独自の世界観を持った作品を数多く執筆している作家「三津田信三」。ミステリーとホラーを融合させた作風で、「刀城言耶」シリーズや「死相学探偵」シリーズなどの人気小説を展開しています。

そこで今回は、三津田信三のおすすめ小説をご紹介。幅広い作品のなかから、注目したい小説をピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

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ホラー&ミステリーで人気の作家「三津田信三」とは?

津田信三は、奈良県出身の作家です。編集者を経験したのち、2001年に作家デビュー。本格ミステリーと民俗学的な知識がベースにある怪異譚を融合させた『厭魅の如き憑くもの』が好評を博し、続編を含め「刀城言耶シリーズ」として代表作となります。

2010年には、第10回本格ミステリ大賞を受賞。精力的に独特の世界観を楽しめる作品を多数執筆している作家です。

三津田信三作品の魅力

三津田信三作品は独自の世界観を築いており、ほかにない恐怖を体感できる作品を多数執筆しています。読み進めていくと、リアルと虚構の境界線が薄れていくような作風も印象的な作家。読者自身が怪異に巻き込まれているかのような錯覚を覚える、メタフィクション的な手法を積極的に取り入れているのもポイントです。

また、ミステリーとホラーが融合したような物語が多いのも特徴のひとつ。ミステリーについては一家言をもっており、読者が“正しい推理さえすれば、自分は真相に辿り着けるかもしれない”と思えるよう、設定を深く練る必要があると考えています。ホラーとミステリーが両方好きな方でも楽しめるのが魅力です。

三津田信三のおすすめ小説

蛇棺葬

講談社 著者:三津田信三

蛇棺葬

三津田信三が贈る謎と怪異の世界観。怪異長編『百蛇堂 怪談作家の語る話』につながるホラー・ミステリー作品です。

幼い頃に引き取られた百巳家で、蛇神を祀る不可思議な因習のなかで暮らす「私」。そこには、独特な雰囲気のある百蛇堂という建物がありました。成長した「私」は、とある事情によって再び百巳家のある地を訪問。開かずの離れであった百蛇堂で行われる葬送百儀礼で何が起こるのでしょうか。

物語のなかで示された謎は作品内で解決されることはなく、不気味な雰囲気だけが残るのが印象的な作品。著者のホラー作家としての筆力を体感したい方におすすめです。

百蛇堂 怪談作家の語る話

講談社 著者:三津田信三

百蛇堂 怪談作家の語る話

著者の怪異長編である『蛇棺葬』からリンクする謎と怪異が展開されるホラー・ミステリー長編。『蛇棺葬』の後編にあたる作品なので、読み終えたあとに本作を読むのがおすすめです。

作家兼編集者・三津田信三が紹介された、龍巳美乃歩は旧家で起こった実話怪談を語った。数日後、送られてきた原稿を読んだ三津田たちは怪現象に見舞われて…。

人目に触れてはいけない禁断の領域に踏み込んだ人たちの行く末に注目。前作からの謎や怪異がもたらす衝撃の結末を知りたい方は手に取ってみてください。

厭魅の如き憑くもの

講談社 著者:三津田信三

厭魅の如き憑くもの

三津田信三の戦慄を覚える本格ホラー推理小説。ミステリーとホラーが融合した圧倒的な世界観が魅力の、「刀城言耶(とうじょうげんや)シリーズ」の第1長編でもあります。

神々櫛村は、谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家の旧家が際どい関係を保ち、神隠しのような不可思議な現象がよく起こる場所。戦争からしばらく経った昭和の時代に、とある怪奇幻想作家が神々櫛村を訪れると、怪死事件が発生して…。

憑き物の恐怖、カカシ様の戦慄、連続する怪死事件の謎など、好奇心をくすぐられる要素が豊富にちりばめられているのが魅力です。筆者の「最後まで読まないとホラーなのかミステリーなのか分からない小説は書けないだろうか」という考えから生まれた作品。三津田信三を代表するシリーズ作品を読みたい方におすすめです。

ついてくるもの

講談社 著者:三津田信三

ついてくるもの

三津田信三のホラー作品集です。いつのまにか恐ろしいなにかに迫られている恐怖を味わえる短編を6編収録しています。

『夢の家』では、薄気味の悪い男が毎晩恐怖を語るのが見どころ。表題作『ついてくるもの』は、廃屋から人形を持ち帰ってしまった主人公に次々と不気味なことが起こって…。さらに、同居人の部屋から聞こえる不気味な音に迫る『ルームシェアの怪』は、現代ならではの恐怖を感じられます。

