壮大なスケールで描かれるファンタジー作品で、デビュー直後から多くの賞を受賞している作家「上橋菜穂子」。文化やしきたりまで詳細に設定された独特の世界観で紡がれる作品の数々で、読者を魅了しています。

そこで今回は、上橋菜穂子のおすすめ小説をご紹介。上橋菜穂子作品の魅力や作風についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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大人気ファンタジー作家「上橋菜穂子」とは?

上橋菜穂子は、1962年東京生まれの作家。川村学園女子大学特任教授も勤めています。学生時代は、立教大学博士課程で文学博士を取得。文化人類学を専攻し、現在もオーストラリアの先住民アボリジニを研究しています。

1989年、『精霊の木』で作家デビュー。野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、日本児童文学者協会新人賞を受賞した『月の森に、カミよ眠れ』など、著作の多くが賞を獲得しています。

上橋菜穂子の代表作である「守り人シリーズ」の1冊目『精霊の守り人』は、野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞ニッポン放送賞・路傍の石文学賞を受賞。さらに、同シリーズのほかの作品も多くの賞を受賞しています。

2014年に小さなノーベル賞とも呼ばれる国際アンデルセン賞作家賞も受賞した、ファンタジー小説界の巨匠の一人です。

上橋菜穂子作品の魅力

上橋菜穂子作品の魅力は、壮大な世界観です。登場する世界や国、文化について、背景知識や歴史に至るまで詳細に舞台設定されています。

小さな頃から物語の世界が身近にあったという上橋菜穂子。文化人類学を専攻して修士号を修め、オーストラリア民俗学も研究している知識も、設定の説得力を高めています。

ファンタジーの世界設定にすぐに入り込める上橋菜穂子の文章力と相まって、多くの読者を魅了しています。

上橋菜穂子のおすすめ小説

獣の奏者 1 闘蛇編

講談社 著者:上橋菜穂子

獣の奏者 1 闘蛇編

ファンタジー巨編「獣の奏者シリーズ」の第1巻にあたります。児童文学のノーベル賞と呼ばれる、国際アンデルセン賞作家賞受賞作です。『獣の奏者エリン』というタイトルでアニメ化もされました。

舞台はリョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女・エリンは、闘蛇を死なせた罪に問われた母と死別することになります。母の不思議な指笛で窮地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われたエリン。母と同じ獣ノ医術師を目指すことに決めますが、その道も険しそうで…。

エリンの幸せな日々は、母の死から一転して苦難の連続。そんななかでも、諦めずに立ち向かうエリンの生き方から目が離せません。運命に翻弄されるのではなく、自ら切り開いていこうとするエリンの姿が魅力。勇気をもらいたい方におすすめの上橋菜穂子作品です。

鹿の王 1

KADOKAWA 著者:上橋菜穂子

鹿の王 1

アニメ映画化もされた人気作品で、「鹿の王シリーズ」の第1巻にあたります。2015年本屋大賞受賞作です。

強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るために、戦士団・独角は死兵の役目を引き受けます。その頭であるヴァンは、妻と子を病気で失い絶望の真っ只中。奴隷に落とされて岩塩鉱に囚われていました。

ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱に襲いかかり、謎の病が蔓延します。生き延びたのはヴァンと、一人の幼子。子供にユナと名前をつけたヴァンは、父役としてユナを育てることにしました。病から生き残った父と娘の、壮大な冒険が始まります。

「守り人シリーズ」のファンの方はもちろん、上橋菜穂子作品をこれから読む方にもおすすめのファンタジー小説です。

月の森に、カミよ眠れ

偕成社 著者:上橋菜穂子

月の森に、カミよ眠れ

神と人、自然と文明との関わりあいを描いた作品。稲作が始まり朝廷が現れ、点在していた大小のクニやムラが統一されてきた時代が舞台です。

一生を森で送ったホウズキノヒメは月の森の蛇ガミをひたすら愛していました。一方、その息子である蛇ガミのタヤタに愛されていながら、カミとの契りを素直に受けいれられない娘・キシメ。

人とカミと自然が共存していた時代、受け継がれ、守られてきた掟がありました。しかし、稲作の発展により狩猟生活から農耕生活へ文明が変遷するなかで途絶えていきます。

古代の日本で起こっていたかもしれない、時代の移り変わりに想像を膨らませられる小説。小学校高学年から楽しめる児童書ですが、大人の読者にもおすすめの上橋菜穂子作品です。

精霊の守り人

新潮社 著者:上橋菜穂子

精霊の守り人

人の世界と精霊の世界を描いたファンタジー小説。野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞ニッポン放送賞・路傍の石文学賞などを受賞した作品で、「守り人シリーズ」の第1弾にあたる上橋菜穂子の代表作。ドラマ化・アニメ化もされています。

