新本格ミステリー作品を手掛ける小説家「法月綸太郎」。同姓同名の名探偵が活躍する「法月綸太郎シリーズ」などで知られ、文学賞の選考委員なども務めています。“新本格ミステリーの至宝”と謳われる人気作家の1人です。
今回は、法月綸太郎の小説や評論から、おすすめの作品をピックアップ。ドラマ化された人気作から、国内のミステリーランキング1位に輝いた名作までご紹介します。
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新本格ミステリー作品を描く「法月綸太郎」とは?
法月綸太郎は、1964年島根県出身の小説家です。京都大学法学部在学中には、同期の我孫子武丸とともに同大学の推理小説研究会に所属していました。1988年『密閉教室』で小説家デビューを果たします。
2002年に短編「都市伝説パズル」で日本推理作家協会賞短編部門、2005年『生首に聞いてみろ』で本格ミステリ大賞小説部門を受賞。新本格ミステリーを中心に数々の作品を手掛け、『一の悲劇』は海外でもドラマ化されています。
また、ミステリーの巨匠エラリー・クイーンのファンとしても知られている法月綸太郎。クイーンと同じく、作家と同姓同名の名探偵が登場するミステリーシリーズ「法月綸太郎シリーズ」は同氏の代表作になりました。
そのほか、評論の執筆や文学賞の選考委員なども務めており、日本の推理小説界に欠かせない作家の1人です。
法月綸太郎作品の魅力
「法月綸太郎シリーズ」をはじめ、探偵とともに推理に挑戦できる本格推理小説を手掛けてきた法月綸太郎。シリーズには共通して名探偵・法月綸太郎が登場します。先の読めないストーリー展開と論理的で大胆な推理は、多くの読者を驚かせてきました。
また、法月綸太郎はエラリー・クイーンをはじめ、国内外のミステリーに造詣が深いのもポイント。自身の作品にも古典ミステリーの名作をオマージュとしてたびたび取り入れてきました。推理小説初心者から愛好家まで楽しめる作品が揃っているのが魅力です。
法月綸太郎作品の多くがシリーズ内の作品ながら、それぞれ単独で物語が完結しています。名探偵・法月綸太郎とともに、さまざまな事件を解決していく感覚でシリーズを読破するのもおすすめです。
法月綸太郎のおすすめ小説
法月綸太郎の冒険
講談社 著者:法月綸太郎
「法月綸太郎シリーズ」の短編集第1作目。名探偵・法月綸太郎が立ち向かうさまざまな事件を描いた7編が収録され、ミステリーの醍醐味を堪能できる人気作です。
死刑執行当日に殺された死刑囚の謎や、図書館に蔵書されたミステリーの冒頭数ページを切り裂く犯人。さらに、男が恋人の肉を食べた理由など、異様な謎の数々を前に、法月綸太郎の推理が冴え渡ります。
犯人の奇妙な動機を明らかにしていくダークな作品から、本にまつわる日常の謎を解くコミカルな作品まで、多彩な物語を楽しめる短編集。作家・法月綸太郎のルーツともいえる作品を読んでみたい方におすすめの1作です。
一の悲劇 新装版
祥伝社 著者:法月綸太郎
累計24万部を突破した、法月綸太郎の傑作長編小説。「法月綸太郎シリーズ」を代表するロングセラーの誘拐ミステリーです。日本以外に韓国でもドラマ化されています。
誤認誘拐によって、1人の少年が殺されるところから物語はスタート。犯人は山倉史郎の子と誤って、近隣に住む冨沢路子の子を誘拐したというのです。さらに、身代金の授受に山倉が失敗。少年は遺体となって発見されました。
そんな残酷な所業を行なった犯人として、1人の容疑者が浮上します。しかし、その男は事件当時、名探偵・法月綸太郎とともにいたというアリバイがあり…。
二転三転する息もつかせない展開や複雑な人間模様に、一気読みした読者も多い本作品。骨太な推理小説が読みたい方におすすめの法月綸太郎作品です。
雪密室
講談社 著者:法月綸太郎
「法月綸太郎シリーズ」の記念すべき第1作目。雪の山荘を舞台にした密室殺人の謎に、名探偵・法月綸太郎が挑む本格派推理小説です。
美女からの招待で信州の山荘を訪れた法月警視。しかし、招待客が集まった夜に何者かによって彼女は殺されてしまいます。建物の周囲は雪一色。さらに、彼女がいたはずの離れまで、犯人らしき足跡もついていません。
この奇怪な密室事件に、警視の息子・綸太郎が導き出した真相とは一体どのようなものなのでしょうか。
緻密に練られたトリックと構成で読みやすく、本格推理小説に馴染みのない方にもおすすめの1作。多くの読者を魅了してきた「法月綸太郎シリーズ」の原点として、まず手に取りたい法月綸太郎作品です。
法月綸太郎の消息
講談社 著者:法月綸太郎
名探偵・法月綸太郎が過去の名探偵の謎に挑むという、本格ミステリーの魅力にあふれた傑作作品集。「法月綸太郎シリーズ」30周年記念作品です。
ホームズ探偵譚の異色作の裏に秘められた、作者コナン・ドイルの意外なトラップとは何なのか。ポアロ最後の事件に仕組んだ、作者アガサ・クリスティーの企みとは…。かつての名探偵と名作に隠された驚きの「真実」に、法月綸太郎が挑みます。
評論活動も行う法月綸太郎ならではの視点で先人たちの名作を考察し、ミステリー小説として解き明かしました。そのほか、父・法月警視が持ち出す不可解な謎に迫る短編2編も収録。海外ミステリーが好きな方にもおすすめの推理小説です。
法月綸太郎の功績
講談社 著者:法月綸太郎
