇し、協力させられることに。翌日、松尾が勤める会社が担当する人気演出家の舞台が幕を開けようとするなか、周りでは複数の出来事が起きていました。
しだいに松尾と康子の行動が、それぞれの出来事を繋げていって…。著者によって計算され尽くされた作品を読みたい方におすすめです。
貘の耳たぶ
幻冬舎 著者:芦沢央
我が子をすり替えた母親とすり替えられた母親を描いた芦沢央作品。出産直後の繭子は、ある理由から新生児の我が子を隣のベッドの新生児と取り替えてしまいます。取り替えた新生児の母親は、顔見知りでもある郁絵でした。
いずれは気が付かれると思っていた繭子。しかし、事実が発覚しないまま4年の月日が経っていました。一方、我が子がすり替わっているとは思っていない郁絵。ある日突然、繭子の子供と取り違えられていた事実を聞かされます。
正しい生き方に押しつぶされそうになる繭子の心理に注目。間違いを犯しても、再び生き直せる可能性を示している作品です。
今だけのあの子
東京創元社 著者:芦沢央
女性の友情関係をテーマに、衝撃の事実や人間の本性を暴き出す芦沢央のミステリ。5編の短編を収録した作品集です。
『届かない招待状』は、一番仲がよいと思っていた大学の同級生が、「私」にだけ結婚式の招待状が送らなかったことから始まる物語。環境が変わることで人間関係は変化し、友達の定義も変わっていきます。しだいに嫉妬や違和感が大きくなり、友情は不信感へと姿を変えていくのでした。
長続きしない友情も肯定し、さまざまな友情の形を示している作品でもあります。イヤミスのような雰囲気が漂っていますが、読後感は爽やかな作品です。
僕の神さま
KADOKAWA 著者:芦沢央
予想できないラストへ誘われる芦沢央作品。小学生の日常で起きた切ない悲劇を描いた連作形式のミステリです。
学校中のみんなから悩み相談を受ける名探偵・水谷くん。「神さま」と称される水谷くんは、友達から嫌がらせを受けたり、運動会に出たくなかったり、家族が迷子になったり、あらゆる相談に答えてくれるのでした。そんなある日、「僕」と水谷君は同級生の川上さんから意外な相談を受けて…。
彼女の相談を受けて、ふたりはどのような解決を目指すのでしょうか。読み終えてからタイトルの意味を改めて考えてみてください。
ミステリ作家として高い評価を受ける芦沢央。作品は驚きのラストを迎えるストーリー展開が特徴です。短編や連作形式の作品を多く執筆しており、気軽に楽しめる良質なミステリを読みたい方におすすめ。腰を据えて読みたい方は、長編作品にも注目してみてください。