代表作「金田一耕助シリーズ」で人気を博し、多くの作品が映像化されている「横溝正史」。精巧なトリックと鮮やかな謎解きが魅力の作家です。

そこで今回は、横溝正史のおすすめ小説をご紹介。横溝正史作品の魅力や作風についてもまとめているので、ぜひ本を選ぶときの参考にしてみてください。

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金田一耕助シリーズで有名な推理小説家「横溝正史」とは?

横溝正史は、1902年神戸市生まれ。旧制大阪薬専を卒業後、博文館に入社しました。『新青年』『探偵小説』の編集長を歴任したあと、退社して執筆活動に入ります。

著書としては、特に「金田一耕助シリーズ」が有名。探偵小説雑誌『宝石』に『本陣殺人事件』などの人気作を次々に発表していきます。江戸川乱歩らとともに日本探偵小説黎明期の、中心人物として活躍しました。

1981年に79歳で永眠しますが、60年間の作家生活の最後まで新作の構想を練っていました。今なお多くの読者の支持を得ているミステリー作家です。

横溝正史作品の魅力

横溝正史作品の魅力は、精巧に作り込まれたトリックと、伏線を次々と回収していく名推理です。そのテクニックに多くのファンが魅了され、手掛けた作品の多くが映像化されています。

複雑なトリックが仕込まれている事件であっても、場面を想像しながら読める表現力が魅力。普段ミステリーを読まない方でも楽しめる作品が多い作家です。

横溝正史といえば「金田一耕助シリーズ」を思い浮かべる方が多いですが、「人形佐七捕物帳シリーズ」もドラマ化・映画化されているシリーズのひとつ。また、時代小説も手掛けており、横溝正史のストーリーテリングの才が発揮されたジャンルとして人気があります。

横溝正史のおすすめ小説

本陣殺人事件 金田一耕助ファイル 2

KADOKAWA 著者:横溝正史


本陣殺人事件 金田一耕助ファイル 2

密室トリックに挑戦し、第1回探偵作家クラブ賞を受賞した1冊。表題作のほか、『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』の2編を収録しています。

『本陣殺人事件』は、アメリカから帰国した金田一耕助の初登場作品です。江戸時代からの宿場本陣の旧家である一柳家。婚礼を終えた日の深夜に、悲鳴と琴の音が響きます。

離れ座敷で惨殺されていたのは新郎新婦。枕元には家宝の名琴「おしどり」と、3本指の血痕がつけられた金屏風が残されていました。さらに、離れ座敷の周り一面に降り積もった雪によって、現場は完全な密室になっていて…。

同時収録の2作も、読み応えのある短編。海外ミステリー作品を踏まえた話もあるので、海外ミステリーファンの方にもおすすめの横溝正史作品です。

獄門島 金田一耕助ファイル 3

KADOKAWA 著者:横溝正史


獄門島 金田一耕助ファイル 3

「金田一耕助シリーズ」の3冊目にあたる作品。テレビドラマ化・映画化・舞台化もされている人気の1作です。

獄門島は、江戸時代に流刑地とされてきた島でした。“3人の妹たちが殺される…おれの代わりに獄門島へ行ってくれ…”。復員船の中で死んだ戦友・鬼頭千万太に遺言を託された金田一耕助は、獄門島へと渡ります。

瀬戸内海に浮かぶ獄門島で、網元として君臨するのは鬼頭家。そこで金田一は、美しいけれどどこか尋常ではない3人姉妹に出会います。しかし、遺言通りの悪夢のような連続殺人が起きてしまい…。

後世のミステリー小説にも大きな影響を与えたとされる1冊。ふだんミステリー作品を読まない方も、楽しんで読める横溝正史作品です。

八つ墓村 金田一耕助ファイル 1

KADOKAWA 著者:横溝正史


八つ墓村 金田一耕助ファイル 1

「八つ墓村」を舞台とした作品。テレビドラマ化・映画化・マンガ化などもされている人気作品です。

戦国時代、3千両の黄金を持った8人の武者が村に落ちのびました。しかし、欲に溺れた村人たちによって8人は惨殺。その後、怪異が相次いで起こるようになったことからこの村は「八つ墓村」と呼ばれるようになったといいます。

その後、大正×年に、惨殺計画の首謀者・田治見庄左衛門の子孫にあたる要蔵が突然発狂し、32人の村人を虐殺。要蔵はそのまま行方不明になってしまうのです。そして、20数年経ったとき、またしても八つ墓村で連続殺人事件が起こります…。

ミステリー小説が好きな方はもちろん、ホラー小説が好きな方にもおすすめの1冊です。

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5

KADOKAWA 著者:横溝正史

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5

「金田一耕助シリーズ」の1つ。時代を超えて繰り返し映画化・テレビドラマ化されている人気作品です。

物語は、信州財界の巨頭・犬神財閥創始者である犬神佐兵衛が永眠したところから始まります。佐兵衛が残したのは、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状でした。