“現代「本格推理小説」の到達点”とも評される傑作『都市伝説パズル』を収録した、「法月綸太郎シリーズ」の作品集です。同作品は、第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞しました。
名探偵・法月綸太郎のロジカルな推理が冴えわたる中短編5編からなる本作品。殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字を解き明かす『イコールYの悲劇』など、エラリー・クイーンへのオマージュ作品を含む本格ミステリーを堪能できます。
父・法月警視との愉快なコンビで謎を解決していくのが本作品の見どころ。隙間時間にもおすすめの短編集です。
新装版 頼子のために
講談社 著者:法月綸太郎
娘を殺された父親による復讐劇の真相を、法月綸太郎が究明していく様を描いた長編推理小説。作家・法月綸太郎の転機になった記念碑的作品です。
17歳の愛娘を殺された西村悠史は、通り魔事件として解決しようとする警察の捜査に疑念を抱きます。ひそかに相手を突き止めた西村は相手を刺殺し、自らも死を選ぶことに。そんな内容が綴られた手記を元に、名探偵・法月綸太郎が事件の再調査に乗り出します。
犯人である父親自身の、愛憎渦巻く自白文から始まるのが本作品のポイント。イヤミスが好きな方にもおすすめのミステリー小説です。法月綸太郎作品でも人気が高い、驚きの結末をぜひ見届けてみてください。
新装版 密閉教室
講談社 著者:法月綸太郎
教室という密室で起きた死亡事件をめぐる本格ミステリー小説。作家・法月綸太郎のデビュー作です。
窓もドアも全て閉ざしてある早朝の教室で死亡していた男子高校生・中町圭介。教室からは48の机と椅子が消え、代わりにコピーされた遺書が残っていました。圭介の級友で推理マニアの工藤順也は、自殺か他殺かも分からないこの事件の謎に挑みますが…。
シリーズ外の人気作である本作品は、目まぐるしく変わる展開と素人探偵の本格推理が見どころ。高校生の瑞々しい青春模様も楽しめます。学園ミステリーが好きな方におすすめの法月綸太郎作品です。
キングを探せ
講談社 著者:法月綸太郎
国内の主要なミステリーランキングで上位に輝いた、法月綸太郎の傑作サスペンス・ミステリー。「法月綸太郎シリーズ」の第8作目にあたる書き下ろし長編小説です。
縁もゆかりもない4人の男たちが、強烈な殺意を共通点に結託。動機から犯人と勘付かれないよう、彼らは完全なる交換殺人を目論んでいたのです。4枚のトランプでそれぞれのターゲットを入れ替えた4人は、粛々と計画を進めていきます。
警察が手も足もでない計画犯罪に挑む法月警視と息子・綸太郎。シャッフルされた犯行の行方は一体どうなるのでしょうか。
本作品は犯人があらかじめ明らかにされている倒叙ミステリーとして、探偵と犯人の両側の視点から物語を描いているのが特徴。追う側と追われる側の緊迫感あふれるやり取りを楽しめます。作家・法月綸太郎の緻密な構成力が光る、おすすめの1作です。
誰彼 新装版
講談社 著者:法月綸太郎
「法月綸太郎シリーズ」初期の名作。首なし死体事件の驚愕の真相を、名探偵・法月綸太郎が解き明かすおすすめの推理小説です。
謎の人物から届いた予告状通りに、地上80メートルの密室から教祖・甲斐辰朗が失踪。4時間後、二重生活を営んでいた辰朗のマンションで首なし死体が見つかります。死体は辰朗のものなのでしょうか。そして、犯人が首だけ持ち去ったのは何故なのでしょうか。
新興宗教と密室殺人事件を絡めた舞台設定が魅力的な1作。飽きさせない展開の連続で読み応えがあります。ぜひ法月綸太郎とともに試行錯誤しながら真相を推理してみてください。
ノックス・マシン
KADOKAWA 著者:法月綸太郎
2014年に「このミステリーがすごい!」で1位を獲得した珠玉の中編集。発表直後から絶賛を集めた表題作『ノックス・マシン』をはじめ、奇想天外なSF・ミステリーを揃えた、シリーズ外の知的エンターテインメント作品です。
上海大学のユアンは、国家科学技術局から論文の内容を確認するとして呼び出しを受けます。彼の論文のテーマとは、イギリスの作家ロナルド・ノックスが発表した探偵小説のルール「ノックスの十戒」についてでした。
科学技術局に出頭したユアン。彼はそこで想像を絶する任務を課せられます。
SFとミステリーを融合させた、独特な世界観が魅力の法月綸太郎作品。紙書籍には電子化不可能とも評される短編『バベルの牢獄』が限定収録されています。ミステリー愛好家にもおすすめの1作です。
法月綸太郎ミステリー塾 日本編 名探偵はなぜ時代から逃れられないのか
講談社 著者:法月綸太郎
法月綸太郎による評論集です。戦後から現在までの日本のミステリーを、論理的で分かりやすい筆致で語ります。海外編とあわせて、2008年度の本格ミステリ大賞評論・研究部門の候補作に選出されました。
笠井潔や島田荘司の作風について論じるほか、国内ミステリーの名作に関する書評なども収録。ミステリー小説の魅力を、推理小説家・法月綸太郎の視点とともに改めて考えさせられるおすすめの1作です。
ロジカルで構築的なミステリーが魅力の法月綸太郎。古典ミステリーの名作の要素を取り入れた本格推理小説を楽しめます。まずはドラマ化もされた人気作『一の悲劇』や、シリーズ第1作目の『雪密室』から手に取るのがおすすめ。推理小説好きも唸らせる法月綸太郎の新本格ミステリーにぜひ触れてみてください。