実話怪談の姿をした7つの怪異譚によって、戦慄の世界へ誘われるのがポイント。怖い話を聞いている感覚で楽しめる作品を探している方におすすめです。

凶宅

講談社 著者:三津田信三

凶宅

ミステリーにも精通する作家・三津田信三が描く家を舞台にしたホラー。小学4年生・日々乃翔太が、山の中ほどに建つ家に引っ越してきたところから物語は始まります。

引っ越し後、周囲の家が完成を待たずに破棄されていることに気づき、不可思議な想いに駆られることに。さらに、暮らし始めて数日経った頃、幼い妹が「山に棲んでいる何かが部屋に来た」と口にするのでした。それ以来、翔太は家の中で謎の影を見かけるようになって…。

翔太が見つけた前の住人の残した日記によって暴かれる過去の出来事に注目。衝撃のラストが待つホラー作品が読みたい方におすすめです。

禍家

KADOKAWA 著者:三津田信三

禍家

身の毛がよだつホラーと謳われる三津田信三の作品。家に憑く怪異によって少年が災難に見舞われる物語です。

12歳の少年・棟像貢太郎は、引越しで東京郊外の家へ。しかし、初めて住むはずの家に不思議な既視感を覚えます。やがて怪異が次々と彼を襲い始めて…。聞こえる足音、人喰いが蠢く森、這い寄る首無しの化け物など、恐ろしい現象に苛立ちながら、貢太郎は友人・生川礼奈と一緒に怪異の根源を探ろうとするのでした。

貢太郎が見出した、家に隠された驚愕の真実に注目。背筋が凍りつくような恐怖を、小説で味わいたい方におすすめです。

赫眼

光文社 著者:三津田信三

赫眼

ホラーとミステリーが混じりあった三津田信三らしい作品が楽しめる1冊。書き下ろしの掌編を含む、12編の短編集です。

小学生とは思えぬ色気と美貌の持ち主である転校生の目童たかり。彼女の自宅に届け物をしに赴いた少年が見た、おどろおどろしいモノに迫る『赫眼』が表題作です。ほか、合わせ鏡が生み出した、無限に続く世界に魅了された男の怪異譚『合わせ鏡の地獄』などを収録しています。

内容もさることながら、表紙の不気味さにも注目したい作品。著者の短編に興味がある方はぜひチェックしてみてください。

そこに無い家に呼ばれる

中央公論新社 著者:三津田信三

そこに無い家に呼ばれる

三津田信三が得意とする物件を舞台にしたホラー長編作品です。筆者の『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』に続く幽霊屋敷を描いたシリーズ第3弾。物語の語り手は、前作までと同様に小説家・三津田信三が担っているのもポイントです。

怪談話を好む三津田信三は、同じ趣味を持つ若手編集者・三間坂から、厳重に封印が施された3つの記録を手渡されます。「家そのものが幽霊」だという不気味な内容を示す言葉が意味するモノとはなんなのでしょうか。

物件そのモノを幽霊として扱う着想も印象的。クライマックスに起こる戦慄の展開に注目してみてください。著者のホラー作家としての魅力を体感したい方におすすめです。

十三の呪 死相学探偵1

KADOKAWA 著者:三津田信三

十三の呪 死相学探偵1

三津田信三が贈るホラーミステリー作品です。他人の死相が見える弦矢俊一郎が事件に挑む「死相学探偵シリーズ」の第1作目。本作は、大学を卒業したあと、神保町で探偵事務所を始めた弦矢俊一郎のもとに訪れた初めての依頼人をめぐる物語です。

依頼人はアイドル顔負けの女性。話を聞くと、IT系の青年社長にプロポーズされるも婚約者は結婚式直前に急死したというのです。さらに、彼の実家では不可解な出来事が次々と発生。そんななか、弦矢俊一郎は暗い顔で語る彼女の肌に、何かがうごめいていることに気づいて…。

主人公がどのようにして事件を解決に導くのかが見どころ。シリーズ作品が好きな方はぜひチェックしてみてください。

黒面の狐

文藝春秋 著者:三津田信三

黒面の狐

本格ミステリーとホラーを掛け合わせた、三津田信三の濃厚な長編作品。少しずつ近づいてくる恐怖と、次々に起こる密室殺人の謎に迫る物語です。細かい炭坑の描写に注目しながら読んでみてください。

戦後間もない時期、物理波矢多(もとろいはやた)は満洲から日本へと帰国、北九州にある炭鉱で仕事に就きます。しかし、仲間の合里が落盤事故で坑道に取り残された事件をきっかけに、炭坑夫が自室で首を吊る怪死事件が頻発するのでした。さらに、自殺現場では決まって、黒い狐の面をかぶった人影が目撃されていて…。

黒面の狐が知る事件の真相とはなんなのでしょうか。恐怖を体感しつつも、謎解きを楽しみたい方におすすめの作品です。
三津田信三はミステリーとホラーを合わせた、ほかにない作風が魅力の作家です。読んでいくうちに、リアルと虚構の境界線が薄れていくような感覚に陥ります。作品数は豊富で、「刀城言耶シリーズ」や「死相学探偵シリーズ」などの連作モノが特徴。怖い話や推理するのが好きな方におすすめの作家です。