生涯正妻をもたなかった佐兵衛には、3人姉妹がいましたが、娘たちの母親は全て違う女性。不吉な争いが始まることを予期した顧問弁護士・若林は、事前に金田一耕助に協力を頼んでいました。しかし、若林は何者かによって殺害されてしまいます。

日本の推理小説史上の不朽の名作と呼ばれている1冊。映像化作品で本作を見たことがある方にもおすすめの横溝正史作品です。

悪魔が来りて笛を吹く 金田一耕助ファイル 4

KADOKAWA 著者:横溝正史

悪魔が来りて笛を吹く 金田一耕助ファイル 4

第7回探偵作家クラブ賞候補にノミネートされた作品。映画化やドラマ化に加え、コミカライズもされている作品です。

毒殺事件の容疑者・椿元子爵が行方不明になります。娘・美禰子に託された遺書には“これ以上の屈辱、不名誉にたえられない”という記述が残されていました。

それ以来、椿家に襲い掛かるのは7つの“死”と、どこからともなく聞こえてくる“悪魔が来りて笛を吹く”というフルート曲の音色。旧華族の廃頽を背景にした怨念が、殺人事件を導いているようで…。

連続殺人事件の裏側に潜む、人間関係の恐ろしさや親子の愛憎も描かれている1冊。ふだんからミステリー小説を読む方にもおすすめの横溝正史作品です。

女王蜂 金田一耕助ファイル 9

KADOKAWA 著者:横溝正史

女王蜂 金田一耕助ファイル 9

「金田一耕助シリーズ」の長編推理小説です。年代を超えて繰り返し映画化、ドラマ化されています。

伊豆半島の南にある月琴島。この場所に、源頼朝の後裔を自称している大道寺家が住んでいました。島に住む絶世の美女・大道寺智子は、東京にいる義父に引き取られることになります。しかし、智子の18歳の誕生日以降、男たちは次々と殺され、血みどろの惨劇が続くのでした。

過去の殺人と現在の殺人がリンクする構造の横溝正史作品。殺人のトリックや謎解きを楽しむのが好きな方にもおすすめの1冊です。

幽霊男 金田一耕助ファイル 10

KADOKAWA 著者:横溝正史

幽霊男 金田一耕助ファイル 10

「金田一耕助シリーズ」の1冊。1954年に映画化された作品です。

大繁盛していたヌードクラブのモデルが、ホテルの湯船のなかで殺される事件が発生。湯を真っ赤に染めた女性の死を皮切りに、3人の女が次々と殺されていきます。金田一探偵と等々力警部は、欲望にまみれた男たちの犯罪を解決していくのです。

金田一耕助が事件解決に向けて走り回るのも面白さの1つ。ミステリーマニアの方にもおすすめの横溝正史作品です。

死神の矢

KADOKAWA 著者:横溝正史

死神の矢

横溝正史の異色傑作とも称される1冊。一風変わった隣人への嫌疑を抱く『蝙蝠と蛞蝓』も収録されている小説集です。

表題作である『死神の矢』は、密室殺人事件を解き明かす物語。弓の収集家として有名な考古学者・古館博士が、若者3人を招いて弓遊びをしていました。的を射た人を、愛娘・早苗の婿にするという条件つきだったのです…。

しかし、その直後、弓遊びに参加した若者の死体が発見されます。シャワーを浴び続けていた男の胸に射ち込まれていたのは、色塗りの矢。解決不能にも思われる密室トリックに、名探偵・金田一耕助が挑みます。

婿選びに名乗りをあげた一癖ある3人の男たちにも注目。人間関係に注目して読むのもおすすめの横溝正史作品です。

悪魔の手毬唄 金田一耕助ファイル 12

KADOKAWA 著者:横溝正史

悪魔の手毬唄 金田一耕助ファイル 12

「金田一耕助シリーズ」のなかで最高傑作ともいわれている1作。手毬唄の歌詞に沿って事件が起こる童謡殺人をテーマになっています。映画化、テレビドラマ化もされている横溝正史の代表作です。

舞台は鬼首村という、岡山と兵庫の県境。たまたま鬼首村を訪れた金田一が遭遇した殺人は、村に昔から伝わる手毬歌の歌詞通りに、死体が異様な構図をとっているというものでした。