舞台となるのは、異界と人の世界が交錯する世界。精霊に卵を産み付けられた皇子・チャグムは、その身に“おそろしいモノ”を宿していました。父帝が差し向ける刺客や異国からの魔物から幼いチャグムを守ることになった、女用心棒・バルサ。

バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃からチャグムの命を託されます。体を張ってチャグムを守るバルサ。バルサとチャグムは、幼馴染・タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられて…。

建国神話の秘密、先住民の伝承など、緻密に構築された世界観に、多くの方が魅了されている人気シリーズ。初めて上橋菜穂子作品を読む方にもおすすめの1冊です。

闇の守り人

新潮社 著者:上橋菜穂子

闇の守り人

『精霊の守り人』に続く、「守り人シリーズ」第2弾にあたる作品。女用心棒・バルサが自分の過去と向き合うストーリーです。マンガ化もされています。

25年ぶりに生まれ故郷に戻ったバルサ。自分の人生を捨ててバルサを守り育ててくれた、養父・ジグロの汚名を晴らすための帰郷でした。バルサは短槍に刻まれた模様を手がかりにして、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていきます。

バルサの帰郷によって、山国の底に潜んだ闇が目覚めました。闇の底で彼女を出迎えるものとは一体なんだったのでしょうか。

壮大なスケールに心揺さぶられる方も多い、人気の上橋菜穂子作品。1作目『精霊の守人』のファンの方はもちろん、ファンタジー好きな方にもおすすめの1冊です。

精霊の木

新潮社 著者:上橋菜穂子

精霊の木

上橋菜穂子のデビュー作で、人類が移住した星で展開する冒険譚。元々は児童書として出版されていますが、年代を問わず没入できるようなモチーフのファンタジー小説です。

舞台は、環境破壊のため地球が滅亡し、人類がさまざまな星に移住した世界。シン少年が住むナイラ星は、人類が街を作り始めて200年を迎えようとしていました。そんななか、シンの従妹のリシアが先住異星人の超能力に目覚めます。

失われた“精霊の木”を求め、黄昏の民と呼ばれる人々がこの地を目指していることを知ったシンとリシア。過去と現代に潜む謎の真相を追う2人に、歴史を闇に葬ろうとする組織の手が迫ります。

シンとリシアの運命から目が離せない、人気の「守り人シリーズ」の原点。ほかのシリーズのファンの方にもおすすめの上橋菜穂子作品です。

狐笛のかなた

新潮社 著者:上橋菜穂子

狐笛のかなた

けなげな愛を描いたファンタジー小説。第42回野間児童文芸賞を受賞しています。

人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ、12歳の小夜。ある日の夕暮れ、小夜は犬に追われる子狐を助けます。狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火でした。

一方、隣り合う2つの国の争いに巻き込まれた少年・小春丸は、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められます。小春丸をめぐり、小夜と野火の孤独でけなげな愛が燃え上がります。

愛のために身を捨てる小夜たちの姿に、最後まで目が離せない上橋菜穂子作品。恋愛小説が好きな方にもおすすめです。

香君 上 西から来た少女

文藝春秋 著者:上橋菜穂子

香君 上 西から来た少女

人気作品『鹿の王』から7年ぶりの著作として上下巻が同時に発売され、話題になった作品。植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを、香りの声として感じられる少女の物語です。

遥か昔、神郷からもたらされたというオアレ稲。ウマール人は奇跡の稲と呼ばれるオアレ稲で帝国を作り上げました。オアレ稲をもたらし、香りで万象を知るという活神・香君の庇護のもと、帝国は発展を続けていきます。

その属国・西カンタル藩王国の藩王の孫である、少女・アイシャは人並外れた嗅覚を持っていました。祖父の失脚の後、当代・香君の元で働くことになったアイシャ。時を同じくして、オアレ稲に虫害が発生し、稲に過度に依存していた帝国は食糧危機に陥ります。

アイシャは香君と共にオアレ稲の謎を解き明かし、人々を救おうとするのでした。香りと植物や昆虫の生態をテーマに描くファンタジー。自然を舞台にした物語が好きな方にもおすすめの上橋菜穂子作品です。

物語ること、生きること

講談社 著者:上橋菜穂子

物語ること、生きること

国際アンデルセン賞作家・上橋菜穂子が、“どうしたら自分だけが書くことができる物語にたどりつけるのか”を語るエッセイ。

唯一無二の物語世界の源泉は、上橋菜穂子の人生にありました。少女の頃は、祖母の語るお話と、イギリス文学が大好きだったといいます。研究者を目指しながらも、小説が心にあった“夢見る夢子さん”上橋菜穂子。彼女は、どうやって作家になったのでしょうか。

本の虫だった少女時代や、文化人類学の研究過程など、自らの人生を通じて「物語」を語ります。上橋菜穂子作品のファンの方はもちろん、これから読んでみたいと思っている方にもおすすめの1冊です。

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