現場に残された暗号が表しているものとは一体なんなのでしょうか。事件の真相を探るなかで、20年前に迷宮入りした事件との結びつきが見えてきます…。

難解な事件をわかりやすい筆致で表現している、著者の描写力が詰まった作品。初めて横溝正史作品を読む方にもおすすめです。

白と黒 金田一耕助ファイル 18

KADOKAWA 著者:横溝正史

白と黒 金田一耕助ファイル 18

団地という集団住宅から生まれる人間感情の軋轢が描かれた長編推理小説。1962年にテレビドラマ化されました。

平和かと思われた団地のなかで、突然怪文書が横行し始めます。住民たちは、プライバシーを暴露する陰険な内容に怯えます。そんななか、団地のダストシュートから、真っ黒なタールまみれの女の死体が発見。恐ろしい殺人事件の現場を目撃した団地の住人たちの恐怖は頂点に達して…。

謎の言葉「白と黒」にはどのような意味があるのかがポイント。ふだんからミステリー作品を読んでいる方にもおすすめの横溝正史作品です。

仮面舞踏会 金田一耕助ファイル 17

KADOKAWA 著者:横溝正史

仮面舞踏会 金田一耕助ファイル 17

「金田一耕助シリーズ」のなかでも長編の作品。構想十余年を経て完成した大作です。

事件が発生したのは、夏の避暑地・軽井沢。映画女優・鳳千代子の三番目の夫である笛小路泰久がプールの中で死体となって発見されたのです。死体のそばには、楔形文字のように折れたマッチ棒が置かれていました。

千代子はこの2年間、毎年1人ずつ夫を謎の死によって亡くしており、千代子本人もさまざまなスキャンダルに彩られた女優。軽井沢に来ていた金田一耕助が早速解明に乗りだしますが…。

登場人物たちの関係性までを丁寧に描いている作品。最後まで展開から目を離せない、おすすめの横溝正史作品です。

病院坂の首縊りの家 上 金田一耕助ファイル 20

KADOKAWA 著者:横溝正史

病院坂の首縊りの家 上 金田一耕助ファイル 20

金田一耕助最後の事件と呼ばれる、東京を舞台にした長編ミステリー小説。映画化・テレビドラマ化もされた作品です。

過去に薄幸の女が縊死した旧法眼邸。明治時代から戦前まで、「病院坂」という地名になるほどに隆盛を誇った大病院の屋敷跡でした。

本條写真館の息子・直吉は、とある晩に旧法眼邸での結婚記念写真を依頼されます。不吉な出来事が起きそうな、廃屋での写真撮影。数日後に再度撮影で屋敷を訪れた直吉が見たのは、鮮血を滴らせながらぶら下がる男の生首でした。

奇妙な依頼から始まる連続殺人事件の結末から目が離せない1作。「金田一耕助シリーズ」の最後の事件にあたる本作品をぜひ読んでみてください。

完本 人形佐七捕物帳 一

春陽堂書店 著者:横溝正史

完本 人形佐七捕物帳 一

時代劇調のミステリー作品です。岡本綺堂『半七捕物帳』・野村胡堂『銭形平次捕物控』・佐々木味津三『右門捕物帖』・城昌幸『若さま侍捕物手帖』と並美、「五大捕物帳」とも呼ばれています。

江戸を舞台に、人形のように美しい色男・佐七が推理劇を繰り広げるストーリーです。町で起こる事件を、佐七が見事な手腕で解決していきます。

好色な佐七と焼きもち焼きな年上女房・お粂との夫婦喧嘩や、佐七の子分・江戸っ子の辰と上方っ子の豆六とのやりとりなど、ユーモアあふれる描写も魅力です。

本作品は20の物語が収録されている決定版全集。横溝正史の描くさまざまな世界観に興味がある方におすすめの作品です。

真珠郎

KADOKAWA 著者:横溝正史

真珠郎

探偵・由利麟太郎が活躍する「由利先生シリーズ」の1冊です。テレビドラマ化もされています。

鬼気迫るような美しさをもつ少年・真珠郎。真珠郎のふりかざす鋭い刃物がひらめきます。浅間山麓に霧のように渦巻く、数々の謎の真相はどこにあるのでしょうか。

不気味な迫力と神秘的な筆致で描かれる、“怪奇ミステリーの金字塔”と名高い横溝正史作品。「金田一耕助シリーズ」以外の作品を読んでみたい方にもおすすめの1冊です。

菊水兵談

KADOKAWA 著者:横溝正史

菊水兵談

波乱万丈の幕末奇譚『菊水兵談』を初めて完全版として収録した1冊。単行本未収録の傑作『具足一領』などを含む6編も収録されています。

主人公は、快男児・菊水兵馬。そして、ライバルである山城屋糸平を中心に物語は進んでいきます。同時収録されている『河童武士道』は、市井の武士の意地を描くストーリー。『密書往来』は、預かった密書がきっかけで想像していなかった歴史的事件へと巻き込まれていきます。

表題作だけでなく、横溝正史のストーリーテリングを楽しめるバラエティ豊かな作品も収録した作品。初めて横溝正史作品を手に取る方にもおすすめの1冊です。

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